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二章 ミカエル誕生
2.アンリエットの返事
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ラファエルお兄様のお誕生日のお茶会が終わった後、時刻は夕方になっていた。窓の外の日は傾いて、空が真っ赤に染まっている。
わたくしとお母様はお茶の時間を一緒に過ごした後で、お母様は赤ちゃんの産着を縫っていて、わたくしは春になって元の位置に戻ったテーブルに植物図鑑を乗せて、椅子に座って植物図鑑を見ていた。
植物図鑑は分厚くて立派なので、二歳の腕力では持っていられないので、わたくしはテーブルに置いて椅子に座って見るか、ローテーブルに置いてソファに座って見ることが多かった。
植物図鑑のパンジーのページを見ていると、お茶会を終えたラファエルお兄様がお茶会に出席したままのフロックコート姿でやってきた。
白い頬を薔薇色に染めて、金色の目は輝いている。
「セラフィナ、母上、アンリエット嬢が婚約を受け入れてくれました」
「本当ですか? よかったですね、ラファエル」
「おめめとごじゃまつ」
「婚約式はセラフィナの誕生日近くで、学園の二年生になる直前になりますが、アンリエット嬢を婚約できます」
万歳をせんばかりに喜んでいるラファエルお兄様に、わたくしもお尻から慎重に椅子を降りて、ラファエルお兄様に飛びつく。ラファエルお兄様はわたくしを抱き締めてくるくると回ってくれた。
「アルマンドール公爵夫妻には、わたしから話をしておいたが、最終的に決めるのはアンリエットだということは伝えていた」
少し遅れてきたお父様が笑顔でお母様に報告している。
ラファエルお兄様は最初に会ったときからアンリエット嬢のことを気にしていたし、学園に入学してからは特にアンリエット嬢と交友を持とうとしていたし、ずっと好きだったのだろう。
アンリエット嬢もラファエルお兄様に対して好感を持っていた様子だし、わたくしは二人が婚約できることをこの上なく嬉しく思っていた。
「ラファエルが婚約したら、ユリウスもアルベルトも遠慮なく婚約することができるな」
「ユリウスとアルベルトはわたしに遠慮していたのですか?」
「二人は従兄弟同士とはいえ、ラファエルの方が身分は上だ。ラファエルが婚約しなければユリウスもアルベルトも婚約できないだろう」
お父様の言葉に、わたくしはじっとお父様の顔を見つめてしまう。
アルベルト様が婚約するかもしれない。
そのことはおめでたいはずなのに、なぜか胸がもやもやする。
前世でクラリッサとして弟のように思っていたアルベルト様が取られるような気持になっているのかもしれない。
「アルベルトは婚約も結婚もしないと言っていましたよ」
「コンラートもそのことを心配していた。無理やりに婚約させるのは本意ではないと言っていた」
アルベルト様はまだ婚約をするつもりはない。
クラリッサの死を悼んで、その傷が癒えていない。
そのことはアルベルト様にとってよくないと分かっているのだが、わたくしはアルベルト様が婚約しないことについてなぜかほっとしていた。
「ユリウスは婚約したい相手がいるようだよ」
「そうなのですか!? 何も聞いていません!」
「学園でお茶の時間を一緒に過ごしているのではないか? ロズベルク侯爵家のレティシアだと聞いているよ」
「レティシア嬢!」
名前を聞いてラファエルお兄様は心当たりがあったようだ。
学園に入学した当初、アンリエット嬢はヴァレリア・セルフィナ嬢のお茶会のサロンに招かれていたようだが、ヴァレリア嬢がわたくしに対して「ブス」と言ったり、「オムツは臭くて汚い」とか「お漏らしをされたら嫌だ」とか言ったお茶会の件で、そのサロンを離れて、ラファエルお兄様のサロンに移動してきた。
ロズベルク侯爵家のレティシア嬢はそのときにアンリエット嬢が仲のいい令嬢を一緒に連れてくるように言われて、連れてきた令嬢なのだろう。
その方とユリウス様が密かに恋を育てていたのだったら、わたくしも応援するしかない。
ユリウス様はラファエルお兄様の学友で、わたくしとラファエルお兄様にとっては母方の従兄弟にあたるのだ。
ユリウス様のルクレール公爵家は、お母様の生家にあたる。ユリウス様はお母様の兄の子どもなのだ。
「ユリウスとレティシア嬢がそんな関係だったとは知りませんでした」
「まだそんな関係ではないようだよ。ユリウスは婚約を申し込めていないからね」
「ユリウスの片思いなのですか?」
「今のところはそうではないかな」
ユリウス様も片思いをしている。
公爵家の子息のユリウス様と侯爵家の令嬢のレティシア嬢は十分に釣り合いが取れるだろう。
ラファエルお兄様が十一歳で子ども部屋で勉強をしていた時期から知っているユリウス様が恋をしているのだと思うと感慨深い思いがする。
前世でわたくしは十五歳まで生きたが、恋愛沙汰には全く縁がなく、恋などしたことがないから、ラファエルお兄様が頬を薔薇色に染めて、金色の目を輝かせて部屋に戻って来たときに、これが恋する顔なのかとじっくりと見てしまった。
お父様とお母様も愛し合っているし、ラファエルお兄様もアンリエット嬢と想い合っている。こういう風に想い合う相手同士が幸せになれれば、この国も変わっていくのかもしれない。
お父様は言っていた。
会ったことのないお祖父様とお祖母様は政略結婚で結ばれて、夫婦仲は冷え切っていたと。
前世のクラリッサの両親も、政略結婚で、夫婦仲は冷え切っていた。
そのような結婚が夫婦を幸せにしないことは分かりきっている。
「おじいたま、おばあたま、どうちてるの?」
わたくしがお祖父様とお祖母様のことを聞けば、お父様は苦い表情になる。
「わたしが成人したら皇帝を退位して、父上は自分の想う相手と、母上は一人で別々に暮らしているよ。わたしとももう会いたくないようだ」
それで、わたくしはお祖父様にもお祖母様にも会ったことがなかったのか。
愛のない政略結婚で生まれたお父様に関しても、お祖父様とお祖母様は興味がないようだった。
「セラフィナにはそんな気持ちは味合わせないよ。セラフィナは好きな相手と……うぅ、セラフィナが結婚してしまうのを想像するだけでつらいな」
「ヘリオドール様、セラフィナを手放すのはまだまだ先です。そのときが来たら、快く送り出してあげましょう」
「できれば国内で。できれば宮殿から近いところで、毎日顔を会わせられる距離だといいな」
「大人になって結婚したセラフィナが毎日会うはずがないでしょう」
「それは寂しい」
わたくしを手放す日を想像するだけで苦しくなってしまうお父様に、お母様が苦笑している。
わたくしもお父様とお母様のそばを離れるのはまだ想像ができない。
前世でクラリッサとしてベルンハルト公爵家で働いていた記憶はあるのだが、わたくしの今の精神は二歳児の体に引っ張られて、お父様やお母様と離れることに不安を覚えるようになっていた。
「おとうたま、おかあたま、だいすち。わたくち、ずっと、いっと」
「ずっと一緒にいてくれるのかな、セラフィナ」
「ヘリオドール様、セラフィナが成人するまではわたくしたちが責任をもってセラフィナを育てなければいけません」
「かわいいセラフィナ。ずっとそばにいてほしいよ」
ラファエルお兄様の手からわたくしを抱きとって、お父様はわたくしに囁いていた。逞しい腕で抱き締められて、分厚い胸板に顔を埋めて、わたくしはしっかりとお父様にしがみ付く。
「おとうたま、おかあたま、だいすち」
「わたしもセラフィナが大好きだよ」
「わたくしもセラフィナが大好きですよ」
お父様とお母様に返されて、わたくしは幸福のままに頷いていた。
「わたしもセラフィナが大好きだよ。父上、セラフィナを抱っこさせてください」
「ラファエルはいつも抱っこできているではないか。わたしは時々しかできないのだ。今日くらいは譲りなさい」
「今日はわたしの誕生日ですよ」
「誕生日はめでたいが、それとこれとは話が別だ」
大好きなラファエルお兄様とお父様に取り合われて、わたくしは思わず両手を口元に持って行ってくすくすと笑ってしまった。わたくしの笑顔を見て、ラファエルお兄様もお父様もわたくしに蕩けるような笑顔を向けてきた。
わたくしとお母様はお茶の時間を一緒に過ごした後で、お母様は赤ちゃんの産着を縫っていて、わたくしは春になって元の位置に戻ったテーブルに植物図鑑を乗せて、椅子に座って植物図鑑を見ていた。
植物図鑑は分厚くて立派なので、二歳の腕力では持っていられないので、わたくしはテーブルに置いて椅子に座って見るか、ローテーブルに置いてソファに座って見ることが多かった。
植物図鑑のパンジーのページを見ていると、お茶会を終えたラファエルお兄様がお茶会に出席したままのフロックコート姿でやってきた。
白い頬を薔薇色に染めて、金色の目は輝いている。
「セラフィナ、母上、アンリエット嬢が婚約を受け入れてくれました」
「本当ですか? よかったですね、ラファエル」
「おめめとごじゃまつ」
「婚約式はセラフィナの誕生日近くで、学園の二年生になる直前になりますが、アンリエット嬢を婚約できます」
万歳をせんばかりに喜んでいるラファエルお兄様に、わたくしもお尻から慎重に椅子を降りて、ラファエルお兄様に飛びつく。ラファエルお兄様はわたくしを抱き締めてくるくると回ってくれた。
「アルマンドール公爵夫妻には、わたしから話をしておいたが、最終的に決めるのはアンリエットだということは伝えていた」
少し遅れてきたお父様が笑顔でお母様に報告している。
ラファエルお兄様は最初に会ったときからアンリエット嬢のことを気にしていたし、学園に入学してからは特にアンリエット嬢と交友を持とうとしていたし、ずっと好きだったのだろう。
アンリエット嬢もラファエルお兄様に対して好感を持っていた様子だし、わたくしは二人が婚約できることをこの上なく嬉しく思っていた。
「ラファエルが婚約したら、ユリウスもアルベルトも遠慮なく婚約することができるな」
「ユリウスとアルベルトはわたしに遠慮していたのですか?」
「二人は従兄弟同士とはいえ、ラファエルの方が身分は上だ。ラファエルが婚約しなければユリウスもアルベルトも婚約できないだろう」
お父様の言葉に、わたくしはじっとお父様の顔を見つめてしまう。
アルベルト様が婚約するかもしれない。
そのことはおめでたいはずなのに、なぜか胸がもやもやする。
前世でクラリッサとして弟のように思っていたアルベルト様が取られるような気持になっているのかもしれない。
「アルベルトは婚約も結婚もしないと言っていましたよ」
「コンラートもそのことを心配していた。無理やりに婚約させるのは本意ではないと言っていた」
アルベルト様はまだ婚約をするつもりはない。
クラリッサの死を悼んで、その傷が癒えていない。
そのことはアルベルト様にとってよくないと分かっているのだが、わたくしはアルベルト様が婚約しないことについてなぜかほっとしていた。
「ユリウスは婚約したい相手がいるようだよ」
「そうなのですか!? 何も聞いていません!」
「学園でお茶の時間を一緒に過ごしているのではないか? ロズベルク侯爵家のレティシアだと聞いているよ」
「レティシア嬢!」
名前を聞いてラファエルお兄様は心当たりがあったようだ。
学園に入学した当初、アンリエット嬢はヴァレリア・セルフィナ嬢のお茶会のサロンに招かれていたようだが、ヴァレリア嬢がわたくしに対して「ブス」と言ったり、「オムツは臭くて汚い」とか「お漏らしをされたら嫌だ」とか言ったお茶会の件で、そのサロンを離れて、ラファエルお兄様のサロンに移動してきた。
ロズベルク侯爵家のレティシア嬢はそのときにアンリエット嬢が仲のいい令嬢を一緒に連れてくるように言われて、連れてきた令嬢なのだろう。
その方とユリウス様が密かに恋を育てていたのだったら、わたくしも応援するしかない。
ユリウス様はラファエルお兄様の学友で、わたくしとラファエルお兄様にとっては母方の従兄弟にあたるのだ。
ユリウス様のルクレール公爵家は、お母様の生家にあたる。ユリウス様はお母様の兄の子どもなのだ。
「ユリウスとレティシア嬢がそんな関係だったとは知りませんでした」
「まだそんな関係ではないようだよ。ユリウスは婚約を申し込めていないからね」
「ユリウスの片思いなのですか?」
「今のところはそうではないかな」
ユリウス様も片思いをしている。
公爵家の子息のユリウス様と侯爵家の令嬢のレティシア嬢は十分に釣り合いが取れるだろう。
ラファエルお兄様が十一歳で子ども部屋で勉強をしていた時期から知っているユリウス様が恋をしているのだと思うと感慨深い思いがする。
前世でわたくしは十五歳まで生きたが、恋愛沙汰には全く縁がなく、恋などしたことがないから、ラファエルお兄様が頬を薔薇色に染めて、金色の目を輝かせて部屋に戻って来たときに、これが恋する顔なのかとじっくりと見てしまった。
お父様とお母様も愛し合っているし、ラファエルお兄様もアンリエット嬢と想い合っている。こういう風に想い合う相手同士が幸せになれれば、この国も変わっていくのかもしれない。
お父様は言っていた。
会ったことのないお祖父様とお祖母様は政略結婚で結ばれて、夫婦仲は冷え切っていたと。
前世のクラリッサの両親も、政略結婚で、夫婦仲は冷え切っていた。
そのような結婚が夫婦を幸せにしないことは分かりきっている。
「おじいたま、おばあたま、どうちてるの?」
わたくしがお祖父様とお祖母様のことを聞けば、お父様は苦い表情になる。
「わたしが成人したら皇帝を退位して、父上は自分の想う相手と、母上は一人で別々に暮らしているよ。わたしとももう会いたくないようだ」
それで、わたくしはお祖父様にもお祖母様にも会ったことがなかったのか。
愛のない政略結婚で生まれたお父様に関しても、お祖父様とお祖母様は興味がないようだった。
「セラフィナにはそんな気持ちは味合わせないよ。セラフィナは好きな相手と……うぅ、セラフィナが結婚してしまうのを想像するだけでつらいな」
「ヘリオドール様、セラフィナを手放すのはまだまだ先です。そのときが来たら、快く送り出してあげましょう」
「できれば国内で。できれば宮殿から近いところで、毎日顔を会わせられる距離だといいな」
「大人になって結婚したセラフィナが毎日会うはずがないでしょう」
「それは寂しい」
わたくしを手放す日を想像するだけで苦しくなってしまうお父様に、お母様が苦笑している。
わたくしもお父様とお母様のそばを離れるのはまだ想像ができない。
前世でクラリッサとしてベルンハルト公爵家で働いていた記憶はあるのだが、わたくしの今の精神は二歳児の体に引っ張られて、お父様やお母様と離れることに不安を覚えるようになっていた。
「おとうたま、おかあたま、だいすち。わたくち、ずっと、いっと」
「ずっと一緒にいてくれるのかな、セラフィナ」
「ヘリオドール様、セラフィナが成人するまではわたくしたちが責任をもってセラフィナを育てなければいけません」
「かわいいセラフィナ。ずっとそばにいてほしいよ」
ラファエルお兄様の手からわたくしを抱きとって、お父様はわたくしに囁いていた。逞しい腕で抱き締められて、分厚い胸板に顔を埋めて、わたくしはしっかりとお父様にしがみ付く。
「おとうたま、おかあたま、だいすち」
「わたしもセラフィナが大好きだよ」
「わたくしもセラフィナが大好きですよ」
お父様とお母様に返されて、わたくしは幸福のままに頷いていた。
「わたしもセラフィナが大好きだよ。父上、セラフィナを抱っこさせてください」
「ラファエルはいつも抱っこできているではないか。わたしは時々しかできないのだ。今日くらいは譲りなさい」
「今日はわたしの誕生日ですよ」
「誕生日はめでたいが、それとこれとは話が別だ」
大好きなラファエルお兄様とお父様に取り合われて、わたくしは思わず両手を口元に持って行ってくすくすと笑ってしまった。わたくしの笑顔を見て、ラファエルお兄様もお父様もわたくしに蕩けるような笑顔を向けてきた。
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