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七章 高等学校最後の年
2.六年生の初日
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新学期が始まって、わたくしは六年生になった。
高等学校最後の年だ。
高等学校を卒業するとわたくしは隣接する研究課程の校舎へと移って、研究課程に進むのだが、マルコ様は家庭教師として働き出して、ニーナ様は警備兵になるための訓練所に入ることになる。マルコ様とニーナ様とこれだけ親しく過ごせるのも残り一年かと思うと寂しくなってしまう。
ジュニア・プロムでマルコ様はニーナ様を誘った。ニーナ様はスーツを着て来ていたが、マルコ様と踊っていた。二人の関係が高等学校を卒業した後も続けばいいと願うのだが、それはわたくしの力ではどうにもならない。
マルコ様もニーナ様も高等学校を卒業するときには18歳になっていて、成人して結婚できる年のはずなのだが、お互いに将来をどう考えているかは分からない。特にマルコ様は自分が平民だという引け目があるのだろう。
サンルームに登校すると、エロラ先生とエリーサ様とヘルミちゃんがいた。ヘルミちゃんはサンルームのソファに座って教本とノートを広げている。覗き込むとヘルミちゃんの目が見る見るうちに潤んで来た。
「宿題が終わらなかったんです」
「どの教科ですか?」
「魔法学はエロラ様とエリーサ様に教えていただいて終わったのですが、数学があたしはどうしても苦手で……」
まだ早い時間で魔法学の授業は始まっていない。エロラ先生のお屋敷で働きながら勉強をするのは、ヘルミちゃんにとっては大変だったかもしれない。エロラ先生もエリーサ様も教えを請えば教えてくださる方たちだが、声をかけなければそのままにしておくタイプでもある。
「ヘルミちゃん、この公式を使うのです」
「は、はい」
「こっちの問題は、この公式です」
わたくしがヘルミちゃんに教えていくと、ヘルミちゃんは一生懸命宿題を終わらせていた。
勉強ができる環境ではなかったヘルミちゃんが、エロラ先生とエリーサ様の元で働き始めて、勉強を教えてもらってなんとか高等学校に入学できるくらいには追い付いたのはすごいが、やはり遅れていた分をすべて取り戻すことは難しかったようだ。
「エロラ先生とエリーサ様にお願いしてみたら良かったのではないですか?」
「あたし、自分でできると思ったんです。できるだけ自分でやり遂げたいと思って、努力したけど、数学だけは無理だった」
「次から数学だけは聞けばいいですよ」
「そうします……」
エロラ先生とエリーサ様はよくしてくれるがそれに甘えずに自分でやり遂げたいというヘルミちゃんの考えはとても立派だった。わたくしもヘルミちゃんを応援したいと思って、肩掛けのバッグから教本を取り出す。
かつてわたくしが使っていたリーッタ先生から教えてもらっていた頃の教本を渡すと、ヘルミちゃんは驚いた顔をしていた。
「ヘルミちゃんは数学の前の算数の基礎ができていないのかもしれません。これで復習するといいですよ」
「ありがとうございます、アイラ様」
お礼を言って教本を大事に受け取ったヘルミちゃんは、わたくしの肩掛けのバッグとよく似たウエストポーチに教本を入れていた。
「エリーサ様が作ってくださったのですか?」
「はい! たくさんのものを運ぶときに便利だとくださいました」
エロラ先生もエリーサ様もただヘルミちゃんを放置していたわけではなくて、ヘルミちゃんが自分でやり遂げたいと思っていたから手を出さなかっただけなのだろう。エリーサ様がお手製の魔法のかかったポーチをヘルミちゃんにあげていることからも、ヘルミちゃんはエリーサ様とエロラ先生に可愛がられていることがよく分かる。
「おはようございます。今年度もよろしくお願いします」
元気よくハンネス様がサンルームに入ってくるまでに、ヘルミちゃんの数学の宿題は終わっていた。
サンルームを寄り添って二人で歩いていたエロラ先生とエリーサ様が入り口近くのソファのところに戻って来たので、わたくしは肩掛けのバッグから幾つもの箱を取り出した。
「これが今年収穫したマンドラゴラです。こちらが今年栽培をしてみた小鳥豆で、こちらの箱には小鳥豆の蔓が入っています」
「小鳥豆の栽培に成功したのですか?」
「はい。蔦がよく伸びるように支え棒を挿して、その他は普通に水やりをしただけですが」
わたくしの話を聞いてエリーサ様が驚いている。
「小鳥豆は気難しくて栽培が大変なのですよ?」
「そうなのですか!?」
普通に水やりをしていれば育ったので気付かなかったが、小鳥豆は気に入らない場所に植えると実がなってすぐに飛び立ってしまうようだった。その情報は本に書かれていなかったので知らずに、わたくしはエリーサ様から初めて聞いた。
「網をかけると怒って実をなかなかつけないんだよ」
「小鳥豆は怒るのですか?」
「そうだよ。だから小鳥豆を売っている店を見たことがないだろう?」
言われてみれば、わたくしは小鳥豆の存在を本で知ったし、どこかに売られているのを見たことはなかった。これまで興味がなかったから視界に入って来なかっただけかと思っていたら、小鳥豆は栽培が特に難しかったようだ。
「どうして、わたくしたちは成功したのでしょう?」
「何か心当たりはありますか、アイラ様?」
聞かれてもわたくしは全く思い浮かぶことがなかった。そこにハンネス様が話に入ってくる。
「歌っていたからではないでしょうか」
「歌っていた?」
「マウリが小鳥豆の雑草抜きと害虫駆除をしながら、ミルヴァとフローラとエミリアが水やりをしながら、歌っていました」
そういえば、マウリ様とミルヴァ様とフローラ様とエミリア様は、畑仕事をしながら歌っていた。ハンネス様のお誕生日に歌う歌を練習していたのだが、ハンネス様にそれがバレないかわたくしはハラハラしたものだった。
「ドラゴンの歌か」
「ドラゴンの歌を聞いて育てられたのならば、気難しい小鳥豆もよく育ったかもしれませんね」
納得するエロラ先生とエリーサ様に、ドラゴンであるマウリ様とミルヴァ様は歌にもそんな効果があるのかと驚いてしまう。
「マウリ様とミルヴァ様の歌には植物の機嫌を直す効果もあるのですか?」
「特に、マウリくんはグリーンドラゴンだからね」
「グリーンドラゴンは植物と相性がいいですから、歌にそのような効果があっても不思議ではありません」
小鳥豆が大量に実ったのはマウリ様とミルヴァ様の歌のおかげだった。
「そういえば、今年はマンドラゴラの収穫量も多い気がします」
「マウリくんとミルヴァちゃんは、歌を練習した方がいいかもしれないね」
「ドラゴンの歌は神聖魔法に匹敵しますからね」
ドラゴンの歌は神聖魔法に近い。
それもわたくしは今回初めて聞いた。
初めて聞くことばかりで胸は驚きでいっぱいだが、マウリ様とミルヴァ様の歌にそんな可能性があるのならば伸ばしてあげたいと思わずにはいられない。
「エリーサ様とエロラ先生は、歌を教えられますか?」
高等学校に音楽の授業はあるけれども、わたくしは魔法学を専門にしているので、音楽は履修していなかった。サロモン先生に音楽を教えられるとは思えないので、マウリ様とミルヴァ様の歌の才能を伸ばすのならば、専門の先生が必要になってくる。
「私は歌は教えられないかな」
「わたくしも、歌は専門ではありませんわ。自分の楽しみで歌うくらいです」
エリーサ様とエロラ先生の手を借りられないとなると、カールロ様とスティーナ様に相談して歌の先生を探していただいた方がいいのだろうか。
「マウリとミルヴァだけでなく、フローラやエミリアも歌が歌えたら、楽しいでしょうね」
「ヘルレヴィ家で歌を歌えるといいのですが」
ハンネス様もマウリ様とミルヴァ様に歌を教えることには賛成で、それだけではなくフローラ様やエミリア様にも歌を教えたら楽しいのではないかと提案してくれている。
「心当たりがないわけではないんだが……」
「あの方が動くでしょうか?」
エロラ先生の呟きに、エリーサ様が困った顔をしている。思い浮かんだ人物は、マウリ様とミルヴァ様に簡単に歌を教えてくれそうにない方のようだ。
「どんな方ですか?」
「オスカリの知り合いだよ。王都でかつて歌劇団を率いていたが、今はラント領の片隅に引きこもっている」
「わたくしたちの件があって、オスカリ様が森を離れた際に、一緒に暮らしていた方なのですが……」
「歌劇団を辞められた理由があるのですか?」
わたくしの問いかけにエロラ先生とエリーサ様が顔を見合わせる。
「私たちと同じような理由だよ」
「その方は男性で、オスカリ様の恋人だったのです」
男性同士の恋愛。しかも片方は希少とされている妖精種のハールス先生で、決して許されないと反対されたその方は、ハールス先生の地位を脅かさないようにと歌劇団を辞めてラント領の片隅に引きこもってしまったのだという。
ラント領でもヘルレヴィ領でも同性同士の結婚は禁止されていないが、妖精種の中では同性同士で恋愛関係になることは暗黙の了解で許されていないのだ。そのせいでエロラ先生とエリーサ様も苦しんだのだが、お二人は今は認められている。それはエリーサ様がわたくしが収穫したマンドラゴラや南瓜頭犬やスイカ猫を使って、素晴らしい魔法具を作るようになって、自らの地位を確立したからだった。
「ヘルレヴィ家でその方を雇えば、ハールス先生との仲が認められないでしょうか?」
わたくしの問いかけに、エリーサ様が小鳥豆の蔓を取り出した。
「これが役に立つかもしれません」
使い道のよく分かっていない小鳥豆の蔓が、ハールス先生とその方を結ぶきっかけになるかもしれない。わたくしはエリーサ様に「どうかよろしくお願いします」と頭を下げていた。
高等学校最後の年だ。
高等学校を卒業するとわたくしは隣接する研究課程の校舎へと移って、研究課程に進むのだが、マルコ様は家庭教師として働き出して、ニーナ様は警備兵になるための訓練所に入ることになる。マルコ様とニーナ様とこれだけ親しく過ごせるのも残り一年かと思うと寂しくなってしまう。
ジュニア・プロムでマルコ様はニーナ様を誘った。ニーナ様はスーツを着て来ていたが、マルコ様と踊っていた。二人の関係が高等学校を卒業した後も続けばいいと願うのだが、それはわたくしの力ではどうにもならない。
マルコ様もニーナ様も高等学校を卒業するときには18歳になっていて、成人して結婚できる年のはずなのだが、お互いに将来をどう考えているかは分からない。特にマルコ様は自分が平民だという引け目があるのだろう。
サンルームに登校すると、エロラ先生とエリーサ様とヘルミちゃんがいた。ヘルミちゃんはサンルームのソファに座って教本とノートを広げている。覗き込むとヘルミちゃんの目が見る見るうちに潤んで来た。
「宿題が終わらなかったんです」
「どの教科ですか?」
「魔法学はエロラ様とエリーサ様に教えていただいて終わったのですが、数学があたしはどうしても苦手で……」
まだ早い時間で魔法学の授業は始まっていない。エロラ先生のお屋敷で働きながら勉強をするのは、ヘルミちゃんにとっては大変だったかもしれない。エロラ先生もエリーサ様も教えを請えば教えてくださる方たちだが、声をかけなければそのままにしておくタイプでもある。
「ヘルミちゃん、この公式を使うのです」
「は、はい」
「こっちの問題は、この公式です」
わたくしがヘルミちゃんに教えていくと、ヘルミちゃんは一生懸命宿題を終わらせていた。
勉強ができる環境ではなかったヘルミちゃんが、エロラ先生とエリーサ様の元で働き始めて、勉強を教えてもらってなんとか高等学校に入学できるくらいには追い付いたのはすごいが、やはり遅れていた分をすべて取り戻すことは難しかったようだ。
「エロラ先生とエリーサ様にお願いしてみたら良かったのではないですか?」
「あたし、自分でできると思ったんです。できるだけ自分でやり遂げたいと思って、努力したけど、数学だけは無理だった」
「次から数学だけは聞けばいいですよ」
「そうします……」
エロラ先生とエリーサ様はよくしてくれるがそれに甘えずに自分でやり遂げたいというヘルミちゃんの考えはとても立派だった。わたくしもヘルミちゃんを応援したいと思って、肩掛けのバッグから教本を取り出す。
かつてわたくしが使っていたリーッタ先生から教えてもらっていた頃の教本を渡すと、ヘルミちゃんは驚いた顔をしていた。
「ヘルミちゃんは数学の前の算数の基礎ができていないのかもしれません。これで復習するといいですよ」
「ありがとうございます、アイラ様」
お礼を言って教本を大事に受け取ったヘルミちゃんは、わたくしの肩掛けのバッグとよく似たウエストポーチに教本を入れていた。
「エリーサ様が作ってくださったのですか?」
「はい! たくさんのものを運ぶときに便利だとくださいました」
エロラ先生もエリーサ様もただヘルミちゃんを放置していたわけではなくて、ヘルミちゃんが自分でやり遂げたいと思っていたから手を出さなかっただけなのだろう。エリーサ様がお手製の魔法のかかったポーチをヘルミちゃんにあげていることからも、ヘルミちゃんはエリーサ様とエロラ先生に可愛がられていることがよく分かる。
「おはようございます。今年度もよろしくお願いします」
元気よくハンネス様がサンルームに入ってくるまでに、ヘルミちゃんの数学の宿題は終わっていた。
サンルームを寄り添って二人で歩いていたエロラ先生とエリーサ様が入り口近くのソファのところに戻って来たので、わたくしは肩掛けのバッグから幾つもの箱を取り出した。
「これが今年収穫したマンドラゴラです。こちらが今年栽培をしてみた小鳥豆で、こちらの箱には小鳥豆の蔓が入っています」
「小鳥豆の栽培に成功したのですか?」
「はい。蔦がよく伸びるように支え棒を挿して、その他は普通に水やりをしただけですが」
わたくしの話を聞いてエリーサ様が驚いている。
「小鳥豆は気難しくて栽培が大変なのですよ?」
「そうなのですか!?」
普通に水やりをしていれば育ったので気付かなかったが、小鳥豆は気に入らない場所に植えると実がなってすぐに飛び立ってしまうようだった。その情報は本に書かれていなかったので知らずに、わたくしはエリーサ様から初めて聞いた。
「網をかけると怒って実をなかなかつけないんだよ」
「小鳥豆は怒るのですか?」
「そうだよ。だから小鳥豆を売っている店を見たことがないだろう?」
言われてみれば、わたくしは小鳥豆の存在を本で知ったし、どこかに売られているのを見たことはなかった。これまで興味がなかったから視界に入って来なかっただけかと思っていたら、小鳥豆は栽培が特に難しかったようだ。
「どうして、わたくしたちは成功したのでしょう?」
「何か心当たりはありますか、アイラ様?」
聞かれてもわたくしは全く思い浮かぶことがなかった。そこにハンネス様が話に入ってくる。
「歌っていたからではないでしょうか」
「歌っていた?」
「マウリが小鳥豆の雑草抜きと害虫駆除をしながら、ミルヴァとフローラとエミリアが水やりをしながら、歌っていました」
そういえば、マウリ様とミルヴァ様とフローラ様とエミリア様は、畑仕事をしながら歌っていた。ハンネス様のお誕生日に歌う歌を練習していたのだが、ハンネス様にそれがバレないかわたくしはハラハラしたものだった。
「ドラゴンの歌か」
「ドラゴンの歌を聞いて育てられたのならば、気難しい小鳥豆もよく育ったかもしれませんね」
納得するエロラ先生とエリーサ様に、ドラゴンであるマウリ様とミルヴァ様は歌にもそんな効果があるのかと驚いてしまう。
「マウリ様とミルヴァ様の歌には植物の機嫌を直す効果もあるのですか?」
「特に、マウリくんはグリーンドラゴンだからね」
「グリーンドラゴンは植物と相性がいいですから、歌にそのような効果があっても不思議ではありません」
小鳥豆が大量に実ったのはマウリ様とミルヴァ様の歌のおかげだった。
「そういえば、今年はマンドラゴラの収穫量も多い気がします」
「マウリくんとミルヴァちゃんは、歌を練習した方がいいかもしれないね」
「ドラゴンの歌は神聖魔法に匹敵しますからね」
ドラゴンの歌は神聖魔法に近い。
それもわたくしは今回初めて聞いた。
初めて聞くことばかりで胸は驚きでいっぱいだが、マウリ様とミルヴァ様の歌にそんな可能性があるのならば伸ばしてあげたいと思わずにはいられない。
「エリーサ様とエロラ先生は、歌を教えられますか?」
高等学校に音楽の授業はあるけれども、わたくしは魔法学を専門にしているので、音楽は履修していなかった。サロモン先生に音楽を教えられるとは思えないので、マウリ様とミルヴァ様の歌の才能を伸ばすのならば、専門の先生が必要になってくる。
「私は歌は教えられないかな」
「わたくしも、歌は専門ではありませんわ。自分の楽しみで歌うくらいです」
エリーサ様とエロラ先生の手を借りられないとなると、カールロ様とスティーナ様に相談して歌の先生を探していただいた方がいいのだろうか。
「マウリとミルヴァだけでなく、フローラやエミリアも歌が歌えたら、楽しいでしょうね」
「ヘルレヴィ家で歌を歌えるといいのですが」
ハンネス様もマウリ様とミルヴァ様に歌を教えることには賛成で、それだけではなくフローラ様やエミリア様にも歌を教えたら楽しいのではないかと提案してくれている。
「心当たりがないわけではないんだが……」
「あの方が動くでしょうか?」
エロラ先生の呟きに、エリーサ様が困った顔をしている。思い浮かんだ人物は、マウリ様とミルヴァ様に簡単に歌を教えてくれそうにない方のようだ。
「どんな方ですか?」
「オスカリの知り合いだよ。王都でかつて歌劇団を率いていたが、今はラント領の片隅に引きこもっている」
「わたくしたちの件があって、オスカリ様が森を離れた際に、一緒に暮らしていた方なのですが……」
「歌劇団を辞められた理由があるのですか?」
わたくしの問いかけにエロラ先生とエリーサ様が顔を見合わせる。
「私たちと同じような理由だよ」
「その方は男性で、オスカリ様の恋人だったのです」
男性同士の恋愛。しかも片方は希少とされている妖精種のハールス先生で、決して許されないと反対されたその方は、ハールス先生の地位を脅かさないようにと歌劇団を辞めてラント領の片隅に引きこもってしまったのだという。
ラント領でもヘルレヴィ領でも同性同士の結婚は禁止されていないが、妖精種の中では同性同士で恋愛関係になることは暗黙の了解で許されていないのだ。そのせいでエロラ先生とエリーサ様も苦しんだのだが、お二人は今は認められている。それはエリーサ様がわたくしが収穫したマンドラゴラや南瓜頭犬やスイカ猫を使って、素晴らしい魔法具を作るようになって、自らの地位を確立したからだった。
「ヘルレヴィ家でその方を雇えば、ハールス先生との仲が認められないでしょうか?」
わたくしの問いかけに、エリーサ様が小鳥豆の蔓を取り出した。
「これが役に立つかもしれません」
使い道のよく分かっていない小鳥豆の蔓が、ハールス先生とその方を結ぶきっかけになるかもしれない。わたくしはエリーサ様に「どうかよろしくお願いします」と頭を下げていた。
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