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第三章 結婚に向けて
26.欲しいものとタイミング
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「イサギおとうちゃん、エドおとうさん」
二人とも男性で「お父さん」ではややこしいので、ナホはイサギとエドヴァルドをそう呼び分けることにした。引き取ってからすぐは、毎日ご飯が出てきて、領主の御屋敷にエドヴァルドが連れて行ってカナエと遊んだりマンドラゴラやポチやタマやぴーちゃんとあそんだりして、夜には毎晩お風呂に入れてもらえて、温かなお布団で眠れる生活に、ナホは感激していた。
カナエのお下がりでもらった服も大事に着て、文句もないようだった。
「あたらしいおようふくなんて、もったいない」
「カナエちゃんのは綺麗やけど、ナホちゃんの好きなのはないんか?」
「おくつやしたぎもかってもらったのに」
靴や下着はお下がりというわけにもいかなかったので新しく買いそろえたのを、ナホは気にしていた。
生まれは王都で、そこそこの富裕層だったが、魔女騒動で王都が荒れて、ナホの教育もままならないとセイリュウ領に引っ越そうと移動している途中で、両親は魔物に襲われたのだと、サナの調べで分かった。子どもがいたはずだが見つかっておらず、窃盗団はそこでナホを拾って、魔術の才能を見出し、悪用しようとしたのだろう。
王都の親戚に連絡は取ってみたものの、ナホを積極的に引き取りたがるものはいなかった。まずは成人しているエドヴァルドの養子にして、結婚後にイサギの養子にもなるように、イサギとエドヴァルドは正式な手続きを踏んで、ナホを引き取った。
「ナホちゃんは5月生まれやな。俺とツムギと同じや」
「イサギおとうちゃんと、ツムギさんとおなじ? おたんじょうび、おいわいしてもらえるの?」
「ケーキを焼きましょうね。それから、炊き込みご飯と、鶏肉のつみれ汁」
「おいしそう……」
たらりと涎を垂らすナホは、食べるのが好きで、薬草畑で遊ぶのが大好きな、普通の3歳の女の子だった。ただし、魔術の才能はエドヴァルド級にはあるらしい。
「攻撃よりも防御系だとは診断されましたが、育つにつれてどうなるか分かりませんし、やりたいことをしてくれたら嬉しいですね」
「マンドラゴラにも好かれてるから、友達みたいで可愛いなぁ」
ほっこりと親の気分になっているエドヴァルドとイサギに、もじもじとナホはカナエのお下がりのワンピースの裾を揉んでいた。言いたいことがあるのだろうと待っていると、意を決したように顔を上げて、口を開く。
「このおようふくも、きらいじゃないの。すきなのよ。きごこちがいいし、きれいだし……」
「違うお洋服が欲しいのですね」
「どんなんやろか、お父ちゃん、教えて欲しいわぁ」
「おズボンがいいの」
エドヴァルドやイサギのように、スカートではなくパンツを履きたい。それがナホの望みだった。
「ツムギさんみたいな、エドおとうさんみたいな、そんなおようふくがきたいの。このおようふくもきらいじゃないんだけど、はたけではしってると、パンツがみえちゃうんだもの」
「そうや! しゃがみ込むとパンツが丸見えやないか! すまん、気付いてなかった!」
「もっと動きやすい服が欲しいのですね」
「おたんじょうびに、かってくれる?」
初めての娘のおねだりに、甘い父親たちに否やはなかった。
魔術学校が終わると、いそいそと帰り支度をするイサギに、ヨータが冷やかす。
「エドさんとデートか?」
「そんなもんや。ナホちゃんの服を買いに行くんや」
雪の日にナホを引き取ってから季節は春になって、イサギたちは4年生に進級していた。4年生からは専門課程に入るので、授業も難しくなるが、得意分野を選んでそれだけになるので、イサギにとっては毎日が仕事のための実践的な勉強になっていた。
「16歳でお父さんなんて早かね」
「もうすぐ17歳や」
「ナホちゃんも4歳でしょう。若いお父さんよね」
ナホのことは紹介していたので、ヨータもジュドーもマユリも可愛がってくれている。テンロウ領のエドヴァルドの両親には夏休みに、養父にはイサギとツムギの誕生日に紹介するべく、手紙で報告だけはしている。クリスティアンとツムギは何度も顔を見に来てくれていた。
「良いお父ちゃんになれるやろか」
「そうやって悩んでる時点で、良いお父さんだと思うっちゃけどね」
悪いお父さんは悩みもしない。
ジュドーに言われると、少しだけ安心して、イサギはマユリに活発な女の子のための服が売っている店を教えてもらった。
家に戻ると、エドヴァルドとナホが薬草畑から戻ってきて待っていてくれる。
「買いに行こか」
「ナホも、おかねがほしいの」
「自分で買いたいものがあるんですか?」
小銭を数枚握らせると、それを大事にポケットに入れて、ナホはエドヴァルドとイサギと子ども用の洋服店に行った。
ハーフパンツや動きやすいパンツ、フォーマルっぽいシャツやベスト、日除けのパーカーに、帽子を買って、一休みしていると、ナホが売り場の端の棚の前で立ち止まる。しばらく難しい顔で悩んで、何かを持ってお会計に並んでいた。背伸びしてお金を払って、戻ってきたナホが持っていたのは、包みボタンに葉っぱとてんとう虫の刺繍がされたクリップだった。
ネクタイピン代わりに使っても、前髪を止めてもよさそうなそれを、おずおずとイサギに差し出す。
「おたんじょうび……イサギおとうちゃんもごがつだってきいたから」
「俺にか?」
「エドおとうさんにもかいたかったけど、たりなかったの」
売り場の前でずっと悩んでいたのは、お金が足りないことだったのだろう。
感動で動けないイサギよりもスマートに、エドヴァルドがナホの手を引いて、包みボタンのクリップの売っている売り場に行った。指さすものを握らせて、お金も渡して、もう一度会計に行って戻ってくるのを待つ。
「エドおとうさんに、いつも、ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます」
嬉しそうに頬を染めて差し出された包みボタンには、青い花が刺繍されていた。
「ナホのおめめと、エドおとうさんのおめめと、おなじいろなの」
「ネモフィラですね。とても綺麗です」
「ネモフィラっていうおはななのね」
シャツの胸のポケットにボタンが見えるように挿したエドヴァルドと、前髪を止めるイサギ。
「今年のツムギさんのお誕生日お祝いは、ナホさんにも選ぶのを手伝ってもらった方が良さそうですね」
「せやな。センスがいいわぁ」
「がんばる!」
小さな拳を握ったナホを、イサギは抱き上げた。
新しい服を着てお屋敷の薬草畑に来たナホを見て、レンはしみじみと教えてくれた。
「カナエちゃんも、ああいう服持ってるんだけど、頻繁に着て洗うから、上げるなら綺麗なものをと思ったら、ときどきしか着てなかったワンピースばかりになったっちゃんね」
「カナエちゃんも、ワンピースで薬草畑に来んもんなぁ。気付かんかった俺らがあかんかった」
「父親の先輩だから、俺が教えれば……」
「タイミングって大事だと思うんですよ」
反省するレンとイサギに、エドヴァルドは大して気にしていない様子で言う。
「イサギさんがお父様の愛情に後から気付けたように、『欲しい』と口に出せるタイミングが来るまでは、こっちが与えても受け取るだけの気持ちの準備ができていないかもしれません。だから、ナホさんにとっては、これが最適だったのだと思います」
「さすがエドさんや」
「本当にエドさんは俺より年下なの? 人間出来すぎとらん?」
「気にしてるんで、言わないでください……面白みがないとか、真面目過ぎるとか、学生時代にたっぷりと言われてきましたよ」
珍しく苦い表情になったエドヴァルドに、イサギは驚く。面白みがないとか、真面目過ぎるとか言われるのを気にしているようだが、イサギにとって母親は狂っていて、父親は存在しないようなもので、従姉のサナは自分には暴力的で、エドヴァルドの理性的で穏やかな振る舞いにどれだけ安心して救われたか分からない。
「エドさんは、そこが良いんや。俺にとって世界は怖いもんやったけど、エドさんは絶対に感情でものを言わず、7歳の俺にも理性的に話をしてくれた」
結婚できない理由も、笑ったり嘲ったりすることなく、静かに語ってお断りしたエドヴァルドに、受け入れてもらえなかった悲しさで泣いてしまったけれど、決してエドヴァルドは理不尽ではなかった。母親の感情に振り回されて、ひとの顔色を見て、震えて生きてきたイサギにとって、甘えられて、拒否するときですら強い言葉を使わないエドヴァルドはイサギの救いだった。
「エドさんは幸せやね」
「そうなんですよ。本当に理解のある婚約者で」
真面目に言ったイサギの前で、笑み崩れてレンに惚気るエドヴァルドに、イサギは早く誕生日が来て欲しいと願っていた。
日々は過ぎ、一歩ずつでも着実に大人に近付いている。
二人とも男性で「お父さん」ではややこしいので、ナホはイサギとエドヴァルドをそう呼び分けることにした。引き取ってからすぐは、毎日ご飯が出てきて、領主の御屋敷にエドヴァルドが連れて行ってカナエと遊んだりマンドラゴラやポチやタマやぴーちゃんとあそんだりして、夜には毎晩お風呂に入れてもらえて、温かなお布団で眠れる生活に、ナホは感激していた。
カナエのお下がりでもらった服も大事に着て、文句もないようだった。
「あたらしいおようふくなんて、もったいない」
「カナエちゃんのは綺麗やけど、ナホちゃんの好きなのはないんか?」
「おくつやしたぎもかってもらったのに」
靴や下着はお下がりというわけにもいかなかったので新しく買いそろえたのを、ナホは気にしていた。
生まれは王都で、そこそこの富裕層だったが、魔女騒動で王都が荒れて、ナホの教育もままならないとセイリュウ領に引っ越そうと移動している途中で、両親は魔物に襲われたのだと、サナの調べで分かった。子どもがいたはずだが見つかっておらず、窃盗団はそこでナホを拾って、魔術の才能を見出し、悪用しようとしたのだろう。
王都の親戚に連絡は取ってみたものの、ナホを積極的に引き取りたがるものはいなかった。まずは成人しているエドヴァルドの養子にして、結婚後にイサギの養子にもなるように、イサギとエドヴァルドは正式な手続きを踏んで、ナホを引き取った。
「ナホちゃんは5月生まれやな。俺とツムギと同じや」
「イサギおとうちゃんと、ツムギさんとおなじ? おたんじょうび、おいわいしてもらえるの?」
「ケーキを焼きましょうね。それから、炊き込みご飯と、鶏肉のつみれ汁」
「おいしそう……」
たらりと涎を垂らすナホは、食べるのが好きで、薬草畑で遊ぶのが大好きな、普通の3歳の女の子だった。ただし、魔術の才能はエドヴァルド級にはあるらしい。
「攻撃よりも防御系だとは診断されましたが、育つにつれてどうなるか分かりませんし、やりたいことをしてくれたら嬉しいですね」
「マンドラゴラにも好かれてるから、友達みたいで可愛いなぁ」
ほっこりと親の気分になっているエドヴァルドとイサギに、もじもじとナホはカナエのお下がりのワンピースの裾を揉んでいた。言いたいことがあるのだろうと待っていると、意を決したように顔を上げて、口を開く。
「このおようふくも、きらいじゃないの。すきなのよ。きごこちがいいし、きれいだし……」
「違うお洋服が欲しいのですね」
「どんなんやろか、お父ちゃん、教えて欲しいわぁ」
「おズボンがいいの」
エドヴァルドやイサギのように、スカートではなくパンツを履きたい。それがナホの望みだった。
「ツムギさんみたいな、エドおとうさんみたいな、そんなおようふくがきたいの。このおようふくもきらいじゃないんだけど、はたけではしってると、パンツがみえちゃうんだもの」
「そうや! しゃがみ込むとパンツが丸見えやないか! すまん、気付いてなかった!」
「もっと動きやすい服が欲しいのですね」
「おたんじょうびに、かってくれる?」
初めての娘のおねだりに、甘い父親たちに否やはなかった。
魔術学校が終わると、いそいそと帰り支度をするイサギに、ヨータが冷やかす。
「エドさんとデートか?」
「そんなもんや。ナホちゃんの服を買いに行くんや」
雪の日にナホを引き取ってから季節は春になって、イサギたちは4年生に進級していた。4年生からは専門課程に入るので、授業も難しくなるが、得意分野を選んでそれだけになるので、イサギにとっては毎日が仕事のための実践的な勉強になっていた。
「16歳でお父さんなんて早かね」
「もうすぐ17歳や」
「ナホちゃんも4歳でしょう。若いお父さんよね」
ナホのことは紹介していたので、ヨータもジュドーもマユリも可愛がってくれている。テンロウ領のエドヴァルドの両親には夏休みに、養父にはイサギとツムギの誕生日に紹介するべく、手紙で報告だけはしている。クリスティアンとツムギは何度も顔を見に来てくれていた。
「良いお父ちゃんになれるやろか」
「そうやって悩んでる時点で、良いお父さんだと思うっちゃけどね」
悪いお父さんは悩みもしない。
ジュドーに言われると、少しだけ安心して、イサギはマユリに活発な女の子のための服が売っている店を教えてもらった。
家に戻ると、エドヴァルドとナホが薬草畑から戻ってきて待っていてくれる。
「買いに行こか」
「ナホも、おかねがほしいの」
「自分で買いたいものがあるんですか?」
小銭を数枚握らせると、それを大事にポケットに入れて、ナホはエドヴァルドとイサギと子ども用の洋服店に行った。
ハーフパンツや動きやすいパンツ、フォーマルっぽいシャツやベスト、日除けのパーカーに、帽子を買って、一休みしていると、ナホが売り場の端の棚の前で立ち止まる。しばらく難しい顔で悩んで、何かを持ってお会計に並んでいた。背伸びしてお金を払って、戻ってきたナホが持っていたのは、包みボタンに葉っぱとてんとう虫の刺繍がされたクリップだった。
ネクタイピン代わりに使っても、前髪を止めてもよさそうなそれを、おずおずとイサギに差し出す。
「おたんじょうび……イサギおとうちゃんもごがつだってきいたから」
「俺にか?」
「エドおとうさんにもかいたかったけど、たりなかったの」
売り場の前でずっと悩んでいたのは、お金が足りないことだったのだろう。
感動で動けないイサギよりもスマートに、エドヴァルドがナホの手を引いて、包みボタンのクリップの売っている売り場に行った。指さすものを握らせて、お金も渡して、もう一度会計に行って戻ってくるのを待つ。
「エドおとうさんに、いつも、ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございます」
嬉しそうに頬を染めて差し出された包みボタンには、青い花が刺繍されていた。
「ナホのおめめと、エドおとうさんのおめめと、おなじいろなの」
「ネモフィラですね。とても綺麗です」
「ネモフィラっていうおはななのね」
シャツの胸のポケットにボタンが見えるように挿したエドヴァルドと、前髪を止めるイサギ。
「今年のツムギさんのお誕生日お祝いは、ナホさんにも選ぶのを手伝ってもらった方が良さそうですね」
「せやな。センスがいいわぁ」
「がんばる!」
小さな拳を握ったナホを、イサギは抱き上げた。
新しい服を着てお屋敷の薬草畑に来たナホを見て、レンはしみじみと教えてくれた。
「カナエちゃんも、ああいう服持ってるんだけど、頻繁に着て洗うから、上げるなら綺麗なものをと思ったら、ときどきしか着てなかったワンピースばかりになったっちゃんね」
「カナエちゃんも、ワンピースで薬草畑に来んもんなぁ。気付かんかった俺らがあかんかった」
「父親の先輩だから、俺が教えれば……」
「タイミングって大事だと思うんですよ」
反省するレンとイサギに、エドヴァルドは大して気にしていない様子で言う。
「イサギさんがお父様の愛情に後から気付けたように、『欲しい』と口に出せるタイミングが来るまでは、こっちが与えても受け取るだけの気持ちの準備ができていないかもしれません。だから、ナホさんにとっては、これが最適だったのだと思います」
「さすがエドさんや」
「本当にエドさんは俺より年下なの? 人間出来すぎとらん?」
「気にしてるんで、言わないでください……面白みがないとか、真面目過ぎるとか、学生時代にたっぷりと言われてきましたよ」
珍しく苦い表情になったエドヴァルドに、イサギは驚く。面白みがないとか、真面目過ぎるとか言われるのを気にしているようだが、イサギにとって母親は狂っていて、父親は存在しないようなもので、従姉のサナは自分には暴力的で、エドヴァルドの理性的で穏やかな振る舞いにどれだけ安心して救われたか分からない。
「エドさんは、そこが良いんや。俺にとって世界は怖いもんやったけど、エドさんは絶対に感情でものを言わず、7歳の俺にも理性的に話をしてくれた」
結婚できない理由も、笑ったり嘲ったりすることなく、静かに語ってお断りしたエドヴァルドに、受け入れてもらえなかった悲しさで泣いてしまったけれど、決してエドヴァルドは理不尽ではなかった。母親の感情に振り回されて、ひとの顔色を見て、震えて生きてきたイサギにとって、甘えられて、拒否するときですら強い言葉を使わないエドヴァルドはイサギの救いだった。
「エドさんは幸せやね」
「そうなんですよ。本当に理解のある婚約者で」
真面目に言ったイサギの前で、笑み崩れてレンに惚気るエドヴァルドに、イサギは早く誕生日が来て欲しいと願っていた。
日々は過ぎ、一歩ずつでも着実に大人に近付いている。
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