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第18話 魔王様の配下は強すぎる
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「無限牙突」
リューナの周囲に、牙の形をした物体が無数に出現した。
これが、リューナの持つスキル――もう一目見てゴリゴリの攻撃タイプとわかる。あまりの数に数えることもままならず、牙はリューナと僕を中心として周囲に展開されている。
……しかし、二人も相手に大丈夫なのか?
加えて家族という関係性である。誤解を解くためとはいえ、僕を発端とした喧嘩みたいなようなものだ。なにやら申しわけない気持ちになってくる。
リューナは僕の心情を見透かしてか、
「晴っち、気にしないでくださいね。家族喧嘩はよくやっていますし、大体収束する時も定番化しているので問題ありません。今は派手なアクションでも見てると思って強い気持ちで耐えてほしいっす」
「善処するよ」
「ではでは、いくっすよー」
牙が意志を持っているかのよう――一直線、標的に向かって発射される。
「「うごぉがぁあああああっ!」」
静寂が喧騒へと一転する。
パパさんとお兄さんはその無数の牙を――殴り、蹴り、怒声と共に、猛り狂いながら防ぎ切る。その姿はまるで猛獣が暴れているかのようだ。
「「邪魔するなリューナたん! そいつが殺せんだろぉがぁああああああああああああああああああああああああっ!!」」
いやもう絵面がシンプルに怖すぎる。
あの怒りが僕に触れた瞬間どうなるの? と、いやな予感が脳裏をよぎった矢先――僕の顔まであと数ミリ、というところで二人の拳がとまる。
「「ちぃっ! リューナたんに付きまとう寄生虫がぁっ!」」
二人が舌打ちをする。
あの無数の牙を普通に乗り越えてここまで来たのか――今の攻撃はリューナが未然に防いでくれなければ直撃コースだったろう。
最早、どこをどう捉えても――あの二人はとてつもなく強い。
それをリューナが同時に相手できる、となるとステータス的にはリューナの方がさらに上ということなのか? 家族間のパワーバランスがよく掴めない。
それならば、と僕は確認するべくデバイスを開こうとし、
「うぉおい! リューナたん、それは反則すぎるぜっ!」
お兄さんが動揺したような声を上げる。
一体なんだ? と僕はお兄さんの視線の先、真横にいるリューナを見る。そして、少しずつ変貌していく姿に言葉を失った。
「竜化」
リューナが小さくそう呟く。
赤黒く光る瞳、二倍ほどに大きくなった手、頭からは二本の角がゆっくりと――天に向かってその姿を現していく。獣のように凍てついたオーラが、近くにいる僕の肌を剣のように突き刺した。
『二人相手っすからねー、これくらいしないと駄目でしょう?』
声質まで変化している。
いつものリューナの声に低音が混じったような、くぐもったような――つい数分前まで見ていたリューナとは全く異なっていた。
『無限牙突』
再度、牙が二人に向かって飛来する。
リューナの変化による影響か――先ほどよりも大きく、速く、基本的な性能が打って変わっていた。
その見た目と比例した威力にパパさんたちが後方にはじけ飛んだ。
体勢が崩れた瞬間を逃さずか、追撃といわんばかりに――リューナが勢いよく地面を蹴り飛ばし二人に追い付いた。
リューナは二人の顔を掴み、地面に叩き付けながら氷上を滑るかのごとく、
『少し頭を冷やしてください』
街路の削れる音か、頭蓋骨がひび割れている音か、ゴリバリと身の毛もよだつ破壊音が街全体に響き渡った。その勢いのまま街の外壁へと投げ飛ばし、目の前が一瞬にして瓦礫の山と化した。
……オーバーキルじゃない?
もう完全に鳴っちゃいけない音がしていたよね。もしかして死んでも復活できる魔法があるのかな?
リューナは一足飛びにて僕のもとへと戻り、
『いやー、本当にしぶといっすね』
しぶとい?
リューナの言葉の意味はすぐ理解することとなる。瓦礫の山から二つの影がゆっくりと揺らめき立ち、
「うおぉい、親父無事かぁ?!」
「頭蓋骨が歪んだくらいじゃ、放っておいても治るわっ!」
不死身かなにかかな?
開いた口が塞がらない僕、リューナは二人の姿を確認するや否や――とどめとばかりに両手を前方に構え、
『竜気弾』
青い光がリューナの手の平に集まっていく。
その光が大きくなるに連れ、ビリビリと周囲に振動が広がっていく。なんか激しくやばい予感しかしない。明らかにこれは街全体にも被害が及ぶ気がする。僕はもしもーしとリューナに声をかけるも、全く耳に届いていない様子である。
危険だが目の前に割り込んでとめるか? と覚悟を決めた瞬間、
「はーい、そこまで」
その制止の声と共に、青い光が一瞬にして掻き消えた。
リューナの周囲に、牙の形をした物体が無数に出現した。
これが、リューナの持つスキル――もう一目見てゴリゴリの攻撃タイプとわかる。あまりの数に数えることもままならず、牙はリューナと僕を中心として周囲に展開されている。
……しかし、二人も相手に大丈夫なのか?
加えて家族という関係性である。誤解を解くためとはいえ、僕を発端とした喧嘩みたいなようなものだ。なにやら申しわけない気持ちになってくる。
リューナは僕の心情を見透かしてか、
「晴っち、気にしないでくださいね。家族喧嘩はよくやっていますし、大体収束する時も定番化しているので問題ありません。今は派手なアクションでも見てると思って強い気持ちで耐えてほしいっす」
「善処するよ」
「ではでは、いくっすよー」
牙が意志を持っているかのよう――一直線、標的に向かって発射される。
「「うごぉがぁあああああっ!」」
静寂が喧騒へと一転する。
パパさんとお兄さんはその無数の牙を――殴り、蹴り、怒声と共に、猛り狂いながら防ぎ切る。その姿はまるで猛獣が暴れているかのようだ。
「「邪魔するなリューナたん! そいつが殺せんだろぉがぁああああああああああああああああああああああああっ!!」」
いやもう絵面がシンプルに怖すぎる。
あの怒りが僕に触れた瞬間どうなるの? と、いやな予感が脳裏をよぎった矢先――僕の顔まであと数ミリ、というところで二人の拳がとまる。
「「ちぃっ! リューナたんに付きまとう寄生虫がぁっ!」」
二人が舌打ちをする。
あの無数の牙を普通に乗り越えてここまで来たのか――今の攻撃はリューナが未然に防いでくれなければ直撃コースだったろう。
最早、どこをどう捉えても――あの二人はとてつもなく強い。
それをリューナが同時に相手できる、となるとステータス的にはリューナの方がさらに上ということなのか? 家族間のパワーバランスがよく掴めない。
それならば、と僕は確認するべくデバイスを開こうとし、
「うぉおい! リューナたん、それは反則すぎるぜっ!」
お兄さんが動揺したような声を上げる。
一体なんだ? と僕はお兄さんの視線の先、真横にいるリューナを見る。そして、少しずつ変貌していく姿に言葉を失った。
「竜化」
リューナが小さくそう呟く。
赤黒く光る瞳、二倍ほどに大きくなった手、頭からは二本の角がゆっくりと――天に向かってその姿を現していく。獣のように凍てついたオーラが、近くにいる僕の肌を剣のように突き刺した。
『二人相手っすからねー、これくらいしないと駄目でしょう?』
声質まで変化している。
いつものリューナの声に低音が混じったような、くぐもったような――つい数分前まで見ていたリューナとは全く異なっていた。
『無限牙突』
再度、牙が二人に向かって飛来する。
リューナの変化による影響か――先ほどよりも大きく、速く、基本的な性能が打って変わっていた。
その見た目と比例した威力にパパさんたちが後方にはじけ飛んだ。
体勢が崩れた瞬間を逃さずか、追撃といわんばかりに――リューナが勢いよく地面を蹴り飛ばし二人に追い付いた。
リューナは二人の顔を掴み、地面に叩き付けながら氷上を滑るかのごとく、
『少し頭を冷やしてください』
街路の削れる音か、頭蓋骨がひび割れている音か、ゴリバリと身の毛もよだつ破壊音が街全体に響き渡った。その勢いのまま街の外壁へと投げ飛ばし、目の前が一瞬にして瓦礫の山と化した。
……オーバーキルじゃない?
もう完全に鳴っちゃいけない音がしていたよね。もしかして死んでも復活できる魔法があるのかな?
リューナは一足飛びにて僕のもとへと戻り、
『いやー、本当にしぶといっすね』
しぶとい?
リューナの言葉の意味はすぐ理解することとなる。瓦礫の山から二つの影がゆっくりと揺らめき立ち、
「うおぉい、親父無事かぁ?!」
「頭蓋骨が歪んだくらいじゃ、放っておいても治るわっ!」
不死身かなにかかな?
開いた口が塞がらない僕、リューナは二人の姿を確認するや否や――とどめとばかりに両手を前方に構え、
『竜気弾』
青い光がリューナの手の平に集まっていく。
その光が大きくなるに連れ、ビリビリと周囲に振動が広がっていく。なんか激しくやばい予感しかしない。明らかにこれは街全体にも被害が及ぶ気がする。僕はもしもーしとリューナに声をかけるも、全く耳に届いていない様子である。
危険だが目の前に割り込んでとめるか? と覚悟を決めた瞬間、
「はーい、そこまで」
その制止の声と共に、青い光が一瞬にして掻き消えた。
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