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十二章 両親の事故とわたくしが主役の物語
49.ノルベルト殿下とノエル殿下の結婚式
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ノルベルト殿下が学園を卒業する。
それはつまり、ノルベルト殿下が大公殿下になられて、ノエル殿下と結婚することを示していた。
ノルベルト殿下とノエル殿下の結婚式にはわたくしもクリスタちゃんもふーちゃんもまーちゃんも両親も招かれていた。ディッペル家の家族全員で結婚式に行けるのはわたくしもとても嬉しくて楽しみだった。
結婚式にはエクムント様も当然招かれている。
ノルベルト殿下とノエル殿下の結婚式は王都で催されたので、ディッペル家の一家で列車で王都まで行って、王都からはエクムント様と合流して馬車で王宮まで行った。
ノルベルト殿下とノエル殿下の結婚式は国王陛下の御前で行われる。
白いドレスに薄く透けるヴェールを被ったノエル殿下が白いタキシードのノルベルト殿下と共に大広間で国王陛下の前に出る。
背中を紐で締めるタイプのドレスを着ているノエル殿下は金色の髪を結い上げて、そこに銀色のティアラをつけていてとても美しい。
わたくしは結婚式には白薔薇の花冠を被りたいと思っていたが、ティアラも素敵だと思ってしまう。
花冠かティアラか決められない。
うっとりとノエル殿下を見ていると、国王陛下がノルベルト殿下とノエル殿下に問いかけた。
「ノルベルト・アッペル、そなたはアッペル大公となり、領地を治め、ノエル・リヴィエを妻として生涯愛することを誓うか?」
「誓います」
「ノエル・リヴィエ、そなたはノルベルト・アッペルの妻となり、ノルベルトを生涯愛して共に生きることを誓うか?」
「誓います」
ノルベルト殿下が十歳、ノエル殿下が十二歳のときからずっと待っていた瞬間が今訪れた。
共に誓ったノルベルト殿下とノエル殿下に、国王陛下が深く頷く。
「今、ここに新しい夫婦が生まれた。私の息子ノルベルトと隣国の王女ノエルは今結婚した。今後とも二人を温かく見守り、導いてほしい」
国王陛下が宣言すれば参列している貴族たちから拍手が巻き起こる。
その後でノルベルト殿下とノエル殿下は指輪の交換もしていた。
二人の白い手に輝く金色の指輪はシンプルだがとても美しく見える。
わたくしがため息をついてその様子を見ていると、隣りに立っているエクムント様がそっとわたくしの手を握ってきた。誰も気付いていない席で手を握られて、わたくしは手汗が気になって仕方がなかったが、エクムント様と手を繋げて幸せだった。
結婚式が終わって披露宴に入ると、場所は大広間から食堂に移る。
食堂までエクムント様に手を握られたままエスコートされて、椅子に座ると、エクムント様が手を放してくれない。
「エクムント様、乾杯のグラスが持てません」
「エリザベート嬢が可愛くて、ずっと手を繋いでおきたかったのです。すみません」
そっと囁くとエクムント様は手を放してくださった。
わたくしは熱い頬を押さえて、ノエル殿下とノルベルト殿下が乾杯のシャンパンと葡萄ジュースを注ぎながらテーブルを回っているのを見ていた。
ノエル殿下とノルベルト殿下は、エクムント様にはシャンパン、わたくしには葡萄ジュースを注いでくれた。
「ノエル殿下、ノルベルト殿下、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「わたくし、こんなに幸せなことはありません」
「もっともっと幸せになられますよ」
お祝いの言葉を言えばノエル殿下は涙ぐんでいるようだった。エクムント様がまだまだ幸せなことはあると言っているが、ノエル殿下は感極まっている状態だった。
「新しい門出に立つノルベルトとノエル、二人の夫婦に乾杯!」
国王陛下が乾杯の音頭を取って、食堂にいるみんなで乾杯をして椅子に座った。
料理が運ばれてくるが、わたくしはノルベルト殿下とノエル殿下の美しい姿に胸がいっぱいになってしまってなかなか食事が喉を通らなかった。
国王陛下の前で誓いを上げる結婚式など、わたくしは初めて参加するのだ。
わたくしのときにもこんな風になるのかと考えてしまって、どうしても落ち着かない。
「ノエル殿下の美しかったこと」
「エリザベート嬢はノエル殿下のように肌を出さないドレスの方がいいかもしれません」
「そうですか?」
「エリザベート嬢の肌は私だけが独占したいので」
そんなことをさらりと言われてしまうとわたくしは耳まで赤くなった気がする。慌てるわたくしに、エクムント様はわたくしの手を取って腕を撫でる。
「それに、辺境伯領の日差しを浴びると、この肌が火傷のようになってしまうかもしれません。どうか、肌を隠したドレスをご検討ください」
「は、はい」
撫でられた腕が熱い。
エクムント様は体温が高いのか手がとても温かいのだ。
袖のないドレスも着ることがあるわたくしだが、辺境伯領に嫁いでからは袖のあるものを選ばなければいけないと考え始めていた。
「ノエル殿下、とても素敵でした。わたくしもあんな花嫁さんになりたいです」
「マリアもそう思いましたか? わたくしもそう思っていたところです」
「エリザベートお姉様は来年ですね。わたくしはずーっとずっと先……」
少し寂しそうなまーちゃんにわたくしは微笑みかける。
「それでも、結婚したら同じ辺境伯領で暮らすことになりますよ」
「そうでした。お姉様とずーっと一緒ですね」
ぱっと明るい笑顔になったまーちゃんにわたくしも頷いていた。
ふーちゃんはリリエンタール公爵家の隣りの席でレーニちゃんの隣りに座っていたが、まーちゃんはオリヴァー殿とは席が離れている。
クリスタちゃんはハインリヒ殿下の隣りの王家の席に座っているし、わたくしは辺境伯家のエクムント様の隣りの席に座っている。
婚約者同士がある程度は配慮された席順になっているのだが、まーちゃんとオリヴァー殿は身分が違うのでどうしても隣りの席には座れないようだった。
「私、王宮の食堂で料理を食べるのは初めてです」
「わたくしも初めてです」
まだ社交界デビューしていないふーちゃんとまーちゃんにとっては、これが王宮の食堂で食べる初めての食事だった。料理の豪華さに驚き、一生懸命食べているのが可愛い。
わたくしも初めての王宮の食堂での食事のときにはこんな風な顔をしていただろうか。
ちらりとエクムント様の顔を見ると、シャンパンを飲んでいたグラスをテーブルに置いてわたくしに向き直った。
「ジュニアプロムで捻った足はもう大丈夫ですか?」
「はい、すっかり平気です」
「それはよかった。今日は踊れそうですか?」
「エクムント様が踊ってくださるなら」
披露宴の後は大広間に戻って舞踏会が開かれる。
そこに参加するのもわたくしは楽しみだった。
披露宴の食事会が終わると、ノエル殿下とノルベルト殿下はお色直しに席を外して、わたくしたちは大広間に移動する。
大広間にも軽食が用意されていて、お茶会のような雰囲気だが、舞踏会が開かれる。舞踏会初参加のふーちゃんと、ジュニアプロムには参加したまーちゃんは、レーニちゃんとオリヴァー殿を誘って踊りに行っていた。
ハインリヒ殿下はクリスタちゃんを誘っている。
わたくしはエクムント様に手を引かれて踊りの輪に入った。
今日はシートが敷いてあったりしないので、自由に踊ることができる。
「エクムント様、ジュニアプロムで踊れなかった分も踊ってください」
「エリザベート嬢、踊りましょう」
手を取り合って踊るわたくしとエクムント様に、周囲の視線が向いていることにわたくしは薄々気付いていた。
エクムント様が言っていた。
辺境伯と公爵令嬢の恋愛を書いた小説が流行っているのだと。
わたくしとエクムント様はそれだけ注目されているのだ。
注目されるのはあまり慣れないが、それでもエクムント様と一緒ならば堂々と踊れた。
踊り終わって、喉が渇くとわたくしとエクムント様は端の方に出て行って、給仕に葡萄ジュースとシャンパンを持ってきてもらう。
踊って温まった体には冷たい葡萄ジュースが心地よかった。
それはつまり、ノルベルト殿下が大公殿下になられて、ノエル殿下と結婚することを示していた。
ノルベルト殿下とノエル殿下の結婚式にはわたくしもクリスタちゃんもふーちゃんもまーちゃんも両親も招かれていた。ディッペル家の家族全員で結婚式に行けるのはわたくしもとても嬉しくて楽しみだった。
結婚式にはエクムント様も当然招かれている。
ノルベルト殿下とノエル殿下の結婚式は王都で催されたので、ディッペル家の一家で列車で王都まで行って、王都からはエクムント様と合流して馬車で王宮まで行った。
ノルベルト殿下とノエル殿下の結婚式は国王陛下の御前で行われる。
白いドレスに薄く透けるヴェールを被ったノエル殿下が白いタキシードのノルベルト殿下と共に大広間で国王陛下の前に出る。
背中を紐で締めるタイプのドレスを着ているノエル殿下は金色の髪を結い上げて、そこに銀色のティアラをつけていてとても美しい。
わたくしは結婚式には白薔薇の花冠を被りたいと思っていたが、ティアラも素敵だと思ってしまう。
花冠かティアラか決められない。
うっとりとノエル殿下を見ていると、国王陛下がノルベルト殿下とノエル殿下に問いかけた。
「ノルベルト・アッペル、そなたはアッペル大公となり、領地を治め、ノエル・リヴィエを妻として生涯愛することを誓うか?」
「誓います」
「ノエル・リヴィエ、そなたはノルベルト・アッペルの妻となり、ノルベルトを生涯愛して共に生きることを誓うか?」
「誓います」
ノルベルト殿下が十歳、ノエル殿下が十二歳のときからずっと待っていた瞬間が今訪れた。
共に誓ったノルベルト殿下とノエル殿下に、国王陛下が深く頷く。
「今、ここに新しい夫婦が生まれた。私の息子ノルベルトと隣国の王女ノエルは今結婚した。今後とも二人を温かく見守り、導いてほしい」
国王陛下が宣言すれば参列している貴族たちから拍手が巻き起こる。
その後でノルベルト殿下とノエル殿下は指輪の交換もしていた。
二人の白い手に輝く金色の指輪はシンプルだがとても美しく見える。
わたくしがため息をついてその様子を見ていると、隣りに立っているエクムント様がそっとわたくしの手を握ってきた。誰も気付いていない席で手を握られて、わたくしは手汗が気になって仕方がなかったが、エクムント様と手を繋げて幸せだった。
結婚式が終わって披露宴に入ると、場所は大広間から食堂に移る。
食堂までエクムント様に手を握られたままエスコートされて、椅子に座ると、エクムント様が手を放してくれない。
「エクムント様、乾杯のグラスが持てません」
「エリザベート嬢が可愛くて、ずっと手を繋いでおきたかったのです。すみません」
そっと囁くとエクムント様は手を放してくださった。
わたくしは熱い頬を押さえて、ノエル殿下とノルベルト殿下が乾杯のシャンパンと葡萄ジュースを注ぎながらテーブルを回っているのを見ていた。
ノエル殿下とノルベルト殿下は、エクムント様にはシャンパン、わたくしには葡萄ジュースを注いでくれた。
「ノエル殿下、ノルベルト殿下、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「わたくし、こんなに幸せなことはありません」
「もっともっと幸せになられますよ」
お祝いの言葉を言えばノエル殿下は涙ぐんでいるようだった。エクムント様がまだまだ幸せなことはあると言っているが、ノエル殿下は感極まっている状態だった。
「新しい門出に立つノルベルトとノエル、二人の夫婦に乾杯!」
国王陛下が乾杯の音頭を取って、食堂にいるみんなで乾杯をして椅子に座った。
料理が運ばれてくるが、わたくしはノルベルト殿下とノエル殿下の美しい姿に胸がいっぱいになってしまってなかなか食事が喉を通らなかった。
国王陛下の前で誓いを上げる結婚式など、わたくしは初めて参加するのだ。
わたくしのときにもこんな風になるのかと考えてしまって、どうしても落ち着かない。
「ノエル殿下の美しかったこと」
「エリザベート嬢はノエル殿下のように肌を出さないドレスの方がいいかもしれません」
「そうですか?」
「エリザベート嬢の肌は私だけが独占したいので」
そんなことをさらりと言われてしまうとわたくしは耳まで赤くなった気がする。慌てるわたくしに、エクムント様はわたくしの手を取って腕を撫でる。
「それに、辺境伯領の日差しを浴びると、この肌が火傷のようになってしまうかもしれません。どうか、肌を隠したドレスをご検討ください」
「は、はい」
撫でられた腕が熱い。
エクムント様は体温が高いのか手がとても温かいのだ。
袖のないドレスも着ることがあるわたくしだが、辺境伯領に嫁いでからは袖のあるものを選ばなければいけないと考え始めていた。
「ノエル殿下、とても素敵でした。わたくしもあんな花嫁さんになりたいです」
「マリアもそう思いましたか? わたくしもそう思っていたところです」
「エリザベートお姉様は来年ですね。わたくしはずーっとずっと先……」
少し寂しそうなまーちゃんにわたくしは微笑みかける。
「それでも、結婚したら同じ辺境伯領で暮らすことになりますよ」
「そうでした。お姉様とずーっと一緒ですね」
ぱっと明るい笑顔になったまーちゃんにわたくしも頷いていた。
ふーちゃんはリリエンタール公爵家の隣りの席でレーニちゃんの隣りに座っていたが、まーちゃんはオリヴァー殿とは席が離れている。
クリスタちゃんはハインリヒ殿下の隣りの王家の席に座っているし、わたくしは辺境伯家のエクムント様の隣りの席に座っている。
婚約者同士がある程度は配慮された席順になっているのだが、まーちゃんとオリヴァー殿は身分が違うのでどうしても隣りの席には座れないようだった。
「私、王宮の食堂で料理を食べるのは初めてです」
「わたくしも初めてです」
まだ社交界デビューしていないふーちゃんとまーちゃんにとっては、これが王宮の食堂で食べる初めての食事だった。料理の豪華さに驚き、一生懸命食べているのが可愛い。
わたくしも初めての王宮の食堂での食事のときにはこんな風な顔をしていただろうか。
ちらりとエクムント様の顔を見ると、シャンパンを飲んでいたグラスをテーブルに置いてわたくしに向き直った。
「ジュニアプロムで捻った足はもう大丈夫ですか?」
「はい、すっかり平気です」
「それはよかった。今日は踊れそうですか?」
「エクムント様が踊ってくださるなら」
披露宴の後は大広間に戻って舞踏会が開かれる。
そこに参加するのもわたくしは楽しみだった。
披露宴の食事会が終わると、ノエル殿下とノルベルト殿下はお色直しに席を外して、わたくしたちは大広間に移動する。
大広間にも軽食が用意されていて、お茶会のような雰囲気だが、舞踏会が開かれる。舞踏会初参加のふーちゃんと、ジュニアプロムには参加したまーちゃんは、レーニちゃんとオリヴァー殿を誘って踊りに行っていた。
ハインリヒ殿下はクリスタちゃんを誘っている。
わたくしはエクムント様に手を引かれて踊りの輪に入った。
今日はシートが敷いてあったりしないので、自由に踊ることができる。
「エクムント様、ジュニアプロムで踊れなかった分も踊ってください」
「エリザベート嬢、踊りましょう」
手を取り合って踊るわたくしとエクムント様に、周囲の視線が向いていることにわたくしは薄々気付いていた。
エクムント様が言っていた。
辺境伯と公爵令嬢の恋愛を書いた小説が流行っているのだと。
わたくしとエクムント様はそれだけ注目されているのだ。
注目されるのはあまり慣れないが、それでもエクムント様と一緒ならば堂々と踊れた。
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