魔女(男)さんとこねこ(虎)たんの日々。

秋月真鳥

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魔女(男)とこねこ(虎)たん 3

165.レオシュとアデーラの初夜

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 レオシュの18歳のお誕生日の祭典のことを、アデーラはほとんど覚えていない。それまでに毎日のようにレオシュに迫られていて、ついにその日が来てしまったのかという思いで胸はいっぱいで、レオシュが何を喋ったのかもよく分からない。

「レオシュ、ちゃんと挨拶できていた?」
「立派に挨拶してたよ」
「アデーラと結婚するってことも言ってたわ」

 祭典が終わってからルカーシュとダーシャに確認すると、レオシュは立派に挨拶をしていたし、アデーラと結婚することもアピールしていたようだ。
 離れの棟に戻るとテーブルの上に書置きがあった。
 エリシュカとブランカからのものだった。

『氷室に数日分の食事は入れているから、安心してね。レオシュお誕生日おめでとう』

 レオシュにとっては誕生日プレゼントなのだろうが、アデーラにとっては反応に困る代物でしかない。
 明日の朝アデーラが起きられなかったりしたら、ルカーシュにもダーシャにもレオシュとの間に何かあったことがバレてしまう。起きられたとしても、レオシュとの間に何かあったかはバレバレなのだが。

「レオシュはどうしてこんな風に育ってしまったんだろう」

 真顔になるアデーラにレオシュが小首を傾げている。

「ママは私のことが嫌い?」
「嫌いじゃないよ」
「それじゃ、なんでそんなに躊躇っているの?」

 問いかけられて、アデーラはため息を吐く。ルカーシュやダーシャやエリシュカやブランカ、それに国王陛下やヘルミーナやフベルトにまで、アデーラとレオシュの間に何が起きるかをはっきりと把握されているのが恥ずかしいのだと説明しても、レオシュは納得しないだろう。
 そもそも、アデーラはレオシュを受け入れるとは言っていない。

「レオシュ、私はレオシュとそういう関係には、まだならなくていいかなと思っている」

 正直な感想を口にした瞬間、レオシュの水色の目が潤んだ。涙をいっぱいに溜めて上目遣いに見られて、アデーラは狼狽えてしまう。

「私がこの日をどれだけ楽しみにしてきたか、ママには分からないの?」
「ルカーシュとダーシャも、ルカーシュが王立高等学校を卒業してから結婚したし、結婚もしないのにそういう行為だけするのはどうかと思うんだ」
「ママ……私、どれだけ我慢してきたか」

 ぼろぼろとレオシュの目から涙が零れてアデーラは慌てる。リビングにいたダーシャとルカーシュは、レオシュとアデーラの様子がおかしいことに気付いて、席を外してトマーシュを連れて二階の部屋に上がっていてくれた。

「私は、その……レオシュのことは可愛いけど、これが恋愛感情か分からないし、このままなし崩しに進んでしまっていいのか迷っている」
「ママ……私はこんなに愛しているのに」
「レオシュ、ごめんね」

 アデーラがレオシュを拒むつもりで謝った瞬間、レオシュが床に膝をついた。戸惑っているアデーラの前でレオシュは床に額を擦り付ける。

「ママ、お願い。ママを抱かせて!」
「えぇ!? ここで土下座しちゃう!?」
「お願い! ママが好き! ママとこうなる日をずっと夢見て来たんだ」

 ママのことを考えて自分で処理したとか、ママの夢を見て下着を汚したとか、泣きながら土下座で告白されて、アデーラはどうしていいのか分からなくなってしまった。とにかく、レオシュには泣き止んで欲しい。レオシュの涙を見ているとアデーラの胸がちくちくと痛む。
 手を差し出してレオシュを立たせると、レオシュがアデーラに抱き付いてくる。胸に顔を埋めてすんすんと泣いているレオシュに、アデーラは負けた。

「わ、分かった。先にシャワーを浴びてベッドで待っていて」
「い、いいの?」
「レオシュ、洟を拭いて」
「う、うん。ママ、じゃない、アデーラ、愛してる」

 洟を垂らして泣いていたレオシュの顔を拭いてやって、アデーラはバスルームに送り出した。シャワーを浴び終えたレオシュが三階のアデーラの寝室に入ったのを確認して、アデーラも三階のバスルームに入る。
 バスルームでアデーラはシャワーを手に固まっていた。
 男性同士の行為で使う場所は分かっている。交わる前にはそこを清潔にしておかなければいけないことも分かっている。
 双丘の狭間にシャワーを当てるが、アデーラは中まで洗うことができない。指で後孔を開こうとしても、そこに指を入れることに抵抗があって、固く閉じた後孔にお湯を入れることができない。
 これを終わらせなければレオシュと交わることはできないのだが、アデーラはシャワーヘッドを握り締めて何度も後ろにお湯を当てようとしては怖くてやめてしまう。
 魔女として生を受けて四十年近く、こんな場所を使うことは考えたこともなかった。実際にお湯を当てて洗おうとするとものすごく抵抗感がある。

「レオシュは待ってる……ちゃんと、しないと」

 必死にシャワーのお湯を当てて中を洗浄して、アデーラは長時間バスルームに籠っていたので逆上せたような感覚で寝室に行った。寝室のベッドの上にはレオシュがパジャマ姿で正座している。
 アデーラが来たのを見て、レオシュは表情を輝かせた。

「アデーラ……逃げてしまったのかと思った」

 逃げたかったけれど、レオシュの泣き顔と土下座姿が頭を過ってそんなことはできなかった。アデーラがベッドに腰かけると、レオシュがアデーラのパジャマに手をかける。
 慣れた様子でボタンを外していくレオシュに、アデーラは既視感を覚えた。
 眠っているアデーラのパジャマのボタンを外して、胸に吸い付いていたのは本当に寝ていたのだろうか。嬉々として脱がせていくレオシュに、アデーラは協力するように脱がされていく。
 パジャマのズボンと下着を脱がされるときには恥じらいに顔を逸らしたが、レオシュの手がアデーラの頬に添えられる。唇を重ねられて、アデーラは目を閉じた。
 レオシュの唇はアデーラの首筋に降りていき、胸に到達する。乳首を吸われて、アデーラはぞくりと身を震わせた。

「あっ……」
「アデーラ、ここ、感じるの?」
「そ、それは……ひぁっ!?」

 片方を吸われて軽く歯を立てられて、もう片方を指で摘ままれて、アデーラは体を震わせる。執拗に胸を弄って、揉んで、乳首を責めるレオシュに、アデーラは妙な感覚に囚われる。
 ずっとレオシュはアデーラの胸を吸ってきたが、そのせいでアデーラの乳首は敏感になっている気がする。吸うのを許さなければよかったのかもしれないが、泣かれるとアデーラはレオシュに何でも許してしまう。
 胸を押されてアデーラが首を傾げていると、レオシュが上目遣いにアデーラを見る。

「えっと、押し倒してるんだけどな」
「あ、そっか。私は押し倒されないといけないのか」
「うん、押し倒されて」

 お願いされてアデーラはベッドの上に身体を倒す。白い長めの髪がシーツの上に広がった。
 レオシュの唇は胸から下に下がっていく。
 小瓶を取り出したレオシュが、それの中身をとろりと手の平の上に落とした。滑るそれは潤滑剤のようだった。
 双丘の狭間に触れたレオシュが、声を上げる。

「ママ、じゃない、アデーラ、ここ、柔らかい」
「言わないで……」
「準備してくれたの?」

 問いかけられて詳しくそういう話はしたくなくてアデーラは顔を背ける。レオシュの表情が明るくなったのが見えた気がする。

「アデーラも、私と結ばれたかったんだね」

 微笑みながらレオシュがアデーラの後孔に指を入れてくる。潤滑剤を塗り込められて、指で中を擦られて、アデーラは何が何だか分からなくなってくる。

「あっ!? ひぁっ! あぁっ!」
「気持ちいいの? 私も、アデーラと気持ちよくなりたい」

 息を荒くしているレオシュがパジャマを脱ぎ捨てて、アデーラの後孔に中心の切っ先を宛がう。そのまま貫かれるかとアデーラが身構えていると、レオシュはなかなか入って来ない。

「あれ? 変だな。うまく、入らない……」

 潤滑剤で滑ってレオシュは上手くアデーラの中に入れられないでいる。

「入らない……入らないよぉ」

 焦っているのか泣き声の混じるレオシュにアデーラはレオシュの中心に手を宛がった。そのまま自分の中に導こうとした瞬間、ぴしゃりとアデーラの双丘が濡れる。

「出ちゃった……」
「え?」
「ママが触ったから、興奮しちゃって、出ちゃったぁ!」

 アデーラと呼んでいたはずなのに「ママ」に戻っているし、目からは涙がぼろぼろと零れている。洟も垂れて来そうなレオシュにアデーラは起き上がって、レオシュを抱き締める。

「泣かないでいいよ。もう一回、ね?」
「う、うん」

 泣きながら縋って来るレオシュが、可愛くて可愛くて堪らない。
 自信満々でアデーラを抱くと言っておきながら、失敗してしまったレオシュが可愛くて、アデーラは自分の感情に戸惑いつつ、レオシュが落ち着くまで裸で抱き合って背中を撫でていた。
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