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17.隣りのご家族
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滝川先生と会ったとき、叔母と滝川先生は、玄武は元々滝川先生にくっ付いていたけれど、グリフォンの方は観劇をしたときにくっ付いて来たと言っていた。
人間の守護獣は一匹だけではないのかもしれない。
叔母の守護獣は猫一匹だったけれど、僕の守護獣が増えたのかもしれない。
寛のお店に行くと黒い巨大な影は僕に近寄れずに逃げ出してしまった。
ちょっとホッとしていると、寛がテーブル席に招いてくれる。
椅子に座って日替わり定食を頼む。
今日は角煮定食だった。
とろとろに煮られた角煮をご飯の上に乗せて食べる。
角煮の液で卵も煮てあって、その煮卵が中が半熟になっていて絶妙に美味しい。
「ゆーちゃん、これ美味しい。絶妙だよ」
「それはよかった」
僕が褒めると寛は嬉しそうな顔をしている。
あまり表情筋が動く方ではないが、小さい頃からの付き合いなので、僕は寛の表情を読み取ることができた。
マスクを付けなければいけないこのご時世、特に表情が読みにくくなっている。
食べ終えて僕はお会計を済ませて部屋に戻ろうとした。
そのとき、後ろから声をかけられる。
「背が高くて、体が大きくて、立派な兄さんじゃないかい。あたしとイイコトをして遊ばないかい?」
もふもふの尻尾が生えている美女に声をかけられて、僕は固まってしまう。
寛ならともかく、顔立ちが平凡な僕は誰かに声をかけられたことがない。何よりも恋愛に興味がないので声をかけられてもどう対処していいのか分からないのだ。
完全に固まってしまった僕に、寛が会計台から出て来る。
「そいつに手を出さないでください」
「あたしに声をかけられてるんだ。嫌な気はしてないだろう?」
腕に腕を絡められて、着物の下の胸を押し付けられる。
こんなことをされても僕は欲望を覚えるどころか、嫌悪感しかない。
完全に嫌がっているのが分かったのだろう、寛が狐の美女の腕を掴んで引き剥がす。
寛の背後の不動明王も炎を燃え盛らせて怒っているのが分かった。
「あんたはしばらく出禁だ! ひとの嫌がることをする奴には来て欲しくない!」
押し出すようにして寛が狐の美女を外に出すと、鬼や天狗や白蛇たちが声をかけて来る。
「あいつは男癖が悪いのが難点でな」
「ワシらからもよく言っておく」
「迷惑をかけてすまんかったの」
みんなに謝られて、僕の方も店を騒がせてしまったことを謝る。
「お騒がせしてすみませんでした」
「被害者が謝ることないよ」
寛が言ってくれて僕は救われる思いだった。
それにしても、葬儀場からついてきた子犬だ。
この子犬には話がある。
部屋に戻って机の上にタロットクロスを広げて、タロットカードを混ぜる。
子犬とコミュニケーションが取れるか聞いてみると、女帝の逆位置が出た。
女帝のカードの意味は、愛なのだが、それだけではないと分かる。このタロットカードの女帝のカードには叔母の背後にいた猫そっくりの柄の猫が描かれているのだ。
『その子は幼すぎて話しができる状態じゃないわ。私が代わりに話をしてみるわ』と猫又が言っているようだ。
それにしても、女帝のカードが気にかかる。全部英語のよく分からない説明書を開いてみると、「LYNX」と表記があった。意味を調べてみると、「オオヤマネコ」と出て来る。
「オオヤマネコと、オオヤマネコの猫又!?」
それならば叔母の猫と僕の猫又が強い意味が分かった気がした。
続いてカードを並べる。
三枚のカードで、原因、現状、アドバイスを見るスリーカードという簡単なスプレッドだ。
一枚目のカードを捲ると、ペンタクルのペイジの逆位置が出た。
意味は、真摯。
逆位置になると、無駄に時間ばかり消費している状態を表す。
『早く辿り着きたかったけれど、できなかったみたいね。もう取り返しがつかないかもしれないって、嘆いてる』と猫又が言う。
子犬は『くんくん』と鳴いて猫又に縋り付いている。
二枚目のカードを捲ると、ワンドのキングの逆位置が出た。
意味は、豪胆。
逆位置だと、何が何でもやり遂げるという気持ちが裏目に出るという意味もある。
『どうにかしたいと思ってはいるし、頑張ってもみたけれど、それが裏目に出てしまった。両親は死んでしまったって泣いてるわ』という猫又の言葉に、僕は気付いた。
「もしかして、お隣りの!?」
『くぅん……』
事故で亡くなってしまったお隣りの男の子は子犬の姿にしかなれない弱い思念で、それでも自分の両親のことを守ろうとしたのではないだろうか。それが裏目に出たのか、両親は男の子のことを忘れられずに心中してしまった。
あまりにも悲しい結末に落ち込みつつ、最後のアドバイスのカードを捲ると、ワンドの八の正位置が出た。
意味は、急展開。
目まぐるしく物事が動き出すことを示している。
『あの巨大な真っ黒の影は、この子の両親のようね。だからといって、躊躇ってはいけないわ。思念となって現世に残ることの方がつらいこともあるのだから』と猫又が言う。
あの真っ黒な巨大な影は何故僕のところにやってくるのだろう。
追加でカードを捲ると、カップのエースの逆位置が出た。
意味は、愛する力。
逆位置ではそれが失われたことを示す。
『息子さんを愛していた分だけ、幸せに生きているあなたが羨ましくて妬ましくてどうしようもなくなったんでしょうね。その気持ちが亡くなってからも残っているのよ』という猫又の言葉に胸が苦しくなる。
死んでまで他人を妬ましく羨ましく思うとはどれだけつらいことなのだろう。
僕はこの話を寛にしなければいけないと思っていた。
タロットカードを纏めてポーチに片付けていると、背後から真っ黒な巨大な影に飲み込まれる。全身を覆い尽くされて、僕は息ができなくなった。
『うちの子は死んでしまったのに、なんでお前は生きているの?』
『愛しいうちの子はいないのに、平和で明るく生きているお前の家が妬ましい!』
『お前も死んでしまえ』
『私たちと同じところにやってくるのよ!』
男性と女性の声が聞こえてくる。
これが男の子の両親の声なのかはよく覚えていなかったが、きっとそうなのだろう。
息を塞がれてもがく僕に、猫又が一生懸命真っ黒な影に噛み付いて倒そうとしている。けれど影は巨大すぎて猫又が飲み込むことができない。
呼吸ができなくて全身の毛穴から汗が吹き出す。
苦しい。
苦しい。
苦しい。
「たすけて、ゆーちゃん……」
必死に呟いた瞬間、部屋のドアが開いた。
寛が部屋に走り込んでくる。
息ができなくて虚空でもがいている僕の周囲を寛が殴りつけると、黒い影が薄れていく。
ひたすらにシャドーボクシングしていく寛に、僕は解放されて床の上に膝をついていた。
やっと息が吸えて、目の前が真っ白になりかけていたのが治って来る。
巨大な影は千切れていたが、まだ霧散していなかった。
「かーくん、大丈夫か?」
「ありがとう、ゆーちゃん」
お礼を言ってから、僕はじっと震えて涙を流している子犬の方を見る。子犬は一生懸命真っ黒な影に何か訴えているようだが、全く通じていないようだ。
『きゅんきゅん!』
必死に子犬は鳴いているけれど、真っ黒な巨大な影が千切れて幾つもに別れて漂っているものは、全く子犬の方など見ていないようだった。
「あなたたちの息子さんが言いたいことがあるって言ってるんだよ! 聞いて!」
『妬ましい』
『お前が死んでうちの子が生きていれば』
『死ね』
『死ね』
完全に真っ黒な影は自我を失っているように見えた。
見えていないし聞こえていないので何が起こっているのか分からない寛は、シャドーボクシングの構えをしている。
『最後の力を使って、必ず道ずれにしてやる』
『お前など存在しない方がいいのだ』
本当にご両親がそんなことを思っていたのかどうかは分からない。
自分の息子を理不尽に失って、その後に生まれた子どもも失って、心を病んでいたのかもしれない。
それでも、僕は彼らのために死んでやることはできない。
「ゆーちゃん、守って!」
「おう! どこを殴ればいい!」
「僕に当たってもいいから、僕の周囲!」
僕を飲み込もうとする真っ黒な巨大な影を寛が殴っていく。殴られるたびに不動明王の炎に焼かれ、影はだんだんと小さくなっていく。
『口惜しい……』
『どうして……』
苦し気な小さくなった影に、寛の後ろの不動明王が子犬を抱き上げた。
ずっと影に認識されていなかった子犬が、口を開く。
『お父さん、お母さん、もうやめて。一緒に安らかな場所に行こう』
『お前は……』
『あなたなの?』
『もう苦しまないで』
不動明王の力を借りて自分の言葉を伝えられた子犬は、黒い影と共に天に昇って行く。
「ゆーちゃん、聞いて欲しいことがあるんだ」
僕のところに来た子犬のこと。
小学校一年生のときに亡くなってしまった僕の友達のこと。
僕には寛に聞いて欲しいことがたくさんあった。
人間の守護獣は一匹だけではないのかもしれない。
叔母の守護獣は猫一匹だったけれど、僕の守護獣が増えたのかもしれない。
寛のお店に行くと黒い巨大な影は僕に近寄れずに逃げ出してしまった。
ちょっとホッとしていると、寛がテーブル席に招いてくれる。
椅子に座って日替わり定食を頼む。
今日は角煮定食だった。
とろとろに煮られた角煮をご飯の上に乗せて食べる。
角煮の液で卵も煮てあって、その煮卵が中が半熟になっていて絶妙に美味しい。
「ゆーちゃん、これ美味しい。絶妙だよ」
「それはよかった」
僕が褒めると寛は嬉しそうな顔をしている。
あまり表情筋が動く方ではないが、小さい頃からの付き合いなので、僕は寛の表情を読み取ることができた。
マスクを付けなければいけないこのご時世、特に表情が読みにくくなっている。
食べ終えて僕はお会計を済ませて部屋に戻ろうとした。
そのとき、後ろから声をかけられる。
「背が高くて、体が大きくて、立派な兄さんじゃないかい。あたしとイイコトをして遊ばないかい?」
もふもふの尻尾が生えている美女に声をかけられて、僕は固まってしまう。
寛ならともかく、顔立ちが平凡な僕は誰かに声をかけられたことがない。何よりも恋愛に興味がないので声をかけられてもどう対処していいのか分からないのだ。
完全に固まってしまった僕に、寛が会計台から出て来る。
「そいつに手を出さないでください」
「あたしに声をかけられてるんだ。嫌な気はしてないだろう?」
腕に腕を絡められて、着物の下の胸を押し付けられる。
こんなことをされても僕は欲望を覚えるどころか、嫌悪感しかない。
完全に嫌がっているのが分かったのだろう、寛が狐の美女の腕を掴んで引き剥がす。
寛の背後の不動明王も炎を燃え盛らせて怒っているのが分かった。
「あんたはしばらく出禁だ! ひとの嫌がることをする奴には来て欲しくない!」
押し出すようにして寛が狐の美女を外に出すと、鬼や天狗や白蛇たちが声をかけて来る。
「あいつは男癖が悪いのが難点でな」
「ワシらからもよく言っておく」
「迷惑をかけてすまんかったの」
みんなに謝られて、僕の方も店を騒がせてしまったことを謝る。
「お騒がせしてすみませんでした」
「被害者が謝ることないよ」
寛が言ってくれて僕は救われる思いだった。
それにしても、葬儀場からついてきた子犬だ。
この子犬には話がある。
部屋に戻って机の上にタロットクロスを広げて、タロットカードを混ぜる。
子犬とコミュニケーションが取れるか聞いてみると、女帝の逆位置が出た。
女帝のカードの意味は、愛なのだが、それだけではないと分かる。このタロットカードの女帝のカードには叔母の背後にいた猫そっくりの柄の猫が描かれているのだ。
『その子は幼すぎて話しができる状態じゃないわ。私が代わりに話をしてみるわ』と猫又が言っているようだ。
それにしても、女帝のカードが気にかかる。全部英語のよく分からない説明書を開いてみると、「LYNX」と表記があった。意味を調べてみると、「オオヤマネコ」と出て来る。
「オオヤマネコと、オオヤマネコの猫又!?」
それならば叔母の猫と僕の猫又が強い意味が分かった気がした。
続いてカードを並べる。
三枚のカードで、原因、現状、アドバイスを見るスリーカードという簡単なスプレッドだ。
一枚目のカードを捲ると、ペンタクルのペイジの逆位置が出た。
意味は、真摯。
逆位置になると、無駄に時間ばかり消費している状態を表す。
『早く辿り着きたかったけれど、できなかったみたいね。もう取り返しがつかないかもしれないって、嘆いてる』と猫又が言う。
子犬は『くんくん』と鳴いて猫又に縋り付いている。
二枚目のカードを捲ると、ワンドのキングの逆位置が出た。
意味は、豪胆。
逆位置だと、何が何でもやり遂げるという気持ちが裏目に出るという意味もある。
『どうにかしたいと思ってはいるし、頑張ってもみたけれど、それが裏目に出てしまった。両親は死んでしまったって泣いてるわ』という猫又の言葉に、僕は気付いた。
「もしかして、お隣りの!?」
『くぅん……』
事故で亡くなってしまったお隣りの男の子は子犬の姿にしかなれない弱い思念で、それでも自分の両親のことを守ろうとしたのではないだろうか。それが裏目に出たのか、両親は男の子のことを忘れられずに心中してしまった。
あまりにも悲しい結末に落ち込みつつ、最後のアドバイスのカードを捲ると、ワンドの八の正位置が出た。
意味は、急展開。
目まぐるしく物事が動き出すことを示している。
『あの巨大な真っ黒の影は、この子の両親のようね。だからといって、躊躇ってはいけないわ。思念となって現世に残ることの方がつらいこともあるのだから』と猫又が言う。
あの真っ黒な巨大な影は何故僕のところにやってくるのだろう。
追加でカードを捲ると、カップのエースの逆位置が出た。
意味は、愛する力。
逆位置ではそれが失われたことを示す。
『息子さんを愛していた分だけ、幸せに生きているあなたが羨ましくて妬ましくてどうしようもなくなったんでしょうね。その気持ちが亡くなってからも残っているのよ』という猫又の言葉に胸が苦しくなる。
死んでまで他人を妬ましく羨ましく思うとはどれだけつらいことなのだろう。
僕はこの話を寛にしなければいけないと思っていた。
タロットカードを纏めてポーチに片付けていると、背後から真っ黒な巨大な影に飲み込まれる。全身を覆い尽くされて、僕は息ができなくなった。
『うちの子は死んでしまったのに、なんでお前は生きているの?』
『愛しいうちの子はいないのに、平和で明るく生きているお前の家が妬ましい!』
『お前も死んでしまえ』
『私たちと同じところにやってくるのよ!』
男性と女性の声が聞こえてくる。
これが男の子の両親の声なのかはよく覚えていなかったが、きっとそうなのだろう。
息を塞がれてもがく僕に、猫又が一生懸命真っ黒な影に噛み付いて倒そうとしている。けれど影は巨大すぎて猫又が飲み込むことができない。
呼吸ができなくて全身の毛穴から汗が吹き出す。
苦しい。
苦しい。
苦しい。
「たすけて、ゆーちゃん……」
必死に呟いた瞬間、部屋のドアが開いた。
寛が部屋に走り込んでくる。
息ができなくて虚空でもがいている僕の周囲を寛が殴りつけると、黒い影が薄れていく。
ひたすらにシャドーボクシングしていく寛に、僕は解放されて床の上に膝をついていた。
やっと息が吸えて、目の前が真っ白になりかけていたのが治って来る。
巨大な影は千切れていたが、まだ霧散していなかった。
「かーくん、大丈夫か?」
「ありがとう、ゆーちゃん」
お礼を言ってから、僕はじっと震えて涙を流している子犬の方を見る。子犬は一生懸命真っ黒な影に何か訴えているようだが、全く通じていないようだ。
『きゅんきゅん!』
必死に子犬は鳴いているけれど、真っ黒な巨大な影が千切れて幾つもに別れて漂っているものは、全く子犬の方など見ていないようだった。
「あなたたちの息子さんが言いたいことがあるって言ってるんだよ! 聞いて!」
『妬ましい』
『お前が死んでうちの子が生きていれば』
『死ね』
『死ね』
完全に真っ黒な影は自我を失っているように見えた。
見えていないし聞こえていないので何が起こっているのか分からない寛は、シャドーボクシングの構えをしている。
『最後の力を使って、必ず道ずれにしてやる』
『お前など存在しない方がいいのだ』
本当にご両親がそんなことを思っていたのかどうかは分からない。
自分の息子を理不尽に失って、その後に生まれた子どもも失って、心を病んでいたのかもしれない。
それでも、僕は彼らのために死んでやることはできない。
「ゆーちゃん、守って!」
「おう! どこを殴ればいい!」
「僕に当たってもいいから、僕の周囲!」
僕を飲み込もうとする真っ黒な巨大な影を寛が殴っていく。殴られるたびに不動明王の炎に焼かれ、影はだんだんと小さくなっていく。
『口惜しい……』
『どうして……』
苦し気な小さくなった影に、寛の後ろの不動明王が子犬を抱き上げた。
ずっと影に認識されていなかった子犬が、口を開く。
『お父さん、お母さん、もうやめて。一緒に安らかな場所に行こう』
『お前は……』
『あなたなの?』
『もう苦しまないで』
不動明王の力を借りて自分の言葉を伝えられた子犬は、黒い影と共に天に昇って行く。
「ゆーちゃん、聞いて欲しいことがあるんだ」
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小学校一年生のときに亡くなってしまった僕の友達のこと。
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