俺はただ静かに学校生活を送りたかったのに…

Re:cycle

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初めての仕事

順調に行くはずだった後輩美少女

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~~~     次の日     ~~~

今日は授業なんて頭に入ってこなかった、

俺の考えすぎなのか、
それともやっぱりそうなのだろうか、

その二つがグルグルと頭の中を巡った。

気がつくと放課後になっていた。



今日は、確かめなければ行けないことがある。
きっと柊には怒られるだろう。
でも、もしもそうだった時のことを考えると、なぜか確認せずにはいられなかったのだ。


部活には遅れると色花にメールしておこう。
いや、まて、俺色花のメールアドレスしらないぞ。
うわ!めんどくせぇ!探さなきゃダメじゃん!

やっとの思いで見つけた色花は

「りょうかーい☆」

と、軽く了承してくれた。



まず俺が向かわなければ行けないのは、自販機だ。



自販機がある場所まで向かうと、そこには、昨日も見た小柄な美少女の後ろ姿があった。

本当に毎日買いに来てるんだな……

小柄な美少女は昨日と同様に甘そうな飲み物を3つ手に抱えていた。

ここからは急がなければ。

俺は気づかれないよう静かに、しかし遅くならないようにその場を離れた。









「………せん……ぱい?」



 

~~~     ~~~     ~~~     ~~~     ~~~



次に向かうのは1年B組だ。
俺の予想が合っているなら、そこで聞けるかもしれない。



教室が近づいてきた時に、聞いたことのある声が聞こえてきた。昨日、柊と一緒にいた2人の女の子の声だ。



「いやー、マジで双葉扱いやすいよねぇww」

「それねw 適当に話し合わせてれば飲み物買ってきてくれるし、マジ便利だわーww」

「ぶっちゃけアイツ、ただの飲み物要員だよねw」

「今度カラオケ行こうよ、双葉の奢りでww」

「いいねぇw」



やっぱりそうだったか…
あの2人は双葉を友達なんて思ってない。
ただの便利屋として使っている。

すぐに話に割って入ろうとしたが、
やはりここでも、色々なことを考えてしまう。


双葉のためには何もしない方がいいのではないか。

このままでは双葉はどんどん騙されていくのではないか。

俺は所詮関係の無い人じゃないか。

これが本当に双葉が望んだ友達なのか?

人との交流が苦手な俺が何を出来る。

俺が余計なことをしたせいで、より状況が悪化したらどうする。


第一、なんと声を掛ける。話しかけたところで、

「あんた誰?」

と、なるに決まっている。


けど、あんなに喜んでいた後輩が騙されているのを見守ることの方が、
俺は出来なかった。




「そ……それはちょっと酷いんじゃないかな…」


意を決して出た言葉は、相手には響かないような、弱々しいものだった。
本当に自分が情けない。


「はぁ?あんた誰?」



やっぱりそうなるよな……

「いや、柊の、し…知り合いだよ…」

「あ、そーなんだ、でも、これがウチらの友情だから、邪魔しないでもらっていい?」


そう言う彼女は、その軽い言葉には似合わない。物凄い威圧をしてきた。


「友情ってそんなもんなのかよ……」

「はぁ?なに?聞こえないんだけど?」

「金だけ払わせて、本人のいない所で悪口言うのが友情なのかよ……  まぁ、友達いたことねぇからわかんないけどな…」

「何こいつキモイんだけどww」


俺の言葉はきっと彼女達には届いていないのだろう。
それでも、言わなければいけない気がした


「今からでもイイからさ、柊ともっと誠実に付き合ってくれないか?柊は君達と一緒にいる事を楽しんでいる。柊が君達の話をする時、とても楽しそうなんだ……」

「あー、別にいいよ、ちゃんと財布として使ってあげるよww」




なぜだろう。なぜこんなにもわかってもらえないのだろう。
わかっている。
俺に彼女らを怒る資格はない。
所詮俺は部外者だ。
それでも、なぜこんなにも怒りが溢れてくる。
これ以上はただの俺の私情だ。
でも、それでも。

「お前ら!いい加減に

ガラガラ


突如開いたドアに3人の視線が向けられる。
そこに立っていたのは、小柄な美少女だった。


「先輩、何してるんですか?」

その言葉で、頭がとたんに冷静になった。

なんと説明する?
俺がしていたことは、
しようとしていたことは


"私情で柊の友好関係を崩そうとしただけだ"



「聞いてよ双葉ぁ~、この人なんか、私達の友情バカにしてくるんだよ~」


あぁ、その通りだ、
何も言えない。黙るしかない。
この後、柊に言われることは大体予想がつく。

柊は嫌な顔をした後に、口を開いた


「………もう、関わらないでください。」


あぁ、やっぱりな。
誰でもそう思うだろう。
やっと出来た友達との友情をバカにされたら、
誰だって怒る。

俺はこの場を立ち去ろうと、後ろを向いた。
柊はもう、部室には来ないだろうな…
色花にも迷惑を掛けてしまうな…


色々なことを考えていた時、
小柄な美少女が口を開いた。

その一言は、初めての会った時のように、
俺の想像の斜め上を行くものだった。


「え、先輩どこ行く気なんですか?」

「……え?」

思考が止まった。
なぜこの後輩は俺に話しかけて来たのだろう。
ほんの数秒前に関わらないでと言われたばかりなのに。



「私は先輩の後ろにいる女の子の2人に言ったんですよ?」

「「へ?」」


見事に俺の後ろから、重なった声が聞こえる。
いや、そうなるだろう。俺だってまだ思考が追いついてない。


「ちょっと双葉ぁ、冗談キツイよぉ」


俺の後ろの2人は、笑おうとしているが、上手く笑えてないようだ。


「いやだって、あなた達の財布になるとかいやだもん☆」


「……っ!」


俺の後ろの女の子達は黙ってしまった。


「だから、もう関わらないでね?☆」

「あんた…聞いてたの……?」

「うん!結構最初の方からね☆」

「べ…別にいいし!あ…あんたなんて、所詮ただの財布だし!」

「あー、それさっきも聞きましたねぇ☆」

「あんた顔だけはちょっといいから男寄ってくると思っただけだし!」

「わぁー、褒めてくれてありがとうございますぅ☆
   そーですよねぇ、影で悪口言うような子に負ける訳無いですもんね☆」

「 っ!このっ!」

「必死になにか悪口言おうとしてるの、とっても醜いので辞めた方がいいですよ?☆」

「ちっ!」

ガラガラ!   バン!


部が悪いと思ったのか、彼女達は帰ってしまった。



「ごめんな…柊……」

「なんで先輩が謝ってるんですか?」



そう言うと彼女は、くるりと半回転し、俺に背を向けてしまった。



「俺が余計なことしたせいで…」

「いえいえ、あんな人達こっちから願い下げですよ☆」

「けど…」

「本当は気づいていたんですよ、上手く利用されてるの。」


彼女は先ほどとは違う、少し暗い声でそういった。


「でも、真実を聞かさせるのが怖かったんです。ようやく出来た友達を失うのが……怖かったんです。」


彼女はいま、どんな顔をしているのだろうか。


「でも、結局いつかはこうなったんですから!早くすんで良かったです!」


彼女が出したその大きな声は、無理をしているように聞こえた。
けれど、俺が彼女を慰める資格はない。
俺が…彼女の関係を壊したようなものなのだから。


こんな時、どうしたらいいのだろう。
きっと俺は今、酷い顔をしている。

彼女に合わせる顔もなく、下を向いてしまった。


「もう!だから先輩のせいじゃないって言ってるじゃないですか!顔を上げてください!」


その言葉を聞き、ゆっくりと顔を上げ、後輩美少女の顔を見ると、

彼女は笑ってくれていた。


「先輩がそんなだとこっちのテンションが狂うじゃないですか!早く元の嫌味たらしい先輩に戻って下さい!」

「一言多いな…お前は。」



後輩を助けようとして起こした行動が、結局はその後輩に助けられてしまった……


「じゃあ先輩!そんなに謝るなら、3つお願いごとをしていいですか?」

「あぁ、もちろん。」


俺に出来ることがあるなら、喜んで何でもする。


「じゃあまず1つめ!  これから先、今日のことを引きづらないでください! いつまでも引きづられたら、こっちまで気分悪くなるので!」

「あぁ、わかったよ。」


俺にここまで気を使ってくれるなんて、
この後輩はなんて優しいのだろう。



「2つめは、放課後がまた暇になってしまったので、私が部室に遊びに行った時は、ちゃんと相手してくださいね!」

「あぁ、もちろんだよ。」

「言いましたねぇ?毎日遊びに行きますから覚悟して下さいよ?」

「じゃあ毎日来るのを楽しみにしてるよ。」



「3つめは……先輩、ちょっとこっちに来てください。」


後輩に呼ばれた俺は、言われるがままに後輩に近寄った。

「どーしたんだ?」


ギュッ


っ!??
突然後輩美少女に抱きつかれた、今日は頭が追いつかないことばかりだ。


「ちょっ、何して、」

「少しだけ…弱音を吐かさせてください…。」


意図を読み取った俺は、柊が自ら離れるまで待つことにした。


「一緒にお昼食べたり、放課後に話したり………結構…楽しかったんですけどね……私だけだったみたいです…」


そう呟く彼女の声は、今までの明るい彼女からは聞いたことのない、弱々しいものだった。

やはり、口でいくら言っても、辛いとこはあるのだろう。


「じゃあ…昼にも部室来いよ…、どうせ俺も1人なんだし…」

そういいながら俺は、俺に抱きついている後輩の頭を撫でた。

ゆっくりと離れていった後輩は、俺の顔を見て口を開いた。


「え…先輩なに頭とか撫でてるんですか。気持ち悪いんですけど……ちょっとか弱いところ見せたかって勘違いしちゃったんですか?それにまさか先輩ごときが私と2人でお昼食べれるとでも?本当に気持ち悪いですね。」

「なっ!  俺は別に、ただ柊がこまってるとおも

「あ、双葉でいいですよ☆」

「いや、お前最後まで人の話しをきけ……え?」

「だから、双葉でいいですって。」

「いや、でも、俺に名前で呼ばれるの嫌だったんじゃ。」

「別にいいですよ、友達になら名前で呼ばれても嫌じゃありませんし。」

「友達……?」

「えー、ひどぉーい、友達だと思ってたの私だけだったんですかぁ?」



あぁ、そうか、だからか。

俺の中で、合点がいった。
なぜあんなにイラだったのか
なぜあんなに柄にもなく必死だったのか。
長年1人だった俺には、その感覚が分からなかったのだろう。


"友達をバカにされ傷つけられたのが、 嫌だったのだ"




「あと、色花先輩が来るなら、一緒にお昼食べてあげてもいいですよ?」

「じゃあ誘ってみるよ、きっと、喜んで来ると思うしな。」

「楽しみにしてます!」

「じゃあ俺も、双葉がくるの楽しみにしてるよ。」

「あ、先輩に名前で呼ばれるのって、予想以上に気持ち悪いですね。」




うん、やっぱり今すぐ友達辞めたい。
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