たぶんコレが一番強いと思います!

しのだ

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未来の花嫁⑦

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 ケーナはトラントとの賭けについてハクレイやフランやクレアに話をしたが、心配の声しか返ってこなかった。

 戦いにおいての強さについてはある程度理解していても、ギャンブルなどの運についてはほとんど知らなかったからだ。

「ほっんとーに大丈夫なのじゃな? ギャンブルとはいえ負けることは許さんのじゃ」

「わっちも不安がないと言えば嘘になりんす」

「ハクレイは……」

「もう、心配し過ぎ。大丈夫、大丈夫だから」

「策はあるのじゃな?」

「ゼンちゃんに協力してもらう!」

 ゼンの名前でとりあえずは納得する一同。
 
「あのピカピカのスライムのことでありんすか? 一度だけ念話で話しただけど、彼奴は見どころありんすね」

「そうです。ハクレイの師匠でもあります!」

「強いし、賢いし、スライムにしておくのが勿体無いぐらいじゃ」

 ゼンの名前で皆の表情が変わることにやや不満げなケーナだったが、実際に協力してもらう予定なので文句は言えない。


 翌日は早朝からエーナの世界に入り、ゼンに協力を仰ぐ。
 
 協力の内容としてはゼンに小さく分裂してもらいサイコロに変化してもらうのだ。
 
 ケーナがサイコロを見せるとそれを真似て鏡面仕上げのようなピカピカのサイコロが出来上がる。

「向かい合う面の数を足して7になるようにして」

⦅上の面しか見ねぇんだろ? そこまで気にしてるやついるんかぁ?⦆

「いるとは思ってないけど念のためだよ」

⦅こんなの適当に転がすだけだろ?⦆

「あのね、私が普通のサイコロ振ると絶対に1の目が出ちゃうんだよね」

⦅絶対? 何度も振っても⦆

「何度やっても同じだよ」

⦅2個や3個はどうなるんだ?⦆

「1だけ出るの。必ずピンゾロ」

⦅ぴんぞろ?⦆

「1の目のゾロ目のこと」

⦅4個は?⦆

「ピンゾロだね」

⦅5個は?⦆

「ピンゾロだと思う」

⦅10個ぐらいでやってみろ。ぜってぇ揃わねーぞ⦆

 ゼンはさらに分裂をして10個のサイコロとなる。

「……試してみるね」

 両手の中でよくフリフリしてテーブルに転がした。

 見事にというか、宣言通り10個のピンゾロが完成した。

⦅おめぇ、これは運がいいとか通り越して確率操作の領域だぞ!⦆

「確率操作スキルなんて使ってないよ。だから言ったじゃん、1の目しか出ないって」

⦅どうなってんだおめぇの運は!? 運の値は今いくつだ。⦆

「2000ぐらい?」

⦅は? え?⦆

「正確には2640……」

⦅あのな、運なんてのは強運と呼ばれる奴が20なんだぞ⦆

「そうだね。知ってる」

⦅それにだな運は生まれ持った数値でレベルアップで上がらねぇもんだ⦆

「それも、知ってる」

⦅アイテムでの上昇だって1か2で重複しねぇんだぞ⦆

「へー、それは知らなかったよ」

⦅それに運の勝負において、数値が1違えば勝率が1割変わると言われるぐらいなんだぞ⦆

「私の場合どうなるの」

⦅そりゃ、サイコロも何の目出していいのかわからなくなるわけだ⦆

「こんなんだからさ、たまには五分五分の勝負をしたいんだよ」

⦅でオラにたよったんか⦆

「出目を全部ランダムに出してほしい」

⦅適当に転がればいいんだろ? でもいいんか? それだと負けるかもしれねぇんだぞ⦆

「いいの。人生をかけたギャンブルなんて刺激的で燃えるじゃない」

⦅負けても、相手が金持ちならいいんじゃねーか!⦆

「んーまぁ、お金はあっても困らないからね」

⦅最初はお金集めに必死だったろ? おらをびじねすなんとかにして稼いでたじゃねーか⦆

「そんなときもあったわね、懐かしいねぇ」

⦅かわっちまったな⦆

「そんなことはいいから、自然と転がる練習しないとだよ。お礼はたくさんするからね」

⦅わかった、わかったよ。しゃーねーな。いっちょ手の上で転がってやるか!⦆


♦♦♦


 トラントのもとに戻った勇者たちは報告を行う。
 遊びに来るという話に有頂天になるトラントだったが、ウップウップでの出来事については半信半疑だった。
 強さを垣間見た勇者たちは、ケーナをプロパガンダの女の子だと思う考え方を改めることこ強く訴えた。

「トラントさん! 薔薇姫のレベルは本当に魔王クラスだったっぺ」

「肩書きの話ではないんだべ」

「そんなに強いでの? 薔薇姫はお飾りでないんでの?」

「万が一の時におらたち全員で挑んでもトラントさんを守れる保証はないんさ」

「それほどでの……ますます気に入ったでの!!」

「相変わらずの恐れ知らずだっぺ」

「人生をチップとして賭け続けてきただけのことはあるべ」

「やっぱりこうなったんさ」

「女々しい女よりもパワフルな女のほうがすきでの!!」

「勝負はトラントさんの好きなナインホウルで全掛けだっぺ」

「いつものやつでの! なら早速先読みを使うでの!」

 勇者たちは視線をトラントに向けて【運命の先読み】を発動させる。

「どうだったでの?」

「だめみたいなさ」

「膝をついてたんだっぺ。ありゃ負けたときの行動だっぺ」

「おらも同じだべ」

 何も策を練らずに挑んだ場合は、トラントが負ける未来になることが決まっている状態。

「どうしたらいいだでの?」

「サイコロが変でなかったべか?」

「トラントさんが持つサイコロと違うっぺ」

「薔薇姫が持ち込んだサイコロかもしれねぇんさ」

「持ち込んだサイコロの使用を許して勝負でもしたんでの? だったらこちらのサイコロを使ってもらうんでの」

「こっちのサイコロを無理やり使わせるのも怪しく見えちまうっぺ」

「それなら薔薇姫とトラントさんが持ち寄ったサイコロを、見えない状態で選んでもらうとかの方が公平性があるべ」

「運上昇のアイテムも使ったらいいんさ」

「とりあえずその策を前提で明日また先読みしてもらうでの」

「そうすっぺ」
「そうだべ」
「そうなんさ」

 そして翌日【運命の先読み】により見たトラント姿は、ガッツポーズの姿へと変わりサイコロもトラントが持つ普通のサイコロでの勝負へと変わっていた。

 これに3人の勇者も一安心。
 無事に婚姻までこぎつけることができたので、あとは当日を待つばかりとなった。
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