たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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魔女と呼ばれる者①

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 カスケード領への奇襲を東の大国インテルシア魔導国では別視点から捉えていた。

「学院長、国家魔導士局からお手紙が届きました」

「エクレール先生、わざわざ届けてくださりありがとぉね」

「いえいえ、魔力で封をされていた物でしたので早めにお渡しした方がよろしいかと思いまして」

 魔力で封をされた特殊な手紙は、受取人の魔力でしか開けることのできない特殊な物。
 無理に開けようとすれば燃えてしまい灰も残らない。
 正規の受取相手なら指先の僅かな魔力で簡単に封は崩れ中の手紙が出てくる。

「いい歳だし、今回の悪い予感は勘違いであってほしかったんだけどね」

「学院長はまだまだお若いですよ」

「あらお上手フフフッ」

「生徒達には内緒にしてほしいのだけど、あたしは生まれつき空間魔法の適性が高かったせいでね、空間の歪みにとにかく敏感なのよ」

「空間魔法で学園長の右にでる者はいませんよ」

「そうであってほしいのだけど、今回の歪みは遠い場所で起きたことなのにも関わらず直ぐ分かったわ。それだけ強大で大地を飲み込むような力だったから……」

「それほどの力をもっているなんて」

「嫌になるわぁ、せっかく注いだお酒も飲めなくなるくらいよ」

「でも一体誰が?」

「そう、そこなのよ。誰かかもしれないし、何かかもしれない。自然現象であったとしても原因を調べないとね。だから国家魔導士にお手紙を書いたのよ」

「その返事なのですね」

 指でなでながら手紙にスッと目を通す。

「そうね、ミストちゃんが引き受けてくれたみたいでよかったわ。彼女とても優秀だから」

「ミストちゃんって、六大魔導士の1人ミスト・キャティ魔導士のことですか……?」

「あら、ご存知なのね」

「12歳で学院を卒業したので話題になりましたよ。この国の国民でしたら知らない方が不思議かと」

「あらら、有名人に頼んじゃ不味かったかしら、どうしましょ」

「私も含め、学院長の教え子でしたらいくつになっても皆同じですよ」

「ほんとねぇ~。あたしの時間だけ止めちゃおうかしら、そうすれば追いつかれますからね」

「あの冗談ですよね?」

「フフフッ」


 国家魔導局にはインテルシア魔導国が保有する魔道具の1つに空間の異常を検知する空間歪計があり、それが異常値を示したが計測不可能の領域に達していた為誤作動ということで処理されていた。

 しかし学院長からの手紙を受けた国家魔導局は事態を見直し緊急調査を行うにしたのだった。
 その調査の調査員を選ぶ過程で是が非でもと申し出たのが、インテルシア魔導国が誇る六大魔導士の1人ミスト・キャティだった。
 その申し出を断る理由などない魔導局は付き人を1人付け送りだす事にしたのだ。

「大魔導士様、今回付き人としてご一緒させていただく――」

「誰?」

「あ、あの、付き人のノマギと申します」

「……嫌」

「え、えーっと?」

「1人でいい。帰って」

「そのように仰られましても、これも学院長様からのお達しがありまして……」

「え?」

「その、『1人じゃ危ないから誰か付いていってあげて』と空間転移魔法を使用してわざわざそれだけを言うために魔導局にいらしゃいました」

「あのオババ。そんなことに大魔法使っちゃって」

「お言葉ですがとても美しい方でし――」

「昔からずっとオババ。何歳か分からない」

「それですと、いささか若作りが……あ、いえ何でもありません」

「でも、オババの言いつけなら我慢するわ」

「よろしくお願い致します。大魔導士様」

「大魔導士様はやめて」

「え、何か不満でも?」

「ミストでいい。誇り高い名前」

「承知いたしました。ミスト様とお呼びいたします」

「行くわよ。ノマヂ」

「ノマギでございます」
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