213 / 221
未来の花嫁⑦
しおりを挟む
ケーナはトラントとの賭けについてハクレイやフランやクレアに話をしたが、心配の声しか返ってこなかった。
戦いにおいての強さについてはある程度理解していても、ギャンブルなどの運についてはほとんど知らなかったからだ。
「ほっんとーに大丈夫なのじゃな? ギャンブルとはいえ負けることは許さんのじゃ」
「わっちも不安がないと言えば嘘になりんす」
「ハクレイは……」
「もう、心配し過ぎ。大丈夫、大丈夫だから」
「策はあるのじゃな?」
「ゼンちゃんに協力してもらう!」
ゼンの名前でとりあえずは納得する一同。
「あのピカピカのスライムのことでありんすか? 一度だけ念話で話しただけど、彼奴は見どころありんすね」
「そうです。ハクレイの師匠でもあります!」
「強いし、賢いし、スライムにしておくのが勿体無いぐらいじゃ」
ゼンの名前で皆の表情が変わることにやや不満げなケーナだったが、実際に協力してもらう予定なので文句は言えない。
翌日は早朝からエーナの世界に入り、ゼンに協力を仰ぐ。
協力の内容としてはゼンに小さく分裂してもらいサイコロに変化してもらうのだ。
ケーナがサイコロを見せるとそれを真似て鏡面仕上げのようなピカピカのサイコロが出来上がる。
「向かい合う面の数を足して7になるようにして」
⦅上の面しか見ねぇんだろ? そこまで気にしてるやついるんかぁ?⦆
「いるとは思ってないけど念のためだよ」
⦅こんなの適当に転がすだけだろ?⦆
「あのね、私が普通のサイコロ振ると絶対に1の目が出ちゃうんだよね」
⦅絶対? 何度も振っても⦆
「何度やっても同じだよ」
⦅2個や3個はどうなるんだ?⦆
「1だけ出るの。必ずピンゾロ」
⦅ぴんぞろ?⦆
「1の目のゾロ目のこと」
⦅4個は?⦆
「ピンゾロだね」
⦅5個は?⦆
「ピンゾロだと思う」
⦅10個ぐらいでやってみろ。ぜってぇ揃わねーぞ⦆
ゼンはさらに分裂をして10個のサイコロとなる。
「……試してみるね」
両手の中でよくフリフリしてテーブルに転がした。
見事にというか、宣言通り10個のピンゾロが完成した。
⦅おめぇ、これは運がいいとか通り越して確率操作の領域だぞ!⦆
「確率操作スキルなんて使ってないよ。だから言ったじゃん、1の目しか出ないって」
⦅どうなってんだおめぇの運は!? 運の値は今いくつだ。⦆
「2000ぐらい?」
⦅は? え?⦆
「正確には2640……」
⦅あのな、運なんてのは強運と呼ばれる奴が20なんだぞ⦆
「そうだね。知ってる」
⦅それにだな運は生まれ持った数値でレベルアップで上がらねぇもんだ⦆
「それも、知ってる」
⦅アイテムでの上昇だって1か2で重複しねぇんだぞ⦆
「へー、それは知らなかったよ」
⦅それに運の勝負において、数値が1違えば勝率が1割変わると言われるぐらいなんだぞ⦆
「私の場合どうなるの」
⦅そりゃ、サイコロも何の目出していいのかわからなくなるわけだ⦆
「こんなんだからさ、たまには五分五分の勝負をしたいんだよ」
⦅でオラにたよったんか⦆
「出目を全部ランダムに出してほしい」
⦅適当に転がればいいんだろ? でもいいんか? それだと負けるかもしれねぇんだぞ⦆
「いいの。人生をかけたギャンブルなんて刺激的で燃えるじゃない」
⦅負けても、相手が金持ちならいいんじゃねーか!⦆
「んーまぁ、お金はあっても困らないからね」
⦅最初はお金集めに必死だったろ? おらをびじねすなんとかにして稼いでたじゃねーか⦆
「そんなときもあったわね、懐かしいねぇ」
⦅かわっちまったな⦆
「そんなことはいいから、自然と転がる練習しないとだよ。お礼はたくさんするからね」
⦅わかった、わかったよ。しゃーねーな。いっちょ手の上で転がってやるか!⦆
♦♦♦
トラントのもとに戻った勇者たちは報告を行う。
遊びに来るという話に有頂天になるトラントだったが、ウップウップでの出来事については半信半疑だった。
強さを垣間見た勇者たちは、ケーナをプロパガンダの女の子だと思う考え方を改めることこ強く訴えた。
「トラントさん! 薔薇姫のレベルは本当に魔王クラスだったっぺ」
「肩書きの話ではないんだべ」
「そんなに強いでの? 薔薇姫はお飾りでないんでの?」
「万が一の時におらたち全員で挑んでもトラントさんを守れる保証はないんさ」
「それほどでの……ますます気に入ったでの!!」
「相変わらずの恐れ知らずだっぺ」
「人生をチップとして賭け続けてきただけのことはあるべ」
「やっぱりこうなったんさ」
「女々しい女よりもパワフルな女のほうがすきでの!!」
「勝負はトラントさんの好きなナインホウルで全掛けだっぺ」
「いつものやつでの! なら早速先読みを使うでの!」
勇者たちは視線をトラントに向けて【運命の先読み】を発動させる。
「どうだったでの?」
「だめみたいなさ」
「膝をついてたんだっぺ。ありゃ負けたときの行動だっぺ」
「おらも同じだべ」
何も策を練らずに挑んだ場合は、トラントが負ける未来になることが決まっている状態。
「どうしたらいいだでの?」
「サイコロが変でなかったべか?」
「トラントさんが持つサイコロと違うっぺ」
「薔薇姫が持ち込んだサイコロかもしれねぇんさ」
「持ち込んだサイコロの使用を許して勝負でもしたんでの? だったらこちらのサイコロを使ってもらうんでの」
「こっちのサイコロを無理やり使わせるのも怪しく見えちまうっぺ」
「それなら薔薇姫とトラントさんが持ち寄ったサイコロを、見えない状態で選んでもらうとかの方が公平性があるべ」
「運上昇のアイテムも使ったらいいんさ」
「とりあえずその策を前提で明日また先読みしてもらうでの」
「そうすっぺ」
「そうだべ」
「そうなんさ」
そして翌日【運命の先読み】により見たトラント姿は、ガッツポーズの姿へと変わりサイコロもトラントが持つ普通のサイコロでの勝負へと変わっていた。
これに3人の勇者も一安心。
無事に婚姻までこぎつけることができたので、あとは当日を待つばかりとなった。
戦いにおいての強さについてはある程度理解していても、ギャンブルなどの運についてはほとんど知らなかったからだ。
「ほっんとーに大丈夫なのじゃな? ギャンブルとはいえ負けることは許さんのじゃ」
「わっちも不安がないと言えば嘘になりんす」
「ハクレイは……」
「もう、心配し過ぎ。大丈夫、大丈夫だから」
「策はあるのじゃな?」
「ゼンちゃんに協力してもらう!」
ゼンの名前でとりあえずは納得する一同。
「あのピカピカのスライムのことでありんすか? 一度だけ念話で話しただけど、彼奴は見どころありんすね」
「そうです。ハクレイの師匠でもあります!」
「強いし、賢いし、スライムにしておくのが勿体無いぐらいじゃ」
ゼンの名前で皆の表情が変わることにやや不満げなケーナだったが、実際に協力してもらう予定なので文句は言えない。
翌日は早朝からエーナの世界に入り、ゼンに協力を仰ぐ。
協力の内容としてはゼンに小さく分裂してもらいサイコロに変化してもらうのだ。
ケーナがサイコロを見せるとそれを真似て鏡面仕上げのようなピカピカのサイコロが出来上がる。
「向かい合う面の数を足して7になるようにして」
⦅上の面しか見ねぇんだろ? そこまで気にしてるやついるんかぁ?⦆
「いるとは思ってないけど念のためだよ」
⦅こんなの適当に転がすだけだろ?⦆
「あのね、私が普通のサイコロ振ると絶対に1の目が出ちゃうんだよね」
⦅絶対? 何度も振っても⦆
「何度やっても同じだよ」
⦅2個や3個はどうなるんだ?⦆
「1だけ出るの。必ずピンゾロ」
⦅ぴんぞろ?⦆
「1の目のゾロ目のこと」
⦅4個は?⦆
「ピンゾロだね」
⦅5個は?⦆
「ピンゾロだと思う」
⦅10個ぐらいでやってみろ。ぜってぇ揃わねーぞ⦆
ゼンはさらに分裂をして10個のサイコロとなる。
「……試してみるね」
両手の中でよくフリフリしてテーブルに転がした。
見事にというか、宣言通り10個のピンゾロが完成した。
⦅おめぇ、これは運がいいとか通り越して確率操作の領域だぞ!⦆
「確率操作スキルなんて使ってないよ。だから言ったじゃん、1の目しか出ないって」
⦅どうなってんだおめぇの運は!? 運の値は今いくつだ。⦆
「2000ぐらい?」
⦅は? え?⦆
「正確には2640……」
⦅あのな、運なんてのは強運と呼ばれる奴が20なんだぞ⦆
「そうだね。知ってる」
⦅それにだな運は生まれ持った数値でレベルアップで上がらねぇもんだ⦆
「それも、知ってる」
⦅アイテムでの上昇だって1か2で重複しねぇんだぞ⦆
「へー、それは知らなかったよ」
⦅それに運の勝負において、数値が1違えば勝率が1割変わると言われるぐらいなんだぞ⦆
「私の場合どうなるの」
⦅そりゃ、サイコロも何の目出していいのかわからなくなるわけだ⦆
「こんなんだからさ、たまには五分五分の勝負をしたいんだよ」
⦅でオラにたよったんか⦆
「出目を全部ランダムに出してほしい」
⦅適当に転がればいいんだろ? でもいいんか? それだと負けるかもしれねぇんだぞ⦆
「いいの。人生をかけたギャンブルなんて刺激的で燃えるじゃない」
⦅負けても、相手が金持ちならいいんじゃねーか!⦆
「んーまぁ、お金はあっても困らないからね」
⦅最初はお金集めに必死だったろ? おらをびじねすなんとかにして稼いでたじゃねーか⦆
「そんなときもあったわね、懐かしいねぇ」
⦅かわっちまったな⦆
「そんなことはいいから、自然と転がる練習しないとだよ。お礼はたくさんするからね」
⦅わかった、わかったよ。しゃーねーな。いっちょ手の上で転がってやるか!⦆
♦♦♦
トラントのもとに戻った勇者たちは報告を行う。
遊びに来るという話に有頂天になるトラントだったが、ウップウップでの出来事については半信半疑だった。
強さを垣間見た勇者たちは、ケーナをプロパガンダの女の子だと思う考え方を改めることこ強く訴えた。
「トラントさん! 薔薇姫のレベルは本当に魔王クラスだったっぺ」
「肩書きの話ではないんだべ」
「そんなに強いでの? 薔薇姫はお飾りでないんでの?」
「万が一の時におらたち全員で挑んでもトラントさんを守れる保証はないんさ」
「それほどでの……ますます気に入ったでの!!」
「相変わらずの恐れ知らずだっぺ」
「人生をチップとして賭け続けてきただけのことはあるべ」
「やっぱりこうなったんさ」
「女々しい女よりもパワフルな女のほうがすきでの!!」
「勝負はトラントさんの好きなナインホウルで全掛けだっぺ」
「いつものやつでの! なら早速先読みを使うでの!」
勇者たちは視線をトラントに向けて【運命の先読み】を発動させる。
「どうだったでの?」
「だめみたいなさ」
「膝をついてたんだっぺ。ありゃ負けたときの行動だっぺ」
「おらも同じだべ」
何も策を練らずに挑んだ場合は、トラントが負ける未来になることが決まっている状態。
「どうしたらいいだでの?」
「サイコロが変でなかったべか?」
「トラントさんが持つサイコロと違うっぺ」
「薔薇姫が持ち込んだサイコロかもしれねぇんさ」
「持ち込んだサイコロの使用を許して勝負でもしたんでの? だったらこちらのサイコロを使ってもらうんでの」
「こっちのサイコロを無理やり使わせるのも怪しく見えちまうっぺ」
「それなら薔薇姫とトラントさんが持ち寄ったサイコロを、見えない状態で選んでもらうとかの方が公平性があるべ」
「運上昇のアイテムも使ったらいいんさ」
「とりあえずその策を前提で明日また先読みしてもらうでの」
「そうすっぺ」
「そうだべ」
「そうなんさ」
そして翌日【運命の先読み】により見たトラント姿は、ガッツポーズの姿へと変わりサイコロもトラントが持つ普通のサイコロでの勝負へと変わっていた。
これに3人の勇者も一安心。
無事に婚姻までこぎつけることができたので、あとは当日を待つばかりとなった。
21
あなたにおすすめの小説
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
イジメられっ子世に憚る。
satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた
アイイロモンペ
ファンタジー
2020.9.6.完結いたしました。
2020.9.28. 追補を入れました。
2021.4. 2. 追補を追加しました。
人が精霊と袂を分かった世界。
魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。
幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。
ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。
人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。
そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。
オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる