冷遇された公爵子息に代わって自由に生きる

セイ

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22.わからせ

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地下訓練場は観客席もあってコロッセオみたいな感じ。
見世物みたいでちょっと嫌な感じはするけど、今回は皆に見せるのが目的だから我慢する。

文句を言ってた男の他に数人の男女が待っていた。

「…すっごい殺る気満々…」

こんだけ殺る気満々で来るなら俺も手加減無しで行けるねぇ…。罪悪感ゼロで安心安心。

「この試合はギルマスである俺が審判を務めてやる。殺したら失格。負けを認めた相手に攻撃するのも失格。場外に落ちた時と気絶した時、負けを認めた場合は終わり。いいな?」
「俺は大丈夫です」
「ぜってぇ負けを認めさせてやる…!!」

ファイは腕組みしながら微笑んで俺を見てくれてる。
俺は自分の価値を示すために、ファイの横にいる為に全力で勝つ!!

「開始!!」

まずは身体強化+結界。師匠お墨付きの硬い防御魔法。
まずは自分を全力で守りなさいと師匠から教わった魔法だ。
相手はバカみたいに攻撃してくるけど1ミリも通せやしない。
俺は結界の中から攻撃魔法を繰り出す。

「アイスランス」

いくつもの氷の刃を空中に出し、相手に向けて発射する。
大量の刃と発射速度はピカイチと師匠に褒めて貰えたんだ♪
相手は防御する暇もなく攻撃を受けてしまっている。
…これで冒険者やってるの?弱くない?

「…弱っ…」
「クソガキ!!そんなもんで守られてないと攻撃も出来ねえのかよっ!!」

…かっちーん…。
ふむ。では遠慮なく攻撃しましょうか。

「あ、ナル君がキレた…」
「避難だ避難…」

俺は結界を消すと同時に防御結界を身体に纏わせるように起動させる。これも師匠から褒められた。
結界を自由自在に形を変えるのは至難の技らしい。纏わせるのも魔力操作が大事だし、維持するのも難しいみたい。
防御魔法を身体に纏わせるっていう事を考える事もないらしいよ。便利なのに…。

続けてアイスランスを2倍出す。
これだけ出せば逃げる隙はないだろう。

と、思ってたけどなる程。文句言うだけある。あの男だけ防御が崩れなかったらしい…まだ立っていた。

「ふぅ~ん…言うだけあるね?頑張ってるみたいだけどそんなボロボロでどうやって俺に勝つの?」
「ぐ…クソガキ…まだ終わってねぇぞ…」

俺が男に視線を向けている間に仲間が俺の死角に移動してたらしい。剣の切っ先が俺の背後を襲ってきた。

けど、全身防御を纏っている俺には効かないよ。
見えない防御膜にびっくりしてる一瞬の内に俺は回し蹴りで後ろの男を床に沈めた。

「!!お前…格闘も出来んのかよ…!!」
「ファイたちには色々やらされてるからね?何なら魔法じゃなくあんたの得意そうな武器使ってやろうか?魔法飛ばして来ないってことはアンタ近接戦闘の方が得意なんじゃない?」

この世界の人間はとてもわかりやすい。
ファイみたいに武器と魔法を上手く合わせて使う人もいるみたいだけど大体はどちらかに偏るみたいだ。
相手の男もわかりやすくデカい大剣持ってるし。
俺はどちらも使えるから隙を作りやすくする為に武器はアイテムボックスに締まってある。

ん~…普段は切れ味抜群の刀を使ってるけど…今日はこっちかな。
俺の1.5倍はあるウォーハンマーを出した。
馬鹿でかくて殺傷能力が低いけどこの試合には丁度いいでしょ。

「…!!お前そんなモン出して使えるのかよ…!!」
「勿論使えるから出したに決まってんじゃん。馬鹿なの?アンタはこれで充分…」
「舐め…やがってぇ…っ」

俺みたいな小柄な奴がどでかい武器を持ち出したら誰でも驚くだろう。
俺はウォーハンマーをブンブン振り回して準備運動。
観覧者たちは声も出せなくなっている。むしろ…顔面蒼白になってて面白い。

「手加減するのも大変だからさぁ…普段使わない武器使ってあげるの感謝してね?」

俺はどんどん相手を煽っていく。
その方が動きが読みやすくなるからね。
これもファイたちに教わった。
格下相手には煽っていくスタイル。

「このやろーがっ!!」

ブンッと音を立てて振った大剣をジャンブで躱し、上からウォーハンマーを振り下ろす。
本人に当てないように武器目掛けて振り下ろした。
ウォーハンマーの重量で簡単に壊れた武器に驚きその場に立ち尽くす男目掛けてウォーハンマーを振りかざすが、男の顔スレスレで止めた。
相手殺しちゃダメだからねぇ…。

男は腰が抜けたのかその場に座り込んでしまった。

「…降参する?」
「…っ降参…だ…」
「この試合はナルの勝ちだ!」
「ふぃ~疲れたっ!!終わり~!!」

俺はくるっと舞台から背を向けファイの所へ戻ろうとした瞬間腕をひっぱられた。

「危ないっ!!」
「…へ?」

俺は男に腕を引かれ男の腕の中にいた。
男の手には矢が握られていた。

俺が狙われた?誰に?

「おいっ!!試合は終わっただろうが!!何勝手に攻撃してる!!誰だ!!」

ギルマスが怒鳴っても誰も言い出さない。
防御膜張ってるから俺は大丈夫だったけど…これはお仕置きが必要みたい…だねぇ。

俺はそう考えながら目の前の男に視線をやった。

「…助けてくれてありがと…」
「あ…いや…間に合って良かった」
「…そろそろ離して貰っても?ファイがキレちゃう」
「へ…あ!!すまん!!」
「ナル!!大丈夫か!?」
「あ、大丈夫!!この人に助けてもらった!!」
「ベル、助かった。ありがとう」
「いえ…これは卑怯なやり方です。俺もこれは許せないです」
「ねぇ、ベルさん?…矢が飛んできた方向…相手見えた?」
「あ…いや、何か光ったなくらいしかわからねぇ…」

この男の名前初めて知ったや。

「ベルさんありがとう。これからは仲良くしてくれると嬉しいなぁ」
「…突っかかってきた奴と仲良くなってどうすんだ。俺はあんたのことを強者だと理解はしても納得はしてねぇんだぞ」
「ん~…こうやって真っ直ぐに来てくれるだけマシかなぁって。ファイだってベルさんの事は信用して認めてるから手をだしてないんだろうし?じゃなきゃ俺を潰すって言った瞬間ベルさん生きてないと思うよ?」
「!!!?」

ファイは俺の頭をポンポンしながら笑ってた。

それより、攻撃してきたバカは上手く隠れたもんだ。
殺気も色んなとこにあるからなぁ。わからないや。

「ファイ~、この矢使って相手見つけていい?」
「出来るのか?」
「うん。この矢に残ってる魔力を追跡出来るよ~」
「ならお願いしようか。俺の番に手を出そうとした輩にお仕置きしないとね?」
「…ファイ、程々にね?一応怪我はなかったし…」
「相手次第だな…」

ファイも大概戦闘狂なんだから…。

「じゃ、探知始めるね~」
「……おぅ…」

俺にかかれば何処に隠れても無駄な事。 
俺の周りに魔法陣が浮かんだと思ったら一筋の光が辺りを回り始め、一人の冒険者に向かって行った。

「きゃあぁ!!」

光が1人の女を縛り付けた。
追跡+捕縛の便利魔法。
ふぅ~ん…あの女ね…。
ギルドに入ってからずっと俺に殺気向けてた女だわ…。

「ファイに群がる虫かぁ…」
「お前顔に似合わず口悪いな…」
「大きなお世話!ムカつくんだから仕方ないじゃん!」

ベルさんとそんなやり取りをしている横でファイは静かに女を睨見つけていた。




「うわぁ…ファイの奴、マジ切れしてない?大丈夫?」
「俺たちじゃ手に負えないねぇ~…」
「余計なことをしてくれたもんだ」
「おいっ、お前ら悠長に話してないでどうにかしてこいっ!!」









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