冷遇された公爵子息に代わって自由に生きる

セイ

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4.家出

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夜、皆が寝静まった頃、俺は計画を遂行する為に静かに行動を始めた。
先ずは必要な荷物をアイテムボックスにしまい、目立たない服装に着替える。冒険者用の服を自分で作っておいた。全身真っ黒であれば目立たないだろう。
部屋の外に護衛がいないか確認する。丁度今護衛は部屋から離れているらしい…ラッキー。

次は窓から庭を確認。
部屋周辺の庭にも人はいない。
先ずは庭の見える範囲で転移。
そこから屋敷外に転移。
転移転移転移で街の入り口付近まで来た。
今の所バレてないようで追いかけてくる奴もいないし、順調に進んでる。
この時間に見た目が子供のような俺がが歩いてるのは不自然だからなるべく誰にも見つからず街の外に出たい。
近くに人がいないか確認する為に常に探知魔法は展開済。
その探知にかからず自分のすぐ後ろに人が現れた。
俺はすぐにその人物から距離を取ろうと思ったがそいつの方が一歩早く、腕を掴まれ動けなくなった。

「子供がこんな時間に何してる?」
「アンタに関係ないだろ、離してくれない?」
「…お前…」

闇にのまれた路地裏に月の光が入ってくるとそいつの顔が顕になった。
白に近いブロンドに宝石のサファイアのような綺麗な瞳に見つめられていた。
彼に見つめられていると心臓がバクバクといつもと違う動きをし始めた事に驚くが、それは相手も同じようだった。

「お前…俺の運命か…?」
「…運命?って何?」
「運命の番って事だ。何だ?お前番の事を何も知らないのか?」
「…知らない。自分の種族もつい最近知ったくらい…」
「お前名前は?」
「何で知らん奴に名前を教えなきゃいけないんだよ」
「そりゃ自分の運命の事だし。知りたいに決まってる」
「俺にとったら運命なんてよくわからないから知らなくて結構…」
「今目が合った瞬間なに何か感じなかったか?」
「……それは…」

何なんだコイツは…。距離感近すぎない!?
人と触れ合うのも久々過ぎてコイツの距離に戸惑ってしまう。

「俺はファイだ。お前の名前は?」
「…教えるが条件がある」
「…何だ?聞ける範囲なら何でも叶えてやるぞ?」
「…俺はこの街を出たい。誰にも知られずに。」
「何でこの街を出たいんだ?親は?」
「親から逃げたい。だからこっそり行動中なの。アンタみたいな派手な奴と一緒にいるとバレるリスクがあるからこの後は俺を見逃して欲しい」
「わかった。俺も一緒に着いてく」
「…はぁ…俺が言ったこと理解してる?」
「お前がこの街から逃げたいのはわかった。しかし、番と離れることはしない。だからお前がこの街から居なくなると言うなら俺も一緒にこの街から出る」
「だから派手でデカいアンタが一緒だと目立つんだって…」
「目立たなきゃいいんだろ?」

そう言った瞬間ファイの髪は黒く、肌は褐色に変わった。

「…それ魔法?誰でも出来るの?」
「魔力操作が得意なら簡単に出来るんじゃないか?」
「へぇ~…便利そう」
「お前はやるなよ?」
「何で…?」
「お前の綺麗な銀髪と瞳が変わるのは我慢ならない」

フードから見えていた俺の髪をすくい上げキスを落とすファイの行動にボッと顔が赤くなったことがわかった。

「…で、名前。教えて?」

髪に口づけしながら上目遣いで俺に問いかけるファイを直視出来ないのは、このキザな男に絆されかかっているからなのか。
ただ単に今までこんなに俺を求めてくれる人がいなかったからだろうか…。

わけのわからない感情を抱えながらファイに答える。

「俺はナルだ」

本名を言わなかったのは公爵家にいつバレるかわからないから。ファイには公爵家の事を話すつもりはないし、知られたくないと思った。

「ナル…ナルは何歳?成人前…だよな?」
「……確かに見た目成人前だけど俺は18歳だ。成人はしてる」

ファイは驚いた顔をしながらもニヤリと笑った顔はなんか悪どかった…。

「何その顔…」
「…いや?何でも。成人してるのは僥倖。俺も番を前に我慢は出来んからなぁ…」
「…?」

わけわかんない事をブツブツ言ってるファイは俺から離れると街の入り口を確認する。

俺はファイの背に隠れながら入り口を確認する。

「入り口の門には衛兵が数人常にいるし通るには身分証が必要だぞ?持ってるのか?」

そんなモノが必要なのか…。いや、身分証を持っててもナサニエルの名前だと出れないだろう…。

「身分証なんて持ってないし、入り口正面から出る気はない」
「…どうやって出る気だったんだ?」
「…はぁ…俺のスキルで出る気だった。誰にも教える気はなかったんだけど」
「これから一緒に行動するんだから知ってた方が都合いいだろ?」

俺は入り口から離れた路地裏まで移動した。

「おい…こんな所まで来てどうするんだ?運び屋か何かと約束でもしてるのか?」
「運び屋?何で運び屋?」
「お前くらいのサイズなら運び屋に荷物として運び出して貰うのかと…」
「…俺が小さいって言いたいの?」
「あ…いや…すまん…」

俺がギロリと睨みつけると慌てて謝るファイ。

「これから移動するけど誰にも言うなよ?」

そう忠告してから俺はファイにしがみついた。
人と一緒に転移した事ないから念には念を入れてくっつきながら転移をしてみようと思う。

ファイをチラリと見てみると顔を真っ赤にしながら固まってた。

「…どうしたのファイ」
「え…あ…ナルが急に抱きつくからびっくりした…」

なんか幸せそうに俺を抱きしめ返してくるファイをよそに俺はここから見える城壁へ視線を移す。

上手く行きますように…。

魔力を高めてスキルを発動させると城壁の上へと移動した。
すかさず外の森の中へと視線を向け転移をした。
これで外に出れた…。

俺は自由だ!!

「…ナル…これは転移魔法か…?時空魔法なんてそんなレア…マジ…?」

転移を経験したファイは呆気にとられた顔をしていた。

「内緒にしてね?」
「あ…あぁ…」

俺はこの苦しいかった場所からやっとナサニエルを連れ出せたことが嬉しすぎてファイに抱きつきながらニコニコ笑っていた。

それを見てファイが悶えている事は知る由もなかった。









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