4 / 5
第4話 異世界転生×俺TUEEE×なんか違う
しおりを挟む
それはそれとして。
「やあ、久しぶりだな若人よ。『俺TUEEE』という人生は楽しかったか」
「楽しかったけど色々おかしいでしょ!」
異世界ケリュケイオンでの杖としての生涯を終えた俺は再び戦神オーディンの神殿に戻っていた。壊れた杖の姿では話しにくいからかここでの姿は転生直前の状態に戻っている。
「申し訳ございません、私たちは現代日本の専門用語に疎かったもので……」
懐かしの聖鳥であるフギンにそう言われたが、確かにあの時オーディンがすぐに納得し過ぎていたような気はしていた。
「今回は正しく生きたつもりなんですが、天国に行けますか?」
「もちろん可能だ。ケリュケイオンは実際に存在する世界で汝は勇者の武器として世界の危機を救ったのだから、十分すぎるほどに正しく人生を終えたと言えるだろう。杖に寿命という概念はないから今回は天寿を全うしたかどうかも関係ないぞ」
オーディンが満足そうに言うとフギンが注意事項を付け加えた。
「ただ、天国は何も苦しみがない世界ですがトラブルに相当することが何も起きないので退屈な世界ではあるのです。人間としての生涯を経験している者は不満を口にしがちで、中には再度人間に生まれ変わるために天国から出ていく者もいます」
「そうなんですか……」
「特に汝の直近の生涯は魔法とモンスターが存在する刺激的な異世界だ。これから退屈な毎日を過ごすのではかえって後悔するかも知れん」
杖として生きている時点では天国に行きたくてケリュケイオンを救った訳ではないし、オーディンとフギンの話を聞いた限りでは天国は必ずしも幸せではないようだ。
「では、俺はどうすれば?」
「天国の住民には人間に転生するという選択肢が無条件に与えられています。ただ、単なる住民には転生する権利しかなくこれといって条件は選べません。中には転生した結果悪人になってしまい、次の審判では地獄に落ちてしまう者もいます」
フギンの説明に驚いているとオーディンが続きを述べた。
「だが、汝はケリュケイオンでの生涯で善行を重ねているから天国に行かずにそのまま人間へと転生すれば前と同じく一つだけ望むものを与えることができる。しかも今回は地上界に戻れると分かった上で選べるのだ。何でも役に立つものを選ぶといい」
「なるほど」
オーディンの話を聞き、俺はしばらく考えてから答えた。
「分かりました。では、次の人生では俺にチート能力を下さい」
「チート能力? 本当にそれでいいのか」
「もちろんです。今回は魔法もモンスターも存在しない世界なんですからチート能力があれば完璧です」
「そうか、では早速転生に入ろう。神の恵みで幸せな人生を送ってくれ」
「ありがとうございます!」
オーディンが展開した魔法陣に引き込まれ、俺は再び地上界へと転生していった。
今回こそはチート能力で、楽で充実した人生を送るのだ。
「やあ、久しぶりだな若人よ。『俺TUEEE』という人生は楽しかったか」
「楽しかったけど色々おかしいでしょ!」
異世界ケリュケイオンでの杖としての生涯を終えた俺は再び戦神オーディンの神殿に戻っていた。壊れた杖の姿では話しにくいからかここでの姿は転生直前の状態に戻っている。
「申し訳ございません、私たちは現代日本の専門用語に疎かったもので……」
懐かしの聖鳥であるフギンにそう言われたが、確かにあの時オーディンがすぐに納得し過ぎていたような気はしていた。
「今回は正しく生きたつもりなんですが、天国に行けますか?」
「もちろん可能だ。ケリュケイオンは実際に存在する世界で汝は勇者の武器として世界の危機を救ったのだから、十分すぎるほどに正しく人生を終えたと言えるだろう。杖に寿命という概念はないから今回は天寿を全うしたかどうかも関係ないぞ」
オーディンが満足そうに言うとフギンが注意事項を付け加えた。
「ただ、天国は何も苦しみがない世界ですがトラブルに相当することが何も起きないので退屈な世界ではあるのです。人間としての生涯を経験している者は不満を口にしがちで、中には再度人間に生まれ変わるために天国から出ていく者もいます」
「そうなんですか……」
「特に汝の直近の生涯は魔法とモンスターが存在する刺激的な異世界だ。これから退屈な毎日を過ごすのではかえって後悔するかも知れん」
杖として生きている時点では天国に行きたくてケリュケイオンを救った訳ではないし、オーディンとフギンの話を聞いた限りでは天国は必ずしも幸せではないようだ。
「では、俺はどうすれば?」
「天国の住民には人間に転生するという選択肢が無条件に与えられています。ただ、単なる住民には転生する権利しかなくこれといって条件は選べません。中には転生した結果悪人になってしまい、次の審判では地獄に落ちてしまう者もいます」
フギンの説明に驚いているとオーディンが続きを述べた。
「だが、汝はケリュケイオンでの生涯で善行を重ねているから天国に行かずにそのまま人間へと転生すれば前と同じく一つだけ望むものを与えることができる。しかも今回は地上界に戻れると分かった上で選べるのだ。何でも役に立つものを選ぶといい」
「なるほど」
オーディンの話を聞き、俺はしばらく考えてから答えた。
「分かりました。では、次の人生では俺にチート能力を下さい」
「チート能力? 本当にそれでいいのか」
「もちろんです。今回は魔法もモンスターも存在しない世界なんですからチート能力があれば完璧です」
「そうか、では早速転生に入ろう。神の恵みで幸せな人生を送ってくれ」
「ありがとうございます!」
オーディンが展開した魔法陣に引き込まれ、俺は再び地上界へと転生していった。
今回こそはチート能力で、楽で充実した人生を送るのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた
季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】
気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。
手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!?
傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。
罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚!
人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる