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三章.雪豹の青年
45.雪豹の青年と雪遊び
足を進めるごとにサクサクと音がする。闇色の魔王城も真白い雪で飾られ、幻想的な風景だ。
スノウは久しぶりに積もった雪に、目を細めて喜んでいた。庭を散歩する足取りが軽い。
「スノウ様~、寒いですよぉ……部屋に戻りましょうよぉ……」
「ルイス! まだ戻らないよ。アークに雪うさぎ見せてあげるんだ!」
「そんなぁ……ぶるぶる」
着膨れて丸くなっているルイスが可笑しい。スノウはそんなに寒いとは思わないけれど、種族差だろうか。アークは寒さは得意なのかな?
執務中だろうアークを思い出して、スノウは微笑む。最近のアークは楽しそうに忙しくしている。
もう暫くすると、スノウの成人祝いの宴をするらしい。アークの運命の番としてのお披露目も兼ねているそうで、盛大なものにするつもりのようだ。
アークは嬉々とその準備を頑張っている。
「――アークが楽しそうなのはいいけど……もっと一緒に過ごしたい……」
スノウは寂しさと不満で、白い頬をぷくっと膨らませた。もうすぐ成人になるとはいえ、まだ子どもっぽい仕草が抜けない。皆がそれを可愛いと言ってくれるから、なかなか改善が難しいのだ。
「陛下はお忙しいですからねぇ。スノウ様も色々予定が詰まっていますし」
「そうだけど、午後のお茶くらいは一緒にしてくれてもいいと思う!」
最近は、スノウも服の仕立てや宝飾品の選定、礼儀作法の勉強など、忙しく過ごしている。そのせいで、朝と夜しかアークと一緒にいられないのだ。
普通はそれで十分と思われるのかもしれないが、スノウはもっとアークを傍に感じたい。
だから、今日は雪うさぎを手土産に、アークの執務室に突撃する予定。癒しを届けるのだ。
「雪うさぎ~雪うさぎ~、丸々フォルムに緑のお耳。目は赤い南天で~……――」
綺麗な雪をすくってぎゅうぎゅうと握る。この時のフォルムが大事。スリムなのもいいけれど、スノウは丸々したのが好きだ。だって、美味しそ――いや、食べないけど。
食欲に傾きそうになった思考を、頭を振って切り換える。これはアークに癒しをあげるための雪うさぎなのだ。食べさせるわけではない。食べても雪だから美味しくないし。
「そういえば、狩りの練習はいつ連れてってくれるのかな? 街探索もまだしてない……」
耳になる葉っぱを探しながら、庭の先にある高い塀を見つめる。その先に街があるのは前に聞いたけれど、アークは一向に連れていってくれない。
「僕が自分で身を守れるようになったら、アークは安心するかも」
白く華奢な手を見下ろす。雪を形作るような器用な動きは得意だけど、武器を握ったり、誰かを殴ったりするのは苦手だ。雪豹族自体が、そもそもそのような戦闘をあまりしないらしいけど。
スノウは「むむっ……」と唸って、とりあえず雪の玉をルイスが持つ籠に入れた。見つけた葉っぱで耳をつけ、南天を探して再び歩き出す。
「雪豹は、水と雪を操るのが得意なんだよね――」
呟きながら魔力を操った。子どもの頃は変化さえできなかったけれど、もう魔力の扱いはお茶の子さいさい。
空気中の水分を意識して、魔力で操る。
青空にふわふわと雪が舞った。これは攻撃に使えそうもないけれど。
「攻撃……攻撃……」
「スノウ様? 攻撃ってなんです?」
後からついてくるルイスが不思議そうに尋ねてくる。
「狩りのために、戦闘力を鍛えるんだ」
「ああ……なるほど……」
何故か苦笑されたけれどスノウは気にしない。狩りや街探索の許可をもらうためにも、スノウは頼れるところをアークに見せたいのだ。
スノウは久しぶりに積もった雪に、目を細めて喜んでいた。庭を散歩する足取りが軽い。
「スノウ様~、寒いですよぉ……部屋に戻りましょうよぉ……」
「ルイス! まだ戻らないよ。アークに雪うさぎ見せてあげるんだ!」
「そんなぁ……ぶるぶる」
着膨れて丸くなっているルイスが可笑しい。スノウはそんなに寒いとは思わないけれど、種族差だろうか。アークは寒さは得意なのかな?
執務中だろうアークを思い出して、スノウは微笑む。最近のアークは楽しそうに忙しくしている。
もう暫くすると、スノウの成人祝いの宴をするらしい。アークの運命の番としてのお披露目も兼ねているそうで、盛大なものにするつもりのようだ。
アークは嬉々とその準備を頑張っている。
「――アークが楽しそうなのはいいけど……もっと一緒に過ごしたい……」
スノウは寂しさと不満で、白い頬をぷくっと膨らませた。もうすぐ成人になるとはいえ、まだ子どもっぽい仕草が抜けない。皆がそれを可愛いと言ってくれるから、なかなか改善が難しいのだ。
「陛下はお忙しいですからねぇ。スノウ様も色々予定が詰まっていますし」
「そうだけど、午後のお茶くらいは一緒にしてくれてもいいと思う!」
最近は、スノウも服の仕立てや宝飾品の選定、礼儀作法の勉強など、忙しく過ごしている。そのせいで、朝と夜しかアークと一緒にいられないのだ。
普通はそれで十分と思われるのかもしれないが、スノウはもっとアークを傍に感じたい。
だから、今日は雪うさぎを手土産に、アークの執務室に突撃する予定。癒しを届けるのだ。
「雪うさぎ~雪うさぎ~、丸々フォルムに緑のお耳。目は赤い南天で~……――」
綺麗な雪をすくってぎゅうぎゅうと握る。この時のフォルムが大事。スリムなのもいいけれど、スノウは丸々したのが好きだ。だって、美味しそ――いや、食べないけど。
食欲に傾きそうになった思考を、頭を振って切り換える。これはアークに癒しをあげるための雪うさぎなのだ。食べさせるわけではない。食べても雪だから美味しくないし。
「そういえば、狩りの練習はいつ連れてってくれるのかな? 街探索もまだしてない……」
耳になる葉っぱを探しながら、庭の先にある高い塀を見つめる。その先に街があるのは前に聞いたけれど、アークは一向に連れていってくれない。
「僕が自分で身を守れるようになったら、アークは安心するかも」
白く華奢な手を見下ろす。雪を形作るような器用な動きは得意だけど、武器を握ったり、誰かを殴ったりするのは苦手だ。雪豹族自体が、そもそもそのような戦闘をあまりしないらしいけど。
スノウは「むむっ……」と唸って、とりあえず雪の玉をルイスが持つ籠に入れた。見つけた葉っぱで耳をつけ、南天を探して再び歩き出す。
「雪豹は、水と雪を操るのが得意なんだよね――」
呟きながら魔力を操った。子どもの頃は変化さえできなかったけれど、もう魔力の扱いはお茶の子さいさい。
空気中の水分を意識して、魔力で操る。
青空にふわふわと雪が舞った。これは攻撃に使えそうもないけれど。
「攻撃……攻撃……」
「スノウ様? 攻撃ってなんです?」
後からついてくるルイスが不思議そうに尋ねてくる。
「狩りのために、戦闘力を鍛えるんだ」
「ああ……なるほど……」
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