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王都突入編
154話 夜の王都ムスカルス
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「さあ、ソラにゃん――目的地に着いたよ」
「ここって、まさかっ!」
艶めかしく輝くネオンの看板。
光の魔石をそこら中に散りばめているのか、淡くエロティックな光が僕の視界を埋め尽くしていく。
「にゃっちの激推し店『ムスカルス』よ」
「王立図書館、娯楽コーナー『夜の王都でエンジョイ万歳で』見たところだっ! 一番人気のコレットちゃんがナイスバディで超絶可愛い、出会うだけで翌日は絶好調ってやつだよねっ!!」
「えっ、うん。なんかソラにゃん、シンプルにキモいね」
「急な距離感はやめて」
「興奮するにはまだ早すぎるのね。実物を見たら――有り余る母性に失神するかもしれないにゃあ」
「ハードルを上げてくるじゃないか」
「今日はとことん弾けるよ?」
いざ入店。
ニャニャンがサングラスをかけ、口に葉巻のようなものを咥える。
な、なんだ、この尋常じゃない気合いの入りっぷりは――最早確実におっさんとしか思えない。
しかし、なんて頼もしい背中なのか。
ちなみに、葉巻と思ったものはマタタビだった。
「ニャニャン様、いらっしゃいませっ!」
「うわぁ、猫様っ!」
「きゃぁあ、ニャン子様だぁっ」
顔馴染みすぎない?
店に入るや否や、皆がニャニャンに挨拶をする。
店内は広くシックな内観、クラシック風のBGMが奏でられ、客層も裕福そうな人ばかり、落ち着いた雰囲気を感じさせる。
「おぅおぅ。まずは景気付けに、ここで一番高い酒――『キングコンティ』を3本ほど開けてくれにゃあ」
「キングコンティ、3本入りましたっ!」
一転する。
その注文と同時に店内のBGMがラテン風に変化、店の女の子やボーイが急に激しく踊り狂う。
ナニコレ?
なんか僕の思ってた遊び方と違う――本当にナニコレ? 一体、なにが始まろうとしているんですか?
ニャニャンは店内奥にある一番広いスペースに迷うことなく一直線、玉座のような椅子にドカッと座り込む。
マタタビを豪快に吸い込みながら、
「おぅ、ソラにゃんもそこに座れや」
「……」
「もうすぐ来るぜ。夜に煌めく極上の蝶がここに――にゃあ」
「……ぁ、うん」
BGMの熱量がさらに加速する。
瞬間、店内がレインボーに輝き出し――スポットライトに照らされながら、誰かが僕たちに向かって歩いて来る。
「ニャニャン様のテーブル、コレットちゃんが参りますっ!」
アナウンスが流れる。
他にいたお客さんも騒ぎ出し――「コレットちゃんを指名っ?!」「えっ、ヤバイってどこの大富豪がそんな遊びを?」「俺もいつか独占してみてえっ!」と、色々な席から声が上がり始める。
――カツコツ、カツコツ、カツコツ。
勇ましいヒール音、店内のBGMに合わさったリズム、その動作音だけで自分に自信があるのだと――耳から全身に伝わって来るほどだった。
ヒール音が僕たちの前で綺麗に鳴り止み、
「お待たせ。コレットよ」
ばるるんっ。
今、店が揺れた、のか? いや、違う――そう錯覚してしまっていたのだ。
視線が顔に向かうより先に、僕は彼女の中心部にて釘付けになる。
「はわわっ! な、なな、なんだ、これはぁっ?!」
「落ち着け、ソラにゃん。ムスカルスのナンバー1嬢コレット、これがミミモケ族の中で最強の肉体と称される」
ニャニャンは一度言葉を区切り、ゆっくりと間を溜めながら、
「牛耳娘ちゃんにゃあ」
まさに異次元クラス。
凄まじい爆乳の塔が僕の眼前にそびえ立っていた。
「ここって、まさかっ!」
艶めかしく輝くネオンの看板。
光の魔石をそこら中に散りばめているのか、淡くエロティックな光が僕の視界を埋め尽くしていく。
「にゃっちの激推し店『ムスカルス』よ」
「王立図書館、娯楽コーナー『夜の王都でエンジョイ万歳で』見たところだっ! 一番人気のコレットちゃんがナイスバディで超絶可愛い、出会うだけで翌日は絶好調ってやつだよねっ!!」
「えっ、うん。なんかソラにゃん、シンプルにキモいね」
「急な距離感はやめて」
「興奮するにはまだ早すぎるのね。実物を見たら――有り余る母性に失神するかもしれないにゃあ」
「ハードルを上げてくるじゃないか」
「今日はとことん弾けるよ?」
いざ入店。
ニャニャンがサングラスをかけ、口に葉巻のようなものを咥える。
な、なんだ、この尋常じゃない気合いの入りっぷりは――最早確実におっさんとしか思えない。
しかし、なんて頼もしい背中なのか。
ちなみに、葉巻と思ったものはマタタビだった。
「ニャニャン様、いらっしゃいませっ!」
「うわぁ、猫様っ!」
「きゃぁあ、ニャン子様だぁっ」
顔馴染みすぎない?
店に入るや否や、皆がニャニャンに挨拶をする。
店内は広くシックな内観、クラシック風のBGMが奏でられ、客層も裕福そうな人ばかり、落ち着いた雰囲気を感じさせる。
「おぅおぅ。まずは景気付けに、ここで一番高い酒――『キングコンティ』を3本ほど開けてくれにゃあ」
「キングコンティ、3本入りましたっ!」
一転する。
その注文と同時に店内のBGMがラテン風に変化、店の女の子やボーイが急に激しく踊り狂う。
ナニコレ?
なんか僕の思ってた遊び方と違う――本当にナニコレ? 一体、なにが始まろうとしているんですか?
ニャニャンは店内奥にある一番広いスペースに迷うことなく一直線、玉座のような椅子にドカッと座り込む。
マタタビを豪快に吸い込みながら、
「おぅ、ソラにゃんもそこに座れや」
「……」
「もうすぐ来るぜ。夜に煌めく極上の蝶がここに――にゃあ」
「……ぁ、うん」
BGMの熱量がさらに加速する。
瞬間、店内がレインボーに輝き出し――スポットライトに照らされながら、誰かが僕たちに向かって歩いて来る。
「ニャニャン様のテーブル、コレットちゃんが参りますっ!」
アナウンスが流れる。
他にいたお客さんも騒ぎ出し――「コレットちゃんを指名っ?!」「えっ、ヤバイってどこの大富豪がそんな遊びを?」「俺もいつか独占してみてえっ!」と、色々な席から声が上がり始める。
――カツコツ、カツコツ、カツコツ。
勇ましいヒール音、店内のBGMに合わさったリズム、その動作音だけで自分に自信があるのだと――耳から全身に伝わって来るほどだった。
ヒール音が僕たちの前で綺麗に鳴り止み、
「お待たせ。コレットよ」
ばるるんっ。
今、店が揺れた、のか? いや、違う――そう錯覚してしまっていたのだ。
視線が顔に向かうより先に、僕は彼女の中心部にて釘付けになる。
「はわわっ! な、なな、なんだ、これはぁっ?!」
「落ち着け、ソラにゃん。ムスカルスのナンバー1嬢コレット、これがミミモケ族の中で最強の肉体と称される」
ニャニャンは一度言葉を区切り、ゆっくりと間を溜めながら、
「牛耳娘ちゃんにゃあ」
まさに異次元クラス。
凄まじい爆乳の塔が僕の眼前にそびえ立っていた。
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