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最終章 王子と令嬢の結婚
9.お祖父様とお祖母様の願い
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魔族の国のお祖父様とお祖母様から僕とロヴィーサ嬢に来て欲しいと招待があった。
冬休みになってから魔族の国に行こうとは思っていたので、それが少し早くなったのだと思って、僕とロヴィーサ嬢は行くことにした。お祖父様とお祖母様には指輪を作ってもらったときにお世話になったし、僕とロヴィーサ嬢の結婚指輪の見届け人にもなってもらっていた。
高等学校が休みの日に魔族の国の王城に行くと、応接間に通された。いつもの王族だけが使える私室と違うので戸惑っていると、セシーリア嬢とエルランド兄上も呼ばれていたようで、応接間に入って来る。
「エルランド兄上、セシーリア嬢、今日は呼ばれていたのですか?」
「私はお祖父様とお祖母様と宰相閣下からお呼び出しがあった」
「わたくしは、国王陛下とお妃様と父から呼ばれました」
宰相閣下も同席して何を話すのだろう。
不思議に思っていると、お祖父様とお祖母様と魔族の国の宰相閣下が部屋に入って来る。
お祖父様とお祖母様が宰相閣下に視線を向ける。
「この度はお越しいただきありがとうございます、エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様、エルランド殿下」
「今日は何の集まりなのですか?」
「国王陛下からロヴィーサ様とセシーリアに贈り物があるのです」
テーブルの上に置かれたのは、白い絹に光が当たると青い光沢の出る、魔族の国の特産の布だった。この布はとても高価で、一部の王侯貴族しか手に入れられないと聞いている。
「ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢の結婚式の衣装にこの絹を使ってもらえないかと思っているのだ」
「わたくしたちは国を離れることができませんから、結婚式を直に見ることができません。その代わりにわたくしたちが贈った絹でロヴィーサ嬢とセシーリア嬢がウエディングドレスを作って着てもらえたらどれほど嬉しいかと思いまして」
魔族の国の特産品である青い光沢の白い絹でロヴィーサ嬢とセシーリア嬢のウエディングドレスを作る。それは魔族の国と我が国の友好の証にもなるのではないだろうか。
「父上とエリアス兄上と相談してみなければいけませんが、僕はこの布でロヴィーサ嬢のウエディングドレスを誂えて欲しいと思います」
「私もセシーリア嬢にはこの布のウエディングドレスが似合うと思います」
僕もエルランド兄上も、お祖父様とお祖母様が下さった絹に目を奪われていた。特にロヴィーサ嬢は目の色が海より深い青なので、とてもよく似合うだろう。
「出過ぎた真似をしているのは分かっている。だが、可愛い孫の結婚式に私も関わりたいのだ」
「もちろん、先帝陛下と国王陛下によく相談なさってからでいいのです」
「エンシオ殿とエリアスには私からも手紙を書く」
僕とエルランド兄上の結婚式に出られないお祖父様とお祖母様の気持ちは、僕も痛いほど分かった。お祖父様は仮病を使ってまで僕に会いたがるほど僕を可愛がってくれているのだ。
「もう一つ、お願いをしていいか、エドヴァルド?」
「なんでしょう、お祖父様?」
「蕪マンドラゴラにも同じ布で衣装を作ってやってくれないか? 私の蕪マンドラゴラにもお揃いの衣装を作らせる」
「エーメルにまでいいのですか!?」
「私はこの蕪マンドラゴラが本当に可愛いのだ。エドヴァルドの蕪マンドラゴラとお揃いの衣装を着せたい」
葉っぱがなくなって頭がつるつるになっているロンパースを着た蕪マンドラゴラを、お祖父様は大事に抱き締めている。お祖父様の望みならば蕪マンドラゴラのエーメルにお祖父様の蕪マンドラゴラとお揃いの服を着せるのはやぶさかではないが、本当にいいのだろうか。
この布はものすごく高価で、希少で、王侯貴族しか手に入れられないのに、それを蕪マンドラゴラに使ってもいいものなのだろうか。
「お祖父様の望みならば叶えたいのですが、布がもったいなくないですか?」
「可愛い私の蕪マンドラゴラと、エドヴァルドの蕪マンドラゴラのために布を使って何が悪いのだ。私が許すと言っている」
「もう、あなたは強引なんですから」
お祖母様は苦笑しているがお祖父様の心は決まっているようだった。
それならば僕はそれに従うのみだ。
「僕とエルランド兄上の衣装はどうしますか?」
「セシーリア嬢とロヴィーサ嬢が魔族の国の布を使うのであれば、私たちは自国の布を使う方がいいだろうな」
「エルランド兄上はよい布をご存じですか?」
「布には詳しくないのだよなぁ。エリアス兄上と父上に聞いてみよう」
エルランド兄上とも話し合って、ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢は魔族の国の絹で、僕とエルランド兄上は自分たちの国の布で結婚衣装を作る方向で考えることにした。
「セシーリアはエルランド殿下の元に行ける日を楽しみにしております。どうかよろしくお願いします」
宰相閣下に手を握られて、エルランド兄上は「私もセシーリア嬢と結婚できる日が待ち遠しいです」と答えていた。
魔族の国を辞してから、僕とエルランド兄上とロヴィーサ嬢とセシーリア嬢は王城に行った。
魔族の国であったことをエリアス兄上と父上に報告して相談しなければいけない。
王族だけが使える私室に集まって、僕はテーブルの上にいただいた青い光沢を放つ白い絹を広げた。
「これは魔法のかかった蚕からしか取れない魔族の国の希少な絹ではないか」
「お祖父様とお祖母様からいただいたのか?」
父上とエリアス兄上の問いかけに僕とエルランド兄上が答える。
「お祖父様とお祖母様はこれで、ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢のウエディングドレスを作ってほしいと仰いました」
「魔族の国と我が国の友好を見せるいい機会でもあります。セシーリア嬢は魔族の国から嫁いできてくれますし、私もエドも魔族の国の王家の血を引いています」
「父上、エリアス兄上、ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢のウエディングドレスをこの布で作ることをお許しいただけませんか?」
僕とエルランド兄上のお願いに、父上もエリアス兄上も少し悩んでいるようだった。
「本来ならばこの国のもので結婚式は挙げるべきなのだが……」
「これだけ素晴らしい絹をいただいてしまったのならば、使わないわけにはいきませんよね」
「お祖父様とお祖母様は国を離れられないので、結婚式を見に来ることができないのです」
「それでもどうしても結婚式をお祝いしてくださる気持ちをこの絹に託したのです」
悩む父上とエリアス兄上に、僕とエルランド兄上が頼み込む。
しばらく考えた末に、父上もエリアス兄上も答えを出してくれた。
「結婚式は国の式典ではあるが、本来は結婚するもの同士のためにある」
「それに、お祖父様とお祖母様のお気持ちも無駄にはできません」
「素晴らしい絹であることは確かだし、魔族の国から贈られたというのは名誉なことだ」
「ロヴィーサ嬢もセシーリア嬢もその絹でウエディングドレスを作るといいでしょう」
父上とエリアス兄上が認めてくれた。
僕は飛び上がりたいくらいに嬉しかった。
「この絹は青い光沢があって、ロヴィーサ嬢に似合うと思っていたのです。父上、エリアス兄上、ありがとうございます」
「結婚式にセシーリア嬢の故郷の布を使いたかった。父上、エリアス兄上、認めてくださってありがとうございます」
僕もエルランド兄上も大喜びしていた。
その代わりと、エリアス兄上と父上は条件を出した。
「エドとエルランドは、この国の布で結婚式の衣装を作るように」
「布は私たちが選ぶが、文句はないね?」
「はい、父上、エリアス兄上」
「どんな布でも構いません」
「どんな布でもって……最高の布を用意するに決まっているだろう」
「そうですよね、すみません」
苦笑するエリアス兄上に、エルランド兄上が謝っている。
僕は青い光沢のある白い絹のウエディングドレスを着たロヴィーサ嬢を想像してにやにやしてしまった。
ロヴィーサ嬢にこの布は絶対に似合うだろう。
「美しい刺繍を施して、最高のウエディングドレスを仕立てましょう。ロヴィーサ嬢、セシーリア嬢、仮縫いに何度も来てもらうことになりますよ」
「喜んで参ります」
「よろしくお願いします」
話が纏まったところで、エリアス兄上は仕立てのことまで計画していた。
結婚式はまだまだ先だが、衣装を仕立てるのには時間がかかる。特に豪華なウエディングドレスとなると何か月もかけて仕立てることになる。
これから仕立てられるウエディングドレスが、僕は今から楽しみだった。
冬休みになってから魔族の国に行こうとは思っていたので、それが少し早くなったのだと思って、僕とロヴィーサ嬢は行くことにした。お祖父様とお祖母様には指輪を作ってもらったときにお世話になったし、僕とロヴィーサ嬢の結婚指輪の見届け人にもなってもらっていた。
高等学校が休みの日に魔族の国の王城に行くと、応接間に通された。いつもの王族だけが使える私室と違うので戸惑っていると、セシーリア嬢とエルランド兄上も呼ばれていたようで、応接間に入って来る。
「エルランド兄上、セシーリア嬢、今日は呼ばれていたのですか?」
「私はお祖父様とお祖母様と宰相閣下からお呼び出しがあった」
「わたくしは、国王陛下とお妃様と父から呼ばれました」
宰相閣下も同席して何を話すのだろう。
不思議に思っていると、お祖父様とお祖母様と魔族の国の宰相閣下が部屋に入って来る。
お祖父様とお祖母様が宰相閣下に視線を向ける。
「この度はお越しいただきありがとうございます、エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様、エルランド殿下」
「今日は何の集まりなのですか?」
「国王陛下からロヴィーサ様とセシーリアに贈り物があるのです」
テーブルの上に置かれたのは、白い絹に光が当たると青い光沢の出る、魔族の国の特産の布だった。この布はとても高価で、一部の王侯貴族しか手に入れられないと聞いている。
「ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢の結婚式の衣装にこの絹を使ってもらえないかと思っているのだ」
「わたくしたちは国を離れることができませんから、結婚式を直に見ることができません。その代わりにわたくしたちが贈った絹でロヴィーサ嬢とセシーリア嬢がウエディングドレスを作って着てもらえたらどれほど嬉しいかと思いまして」
魔族の国の特産品である青い光沢の白い絹でロヴィーサ嬢とセシーリア嬢のウエディングドレスを作る。それは魔族の国と我が国の友好の証にもなるのではないだろうか。
「父上とエリアス兄上と相談してみなければいけませんが、僕はこの布でロヴィーサ嬢のウエディングドレスを誂えて欲しいと思います」
「私もセシーリア嬢にはこの布のウエディングドレスが似合うと思います」
僕もエルランド兄上も、お祖父様とお祖母様が下さった絹に目を奪われていた。特にロヴィーサ嬢は目の色が海より深い青なので、とてもよく似合うだろう。
「出過ぎた真似をしているのは分かっている。だが、可愛い孫の結婚式に私も関わりたいのだ」
「もちろん、先帝陛下と国王陛下によく相談なさってからでいいのです」
「エンシオ殿とエリアスには私からも手紙を書く」
僕とエルランド兄上の結婚式に出られないお祖父様とお祖母様の気持ちは、僕も痛いほど分かった。お祖父様は仮病を使ってまで僕に会いたがるほど僕を可愛がってくれているのだ。
「もう一つ、お願いをしていいか、エドヴァルド?」
「なんでしょう、お祖父様?」
「蕪マンドラゴラにも同じ布で衣装を作ってやってくれないか? 私の蕪マンドラゴラにもお揃いの衣装を作らせる」
「エーメルにまでいいのですか!?」
「私はこの蕪マンドラゴラが本当に可愛いのだ。エドヴァルドの蕪マンドラゴラとお揃いの衣装を着せたい」
葉っぱがなくなって頭がつるつるになっているロンパースを着た蕪マンドラゴラを、お祖父様は大事に抱き締めている。お祖父様の望みならば蕪マンドラゴラのエーメルにお祖父様の蕪マンドラゴラとお揃いの服を着せるのはやぶさかではないが、本当にいいのだろうか。
この布はものすごく高価で、希少で、王侯貴族しか手に入れられないのに、それを蕪マンドラゴラに使ってもいいものなのだろうか。
「お祖父様の望みならば叶えたいのですが、布がもったいなくないですか?」
「可愛い私の蕪マンドラゴラと、エドヴァルドの蕪マンドラゴラのために布を使って何が悪いのだ。私が許すと言っている」
「もう、あなたは強引なんですから」
お祖母様は苦笑しているがお祖父様の心は決まっているようだった。
それならば僕はそれに従うのみだ。
「僕とエルランド兄上の衣装はどうしますか?」
「セシーリア嬢とロヴィーサ嬢が魔族の国の布を使うのであれば、私たちは自国の布を使う方がいいだろうな」
「エルランド兄上はよい布をご存じですか?」
「布には詳しくないのだよなぁ。エリアス兄上と父上に聞いてみよう」
エルランド兄上とも話し合って、ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢は魔族の国の絹で、僕とエルランド兄上は自分たちの国の布で結婚衣装を作る方向で考えることにした。
「セシーリアはエルランド殿下の元に行ける日を楽しみにしております。どうかよろしくお願いします」
宰相閣下に手を握られて、エルランド兄上は「私もセシーリア嬢と結婚できる日が待ち遠しいです」と答えていた。
魔族の国を辞してから、僕とエルランド兄上とロヴィーサ嬢とセシーリア嬢は王城に行った。
魔族の国であったことをエリアス兄上と父上に報告して相談しなければいけない。
王族だけが使える私室に集まって、僕はテーブルの上にいただいた青い光沢を放つ白い絹を広げた。
「これは魔法のかかった蚕からしか取れない魔族の国の希少な絹ではないか」
「お祖父様とお祖母様からいただいたのか?」
父上とエリアス兄上の問いかけに僕とエルランド兄上が答える。
「お祖父様とお祖母様はこれで、ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢のウエディングドレスを作ってほしいと仰いました」
「魔族の国と我が国の友好を見せるいい機会でもあります。セシーリア嬢は魔族の国から嫁いできてくれますし、私もエドも魔族の国の王家の血を引いています」
「父上、エリアス兄上、ロヴィーサ嬢とセシーリア嬢のウエディングドレスをこの布で作ることをお許しいただけませんか?」
僕とエルランド兄上のお願いに、父上もエリアス兄上も少し悩んでいるようだった。
「本来ならばこの国のもので結婚式は挙げるべきなのだが……」
「これだけ素晴らしい絹をいただいてしまったのならば、使わないわけにはいきませんよね」
「お祖父様とお祖母様は国を離れられないので、結婚式を見に来ることができないのです」
「それでもどうしても結婚式をお祝いしてくださる気持ちをこの絹に託したのです」
悩む父上とエリアス兄上に、僕とエルランド兄上が頼み込む。
しばらく考えた末に、父上もエリアス兄上も答えを出してくれた。
「結婚式は国の式典ではあるが、本来は結婚するもの同士のためにある」
「それに、お祖父様とお祖母様のお気持ちも無駄にはできません」
「素晴らしい絹であることは確かだし、魔族の国から贈られたというのは名誉なことだ」
「ロヴィーサ嬢もセシーリア嬢もその絹でウエディングドレスを作るといいでしょう」
父上とエリアス兄上が認めてくれた。
僕は飛び上がりたいくらいに嬉しかった。
「この絹は青い光沢があって、ロヴィーサ嬢に似合うと思っていたのです。父上、エリアス兄上、ありがとうございます」
「結婚式にセシーリア嬢の故郷の布を使いたかった。父上、エリアス兄上、認めてくださってありがとうございます」
僕もエルランド兄上も大喜びしていた。
その代わりと、エリアス兄上と父上は条件を出した。
「エドとエルランドは、この国の布で結婚式の衣装を作るように」
「布は私たちが選ぶが、文句はないね?」
「はい、父上、エリアス兄上」
「どんな布でも構いません」
「どんな布でもって……最高の布を用意するに決まっているだろう」
「そうですよね、すみません」
苦笑するエリアス兄上に、エルランド兄上が謝っている。
僕は青い光沢のある白い絹のウエディングドレスを着たロヴィーサ嬢を想像してにやにやしてしまった。
ロヴィーサ嬢にこの布は絶対に似合うだろう。
「美しい刺繍を施して、最高のウエディングドレスを仕立てましょう。ロヴィーサ嬢、セシーリア嬢、仮縫いに何度も来てもらうことになりますよ」
「喜んで参ります」
「よろしくお願いします」
話が纏まったところで、エリアス兄上は仕立てのことまで計画していた。
結婚式はまだまだ先だが、衣装を仕立てるのには時間がかかる。特に豪華なウエディングドレスとなると何か月もかけて仕立てることになる。
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