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顔を知る者①
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「ケーナ様、次期魔王、冒険者ケーナ、魔王様、次期魔王様、ケーナ殿、魔王ケーナ……」
机の上に重なる手紙。
「ギルマスー! 手紙がまた速達で4通きてますよー」
「そこ置いといてー」
「今日は寝てないんですね」
「貴族や王族からの手紙を無視できるほど肝が据わっていなくてねぇ」
「あ、そーいえばマナさん帰ってきてましたよ」
「やっと帰ってきてくれたか」
「がぁんばってくださいねー」
ギルドに届くケーナに関する手紙は、貴族や王族などから紹介してくれというものばかりだ。
ついこの間登録したばかりの駆け出し冒険者がいつの間にかバグラ国の次期魔王に大出世をしていたからだ。
直接、魔王に手紙を出せばいいものの、魔族と接点を持たない者がそんなことはできない。
頼りとなるのはケーナが活動拠点としているギルドということだ。
「俺だって良く知らないのに、紹介してくれって言われても無理にきまってるだろ」
「あら、愚痴をいう余裕はまだあるみたいね?」
「あ、おかえり、マナ。いや見てくれよこの手紙の量。全部ラブレターだぞ」
「本部でも一緒。ケーナについて質問攻めよ。随分モテてるのねケーナって子」
「そりゃな。人族なのに、次期魔王だからな。それにまだ12歳の娘となればほっとかないだろう。誘拐されるのも納得がいく」
「誘拐した貴族についてなんだけど、たいした貴族じゃないそうよ。領地も金も人脈もほぼ皆無。変態貴族とまで呼ばれていた男がどっから公式発表前の情報を手に入れたのか不思議ね」
「やっぱり何かと繋がっていた可能性があるわけか」
「そこも絞ってはいるみたいだけど、国と国の話になってるからギルドは首をツッコまない方がいいそうよ」
「ま、そんな事だろとは思ってたよ。それはそれとして、金庫のアレどうするって」
「それなんだけどね。金貨47000枚全部誰のだと思う?」
意味深な聞き方に悪寒が走る。
「ちょっと待て、そんな。なぁ。駆け出し冒険者が稼げる額じゃないぞ」
「あら、勘がいいのね。正解、モテモテケーナちゃんでしたぁ」
「いったいどこで……」
「送り主はあのカジノからだから、大当たりでもしたのかしら」
「額が額だからギルド預かりにしたわけか。運だけなら既に魔王級だな」
「持ち主も分かったから全部開けて確認して欲しいって、本部からの許可が出たわ」
「やっとか。レア級の召喚魔法結晶の数も確認したいからな」
「金貨が盗まれていた場合は、ヘッケンのお小遣いから毎月引いておくわね」
「え!!? それはいくらなんでも……」
「何をいっているの? 召喚魔法結晶が盗まれている方がもっと大変なのよ。お金で解決できるならいいじゃない」
「……あ、はい」
盗まれた原因がヘッケンに全く無いわけでもないので大人しく引き下がるしかなった。
「ギルマスーお客様来たよ!」
「誰だこんな忙しいと時に」
「あっ! しーーー」
取り次いだ受付嬢が慌ててギルマスの言葉に待ったをかける。
しかし、お客様とやらはドアのすぐそこまで来ていた。
「すまぬなヘッケン、忙しい時に突然訪ねてしまって」
現れたのは領主であるベンドラ・カスケードだった。
「い、いえ。全くもってそのようなことは」
汗が一気に吹き出す。
ヘッケンがあたふたしているのを見かねてマナが挨拶をする。
「お久しぶりでございます。ベンドラ様。妻のマナでござます。ウチの旦那の言葉の教育は私がしっかりとしておきますので、先ほどの言葉はお許しくださいませ」
「なぁに気にしていませんよ。しかしマナ殿は変わりませんな。いつ見てもお美しい。マナ殿の教育なら私も受けたいぐらいだ。ははは」
「ウフフフ……」
止まらない汗を拭いながら
「本日はどうなさいましたか?」
「ケーナという冒険者について聞きたくてな」
「知っていることであれば何でも」
ヘッケンは今まさに巷でホットな話題にあるケーナについて話した。
「そうか、ケーナという者も12歳の娘なのか」
「お屋敷に招くおつもりですか?」
「その者がうちのエーナに似ているという話を耳にしてな、気になっていたのだ」
「そうなのですか?」
「その話は入ってきてないのか。庭師のロットが言うには屋敷に幾人もの賞金稼ぎが現れたそうだ。その者たちの狙いは私の娘のエーナだったそうだ」
「エーナ嬢とケーナの名前を間違えたのでしょうか?」
「そうではないらしい。賞金稼ぎから聞き出したところ、エーナとケーナの顔が似ているらしく、次期魔王を狙うリスクよりも、エーナを連れさり騙して引き渡した方が簡単だと思ったそうだ」
「金さえ貰えればリスクの小さい方をと考えていたのでな。賞金稼ぎらしいといいますか」
「幸い、娘のエーナには何も被害は無かったのだが、賞金稼ぎが集まるほど似ていると言われると気になってな。ヘッケンなら何か知っているかと思って来てみたのだ」
「確かに冒険者ケーナを見たことがありますが結構前に一度だけなので、印象は目鼻立ちの整った子ぐらいだなとしか覚えていません。エーナ嬢のことも数年前に屋敷に招いていただいた時紹介してもらった以来なので、私では比較は難しかと」
ヘッケンには最初から期待はしていなかったのだろか、落胆するわけでもなく、内ポケットから大事そうに羊皮紙を取り出した。
机の上に重なる手紙。
「ギルマスー! 手紙がまた速達で4通きてますよー」
「そこ置いといてー」
「今日は寝てないんですね」
「貴族や王族からの手紙を無視できるほど肝が据わっていなくてねぇ」
「あ、そーいえばマナさん帰ってきてましたよ」
「やっと帰ってきてくれたか」
「がぁんばってくださいねー」
ギルドに届くケーナに関する手紙は、貴族や王族などから紹介してくれというものばかりだ。
ついこの間登録したばかりの駆け出し冒険者がいつの間にかバグラ国の次期魔王に大出世をしていたからだ。
直接、魔王に手紙を出せばいいものの、魔族と接点を持たない者がそんなことはできない。
頼りとなるのはケーナが活動拠点としているギルドということだ。
「俺だって良く知らないのに、紹介してくれって言われても無理にきまってるだろ」
「あら、愚痴をいう余裕はまだあるみたいね?」
「あ、おかえり、マナ。いや見てくれよこの手紙の量。全部ラブレターだぞ」
「本部でも一緒。ケーナについて質問攻めよ。随分モテてるのねケーナって子」
「そりゃな。人族なのに、次期魔王だからな。それにまだ12歳の娘となればほっとかないだろう。誘拐されるのも納得がいく」
「誘拐した貴族についてなんだけど、たいした貴族じゃないそうよ。領地も金も人脈もほぼ皆無。変態貴族とまで呼ばれていた男がどっから公式発表前の情報を手に入れたのか不思議ね」
「やっぱり何かと繋がっていた可能性があるわけか」
「そこも絞ってはいるみたいだけど、国と国の話になってるからギルドは首をツッコまない方がいいそうよ」
「ま、そんな事だろとは思ってたよ。それはそれとして、金庫のアレどうするって」
「それなんだけどね。金貨47000枚全部誰のだと思う?」
意味深な聞き方に悪寒が走る。
「ちょっと待て、そんな。なぁ。駆け出し冒険者が稼げる額じゃないぞ」
「あら、勘がいいのね。正解、モテモテケーナちゃんでしたぁ」
「いったいどこで……」
「送り主はあのカジノからだから、大当たりでもしたのかしら」
「額が額だからギルド預かりにしたわけか。運だけなら既に魔王級だな」
「持ち主も分かったから全部開けて確認して欲しいって、本部からの許可が出たわ」
「やっとか。レア級の召喚魔法結晶の数も確認したいからな」
「金貨が盗まれていた場合は、ヘッケンのお小遣いから毎月引いておくわね」
「え!!? それはいくらなんでも……」
「何をいっているの? 召喚魔法結晶が盗まれている方がもっと大変なのよ。お金で解決できるならいいじゃない」
「……あ、はい」
盗まれた原因がヘッケンに全く無いわけでもないので大人しく引き下がるしかなった。
「ギルマスーお客様来たよ!」
「誰だこんな忙しいと時に」
「あっ! しーーー」
取り次いだ受付嬢が慌ててギルマスの言葉に待ったをかける。
しかし、お客様とやらはドアのすぐそこまで来ていた。
「すまぬなヘッケン、忙しい時に突然訪ねてしまって」
現れたのは領主であるベンドラ・カスケードだった。
「い、いえ。全くもってそのようなことは」
汗が一気に吹き出す。
ヘッケンがあたふたしているのを見かねてマナが挨拶をする。
「お久しぶりでございます。ベンドラ様。妻のマナでござます。ウチの旦那の言葉の教育は私がしっかりとしておきますので、先ほどの言葉はお許しくださいませ」
「なぁに気にしていませんよ。しかしマナ殿は変わりませんな。いつ見てもお美しい。マナ殿の教育なら私も受けたいぐらいだ。ははは」
「ウフフフ……」
止まらない汗を拭いながら
「本日はどうなさいましたか?」
「ケーナという冒険者について聞きたくてな」
「知っていることであれば何でも」
ヘッケンは今まさに巷でホットな話題にあるケーナについて話した。
「そうか、ケーナという者も12歳の娘なのか」
「お屋敷に招くおつもりですか?」
「その者がうちのエーナに似ているという話を耳にしてな、気になっていたのだ」
「そうなのですか?」
「その話は入ってきてないのか。庭師のロットが言うには屋敷に幾人もの賞金稼ぎが現れたそうだ。その者たちの狙いは私の娘のエーナだったそうだ」
「エーナ嬢とケーナの名前を間違えたのでしょうか?」
「そうではないらしい。賞金稼ぎから聞き出したところ、エーナとケーナの顔が似ているらしく、次期魔王を狙うリスクよりも、エーナを連れさり騙して引き渡した方が簡単だと思ったそうだ」
「金さえ貰えればリスクの小さい方をと考えていたのでな。賞金稼ぎらしいといいますか」
「幸い、娘のエーナには何も被害は無かったのだが、賞金稼ぎが集まるほど似ていると言われると気になってな。ヘッケンなら何か知っているかと思って来てみたのだ」
「確かに冒険者ケーナを見たことがありますが結構前に一度だけなので、印象は目鼻立ちの整った子ぐらいだなとしか覚えていません。エーナ嬢のことも数年前に屋敷に招いていただいた時紹介してもらった以来なので、私では比較は難しかと」
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