冷遇された公爵子息に代わって自由に生きる

セイ

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17.空の旅

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カルラに乗ったファイに手を引かれ上に乗る。
カルラの羽根はとてもふわふわしていてずっと乗っててもお尻は痛くならなさそう。
ふわふわが気持ちよくて思わず撫で回して顔を寄せてしまった。

「ナル…お前他の男に頬擦りすんじゃないよ…」
「ふぇ…?他の男…?」
「カルラだってこう見えて雄なんだぞ」
「…あ…ごめんさない」

こういうのも気をつけないとファイに嫌われちゃう…。

「ナル寒くないか…?」
「ん、大丈夫。ファイが抱きしめててくれるから温かいよ…」
「落ちないようにしっかり捕まっておけよ?」
「はぁ~い」
「…お前らイチャイチャするのいいけど俺達も一緒に乗ってんの忘れんなよ…」

空から見る世界はとても広くて、俺はとても小さい世界にいたんだと改めて思った。

「王都はどっち?」
「あっちだ。その西の方に俺の村がある。落ち着いたら村へ帰ろう。家族にお前を紹介したい…」
「!!紹介してくれるの?」
「何言ってんだ。当たり前だろう。お前は俺の番で家族なんだ」
「…嬉しい」

ちゅっと頬にキスしてくれる。
この行為もやっと慣れてきた。
俺からするのはまだちょっと恥ずかしくて出来てないけど…。
その代わりぎゅっと抱きついた。

「ファイ。少し先の山にメタルリザードが溜まっとるぞ?」
「ん?この先って廃鉱山があるところか?あそこは綺麗に掃除したハズだけど…。」
「また湧いたみたいだな。どうする?」
「コーガ!!メタルリザードが廃鉱山のとこに湧いてるけどやるか?」
「やるやる!!俺がやる!!」
「了解。カルラ向かってくれ」
「メタルリザードって強いの?」
「メタルリザード自体はそこまでじゃないけどたまに混ざってミスリルリザードがいるんだよ。ミスリルリザードはミスリル鉱石をたんまり食ったメタルリザードの進化後ってやつなんだが、ミスリルリザードは魔法が通らないから少し面倒なんだ。サイールでも手こずる。俺も倒せるけど魔法が効かない魔獣は物理特化のコーガが一番効率いいんだ。ミスリルも手に入っていい素材なんだけどな。面倒…」
「俺も戦いたい!一人でミスリルリザード討伐したーい!!」
「聞いてた?魔法通り辛いんだって」
「通るまで魔法浴びせちゃえばいいんでしょ?」
「お前は今日は魔力充填日だから使うなって朝言ったよな?」
「聞いたけど…次いつ討伐出来るかわかんないじゃん。どのくらいで倒せるか知りたいもん」
「魔法で倒す時は傷口から魔法を当てる戦い方も出来るから魔法の最大火力は必要ないんだよ」
「それじゃつまんない」
「…ナルもそこそこ脳筋だな…はぁ…倒れるまでは使うなよ?魔力なくなる前に辞めるように」
「やったー!!ありがと、ファイ!!」

こういう難易度の高いやつやってみたかったんだよね!
楽しめそう!!

「番には甘いな…ファイ」
「っぐ…仕方ないだろ…あんなキラキラした笑顔で言われちゃ…」
「じゃあ俺はコーガのファイとルトラはナル君のサポートかな?」
「よろしく頼む…」

わくわくしながら廃鉱山へ着くと鉱山の入り口からメタルリザードが大量に出てきていた。

「わぁ~…いっぱいいるね…」
「ナルはミスリルリザードのみやれメタルリザードはコーガが片付ける」
「わかった」
「了解」
「コーガに身体強化かけるよ~」
「よろしく」
「俺とルトラはミスリルリザードの動きを止めるからその後ナルよろしくな」
「うんっ!!」
「ナル君~自分の魔力量は常に把握して倒れないように使うんだよ~」
「わかりました師匠!!」
「よし。じゃあ掃除開始だ」

コーガさんが単独でメタルリザードへ走っていく。
難なくメタルリザードを蹴散らしていくのは圧巻だ…。
コーガさんの取り零しはその後ろでサイールさんが倒していく。
皆慣れてるなぁ流石Sランクパーティー。

「あ、ミスリルリザードが入り口から出てきた」
「よし、ルトラ行くぞ」
「了解」

ルトラはミスリルリザードへ近づくと自分へのヘイトを買いながらファイの方へと連れて行く。ファイは魔法で罠を張っていたのかその場所にミスリルリザードが入った瞬間麻痺状態になって動けなくなっていた。

「よし、ナル準備は出来たぞ。思いっきりやれ!!」

よし、全体的に通すには雷が一番いいかなぁ…?
素材が吹っ飛ばないように気をつけなきゃ…。

「サンダーボルト」

そう唱えると紫色の雷鎚がミスリルリザードへ落ちていく。
俺は一点集中で落とし続けるとボコッとミスリルリザードの身体に穴が開いたと同時に焼け死んだ。

ふむ…こんなもんか…。
魔力量も特に問題はない。まだまだ残ってるし、もう2~3匹出ても大丈夫そう。

「呆気なく終わったねぇ…。ナル君体調は大丈夫そ?」
「あ、ルトラ君ありがと!大丈夫だよ~!!」
「ナル君魔力量はどのくらい残ってる?」
「2/3は残ってますよ。まだやれそうです」
「いや、もう今日はやらせないけど…。今のは全力?」
「全力…でやったら素材残らなさそうだと思って抑えちゃいました」
「…抑えてあの威力かぁ…」
「お疲れナル。よくやった。もし命の危険がありそうな時は全力で使えよ?」
「わかった」

頭を撫でて褒められるのは嬉しい。
ファイに褒められるのはもっと嬉しい。

そんな俺の魔法の試し撃ちで廃鉱山は綺麗に掃除されたのでした。

「お前ら素材回収だ。ナルはアイテムボックスに剥ぎ取った素材をどんどん入れてくれ」
「は~い」
「暫く金に困らないな…」
「酒!!酒飲むぞ~!!」
「魔導具買いたい」
「お菓子食べに行くぅ~」
「ナルは欲しいものあるか?」
「ん?俺?今は特にないかなぁ…」
「ナル君は無欲だねぇ~…」
「欲しいものあったら言えよ?何でも買ってやるからな?報酬も皆で山分けだから自分で欲しいもの買いに行ってもいいし」

俺は無欲なんかじゃないと思う。
だだそれはお金で買えないだけで。

俺は皆とずっとこうやって居られればいいだけなんだよね…。









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