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18.ゆーちゃんの休日
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僕の隣りの家には男の子が住んでいて、その子と友達だったこと。
その子は小学一年生のときに、登校する途中でトラックが突っ込んできて亡くなってしまったこと。
そのことで心を病んだご両親は引っ越して行ったこと。
引っ越した先で新しく生活を始めようとしたご両親だが、授かった赤ん坊も亡くしてしまう。
心が完全に真っ黒になっていて、生きているのもつらい中でただ惰性で生き続けて、結局先日心中という形で死を選んで、真っ黒な巨大な影になって僕の家まで漂ってきたご両親。
ご両親を止めるために、息子の男の子は一生懸命話しかけようとしていたが、子犬の姿になっていて、ご両親の視界にも入っていなかった。
それを不動明王が抱き上げてご両親に声が聞こえるようにした。
何も分からずに僕が苦しんでいたという理由でシャドーボクシングをしてくれていた寛に、僕は全部のことを話した。
痛みを堪えるように眉を顰めて寛は聞いている。
「かーくんは何も悪くなかったのに、巻き込まれたのか」
「息子は死んだのに、僕が生きていることが妬ましかったみたいだよ」
「迷惑な話だな」
でも、無事でよかったと寛は言ってくれた。
お店の終わる時間じゃないのに何で来てくれたのだろうと思っていると、お客さんが騒ぎ出したのだという。
「あの子、顔色が悪かったよ」
「変な黒い影に追いかけられて……えーっと、よくない顔色をしておったな」
「帰り道で倒れておるかもしれぬ」
猫又や狐や鬼や天狗など、ひとではないお客には、僕があの巨大な影から逃げるようにして店の中に駆け込んで、巨大な影がぐるぐると店の周りを漂っていたのが見えていたのだろう。
その話は寛にはできないが、僕は話を合わせる。
「この前実家に帰ったときにゆーちゃんに殴って追い払ってもらったけど、ずっとついてこられてはいたんだ。それで顔色が悪かったのかもしれない」
「そんな大事なことは言ってくれ」
寛に言われて僕は頷く。
「ごめんね、心配をかけちゃった。本当に助かったよ。ありがとう」
心からお礼を言えば寛は複雑そうな顔をしていた。
「俺以外に友達がいたんだと、ちょっとだけ思った」
「え?」
「三歳のかーくんに声をかけて、一番に友達になったのは俺のつもりだったのに、他にもいたんだって、亡くなった子なのに思っちゃったよ。俺は性格が悪い」
言われて僕も考えてみる。
僕の知らない寛の友人がいて、それを寛が僕に紹介してくれなかったらどうだろう。
きっと胸がもやもやしてしまう。
「言ってなくてごめんね。僕も忘れてたんだ」
正確には忘れようとして忘れた。
六歳とはいえ、ひとの死というものはとても大きくて、僕は受け止めきれなかったのだ。
隣りのご家族が引っ越して行ったのをいいことに、僕はあの男の子のことを胸の中に封印した。
「かーくんにとっても、つらい出来事だったんだな」
「そうだね。人間って、色んなことを忘れなければやっていけないんだと思う」
答えた僕に、寛は「そうか」とだけ言って、まだ店の制服だった服を着替えていた。
晩ご飯に僕は鯛ラーメンなるものを食べさせてもらった。
「あの小料理屋の定番にしようと思って女将さんと開発してたんだ。締めは鯛ラーメンで、みたいな」
透き通ったお出汁のようないい香りのするスープの中に細い麺が入っていて、ネギと海苔がトッピングされている。
一口スープを飲むと、口いっぱいに鯛の旨味が広がる。それでいて、全然生臭くないのが不思議だ。
麺を箸で掬って食べると、しこしことして美味しい。
「これはものすごいものを作っちゃったんじゃない?」
「そう思うか?」
「お昼も出したら、ものすごく売れそう」
僕が言うと、寛が眉を顰める。
「昼も出したいんだが、定食のメニューと鯛ラーメンとどっちも出すとなると、手間がかかって無理なんだよな」
「これは夜にしか食べられない特別メニューなんだね」
「そうだよ」
店の人員の関係で、定食メニューは決まっているので出しやすいが、鯛ラーメンもとなると無理なようだった。
夜しか食べられないとなると、僕は夜にもお店に行きたくなってしまう。
「このままでは、昼も夜もお店に行かなきゃいけなくなる」
「Wi-Fi整備しといてよかったな」
「そういう問題!? まぁ、そういう問題なんだけど」
部屋にいるとこれからの季節はクーラーの代金もかかって来るし、お店に行くのは悪くないかもしれない。
ビデオ通話で会議とかそういうものが入っていないときには、僕はできるだけお店に行きたいと思っていた。
ひとでないお客さんにも、寛ははっきりと対応してくれるし、寛の不動明王も怒りに炎を燃え盛らせてくれるので安心して行ける。
「明日、店が休みだけど、どっか行く?」
寛に聞かれて、僕は少し考える。
僕の髪は伸びるとぼさぼさになって格好悪いのだが、寛の髪は伸びてもいつも前髪を上げて格好よく決まっている。
「ゆーちゃん、髪伸びたよね」
「もうちょっとで結べそうだな」
「切りに行ったら?」
僕が提案すると、寛は頷いた。
「そうだな。かーくんの行ってる床屋で、明日切って来る」
「え!? ゆーちゃん、僕と同じところで切ってるの!?」
「そうだよ」
僕が行っている床屋は、いわゆる千円で切ってくれるところで、消費税もつかない。そんなお安いところで切ってもらっているのだから、僕の髪は伸びるとすぐにぼさぼさになるのも仕方がないと思っていた。
それなのに、寛の髪は伸びても格好いい。
「これが顔面の差なのか!?」
僕がショックを受けていると、寛がはがきを取り出した。
寛宛になっているが、それはデパートで開かれているキャラクターものの美術展の招待券だった。
「かーくん、このキャラクター好きって言ってなかったっけ?」
「あぁ、確かに! よく覚えてたね」
パンダやウサギやクマの活躍するファンシーなキャラクターは、僕が気に入っているものだ。パンダのバッグを持っている。
「そうだと思って、応募しておいたんだ。当たったから一緒に行くか」
「ありがとう! ゆーちゃん!」
はがきを渡されて僕はそれを握り締めて喜んでいた。
翌日の午前中に、寛は髪を切りに行った。
帰って来たときには後ろは刈り上げてあって、前髪と上の髪が長めに残されていて、僕は「どこのホストだよ!」と突っ込みたいのを我慢していた。
千円で切ってもらっていて、僕と同じはずなのに、僕とは全然違う。
「デパート、行くか」
「うん、行こう」
デパートに行く途中のラーメン屋で僕と寛はお昼ご飯にした。
寛はラーメンを研究したいようなのだ。
麺の固さや弾力を調べて、じっくりと食べている。
味わってじっくりと食べていたから、僕と寛はちょうど同じくらいに食べ終わった。
デパートの催事場にある美術展に行くと、子ども連れの母親が多くいた。
一人だと恥ずかしかったかもしれないが、今日は寛が一緒にいてくれる。
原画を見て回って、お土産物コーナーでは、パンダのキーホルダーを二個買った。
お会計を済ませると一個を寛に渡す。
「今日は楽しかったよ。ありがとう、ゆーちゃん」
「わざわざ買ってくれたのか。ありがとう」
「こちらこそだよ」
お互いにお礼を言い合って、僕と寛は微笑み合う。
周囲に女性と子どもしかいなくても、僕も寛も気にしていなかった。
「格好いいひと……」
「あのひとは無理よ。きっと、もう一人のひとと」
「そうか……」
そんなことを囁かれているが、僕と寛が恋愛関係にあるわけがない。
恋愛関係ではないのだが、そう誤解させておくことが煩わしい諍いに巻き込まれないで済む方法でもあるので、僕は放っておくことにした。
部屋に戻ると、僕は部屋の掃除をして、寛が晩ご飯を作る。
今日の晩ご飯は何だろう。
キッチンからはいい香りがしている。
「今日の晩ご飯は何ー?」
聞いてみると、キッチンから返事がある。
「餃子とチャーハン」
この香ばしい匂いは餃子とチャーハンの香りだったのか。
確かにごま油の美味しそうな匂いがする。
寛の餃子は皮から作るのでもちもちしていてとても美味しいのだ。
チャーハンもパラパラでさすがプロと思ってしまう。
「水餃子にするか? 焼き餃子にするか?」
「今日は焼き餃子の気分」
「それなら、いっぱい作らないといけないな」
生地を捏ねて皮を作っている寛に僕は晩ご飯に期待していた。
その子は小学一年生のときに、登校する途中でトラックが突っ込んできて亡くなってしまったこと。
そのことで心を病んだご両親は引っ越して行ったこと。
引っ越した先で新しく生活を始めようとしたご両親だが、授かった赤ん坊も亡くしてしまう。
心が完全に真っ黒になっていて、生きているのもつらい中でただ惰性で生き続けて、結局先日心中という形で死を選んで、真っ黒な巨大な影になって僕の家まで漂ってきたご両親。
ご両親を止めるために、息子の男の子は一生懸命話しかけようとしていたが、子犬の姿になっていて、ご両親の視界にも入っていなかった。
それを不動明王が抱き上げてご両親に声が聞こえるようにした。
何も分からずに僕が苦しんでいたという理由でシャドーボクシングをしてくれていた寛に、僕は全部のことを話した。
痛みを堪えるように眉を顰めて寛は聞いている。
「かーくんは何も悪くなかったのに、巻き込まれたのか」
「息子は死んだのに、僕が生きていることが妬ましかったみたいだよ」
「迷惑な話だな」
でも、無事でよかったと寛は言ってくれた。
お店の終わる時間じゃないのに何で来てくれたのだろうと思っていると、お客さんが騒ぎ出したのだという。
「あの子、顔色が悪かったよ」
「変な黒い影に追いかけられて……えーっと、よくない顔色をしておったな」
「帰り道で倒れておるかもしれぬ」
猫又や狐や鬼や天狗など、ひとではないお客には、僕があの巨大な影から逃げるようにして店の中に駆け込んで、巨大な影がぐるぐると店の周りを漂っていたのが見えていたのだろう。
その話は寛にはできないが、僕は話を合わせる。
「この前実家に帰ったときにゆーちゃんに殴って追い払ってもらったけど、ずっとついてこられてはいたんだ。それで顔色が悪かったのかもしれない」
「そんな大事なことは言ってくれ」
寛に言われて僕は頷く。
「ごめんね、心配をかけちゃった。本当に助かったよ。ありがとう」
心からお礼を言えば寛は複雑そうな顔をしていた。
「俺以外に友達がいたんだと、ちょっとだけ思った」
「え?」
「三歳のかーくんに声をかけて、一番に友達になったのは俺のつもりだったのに、他にもいたんだって、亡くなった子なのに思っちゃったよ。俺は性格が悪い」
言われて僕も考えてみる。
僕の知らない寛の友人がいて、それを寛が僕に紹介してくれなかったらどうだろう。
きっと胸がもやもやしてしまう。
「言ってなくてごめんね。僕も忘れてたんだ」
正確には忘れようとして忘れた。
六歳とはいえ、ひとの死というものはとても大きくて、僕は受け止めきれなかったのだ。
隣りのご家族が引っ越して行ったのをいいことに、僕はあの男の子のことを胸の中に封印した。
「かーくんにとっても、つらい出来事だったんだな」
「そうだね。人間って、色んなことを忘れなければやっていけないんだと思う」
答えた僕に、寛は「そうか」とだけ言って、まだ店の制服だった服を着替えていた。
晩ご飯に僕は鯛ラーメンなるものを食べさせてもらった。
「あの小料理屋の定番にしようと思って女将さんと開発してたんだ。締めは鯛ラーメンで、みたいな」
透き通ったお出汁のようないい香りのするスープの中に細い麺が入っていて、ネギと海苔がトッピングされている。
一口スープを飲むと、口いっぱいに鯛の旨味が広がる。それでいて、全然生臭くないのが不思議だ。
麺を箸で掬って食べると、しこしことして美味しい。
「これはものすごいものを作っちゃったんじゃない?」
「そう思うか?」
「お昼も出したら、ものすごく売れそう」
僕が言うと、寛が眉を顰める。
「昼も出したいんだが、定食のメニューと鯛ラーメンとどっちも出すとなると、手間がかかって無理なんだよな」
「これは夜にしか食べられない特別メニューなんだね」
「そうだよ」
店の人員の関係で、定食メニューは決まっているので出しやすいが、鯛ラーメンもとなると無理なようだった。
夜しか食べられないとなると、僕は夜にもお店に行きたくなってしまう。
「このままでは、昼も夜もお店に行かなきゃいけなくなる」
「Wi-Fi整備しといてよかったな」
「そういう問題!? まぁ、そういう問題なんだけど」
部屋にいるとこれからの季節はクーラーの代金もかかって来るし、お店に行くのは悪くないかもしれない。
ビデオ通話で会議とかそういうものが入っていないときには、僕はできるだけお店に行きたいと思っていた。
ひとでないお客さんにも、寛ははっきりと対応してくれるし、寛の不動明王も怒りに炎を燃え盛らせてくれるので安心して行ける。
「明日、店が休みだけど、どっか行く?」
寛に聞かれて、僕は少し考える。
僕の髪は伸びるとぼさぼさになって格好悪いのだが、寛の髪は伸びてもいつも前髪を上げて格好よく決まっている。
「ゆーちゃん、髪伸びたよね」
「もうちょっとで結べそうだな」
「切りに行ったら?」
僕が提案すると、寛は頷いた。
「そうだな。かーくんの行ってる床屋で、明日切って来る」
「え!? ゆーちゃん、僕と同じところで切ってるの!?」
「そうだよ」
僕が行っている床屋は、いわゆる千円で切ってくれるところで、消費税もつかない。そんなお安いところで切ってもらっているのだから、僕の髪は伸びるとすぐにぼさぼさになるのも仕方がないと思っていた。
それなのに、寛の髪は伸びても格好いい。
「これが顔面の差なのか!?」
僕がショックを受けていると、寛がはがきを取り出した。
寛宛になっているが、それはデパートで開かれているキャラクターものの美術展の招待券だった。
「かーくん、このキャラクター好きって言ってなかったっけ?」
「あぁ、確かに! よく覚えてたね」
パンダやウサギやクマの活躍するファンシーなキャラクターは、僕が気に入っているものだ。パンダのバッグを持っている。
「そうだと思って、応募しておいたんだ。当たったから一緒に行くか」
「ありがとう! ゆーちゃん!」
はがきを渡されて僕はそれを握り締めて喜んでいた。
翌日の午前中に、寛は髪を切りに行った。
帰って来たときには後ろは刈り上げてあって、前髪と上の髪が長めに残されていて、僕は「どこのホストだよ!」と突っ込みたいのを我慢していた。
千円で切ってもらっていて、僕と同じはずなのに、僕とは全然違う。
「デパート、行くか」
「うん、行こう」
デパートに行く途中のラーメン屋で僕と寛はお昼ご飯にした。
寛はラーメンを研究したいようなのだ。
麺の固さや弾力を調べて、じっくりと食べている。
味わってじっくりと食べていたから、僕と寛はちょうど同じくらいに食べ終わった。
デパートの催事場にある美術展に行くと、子ども連れの母親が多くいた。
一人だと恥ずかしかったかもしれないが、今日は寛が一緒にいてくれる。
原画を見て回って、お土産物コーナーでは、パンダのキーホルダーを二個買った。
お会計を済ませると一個を寛に渡す。
「今日は楽しかったよ。ありがとう、ゆーちゃん」
「わざわざ買ってくれたのか。ありがとう」
「こちらこそだよ」
お互いにお礼を言い合って、僕と寛は微笑み合う。
周囲に女性と子どもしかいなくても、僕も寛も気にしていなかった。
「格好いいひと……」
「あのひとは無理よ。きっと、もう一人のひとと」
「そうか……」
そんなことを囁かれているが、僕と寛が恋愛関係にあるわけがない。
恋愛関係ではないのだが、そう誤解させておくことが煩わしい諍いに巻き込まれないで済む方法でもあるので、僕は放っておくことにした。
部屋に戻ると、僕は部屋の掃除をして、寛が晩ご飯を作る。
今日の晩ご飯は何だろう。
キッチンからはいい香りがしている。
「今日の晩ご飯は何ー?」
聞いてみると、キッチンから返事がある。
「餃子とチャーハン」
この香ばしい匂いは餃子とチャーハンの香りだったのか。
確かにごま油の美味しそうな匂いがする。
寛の餃子は皮から作るのでもちもちしていてとても美味しいのだ。
チャーハンもパラパラでさすがプロと思ってしまう。
「水餃子にするか? 焼き餃子にするか?」
「今日は焼き餃子の気分」
「それなら、いっぱい作らないといけないな」
生地を捏ねて皮を作っている寛に僕は晩ご飯に期待していた。
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