十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います

塔原 槇

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第五章 アイドルの企み

九十四話

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「……」


 ガチャ、という扉の音が聞こえる。

 麗音が部屋の中に入ったのだろう。


「……桃澤、久留美さんですね」

「久しぶりですぅ、あのライブ会場依頼ですねぇ有栖川さん、お待ちしてましたぁ」


 桃澤の厭に耳に残るぶりっ子な声が遠くに聞こえる。


「私に何か御用でしょうか。このようなホテルを貸し切るのも、金銭的負担が大きいでしょう」

「大丈夫ですよぉ、お金は全部パパが払ってくれるからぁ」


 パパ活までしてたのかこの女……

 俺はぐっと拳を握り締める。


「立ち話もなんですから座ってくださぁい、私の隣にしますぅ?あ、ルームサービスも呼びますかぁ?」

「結構です。では私はこちらに」


 椅子が軋む音が聞こえた。


「では早速ですが本題に」

「その前に一ついいですかぁ?」


 コツコツという音が近づいてくる。

 その場にはいないはずなのに、俺の心臓は鼓動を早めた。


「盗聴なんて小賢しい真似すんじゃねえよ」


 ドスの効いた声と共に、バキッと何かが割れる音がして、何も聞こえなくなった。


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