1 / 14
1 先輩の首を絞めた日
しおりを挟む
大阪市内の外れにあるラブホテルで。
私、日比谷光瑠は先輩のお腹に馬乗りになって両手で彼の首を絞めていた。
「っあ!! あ、あ、あああぁ……ああぁ……」
「あんたなんかに……あんたなんかに、私の……」
私が右手に強く力を込めると先輩は苦痛と快感に表情を歪めて、脂肪を蓄えて丸々とした頬に不規則なえくぼが浮かぶ。
彼のズボンを通じて嫌でも伝わってくる熱感に、私は形容できない気味の悪さを感じながら少しだけ両手の力を緩めた。
「あ、あ……はぁはぁ……日比谷先生っ……」
「もういいでしょう。お金は結構ですからこんなことはもうやめましょう。今日あったことは全部忘れて、それで……」
「忘れないよ……」
「っ……!!」
私が両手から力を抜いた瞬間に先輩は肥えた右手で私の白く細い左腕をつかみ、原初的恐怖に襲われた私は反射的に右手で先輩を殴りつけた。
「あはあっ!!」
「何するんですかこの変態! 死ねっ! あんたなんか今日ここで死ねっ!!」
「くっ、くうっ、ああああああああああああああ!!」
激昂した私はこれまでで最も強い力で先輩の首を絞めて、その瞬間に先輩は下半身を痙攣させた。
「な、何よこれ……こんなのって……」
「最高だった……日比谷先生、もっと、もっと僕を……」
「いやっ!! もう無理です、こんなのとても付き合ってられない!! 私帰りますからね!!」
「ま、待って……」
私は涙目になりながら先輩の肥満したお腹の上から立ち上がり、そのままラブホテルの部屋を出ようとする。
痙攣の余韻で動けなかったはずの先輩は私が立ち上がった瞬間に素早く私の右の足首を右手でつかみ、私は思わず転びそうになってしまう。
「日比谷先生、待って……」
「何ですか!? 私もう限界なんです、何であんたとこんな所でこんなことしなきゃいけないんですか!?」
「隠しカメラがある」
「っ……死ねっ!!」
私は先輩の言葉に再び恐怖すると右脚を振り上げて先輩の手を振り払い、そのまま彼の肥満した腰を何度も右足で蹴りつけた。
「消せ、消せっ!! 人前で見せびらかしたりしたら本当に殺しますから。今すぐ消してください!!」
「消さない!!」
「何でですか!?」
先輩は私に太った身体を蹴りつけられる度にあえぎ声を漏らし、私は今の状況の気持ち悪さに両目から涙を流しながら叫んだ。
「動画を消したら、日比谷先生はもう会ってくれない。動画さえ消さなければ、僕は何回でも日比谷先生にこうして貰える」
「消したってそれぐらいしてあげますよ!! お願いだから、どうか……」
「消さない!! 5万円!!」
先輩は子供が駄々をこねるようにして叫び返すと、ポケットの定期入れから雑に折り畳んだ紙幣を取り出した。
身体中を蹴られた痛みに唸りつつ、先輩はホテルの床をうつ伏せで這って私に5万円を差し出した。
「僕とこうやってデートしてくれたら、その度に君に5万円をあげる。悪い話じゃないはずだ」
「いっ、要りません、そんなお金……」
「だったらどうして会ったんだ、正体が誰かも分からないような男と!!」
「……」
私を床から見上げながらそう言った先輩の目には、確かな光が宿っていた。
「受け取れ。僕とここでこうした以上、君にはこれを受け取る義務がある」
「……っ!!」
私は先輩が差し出した5万円を奪い取るように右手でつかみ取り、そのままバッグの中の財布にしまい込んだ。
そして先輩を置き去りにしたまま私はラブホテルの部屋を出て、泣きながら阪急京都本線の大阪梅田駅へと走った。
先輩の名前は嶋田興大といって、私より4歳上の職場の先輩だった。
そして、私と先輩は同じ職場の同じ仕事で働く仲間だった。
これが、私がかつて夢見た「お医者さん」の生活だったのだろうか。
私、日比谷光瑠は先輩のお腹に馬乗りになって両手で彼の首を絞めていた。
「っあ!! あ、あ、あああぁ……ああぁ……」
「あんたなんかに……あんたなんかに、私の……」
私が右手に強く力を込めると先輩は苦痛と快感に表情を歪めて、脂肪を蓄えて丸々とした頬に不規則なえくぼが浮かぶ。
彼のズボンを通じて嫌でも伝わってくる熱感に、私は形容できない気味の悪さを感じながら少しだけ両手の力を緩めた。
「あ、あ……はぁはぁ……日比谷先生っ……」
「もういいでしょう。お金は結構ですからこんなことはもうやめましょう。今日あったことは全部忘れて、それで……」
「忘れないよ……」
「っ……!!」
私が両手から力を抜いた瞬間に先輩は肥えた右手で私の白く細い左腕をつかみ、原初的恐怖に襲われた私は反射的に右手で先輩を殴りつけた。
「あはあっ!!」
「何するんですかこの変態! 死ねっ! あんたなんか今日ここで死ねっ!!」
「くっ、くうっ、ああああああああああああああ!!」
激昂した私はこれまでで最も強い力で先輩の首を絞めて、その瞬間に先輩は下半身を痙攣させた。
「な、何よこれ……こんなのって……」
「最高だった……日比谷先生、もっと、もっと僕を……」
「いやっ!! もう無理です、こんなのとても付き合ってられない!! 私帰りますからね!!」
「ま、待って……」
私は涙目になりながら先輩の肥満したお腹の上から立ち上がり、そのままラブホテルの部屋を出ようとする。
痙攣の余韻で動けなかったはずの先輩は私が立ち上がった瞬間に素早く私の右の足首を右手でつかみ、私は思わず転びそうになってしまう。
「日比谷先生、待って……」
「何ですか!? 私もう限界なんです、何であんたとこんな所でこんなことしなきゃいけないんですか!?」
「隠しカメラがある」
「っ……死ねっ!!」
私は先輩の言葉に再び恐怖すると右脚を振り上げて先輩の手を振り払い、そのまま彼の肥満した腰を何度も右足で蹴りつけた。
「消せ、消せっ!! 人前で見せびらかしたりしたら本当に殺しますから。今すぐ消してください!!」
「消さない!!」
「何でですか!?」
先輩は私に太った身体を蹴りつけられる度にあえぎ声を漏らし、私は今の状況の気持ち悪さに両目から涙を流しながら叫んだ。
「動画を消したら、日比谷先生はもう会ってくれない。動画さえ消さなければ、僕は何回でも日比谷先生にこうして貰える」
「消したってそれぐらいしてあげますよ!! お願いだから、どうか……」
「消さない!! 5万円!!」
先輩は子供が駄々をこねるようにして叫び返すと、ポケットの定期入れから雑に折り畳んだ紙幣を取り出した。
身体中を蹴られた痛みに唸りつつ、先輩はホテルの床をうつ伏せで這って私に5万円を差し出した。
「僕とこうやってデートしてくれたら、その度に君に5万円をあげる。悪い話じゃないはずだ」
「いっ、要りません、そんなお金……」
「だったらどうして会ったんだ、正体が誰かも分からないような男と!!」
「……」
私を床から見上げながらそう言った先輩の目には、確かな光が宿っていた。
「受け取れ。僕とここでこうした以上、君にはこれを受け取る義務がある」
「……っ!!」
私は先輩が差し出した5万円を奪い取るように右手でつかみ取り、そのままバッグの中の財布にしまい込んだ。
そして先輩を置き去りにしたまま私はラブホテルの部屋を出て、泣きながら阪急京都本線の大阪梅田駅へと走った。
先輩の名前は嶋田興大といって、私より4歳上の職場の先輩だった。
そして、私と先輩は同じ職場の同じ仕事で働く仲間だった。
これが、私がかつて夢見た「お医者さん」の生活だったのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる