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続×3.雪豹くんとにぎやかな家族
4-9.共にがんばる
スノウはしばらくブレスラウを愛でていたけれど、にこやかな表情で近づいてきたドリーに連れさらわれてしまった。ドリーが放った「誕生後検診です」という声には、有無を言わさない雰囲気が漂っていたのだ。スノウでは抵抗できない。
「寂しい……」
しょんぼりと肩を落として、ぬくもりが残る手に視線を落とす。
そんなスノウに新しく淹れたお茶を差し出しながら、ルイスが苦笑した雰囲気で言う。
「お寂しいかもしれませんが、ちょうどいいタイミングだったのかもしれませんよ」
「どうして?」
なんでそんなことを言うの、と思いながらスノウは顔を上げる。ルイスとアークが視線を交わし、肩をすくめていた。
「ブレスラウ様はそろそろ逃げ出したがっている雰囲気でしたから」
「そうだな。むしろ、あれほどスノウの腕の中でおとなしくしていられたのは驚きだ。母親への愛は強いようだな。スノウがこれまでにたくさん愛していた結果だろう。俺だったら……あの尻尾か爪で抵抗されていたな」
アークがなんだか悲しいことを言っている気がする。とはいえ、その表情はいつもどおりで、息子に嫌がられることなんてどうでもいいと考えているのが伝わってくるけれど。
それよりも、スノウは『ああ、そうだったなぁ』と思い、少し反省した。
ブレスラウが生まれるまでは、どのくらいの距離感で接しようかと散々考えていたというのに、実際に会ってしまえば、愛したいという思いを抑えられなかった。
だって、可愛いのだ。愛おしいのだ。スノウとアークの愛の結晶なのだから当然だろう。その思いを表したのが、ブレスラウを抱きしめて、たくさん撫でるという行動だった。
「……そっか。ブレスラウは僕を気遣って我慢してくれていたんだね」
なんて優しいのだろう。ブレスラウは生まれたばかりなのに、本能的な衝動よりも、スノウへの愛を示してくれたのだ。
それが分かると、スノウはさらに深い愛情を抱いた。同時に、やはり愛の伝え方には一段と注意するべきだと自分を戒める。
愛したいと思ってブレスラウを可愛がれば、それだけ負担を掛けていることになるのだ。押し付けるなんて、スノウの身勝手でしかない。ブレスラウが心地よく愛を感じられる程度に、行動を抑えるべきだろう。
「まぁ、一緒に過ごしていれば、じきに慣れるだろう。ルイスが読んでいた本にも書いてあったはずだ。『親が子を育てるのと同じように、子が親を育てるのだ』……だったか」
アークに肩を抱き寄せられて、頬にキスされる。穏やかな低い声を聞いていたら、スノウの心もゆっくりと静まっていった。
スノウはまだ母親としての経験値が低い。失敗をしながらでも、良くなれるように頑張ればいいのだと、アークに励ましてもらえている気がした。
「それなら、アークも一緒だね」
「俺?」
「うん。だって、アークも親なんだもん。一緒に成長していこうね!」
アークの頬を両手で包み込み、夕陽色の瞳を見つめる。
丸くなった目が仕方なさそうに細められるのを見て、スノウはふふっと微笑んだ。
アークと一緒なら、失敗だって怖くない。いくらでも子どもたちのために頑張れると、気合いが湧いてくる。
「そうだな。スノウが頑張っているのだから、俺も頑張るか。……ひとまず、ブレスラウを愛せるよう、努力しよう」
「スタート地点が遠い……」
分かっていたことだけれど、アークは随分とスノウとは違った。これは子どもとの関係性を作るのも随分と大変そうだ。それについては、スノウが協力するべきだろう。
「仕方ないだろう。……ああ、そうだ。スノウ」
「なぁに?」
改まった口調で名前を呼ばれ、スノウは目を瞬かせた。アークの頬を包んだままの手に、大きな手が重ねられる。
夕陽色の瞳が近くなり、鼻先が擦り付けられてくすぐったい。
「俺がブレスラウを愛するためにも、スノウはあまり子どもを可愛がり過ぎないでくれ」
「え……」
「スノウの目が子どもたちばかりに注がれると、思わず踏みつけたくなってしまいそうだ」
冗談なのか、本気なのか定かでない口調でそう言われて、スノウは目を丸くした。ぽかんと開いた唇に柔らかいものが触れる。
「んっ……ふ、ぁ……」
ちゅ、と触れては離れる戯れのような口づけ。その間もアークの目を見続けて、スノウは心の中でため息をつく。
(僕の番は独占欲が強すぎる……)
それは元々分かっていたことではあったけれど、改めて実感した。
まるで大きな子どもがいるようだなと思ったのは、アークの機嫌を損ねてしてまいそうなので、スノウの秘密である。
「寂しい……」
しょんぼりと肩を落として、ぬくもりが残る手に視線を落とす。
そんなスノウに新しく淹れたお茶を差し出しながら、ルイスが苦笑した雰囲気で言う。
「お寂しいかもしれませんが、ちょうどいいタイミングだったのかもしれませんよ」
「どうして?」
なんでそんなことを言うの、と思いながらスノウは顔を上げる。ルイスとアークが視線を交わし、肩をすくめていた。
「ブレスラウ様はそろそろ逃げ出したがっている雰囲気でしたから」
「そうだな。むしろ、あれほどスノウの腕の中でおとなしくしていられたのは驚きだ。母親への愛は強いようだな。スノウがこれまでにたくさん愛していた結果だろう。俺だったら……あの尻尾か爪で抵抗されていたな」
アークがなんだか悲しいことを言っている気がする。とはいえ、その表情はいつもどおりで、息子に嫌がられることなんてどうでもいいと考えているのが伝わってくるけれど。
それよりも、スノウは『ああ、そうだったなぁ』と思い、少し反省した。
ブレスラウが生まれるまでは、どのくらいの距離感で接しようかと散々考えていたというのに、実際に会ってしまえば、愛したいという思いを抑えられなかった。
だって、可愛いのだ。愛おしいのだ。スノウとアークの愛の結晶なのだから当然だろう。その思いを表したのが、ブレスラウを抱きしめて、たくさん撫でるという行動だった。
「……そっか。ブレスラウは僕を気遣って我慢してくれていたんだね」
なんて優しいのだろう。ブレスラウは生まれたばかりなのに、本能的な衝動よりも、スノウへの愛を示してくれたのだ。
それが分かると、スノウはさらに深い愛情を抱いた。同時に、やはり愛の伝え方には一段と注意するべきだと自分を戒める。
愛したいと思ってブレスラウを可愛がれば、それだけ負担を掛けていることになるのだ。押し付けるなんて、スノウの身勝手でしかない。ブレスラウが心地よく愛を感じられる程度に、行動を抑えるべきだろう。
「まぁ、一緒に過ごしていれば、じきに慣れるだろう。ルイスが読んでいた本にも書いてあったはずだ。『親が子を育てるのと同じように、子が親を育てるのだ』……だったか」
アークに肩を抱き寄せられて、頬にキスされる。穏やかな低い声を聞いていたら、スノウの心もゆっくりと静まっていった。
スノウはまだ母親としての経験値が低い。失敗をしながらでも、良くなれるように頑張ればいいのだと、アークに励ましてもらえている気がした。
「それなら、アークも一緒だね」
「俺?」
「うん。だって、アークも親なんだもん。一緒に成長していこうね!」
アークの頬を両手で包み込み、夕陽色の瞳を見つめる。
丸くなった目が仕方なさそうに細められるのを見て、スノウはふふっと微笑んだ。
アークと一緒なら、失敗だって怖くない。いくらでも子どもたちのために頑張れると、気合いが湧いてくる。
「そうだな。スノウが頑張っているのだから、俺も頑張るか。……ひとまず、ブレスラウを愛せるよう、努力しよう」
「スタート地点が遠い……」
分かっていたことだけれど、アークは随分とスノウとは違った。これは子どもとの関係性を作るのも随分と大変そうだ。それについては、スノウが協力するべきだろう。
「仕方ないだろう。……ああ、そうだ。スノウ」
「なぁに?」
改まった口調で名前を呼ばれ、スノウは目を瞬かせた。アークの頬を包んだままの手に、大きな手が重ねられる。
夕陽色の瞳が近くなり、鼻先が擦り付けられてくすぐったい。
「俺がブレスラウを愛するためにも、スノウはあまり子どもを可愛がり過ぎないでくれ」
「え……」
「スノウの目が子どもたちばかりに注がれると、思わず踏みつけたくなってしまいそうだ」
冗談なのか、本気なのか定かでない口調でそう言われて、スノウは目を丸くした。ぽかんと開いた唇に柔らかいものが触れる。
「んっ……ふ、ぁ……」
ちゅ、と触れては離れる戯れのような口づけ。その間もアークの目を見続けて、スノウは心の中でため息をつく。
(僕の番は独占欲が強すぎる……)
それは元々分かっていたことではあったけれど、改めて実感した。
まるで大きな子どもがいるようだなと思ったのは、アークの機嫌を損ねてしてまいそうなので、スノウの秘密である。
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