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三章.雪豹の青年
48.雪豹の青年とおねだり
ルイスが用意してくれたお茶を飲んで休憩。雪うさぎたちはアークが保存の魔法をかけてくれて、執務室の飾り棚におさまることになった。精緻な細工の美術品と思しき皿の横に、ちんまりと並ぶ雪うさぎが可笑しい。
「あ、そうだ。アーク、いつ狩りに連れて行ってくれる? 僕、もうすぐ成人だから、一度は狩りに行きたい!」
「……狩りか」
アークが渋い顔をした。
狩りに行くことはちゃんと約束したはずなのに。スノウは頬を膨らませ、アークの腕を引っ張って揺らした。子どものような駄々に見えるだろうけど、今は気にしない。だって、アークに約束を守ってもらうことの方が重要だから。
「狩りだよ! アークに美味しいお肉を食べさせてあげる!」
「スノウはまだ戦えないだろう?」
「氷で攻撃できるよ! さっき練習したからね」
「……は?」
胸を張って告げたら、アークの目が丸まった後に、スッと細められた。ルイスの方へと視線が動く。
「や、危ないことは一切してませんよ!? ただ、木に傷がついただけで。それも庭師のドライアドが治してくれましたし……。攻撃力も結構ある感じでした。ウサギを獲るくらいはさせてみてもいいのでは?」
アークの視線に背筋を伸ばしたルイスが、緊張しながらもスノウの望みの後押しをしてくれた。獲物がウサギというのは微妙な気がするけど。スノウにとって、ウサギは愛玩動物だ。雪うさぎを作ったばかりだというのも理由の一つ。
でも、狩りの許しを得るために、今は黙ってアークを見つめる。
「……近いうちに時間をとろう」
「アーク、ありがとう!」
渋い表情で許可をくれたアークに抱きつく。そう言ってくれると思っていた。アークは今忙しいけど、きっとどこかで時間を作ってくれるはず。
うきうきと弾む胸。逞しい身体に抱きついて懐いたところで、もう一つの約束を思い出した。
「――街にはいつ行く?」
「街……」
狩りが許されるなら大丈夫だろうと、確信を持って見つめる。アークの頬が引き攣った。ロウエンが忍び笑う声が聞こえてくる。
「連れて行ってくれるって約束していたよね。僕、アークとお出かけしたい。デートって言うんだよね?」
「デート……!」
パッと光が差すように、アークの目が輝いた。
メイドさんから聞いた話だったけど、デートというのは番や番未満の関係にある二人がお出かけすることらしい。それならアークとのお出かけはデートということだろう。
スノウは雪豹の里から魔王城に来て、一度も敷地外に出たことがない。祖母のラトや祖父のナイトから、魔王城の外には街が広がっていると聞いて以来、ずっと行きたいと思っていたのだ。
「――そうだな。正式に番になる前に、一度デートをしなくてはな。……ロウエン、予定を空けておけ」
「かしこまりました。……しかし、ふぉっふぉっふぉ、スノウ様は陛下の弱点を突くのがお上手ですねぇ」
キリッとした顔で指示したアークに、ロウエンが生温かい視線を向けている。スノウは首を傾げた。
アークの弱点とはなんだろう。強くて格好いいアークに弱いところがあるとは思えない。もしあったとしても、それをスノウが突けるとは思えなかった。
「……無自覚最強とはスノウ様のことですね。陛下を思い通りに動かすとは強い」
相変わらず、ルイスはよく分からないことを言うので、スノウは軽く肩をすくめた。こういう時は流してしまっていいのだと、スノウはもう学んでいる。
「あ、そうだ。アーク、いつ狩りに連れて行ってくれる? 僕、もうすぐ成人だから、一度は狩りに行きたい!」
「……狩りか」
アークが渋い顔をした。
狩りに行くことはちゃんと約束したはずなのに。スノウは頬を膨らませ、アークの腕を引っ張って揺らした。子どものような駄々に見えるだろうけど、今は気にしない。だって、アークに約束を守ってもらうことの方が重要だから。
「狩りだよ! アークに美味しいお肉を食べさせてあげる!」
「スノウはまだ戦えないだろう?」
「氷で攻撃できるよ! さっき練習したからね」
「……は?」
胸を張って告げたら、アークの目が丸まった後に、スッと細められた。ルイスの方へと視線が動く。
「や、危ないことは一切してませんよ!? ただ、木に傷がついただけで。それも庭師のドライアドが治してくれましたし……。攻撃力も結構ある感じでした。ウサギを獲るくらいはさせてみてもいいのでは?」
アークの視線に背筋を伸ばしたルイスが、緊張しながらもスノウの望みの後押しをしてくれた。獲物がウサギというのは微妙な気がするけど。スノウにとって、ウサギは愛玩動物だ。雪うさぎを作ったばかりだというのも理由の一つ。
でも、狩りの許しを得るために、今は黙ってアークを見つめる。
「……近いうちに時間をとろう」
「アーク、ありがとう!」
渋い表情で許可をくれたアークに抱きつく。そう言ってくれると思っていた。アークは今忙しいけど、きっとどこかで時間を作ってくれるはず。
うきうきと弾む胸。逞しい身体に抱きついて懐いたところで、もう一つの約束を思い出した。
「――街にはいつ行く?」
「街……」
狩りが許されるなら大丈夫だろうと、確信を持って見つめる。アークの頬が引き攣った。ロウエンが忍び笑う声が聞こえてくる。
「連れて行ってくれるって約束していたよね。僕、アークとお出かけしたい。デートって言うんだよね?」
「デート……!」
パッと光が差すように、アークの目が輝いた。
メイドさんから聞いた話だったけど、デートというのは番や番未満の関係にある二人がお出かけすることらしい。それならアークとのお出かけはデートということだろう。
スノウは雪豹の里から魔王城に来て、一度も敷地外に出たことがない。祖母のラトや祖父のナイトから、魔王城の外には街が広がっていると聞いて以来、ずっと行きたいと思っていたのだ。
「――そうだな。正式に番になる前に、一度デートをしなくてはな。……ロウエン、予定を空けておけ」
「かしこまりました。……しかし、ふぉっふぉっふぉ、スノウ様は陛下の弱点を突くのがお上手ですねぇ」
キリッとした顔で指示したアークに、ロウエンが生温かい視線を向けている。スノウは首を傾げた。
アークの弱点とはなんだろう。強くて格好いいアークに弱いところがあるとは思えない。もしあったとしても、それをスノウが突けるとは思えなかった。
「……無自覚最強とはスノウ様のことですね。陛下を思い通りに動かすとは強い」
相変わらず、ルイスはよく分からないことを言うので、スノウは軽く肩をすくめた。こういう時は流してしまっていいのだと、スノウはもう学んでいる。
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