夢現勇者の物語

大将 軍志

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猫伝説

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 夢剣の住んで居る猫島には、古くから伝わる伝説がある。
その名も白猫伝説。
なんとも語るだけでも恥ずかしい名前をしているが少し話をしておこうと思う。

 夢剣の通っていた中学の真裏に小さな山があった。
町の皆はそのまま裏山と呼んでいた。
その裏山に古びた神社があった。
参拝する者も中には居たが、年に片手で収まるくらいのものだ。
なにせ建物は、古く立地条件も悪い。
 小さい頃はよく危険な場所と親に教えられていたものだ。
別に霊的な意味ではない。
ただ単に山の地形が悪く、舗装された道も無く険しい。
ただそう言った意味だ。
神社の佇まいは、何処と無く西洋式を思わせるものがちらほらあった。
神社には、名前があった。
縁結び、無病息災の猫神が祀られているという神社の名は寝娘神社(ねるこじんじゃ)と言う。
数百年前にこの地に永眠病と言う病があったそうだ。
無論御伽話に過ぎない。
がその内容はこうだ。
 昔この地に流行った病が人々を苦しめていた。
まるで眠っている様なーーー
いや、眠りから覚めない子供が相次いだのだ。
少年、少女らには将来の夢が有り、その時間を止めた魔法の様な症状だと思ったそうだ。
同じくらいの子供らは皆眠りにつき、親らは当然の様に悲しんだ。
しかし何故だかわからなかったのだがその病にかからなかった白髪で色白の少女がいた。
身寄りの無い少女は、山奥に一人で静かに暮らしていたそうだ。
人々は、疑問に思った。

「なぜ少女だけ眠らない」
「山奥に一人で住んでる奇妙な子」
 
そんな皮肉がながれ、疑問を持つようになった。
いつしか疑いに変わり、疑いが不安に変わり要らぬ噂が流行病の如く伝染した。
「あの子は魔女なのではないのか」
くだらない流行病が。
こうなった時の人の心理など理解出来ないものだ。
その奇病が魔法と呼ばれるようになったのもそこに少女の存在ーーー
魔女の存在があったからかもしれない。

人々は、恐怖を誰かのせいにしかできなかった。
都合よく居た一人の少女にしか。
人々は、乗り出した。
少女生贄の儀式にーーー
その夜それは、執り行われた。
少女が住む家に人々は乗り込み子供らの眠りと引換に少女の命を捧げたのだ。
それから数日後子供らは、目を覚ましたという。
皆の眠りを受け取った少女に人々は、感謝し神と崇め祀った。
少女は、眠りについた。
寝る子になった。
それが後世に伝えられ寝る子の神。
猫神神社となったそうだ。

この話は夢剣がまだ幼い頃に母から教えて貰ったものだ。
母もまたその母からと言い伝えられていた。
特別、夢剣の家にだけあったのではない。
周りの友達も、東夜 猫子もまたこの御伽話を聞かされ育った。
そんな古い御伽話なのだ。
よってこの地には、猫との深い関わりがあったのだーーー

 

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