陰キャな俺が有名配信者に追いかけ回されてます。

セイ

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配信なぞ見ませんが何か?

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下層は41~50階。今回は採取量が多いので全階でくまなく探さないと量を確保できないのでスキルを使って探す。

探索サーチ

ふむふむ。この階にはないか。面倒だなぁ。

普通の探索者のサーチは大体自分の半径30~50m先くらいまでが限度だが俺のサーチは1km。もう少し薄く魔力を広げれば約2kmというところ。今回はきっちりサーチしたいので500mくらいに留めている。それでも広範囲なのだが。

「さぁてちゃっちゃと下へ進みますかぁ」

下層程度のモンスターは俺にとっては雑魚なので武器も持たず拳と足技で十分。鼻歌を歌いながら下へ進んでいく。

45階まできたらサーチに今までより大きな魔力が引っかかった。

「ん~?これは魔狼かぁ。誰か闘ってるねぇ。ま、この程度の魔狼にもたついてちゃ下には行けないよねぇ」

少し歩くと開けた場所に出た。そこでは2人組の男たちが魔狼とやりあっていた。





ーーーーーーーーーーーーーーーー
少し時を遡って……


「今日も見に来てくれてありかとう!『炎龍えんりゅう』の龍臣たつおみと…」
ほむらよ~♪」

炎龍は久世龍臣と相方の渡瀬炎の探索パーティー。
どちらも180cmを超える高身長。龍臣は体格に見合ったパワー型アタッカー。炎は高身長ながらスピードを軸に二丁拳銃で複数の魔力弾で援護射撃を得意とするサブアタッカー。二人とも18歳という若さでB級にまでのし上がってきた猛者だ。

ずば抜けた戦闘センスと連携力、それと共に龍臣のブルーアッシュで軽くパーマを掛けたツーブロックの爽やかなイケメンと、炎の長髪ピンク髪をハーフアップにした綺麗系イケメンのオネェという容姿とキャラも相まって、人気を博し配信も大人気である。

「今日からは下層の探索に入るよ。」
「配信じゃなかなかお目にかかれない下層もじゃんじゃん撮ってくから皆楽しみにしててねぇ♪」

俺達は配信用ドローンに向けて挨拶をする。
このドローンは配信者になくてはならない物で、ダンジョン産の資源で作られた特別製のカメラドローンである。ダンジョン内の魔素を動力として動き、魔力同士の衝撃を受けても壊れない優れものだ。


:こんにちはー
:こんにちは
:今日も炎龍見れて幸せ!
:こんにちはー
:今日も配信感謝~
:下層辺りからは探索ガチ勢になってくるからなかなか配信する人いなくてこれは有り難い
:下層初めて見る~
:こんにちはー今日も頑張れ!
:龍臣今日もかっこいい…!
:炎オネェさまもかっこいい…
:無理せず頑張って
:下層はあまり人いないっぽいねぇ~
:ガチ勢おらんか?闘い方見てみたい

配信が始まるとコメント欄が一気に流れる。
今日も配信を楽しみにしていてくれる人がたくさん見てくれている。

「よし!じゃあ気合い入れて進むぞ!」
「はいはーい!」

特に問題なく45階まできた。

「ふぅ~問題なくここまでこれたな!」
「あら、途中危なそうな所あったじゃないw」
「う…無傷なら問題ない!」

:深層まであと5階!
:さすが炎龍!
:そうそう無傷ならOK!
:下層になるとやっぱ敵さん強くなるね
:配信で見れるのは勉強になる
:お二人のコンビネーション最高!

「炎ちょっとストップ!奥に何かいる…」
「…あらホント。なかなかデカい魔力ねぇ~…」

:話しながらでも警戒怠らないの凄い…
:↑そんなん当たり前やん。死ぬで。
:それができるからトップ配信者なんよ
:お二人共気を付けて!!
:下層は下手すると死ぬ

「あれは…魔狼か…しかも通常よりデカいな…」
「3体もいるじゃない…あれはマジでやらないとアタシたちもヤバいわよ…」
「…来るぞ」

ガウぅぅぅ!!

俺達の間に上手く飛びかかってきて2人引き離される。

「炎上手く引きつけておいてくれ!こっち終わったらすぐ行く!!」
「オッケぃ~!」

こっちに2体か…。炎のサポート無しは少しキツイか…?
魔狼の爪を避けながら急所を狙う。
早くしないとジリ貧になる。
自分の武器の大剣に魔力を纏わせ先ずは1体。上手く死角に入って狙っていた1体も薙ぎ払い倒していく。

素早く躱しながら少しずつ傷を負わせていた炎の1体も真っ二つにする。

「はぁ…はぁ…体力持ってかれたわぁ~…」
「お疲れさん。よく持たせてくれた」
「拳銃だけじゃなくて威力重視のショットガンとか持とうかしら?拳銃だと魔力込めるタイムラグもあるし、威力がどうしてもねぇ…」

:3体あっという間に片付けちゃった!!
:流石炎龍!!
:お疲れ様~

「魔狼ってもっと集団でいるものじゃないの?」
「あぁ…俺もそこが引っかかってる…まだいると思っていい。気を付けろよ炎…」
「了解。ポーション渡しとくわ」
「サンキュ」

下へ降りる階段がある筈の部屋へたどり着くとソコにはさっきの魔狼の倍以上のデカさの魔狼が佇んでいた。

「…フェンリルが待ち伏せかよ…」
「周りにもさっきのサイズのが数体いるわ…このサイズと数はアタシたちでもヤバいわ…引き返しましょ…」
「引き返せればいいけどな…」

あのフェンリルから視界を外せばその隙を狙って攻撃される…
この距離は間違いなくあのフェンリルの射程距離…。
今攻撃されないのは様子を伺っているだけ…。動けばやられる…。

「炎…動くなよ…動いたら掻っ切られるぞ…」
「わかってるわよ…とうするの?」

:あわわわわわ…
:ピンチじゃん!!
:あのデカさは見たことないな
:これイレギュラー?
:それすらわからん。なんせ下層の情報はあまり出回ってないからな…

「このまま後ろへ少しずつ下がる。背は絶対向けるな。」
「了解」

俺は視線をフェンリルと合わせながらゆっくりと後退していく。
炎だけでもとうにか逃がしたい。
俺のほうが耐久力もあるし防御力もある。
炎は少し心配だ…。

ガウゥゥウ!!

フェンリルが吠えた瞬間炎は威圧に耐えられず地面へと座り込んでしまった。マズイ!!
俺はすかさず結界の魔導具を展開させ炎へ投げた。
視線を前へ戻すと目の前にフェンリルが迫っていた。

ガキィイイイン!!

「ぐ…っ!!」
「龍臣!!ごめんなさいっ!!」
「大丈夫か?」
「えぇ…なんとか。今援護を…」
「お前はそのまま結界張ったまま下がっとけ」
「それじゃあ龍臣が!!」
「お前まだ恐慌状態抜けてないだろうが。死ぬだけだぞ」
「…っ!!」

:誰が助けに来ないのかよー!!
:来るかよここ下層だぞ!?
:龍臣くん頑張ってぇー!!
:炎ねぇさま大丈夫かしら…

とうする…!?ここで魔力解放したらこの後帰るにしても危険だ…。
くそっ!!何も思い浮かばない!!

「あらら。随分育ったワンちゃんだねぇ…」

そんな呑気な声が響いた。
声がした方を見ると随分小柄な男?が立っていた。
深々とフードを被っていて顔はわからない。が、たぶん雰囲気からして男のようだ。

「…!!あんた!!ここから離れろ!!死ぬぞ!!」
「…死にそうなのあんたたちじゃないの?助けたげよっか?」
「…は?」

そう言った瞬間には俺の真横まで来ていた。
「…え?」
「君たちにはまだ下層は早いかな?」

彼の武器であろう双剣を携えて一瞬のうちにフェンリルの首を落としていた。親玉がやられたからか他の魔狼はその場から逃げ出し、その場に静寂が訪れた…。

あまりの早業に…剣捌きの美しさに一瞬見惚れてしまった。
あの小さな身体のどこにこんな力があるのだろうか…?

「…ソコの人威圧…耐えられなかったんでしょ?」
「…えぇ…」
「ならこの先は行かない方がいいかなぁ。この先あんなのばっかだよ?まぁ、今のフェンリルがこの階にいるのはイレギュラーなんだけどさぁ…」
「すみません、助けて頂いてありがとうございました」
「いいよ別に。見かけてスルーするのもね…でも配信しながらは自殺希望と同じだよ?そこで飛んでんの撮影用のドローンでしょ?配信者って嫌いなんだよねぇ。下層で配信とか探索者舐めてるよね…大きな音出しながら探索とか殺しに来てくださいって呼んでるようなもんだよ?迷惑のなにものでもないんだけど…?」
「…!!俺たちは探索者を軽く見てません!!配信者には配信者なりのプライドを持ってやっています!!遊びでやってるわけではありません!!」
「それで死にかけてたらプライドもクソもねぇんだよ」
そう言った瞬間さっきのフェンリルと同じくらいの威圧が彼から飛んでくる。いや、さっきよりも更に強い威圧だった…。俺も立っているのがやっとだ…。炎は結界の中でブルブルと震えていた。

咄嗟に反論してしまったが、この人が言う事が正論なのだろう。だが配信者にはちゃんと理由があって配信をしている人だっている。俺たちもそうだ。他の探索者の為に情報共有として配信しているのだ。

「…はぁ…とにかく、今日は早く上へ戻りなよ。その状態じゃ探索は無理でしょ?特別に状態異常は治してあげるからさ」

炎に近づくと『状態異常回復リカバリー』と唱えると恐慌状態が治っていく。
あれだけアタッカーとしての強さもある上に回復魔法まで使えるとは…この人は確実にA級以上だ…!あの威圧も頷ける…。

「ありがとうございます…」

炎は初めて受けた状態異常に放心していたがもとに戻ってホッとしているようだ。

「じゃあね。」

俺は無意識に彼の腕を掴んでしまった。
フードの下の顔を見てしまった…。
そこには少女と見間違えるような綺麗な顔した顔があった。

「あ…えと…俺炎龍ってパーティーの久世龍臣って言います!!貴方の名前教えてください!!」
「え…やだ。離して」

即答で拒否されスタスタと更に下の下層へと行ってしまった。

「…ヤバい…惚れた…」
「龍臣?何ブツブツ言ってるの?帰るわよ?」

俺達はリスナーと少しやり取りをして配信を終わらせてからゆっくりと地上へと帰っていった。









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