4 / 4
最終話 VRクリエイターになんてなるんじゃなかった
しおりを挟む
VRクリエイターになんてなるんじゃなかった。
かつて人類の室内娯楽の究極系とも呼ばれたVRサービスだが、地球に異星人が襲来し、星間紛争を経て外宇宙との交流が始まるとその勢いは一気に衰えた。
異星人の宇宙船が放った妨害電波により地球上の無線LANはことごとく機能不全に陥り、その際にVRサービスを利用していた人々が廃人と化したことで一時期はVRサービスの利用そのものが禁止された。
異星人とのコミュニケーション手段の確立により紛争が終結し、地球人と異星人との間で平和的な交流が始まると、人類の芸術は新たな局面を迎えた。
人類が美しいと感じるイラストを異星人は理解できず、ヒトとは異なる生命体である異星人はVRという概念をそもそも理解できない。
人類と異星人が唯一共有できるのは文字を媒体としたコミュニケーションであり、この時代になって小説という文化は再び最もメジャーな室内娯楽となった。
異星人はヒトの美男子や美女のイラストを美しいと感じないが、「美しい人」という文字の意味する所は理解でき、今では地球人は異星人が書いた小説を楽しみ、異星人は地球の文化を描いた小説を楽しんでいる。
VRサービスが娯楽として機能し得なくなり、俺は慌てて小説を書いてみようとしたが、ひい爺さんの頃の文化を今から理解するのは至難の業だった。
VR制作会社が倒産してからというもの俺は未だに無職であり、親父や爺さんのように趣味でクリエイターをやっていた人たちが本当にうらやましい。
今は妻の稼ぎに支えられているが、小説を書こうとしている暇があれば仕事を探すべきだと俺もそろそろ気づいてしまった。
俺は人生で芸術家として大成できなかったが、もし息子がクリエイターになりたいと言い始めたら、その時は小説家になりなさいと助言してやろう。
(完)
かつて人類の室内娯楽の究極系とも呼ばれたVRサービスだが、地球に異星人が襲来し、星間紛争を経て外宇宙との交流が始まるとその勢いは一気に衰えた。
異星人の宇宙船が放った妨害電波により地球上の無線LANはことごとく機能不全に陥り、その際にVRサービスを利用していた人々が廃人と化したことで一時期はVRサービスの利用そのものが禁止された。
異星人とのコミュニケーション手段の確立により紛争が終結し、地球人と異星人との間で平和的な交流が始まると、人類の芸術は新たな局面を迎えた。
人類が美しいと感じるイラストを異星人は理解できず、ヒトとは異なる生命体である異星人はVRという概念をそもそも理解できない。
人類と異星人が唯一共有できるのは文字を媒体としたコミュニケーションであり、この時代になって小説という文化は再び最もメジャーな室内娯楽となった。
異星人はヒトの美男子や美女のイラストを美しいと感じないが、「美しい人」という文字の意味する所は理解でき、今では地球人は異星人が書いた小説を楽しみ、異星人は地球の文化を描いた小説を楽しんでいる。
VRサービスが娯楽として機能し得なくなり、俺は慌てて小説を書いてみようとしたが、ひい爺さんの頃の文化を今から理解するのは至難の業だった。
VR制作会社が倒産してからというもの俺は未だに無職であり、親父や爺さんのように趣味でクリエイターをやっていた人たちが本当にうらやましい。
今は妻の稼ぎに支えられているが、小説を書こうとしている暇があれば仕事を探すべきだと俺もそろそろ気づいてしまった。
俺は人生で芸術家として大成できなかったが、もし息子がクリエイターになりたいと言い始めたら、その時は小説家になりなさいと助言してやろう。
(完)
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる