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四章
闇を貫く明星の輝き
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「マスター、あと百メートルほどで対敵します。備えてください」
シシリは、家を包むように障壁を展開、且つ外にいる三人には物理防御向上の支援魔法・プロテスを掛けた。けれど一切、雅に声をかけはしないシシリは本当に彼女が気に食わないのだろう。それが少し気になりもしたが、今はそれどころではないと改めて目に力を込めた。
「ああ、分かってる。だが、あれだけの数をどーやって倒すか、だ」
眼前に迫り狂う化物は視界に収まりきらない量だ。
「マスター、全て倒さなくていいんです。この範囲だけ守り切れば。なので、マスターは残党をかってください」
「──と、言うと?」
シシリは、ミストルテインを振り上げる。切っ先は天を指し、微かに残る光で切ない煌めきを魅せた。
「縦一閃、奴等を両断する」
可視化された光の粒子や空気が剣身に集まり始め、草や花はシシリへと靡く。希望を見せる暖かい光は輝きを増し、今ある暗澹を邪を祓う燦然《さんぜん》足る破魔の刃と化した。
天をも穿つミストルテインの柄を力強く掴みシシリは、小さい声で謳う。
「闇を貫く明星の輝き」
白を発した光は真っ赤に染まり、光熱は光を屈折かせ視界を歪ませた。霞む双眸の奥底で感じた神の息吹は、暖かく他を圧倒する力を兼ね備えている。空彼方に伸びた光が遠くに消えゆく時、眼前では熱線に当てられ廃になり消えゆく虫や、羽を焼かれ地を這う虫で埋め尽くされていた。
「こっからが、本番て事か」
額から汗を垂らし、シシリの穿った一撃の余韻に酔いしれる事も許されず辰巳は自分の命を己が槍へと託す。
「はい。私は、上空で各個撃破していきます」
「空って、お前は空を」
「召喚:輝明龍」
召喚された、蛇のように尾の長い白銀の厳つい龍。片側三メータはあるであろう大翼に額の一角。鋭い双眸に、幾重にも連なった牙。五本の指に、逞しい脚。平和の象徴であり、闇の中でさえ光を示す輝明龍。
間違いなくそれは、辰巳がソシャゲで当てた召喚石のモンスターだった。
輝明龍は、生暖かい息吹で生を辰巳に感じさせる。
「……グリュウルァア!!」
爪先から頭のてっぺんまで痺れる鳴き声は、自分の存在を、高位足る存在を他に示すかのように力強く恐ろしい。
「だが、こんなモンスターを召喚できるなら、俺なんか──」
嫌味っぽさを含んだ弱音に、シシリは輝明龍の背に跨ると見下ろして口を開いた。
「違う……。マスターは、強くなりたい。でしょ?なら、生き抜いて」
「──行こう。輝明龍」
「ギュリュ、ギュリュァァア!!」
飛び立つと物凄い勢いで、それこそ恐れを抱かぬ人形のように虫の群れへと輝明が撒き散らす光の粒子を地に振らせて特攻した。
「辰巳さん。いつまでも空を見ている暇はありませんよ」
雅が、鞘から片刃の剣を滑らせて隣に並ぶ。
しなやかで、綺麗な曲線を描く体は剣を構えて初めて辰巳に強いと感じさせる。
隙の無い構えに、ブレない瞳、落ち着いた呼吸。
「──では、私が先に行きます」
言い放った瞬間、めり込んだ足跡だけを辰巳のそばに残して雅も又、群れに特攻。
「……破ッ!!」
気合を乗せた猛りが、虫の群れの中で響いたと思えば、さながら噴水の如く血飛沫が立ち上がる。
数秒の内に何箇所も吹き上がる速さは尋常じゃない。
「疾風迅雷とは、この事か──」
「だが、俺も負けちゃいらんねえ。シシリに言われた通りだ、俺は強くならなきゃなんねぇんだ。行くぜ!害虫」
「ガグア、グア?ルァルァルァ」
目の前で、顎から突起出た牙を動かす殺戮を形にした虫に辰巳は初めて槍を構える。
そして貫いた──。
顎から貫いたロンの槍は、辰巳に破砕音と共に甲羅を砕く感覚と、勝利の美酒をビタビタと降らせた。体を濡らす生き血を嗅覚と視覚で身近に感じ気持ちは、高揚しこみ上げる激昂に身を任せて吼える。
「ッッッシャアァ!!」
たった一体を破壊しただけかもしれない。だが、それは間違いなく辰巳自身に自信を与えた。
「俺でもやれる。冴えない人生だった俺でも、行ける!!」と、辰巳が荒ぶり滾った血と冷静の間で虫と相見えている時、雅は敵の群れの中で狩りを続けていた。
「シシリ……。彼女は本当にルシファー様の首に刃を届かせるかもしれない」
「──それだけは、何としても食い止めなければ……」
敵を切り刻み吹き飛ばしつつ光の線、即ち輝明龍の軌跡を追いながら雅はルシファーに危惧をし憂いていた。
「例え刺し違えても──って、なんなのよ……その力は……」
雅が諦めを、空を仰ぎ示す数分前。遥上空で圧倒的力の元で敵を消し飛ばすシシリは淡々と敵を蒸発させていた。
「マスターの願いは、私の願い。マスターが欲しいものを私は手に入れたい。だから、あなた達は邪魔」
輝明龍が放つ閃光と、シシリの剣戟で虫は飛び去ることすらさせずに微塵になる。
「これは、神の総意ではなく、私自身の気持ち……?だから、此処は絶対に私が護る」
輝明龍の背に立ち、シシリは瞑想する。背には四枚の翼が生え髪は銀髪へと変わる。重鎮たる金の音がシシリの鼓膜を律動に合わせて叩き続けた。
「大地を這う蛇が翼の生えた鳥を食らう知恵を得て、植物は天から注ぐ恵みから生命を授かる。真実は真実ではなく、虚偽は虚偽てはない。
妄言も虚言も戯言も総ては誰かの作ったレール。私はそれを望まない。私が望むのはマスターの幸せな未来」
──刹那、穿たれた一撃は世界に気休めの光を大地に降り注がせた。
シシリは、家を包むように障壁を展開、且つ外にいる三人には物理防御向上の支援魔法・プロテスを掛けた。けれど一切、雅に声をかけはしないシシリは本当に彼女が気に食わないのだろう。それが少し気になりもしたが、今はそれどころではないと改めて目に力を込めた。
「ああ、分かってる。だが、あれだけの数をどーやって倒すか、だ」
眼前に迫り狂う化物は視界に収まりきらない量だ。
「マスター、全て倒さなくていいんです。この範囲だけ守り切れば。なので、マスターは残党をかってください」
「──と、言うと?」
シシリは、ミストルテインを振り上げる。切っ先は天を指し、微かに残る光で切ない煌めきを魅せた。
「縦一閃、奴等を両断する」
可視化された光の粒子や空気が剣身に集まり始め、草や花はシシリへと靡く。希望を見せる暖かい光は輝きを増し、今ある暗澹を邪を祓う燦然《さんぜん》足る破魔の刃と化した。
天をも穿つミストルテインの柄を力強く掴みシシリは、小さい声で謳う。
「闇を貫く明星の輝き」
白を発した光は真っ赤に染まり、光熱は光を屈折かせ視界を歪ませた。霞む双眸の奥底で感じた神の息吹は、暖かく他を圧倒する力を兼ね備えている。空彼方に伸びた光が遠くに消えゆく時、眼前では熱線に当てられ廃になり消えゆく虫や、羽を焼かれ地を這う虫で埋め尽くされていた。
「こっからが、本番て事か」
額から汗を垂らし、シシリの穿った一撃の余韻に酔いしれる事も許されず辰巳は自分の命を己が槍へと託す。
「はい。私は、上空で各個撃破していきます」
「空って、お前は空を」
「召喚:輝明龍」
召喚された、蛇のように尾の長い白銀の厳つい龍。片側三メータはあるであろう大翼に額の一角。鋭い双眸に、幾重にも連なった牙。五本の指に、逞しい脚。平和の象徴であり、闇の中でさえ光を示す輝明龍。
間違いなくそれは、辰巳がソシャゲで当てた召喚石のモンスターだった。
輝明龍は、生暖かい息吹で生を辰巳に感じさせる。
「……グリュウルァア!!」
爪先から頭のてっぺんまで痺れる鳴き声は、自分の存在を、高位足る存在を他に示すかのように力強く恐ろしい。
「だが、こんなモンスターを召喚できるなら、俺なんか──」
嫌味っぽさを含んだ弱音に、シシリは輝明龍の背に跨ると見下ろして口を開いた。
「違う……。マスターは、強くなりたい。でしょ?なら、生き抜いて」
「──行こう。輝明龍」
「ギュリュ、ギュリュァァア!!」
飛び立つと物凄い勢いで、それこそ恐れを抱かぬ人形のように虫の群れへと輝明が撒き散らす光の粒子を地に振らせて特攻した。
「辰巳さん。いつまでも空を見ている暇はありませんよ」
雅が、鞘から片刃の剣を滑らせて隣に並ぶ。
しなやかで、綺麗な曲線を描く体は剣を構えて初めて辰巳に強いと感じさせる。
隙の無い構えに、ブレない瞳、落ち着いた呼吸。
「──では、私が先に行きます」
言い放った瞬間、めり込んだ足跡だけを辰巳のそばに残して雅も又、群れに特攻。
「……破ッ!!」
気合を乗せた猛りが、虫の群れの中で響いたと思えば、さながら噴水の如く血飛沫が立ち上がる。
数秒の内に何箇所も吹き上がる速さは尋常じゃない。
「疾風迅雷とは、この事か──」
「だが、俺も負けちゃいらんねえ。シシリに言われた通りだ、俺は強くならなきゃなんねぇんだ。行くぜ!害虫」
「ガグア、グア?ルァルァルァ」
目の前で、顎から突起出た牙を動かす殺戮を形にした虫に辰巳は初めて槍を構える。
そして貫いた──。
顎から貫いたロンの槍は、辰巳に破砕音と共に甲羅を砕く感覚と、勝利の美酒をビタビタと降らせた。体を濡らす生き血を嗅覚と視覚で身近に感じ気持ちは、高揚しこみ上げる激昂に身を任せて吼える。
「ッッッシャアァ!!」
たった一体を破壊しただけかもしれない。だが、それは間違いなく辰巳自身に自信を与えた。
「俺でもやれる。冴えない人生だった俺でも、行ける!!」と、辰巳が荒ぶり滾った血と冷静の間で虫と相見えている時、雅は敵の群れの中で狩りを続けていた。
「シシリ……。彼女は本当にルシファー様の首に刃を届かせるかもしれない」
「──それだけは、何としても食い止めなければ……」
敵を切り刻み吹き飛ばしつつ光の線、即ち輝明龍の軌跡を追いながら雅はルシファーに危惧をし憂いていた。
「例え刺し違えても──って、なんなのよ……その力は……」
雅が諦めを、空を仰ぎ示す数分前。遥上空で圧倒的力の元で敵を消し飛ばすシシリは淡々と敵を蒸発させていた。
「マスターの願いは、私の願い。マスターが欲しいものを私は手に入れたい。だから、あなた達は邪魔」
輝明龍が放つ閃光と、シシリの剣戟で虫は飛び去ることすらさせずに微塵になる。
「これは、神の総意ではなく、私自身の気持ち……?だから、此処は絶対に私が護る」
輝明龍の背に立ち、シシリは瞑想する。背には四枚の翼が生え髪は銀髪へと変わる。重鎮たる金の音がシシリの鼓膜を律動に合わせて叩き続けた。
「大地を這う蛇が翼の生えた鳥を食らう知恵を得て、植物は天から注ぐ恵みから生命を授かる。真実は真実ではなく、虚偽は虚偽てはない。
妄言も虚言も戯言も総ては誰かの作ったレール。私はそれを望まない。私が望むのはマスターの幸せな未来」
──刹那、穿たれた一撃は世界に気休めの光を大地に降り注がせた。
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