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続×3.雪豹くんとにぎやかな家族
4-35.番と親子
竜族たちが近づいてこないので、スノウはアークと一緒に美味しい料理に舌鼓をうった。みんな食べないみたいだけれど、残すのはもったいない。
「美味しいね。このお肉の味付け好き!」
「そうか。料理人も喜ぶだろう。たくさん食べるといい」
アークに次々とご飯を口に運ばれる。まさかパーティーの最中に給餌なんてされるとは思っていなかった。
遠巻きにスノウたちを見ていた竜族から、少し驚いた気配を感じる。でも、何も言われない。
スノウたちが運命の番という関係は知れ渡っているから、アークが竜族であってもこんなに甘やかな態度を見せるのも、不思議なことではないと理解されているのだろう。
それはありがたいと同時に、少し照れくさくもある。
すでに番って数年経ち、子どももいる身だ。あまりくっつきすぎているのもどうなのだろうと思ってしまうのだ。
「——スノウは最近痩せたんだから、もっと食べないと」
「アークにもバレてた……」
優しく咎められて、しょんぼりと尻尾を垂らす。伏せた耳はアークにつままれて、指先で内側を撫でられた。
つい「んぅ……」なんて声が出てしまうから、今は遊ばないでほしい。
ちろりと睨むと、反省したそぶりもなく微笑みが向けられた。アークはとても楽しそうだ。
軽く頭を振っただけで指先は離れていったけれど、それに寂しさを感じたことは気づかれていないことを願う。また弄られたら駄目だから。
「……ママ、俺も肉食べる」
そうこうしていると、ブレスラウが近づいてきていた。
ブレスラウの目が少し据わっているように見える。じろりとアークを見た後に、スノウとの間に割り入ってきた。
「お腹空いたの?」
なんとなく不機嫌な雰囲気を察して、スノウは気に入った肉料理を皿にたくさん盛ってあげた。これはきっとブレスラウも気にいるはずだ。
にこにこと微笑みながら差し出すと、ブレスラウが少し迷ったように視線を彷徨わせる。
どうしたんだろう、と見守るスノウの前で、小さく口が開かれた。
「……ん」
「っ、はわわ……可愛い!」
「スノウ、心の声が漏れている」
お肉を刺したフォークを差し出しながら、スノウは頬が緩むのを抑えることができなかった。食べさせてもらいたがるブレスラウなんて初めてみたのだから仕方ない。
ルミシャンスでも、ブレスラウでも、子どもに甘えられるのは嬉しいことなのだ。身長がすでにスノウを越えているなんて関係ない。
苦笑するアークの後ろに、驚愕の表情を見せるパールセンが見えたけれど、スノウは気づかなかったふりをする。
ブレスラウの態度が竜族として珍しいものだったとしても、不利益にならないならば問題ないのだ。
「……美味い」
「でしょ? 僕もこれ好きなんだ」
満足そうに僅かに目を細めたブレスラウに微笑みかけながら、そっと周囲を窺う。
先ほどまでブレスラウを囲んでいた竜族たちから強い視線を感じた。でも、それはスノウたちを害するようなものではなく、『この生き物はなんだ……?』と言いたげな困惑した眼差しに思える。
強い竜族たちがブレスラウやスノウの言動に振り回されているというのが、なんだか愉快に感じられた。
「ママも食べるべき」
「そう? じゃあ、ちょっとだけ——」
次々にブレスラウに運んでいたフォークを押し戻されて、スノウは小さく首を傾げながらも口を開く。
ブレスラウが食べている姿を見ていたら、幸せで満腹のような気がしていて、それほど食欲がないなんて言えない。ブレスラウにもアークにも叱られそうだ。そのくらいの自覚はある。
「——ん!」
自分でフォークを口に運ぶ前に、食べ物が口に入れられた。
思わず目を見開くと、ブレスラウの横でアークが笑っている。その手元の皿には別の肉料理。牛系の肉を煮込んだもののようで、お洒落な味がする。
「美味しいか?」
「……うん。だけど、僕は自分で食べられるよ」
さっきまで給餌されていたことは事実だけれど、子どもの前でも継続されるのは少し恥ずかしい。
頬が熱くなるのを感じながら、スノウはアークを軽く睨んでみた。でも、まったく気にした様子はなく、再びフォークを差し出される。
スノウが『どうしよう』と悩んだ矢先に、それがひょいと奪われた。
「……これも美味い」
アークの手を引き寄せたブレスラウが肉に食いつき、何度か頷く。スノウの手から食べた時ほど嬉しそうではないけれど、その行動自体が驚きだ。
「ブレスラウはスノウのことが好きすぎるな……」
「俺のママだから」
目を見張った後、少し呆れたようにアークが呟く。ブレスラウはフンッと鼻を鳴らして顔を背けていた。
「それはつまり……僕がアークから給餌されているのが気に入らなかったから横取りしたの?」
二人の会話から導き出したブレスラウの思いに、スノウは頬を緩ませながら確認した。アークに嫉妬するブレスラウも可愛い。
「……そんなこと、あるかもしれない」
「そんなことしかない、の間違いだろう」
ブレスラウとアークが視線を交わす。バチバチと音がしそうな雰囲気だ。
それも親子のコミュニケーションと捉えて、スノウは微笑みながら見守った。
驚愕の表情で固まるパールセン以下竜族のみんなには、ぜひともこんなブレスラウとアークに慣れてほしいものである。
「美味しいね。このお肉の味付け好き!」
「そうか。料理人も喜ぶだろう。たくさん食べるといい」
アークに次々とご飯を口に運ばれる。まさかパーティーの最中に給餌なんてされるとは思っていなかった。
遠巻きにスノウたちを見ていた竜族から、少し驚いた気配を感じる。でも、何も言われない。
スノウたちが運命の番という関係は知れ渡っているから、アークが竜族であってもこんなに甘やかな態度を見せるのも、不思議なことではないと理解されているのだろう。
それはありがたいと同時に、少し照れくさくもある。
すでに番って数年経ち、子どももいる身だ。あまりくっつきすぎているのもどうなのだろうと思ってしまうのだ。
「——スノウは最近痩せたんだから、もっと食べないと」
「アークにもバレてた……」
優しく咎められて、しょんぼりと尻尾を垂らす。伏せた耳はアークにつままれて、指先で内側を撫でられた。
つい「んぅ……」なんて声が出てしまうから、今は遊ばないでほしい。
ちろりと睨むと、反省したそぶりもなく微笑みが向けられた。アークはとても楽しそうだ。
軽く頭を振っただけで指先は離れていったけれど、それに寂しさを感じたことは気づかれていないことを願う。また弄られたら駄目だから。
「……ママ、俺も肉食べる」
そうこうしていると、ブレスラウが近づいてきていた。
ブレスラウの目が少し据わっているように見える。じろりとアークを見た後に、スノウとの間に割り入ってきた。
「お腹空いたの?」
なんとなく不機嫌な雰囲気を察して、スノウは気に入った肉料理を皿にたくさん盛ってあげた。これはきっとブレスラウも気にいるはずだ。
にこにこと微笑みながら差し出すと、ブレスラウが少し迷ったように視線を彷徨わせる。
どうしたんだろう、と見守るスノウの前で、小さく口が開かれた。
「……ん」
「っ、はわわ……可愛い!」
「スノウ、心の声が漏れている」
お肉を刺したフォークを差し出しながら、スノウは頬が緩むのを抑えることができなかった。食べさせてもらいたがるブレスラウなんて初めてみたのだから仕方ない。
ルミシャンスでも、ブレスラウでも、子どもに甘えられるのは嬉しいことなのだ。身長がすでにスノウを越えているなんて関係ない。
苦笑するアークの後ろに、驚愕の表情を見せるパールセンが見えたけれど、スノウは気づかなかったふりをする。
ブレスラウの態度が竜族として珍しいものだったとしても、不利益にならないならば問題ないのだ。
「……美味い」
「でしょ? 僕もこれ好きなんだ」
満足そうに僅かに目を細めたブレスラウに微笑みかけながら、そっと周囲を窺う。
先ほどまでブレスラウを囲んでいた竜族たちから強い視線を感じた。でも、それはスノウたちを害するようなものではなく、『この生き物はなんだ……?』と言いたげな困惑した眼差しに思える。
強い竜族たちがブレスラウやスノウの言動に振り回されているというのが、なんだか愉快に感じられた。
「ママも食べるべき」
「そう? じゃあ、ちょっとだけ——」
次々にブレスラウに運んでいたフォークを押し戻されて、スノウは小さく首を傾げながらも口を開く。
ブレスラウが食べている姿を見ていたら、幸せで満腹のような気がしていて、それほど食欲がないなんて言えない。ブレスラウにもアークにも叱られそうだ。そのくらいの自覚はある。
「——ん!」
自分でフォークを口に運ぶ前に、食べ物が口に入れられた。
思わず目を見開くと、ブレスラウの横でアークが笑っている。その手元の皿には別の肉料理。牛系の肉を煮込んだもののようで、お洒落な味がする。
「美味しいか?」
「……うん。だけど、僕は自分で食べられるよ」
さっきまで給餌されていたことは事実だけれど、子どもの前でも継続されるのは少し恥ずかしい。
頬が熱くなるのを感じながら、スノウはアークを軽く睨んでみた。でも、まったく気にした様子はなく、再びフォークを差し出される。
スノウが『どうしよう』と悩んだ矢先に、それがひょいと奪われた。
「……これも美味い」
アークの手を引き寄せたブレスラウが肉に食いつき、何度か頷く。スノウの手から食べた時ほど嬉しそうではないけれど、その行動自体が驚きだ。
「ブレスラウはスノウのことが好きすぎるな……」
「俺のママだから」
目を見張った後、少し呆れたようにアークが呟く。ブレスラウはフンッと鼻を鳴らして顔を背けていた。
「それはつまり……僕がアークから給餌されているのが気に入らなかったから横取りしたの?」
二人の会話から導き出したブレスラウの思いに、スノウは頬を緩ませながら確認した。アークに嫉妬するブレスラウも可愛い。
「……そんなこと、あるかもしれない」
「そんなことしかない、の間違いだろう」
ブレスラウとアークが視線を交わす。バチバチと音がしそうな雰囲気だ。
それも親子のコミュニケーションと捉えて、スノウは微笑みながら見守った。
驚愕の表情で固まるパールセン以下竜族のみんなには、ぜひともこんなブレスラウとアークに慣れてほしいものである。
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