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潔癖王子編
3.王子は美少女を探す
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ササラ王国の王子の潔癖症については、緘口令が布かれているものの、王宮の重鎮は誰もが知っていることだった。厨房では手袋とマスクの着用が徹底されて、給仕するものは口を開かず、料理や王子の口を付ける場所に直に指を触れないように手袋を着けさせられている。異国の要人との会見の間でも、王子のテーブルは分けられて、何も知らずに話しかけたものがいた場合には、唾液が飛んで入った可能性があるので、密やかにテーブルの上のものは全て取り換えられて来た。
話をするのも、椅子の距離が異様に離れていることに、これがササラ王国の風習なのだろうと異国の要人は理解を示してくれているが、実のところは王子の潔癖のため、喋る相手の唾液が飛んでこない、吐息が触れない位置にいられるようにするためだった。
その王子が、誕生日のガーデンパーティーから戻るや否や、湿った服も気にせずに、大臣に言い放ったのだ。
「異国の要人を滞在させる離れに、黒髪の可憐な少女がいるはずだ。その方の名前と素性をすぐに調べて来い」
可憐。
釣り書きを投げ捨てて、結婚を嫌がっていた王子の口から、相手への誉め言葉が出るなど、大臣は予想外過ぎて慌てた。
「隣国から、黒髪の女性は数名来ているはずです。全て呼び寄せましょう」
「本人以外に会いたくはない」
「いえ、会っていただかないと!」
結婚に乗り気ではなかった王子が、急に意欲を出している。普段ならば雨で濡れて湿った服を気にして、シャワーを浴びて着替えることにしか意識が向かないのに、それすらも忘れて、自分が白い手袋を外していることすらも気付いていない様子で、少女のことを騙り続ける。
「まだあどけない顔をしていた。急に口付けてしまったから、怖がらせてしまったのだろうか」
「口付けを!?」
他人の唾液が少しでも入った可能性があるだけで、お茶も取り換えさせる王子が、口付けまで交わした少女。大臣の目の色が変わった。
王子に想い人ができたということは、即座に女王にも報告されて、その人物の捜索が始まったのだった。
大広間に呼ばれて、着飾って膝を付いている女性たちに、距離をとった場所で椅子に腰かけたまま、一人一人顔を上げさせて、確認して行く。軍で訓練された王子の目は良いし、愛しい相手を見間違うはずがないのだが、どの女性もあの可憐な少女ではなかった。
「もっと髪の色が濃いのだ。夜の闇のような漆黒の髪に、漆黒の目で……あれは焦げ茶ではないか」
「そうはいっても、あの館に滞在している女性はこれで全員ですよ?」
「埒が明かない!」
まだ十代も半ばほどの幼さの抜けない少女だった。急に口付けられて、驚いて恥ずかしがって逃げてしまったのだろう。自分が王子と知れば拒むはずはないという根拠のない自信を持っていたが、あの少女は他に相手がいたのかもしれない。
婚約しているのならば、取り上げて結婚するわけにはいかないので、王子の御前に連れて来られるはずがない。
「女性が好きなら最初からそう仰ってくださいませ。若い女性から候補を選びましたものを」
「女性ではなく、あの少女が好きなのだ」
ソファで縮こまって震えていた姿が可憐だった。零した涙を舐めて、吸い取ってやりたかった。こんな気持ちになるのは、あの少女が運命だからに違いない。
オメガのように見えたが、あの少女のバース性はなんなのだろう。アルファとオメガならば運命の番と言って、出会った瞬間にお互いが運命だと分かる相手がいるというが、オメガ同士で運命の番があるとは聞いたことがなかった。
「もしかすると、ベータの少女なのかもしれない……部屋を貸してくれただけで、使用人だったのかもしれない……」
誰もが着飾って王子の目に留まるように参加したがるガーデンパーティーにも来ていなかった少女。一人であの離れの館に残って雑用をするように言われていたのかもしれない。
可能性はありすぎて、王子はバスルームに籠った少女の意思を尊重してしまったが、あのときにバスルームの扉をこじ開けて攫って来ればよかったと後悔した。
王子として次の国王になるべく生まれて、オメガだったのは計算外だったが、自分の好きなように生きて来た自覚はある。後悔などという苦い感情を味わったのは、これが初めてだった。
「あの者たちを、この場に残らせておけ。私が直接会いに行く」
部屋は分かっているのだから、自ら出向いて攫って来れば良い。名前も教えることを拒まれたが、こちらから名乗って、丁重に迎えれば、自分は王子なのだ、断られることはないだろう。
無根拠の自信を元に、要人のほとんどが大広間に集められて、人気の少なくなった離れの館に、王子は入って行った。一階の廊下の奥の部屋だというのは、入れてもらったので分かっている。
ノックをしようとした王子に、使用人が駆け寄って来た。
「恐れながら、この部屋の住人は、今、病に臥せっております。王子様にうつってはなりませぬので、お戻りください」
「病に!?」
病気だったから大広間に来られなかったのだ。
得心が行った王子は、「構わぬ」と使用人を退けて、部屋の中に入って行った。北側の部屋は、早春なのにひんやりと冷たく、どこか湿っぽい空気で満ちている。あの日は雨だったので気付かなかったが、こんな暗く寒い部屋に、少女はいたのか。
「眠っておるのか? 具合はどうだ?」
「あ……」
ベッドに近寄って布団の膨らみを撫でると、小さな声が聞こえて、ぎゅっとその人物が布団の中に頭まで隠してしまう。椅子を引き寄せてベッドの脇に座って、王子は少女が出て来てくれるのを待った。
小刻みに布団が揺れているのは、震えているのだろうか。
「私はそなたを怖がらせてしまったか?」
布団越しに撫でると、「ひぃっく」としゃくり上げる声が聞こえた。
「泣くほどに怖かったのか?」
頭まですっぽりとミノムシのように布団に丸まって、少女は顔も出してくれない。剥がしてしまうのは簡単だったが、それをすればますます怖がられそうで、王子は忍耐と唱えつつ、白い手袋を外した。他人の寝ている布団に触れるなど、これまでなら考えられなかったが、ここに入っているのがあの可憐な少女ならば、耐えられる。むしろ、伝わってくるぬくもりが心地よいくらいだった。
「手順を間違えたことを詫びさせて欲しい。私が身分を明らかにして、名乗るべきだった」
嗚咽の止まらない布団を撫でながら、王子は自らの名前を名乗った。
「私は、アレクサンテリ、この国の王子だ。そなたを、伴侶として迎えたいと思っておる」
この国では、王族は名前を明かされず、一人の場合は王子や王女、複数いる場合は第一王子、第二王子、第一王女、第二王女とだけ呼ばれる。名前を呼べるのは、私的な場所で家族と伴侶だけという習わしがあった。
名乗られて、驚いたのか少女が布団から顔を出した。
涙と洟でぐしゃぐしゃで、髪も乱れて、泣き腫らした目も頬も真っ赤だったが、それすらも愛おしく思える。ベッドサイドのティッシュをとって洟を拭いてやると、少女が震えながら首を振る。頭を動かす動作に合わせて、涙の粒が散った。
「いけません、僕は、あなたと結婚はできません」
「何故に?」
「僕は……王子様に相応しくありません!」
止まることなく流れ続ける涙に、抱き寄せて頬に、瞼に、王子は口付ける。
「そんなに泣くと、目が溶けてしまう」
「と、溶けません……僕は、王子様との結婚は……」
できませんと言わせる前に、王子は少女の細い顎を指先で掬った。口付けると、強張った体から力が抜けていくのが分かる。
真っ赤な顔で、こんなに美味しそうな蕩けた表情をして、食べてはいけないと言うなど、王子には信じられなかった。
「私が気に入らぬのか?」
「美しい方だと思います……僕の方が、あなたに相応しくないのです」
身分が低いのならばそのくらいのことはどうにでもする覚悟が王子にはあった。それでも、身分が低いことを理由に針の筵のように責め立てられると、この少女は恐れているのだろうか。
「私の全てでそなたを守ると誓おう」
「いけません……僕は、結婚できません」
分厚い胸を必死に押す抵抗すら、全く王子を動かすことができないどころか、小動物が肉食獣に食われないように抵抗しているようで、王子を燃え上がらせる。
これ以上この場にいれば、この少女の意に添わぬままに、自分のものにしてしまうかもしれない。
頬に口付けて、王子はその場を辞すことにした。
「ここにそなたがいるのは分かっておる。私の伴侶になる気が起きるまで、そなたの元に通おう」
それで気持ちを信じてもらえるのならば。
王子は少女の部屋を度々訪れるようになった。
話をするのも、椅子の距離が異様に離れていることに、これがササラ王国の風習なのだろうと異国の要人は理解を示してくれているが、実のところは王子の潔癖のため、喋る相手の唾液が飛んでこない、吐息が触れない位置にいられるようにするためだった。
その王子が、誕生日のガーデンパーティーから戻るや否や、湿った服も気にせずに、大臣に言い放ったのだ。
「異国の要人を滞在させる離れに、黒髪の可憐な少女がいるはずだ。その方の名前と素性をすぐに調べて来い」
可憐。
釣り書きを投げ捨てて、結婚を嫌がっていた王子の口から、相手への誉め言葉が出るなど、大臣は予想外過ぎて慌てた。
「隣国から、黒髪の女性は数名来ているはずです。全て呼び寄せましょう」
「本人以外に会いたくはない」
「いえ、会っていただかないと!」
結婚に乗り気ではなかった王子が、急に意欲を出している。普段ならば雨で濡れて湿った服を気にして、シャワーを浴びて着替えることにしか意識が向かないのに、それすらも忘れて、自分が白い手袋を外していることすらも気付いていない様子で、少女のことを騙り続ける。
「まだあどけない顔をしていた。急に口付けてしまったから、怖がらせてしまったのだろうか」
「口付けを!?」
他人の唾液が少しでも入った可能性があるだけで、お茶も取り換えさせる王子が、口付けまで交わした少女。大臣の目の色が変わった。
王子に想い人ができたということは、即座に女王にも報告されて、その人物の捜索が始まったのだった。
大広間に呼ばれて、着飾って膝を付いている女性たちに、距離をとった場所で椅子に腰かけたまま、一人一人顔を上げさせて、確認して行く。軍で訓練された王子の目は良いし、愛しい相手を見間違うはずがないのだが、どの女性もあの可憐な少女ではなかった。
「もっと髪の色が濃いのだ。夜の闇のような漆黒の髪に、漆黒の目で……あれは焦げ茶ではないか」
「そうはいっても、あの館に滞在している女性はこれで全員ですよ?」
「埒が明かない!」
まだ十代も半ばほどの幼さの抜けない少女だった。急に口付けられて、驚いて恥ずかしがって逃げてしまったのだろう。自分が王子と知れば拒むはずはないという根拠のない自信を持っていたが、あの少女は他に相手がいたのかもしれない。
婚約しているのならば、取り上げて結婚するわけにはいかないので、王子の御前に連れて来られるはずがない。
「女性が好きなら最初からそう仰ってくださいませ。若い女性から候補を選びましたものを」
「女性ではなく、あの少女が好きなのだ」
ソファで縮こまって震えていた姿が可憐だった。零した涙を舐めて、吸い取ってやりたかった。こんな気持ちになるのは、あの少女が運命だからに違いない。
オメガのように見えたが、あの少女のバース性はなんなのだろう。アルファとオメガならば運命の番と言って、出会った瞬間にお互いが運命だと分かる相手がいるというが、オメガ同士で運命の番があるとは聞いたことがなかった。
「もしかすると、ベータの少女なのかもしれない……部屋を貸してくれただけで、使用人だったのかもしれない……」
誰もが着飾って王子の目に留まるように参加したがるガーデンパーティーにも来ていなかった少女。一人であの離れの館に残って雑用をするように言われていたのかもしれない。
可能性はありすぎて、王子はバスルームに籠った少女の意思を尊重してしまったが、あのときにバスルームの扉をこじ開けて攫って来ればよかったと後悔した。
王子として次の国王になるべく生まれて、オメガだったのは計算外だったが、自分の好きなように生きて来た自覚はある。後悔などという苦い感情を味わったのは、これが初めてだった。
「あの者たちを、この場に残らせておけ。私が直接会いに行く」
部屋は分かっているのだから、自ら出向いて攫って来れば良い。名前も教えることを拒まれたが、こちらから名乗って、丁重に迎えれば、自分は王子なのだ、断られることはないだろう。
無根拠の自信を元に、要人のほとんどが大広間に集められて、人気の少なくなった離れの館に、王子は入って行った。一階の廊下の奥の部屋だというのは、入れてもらったので分かっている。
ノックをしようとした王子に、使用人が駆け寄って来た。
「恐れながら、この部屋の住人は、今、病に臥せっております。王子様にうつってはなりませぬので、お戻りください」
「病に!?」
病気だったから大広間に来られなかったのだ。
得心が行った王子は、「構わぬ」と使用人を退けて、部屋の中に入って行った。北側の部屋は、早春なのにひんやりと冷たく、どこか湿っぽい空気で満ちている。あの日は雨だったので気付かなかったが、こんな暗く寒い部屋に、少女はいたのか。
「眠っておるのか? 具合はどうだ?」
「あ……」
ベッドに近寄って布団の膨らみを撫でると、小さな声が聞こえて、ぎゅっとその人物が布団の中に頭まで隠してしまう。椅子を引き寄せてベッドの脇に座って、王子は少女が出て来てくれるのを待った。
小刻みに布団が揺れているのは、震えているのだろうか。
「私はそなたを怖がらせてしまったか?」
布団越しに撫でると、「ひぃっく」としゃくり上げる声が聞こえた。
「泣くほどに怖かったのか?」
頭まですっぽりとミノムシのように布団に丸まって、少女は顔も出してくれない。剥がしてしまうのは簡単だったが、それをすればますます怖がられそうで、王子は忍耐と唱えつつ、白い手袋を外した。他人の寝ている布団に触れるなど、これまでなら考えられなかったが、ここに入っているのがあの可憐な少女ならば、耐えられる。むしろ、伝わってくるぬくもりが心地よいくらいだった。
「手順を間違えたことを詫びさせて欲しい。私が身分を明らかにして、名乗るべきだった」
嗚咽の止まらない布団を撫でながら、王子は自らの名前を名乗った。
「私は、アレクサンテリ、この国の王子だ。そなたを、伴侶として迎えたいと思っておる」
この国では、王族は名前を明かされず、一人の場合は王子や王女、複数いる場合は第一王子、第二王子、第一王女、第二王女とだけ呼ばれる。名前を呼べるのは、私的な場所で家族と伴侶だけという習わしがあった。
名乗られて、驚いたのか少女が布団から顔を出した。
涙と洟でぐしゃぐしゃで、髪も乱れて、泣き腫らした目も頬も真っ赤だったが、それすらも愛おしく思える。ベッドサイドのティッシュをとって洟を拭いてやると、少女が震えながら首を振る。頭を動かす動作に合わせて、涙の粒が散った。
「いけません、僕は、あなたと結婚はできません」
「何故に?」
「僕は……王子様に相応しくありません!」
止まることなく流れ続ける涙に、抱き寄せて頬に、瞼に、王子は口付ける。
「そんなに泣くと、目が溶けてしまう」
「と、溶けません……僕は、王子様との結婚は……」
できませんと言わせる前に、王子は少女の細い顎を指先で掬った。口付けると、強張った体から力が抜けていくのが分かる。
真っ赤な顔で、こんなに美味しそうな蕩けた表情をして、食べてはいけないと言うなど、王子には信じられなかった。
「私が気に入らぬのか?」
「美しい方だと思います……僕の方が、あなたに相応しくないのです」
身分が低いのならばそのくらいのことはどうにでもする覚悟が王子にはあった。それでも、身分が低いことを理由に針の筵のように責め立てられると、この少女は恐れているのだろうか。
「私の全てでそなたを守ると誓おう」
「いけません……僕は、結婚できません」
分厚い胸を必死に押す抵抗すら、全く王子を動かすことができないどころか、小動物が肉食獣に食われないように抵抗しているようで、王子を燃え上がらせる。
これ以上この場にいれば、この少女の意に添わぬままに、自分のものにしてしまうかもしれない。
頬に口付けて、王子はその場を辞すことにした。
「ここにそなたがいるのは分かっておる。私の伴侶になる気が起きるまで、そなたの元に通おう」
それで気持ちを信じてもらえるのならば。
王子は少女の部屋を度々訪れるようになった。
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