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火の都サラマン激突編
221話 ウィンディア・ウィンド奪還戦 その3
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槍をメインウェポンとする魔槍騎士。
武者のような属性付与などは持ち合わせておらず、純粋な力のみによる物理ダメージに特化されたジョブである。
魔槍騎士はその名の通り、スキルに"魔槍"というものが存在している。高レベルになると習得、魔槍は自身の魔力を槍に形成することが可能となっていた。
このスキルが非常に強力――且つ厄介なのだ。
ゲーム時は魔力を小数点単位で細部に振り分けることができ、数値に応じて自分だけの魔槍ができあがる。
その振り分けによっては極稀にスキルを宿す魔槍が完成し、攻略掲示板では話題の一つともなっていた。
ヒオウも例に漏れず、魔槍を持っている。
以前、大陸龍で戦った白龍の騎士は魔槍というスキルが未修得のレベル、固定の武器であったが――ヒオウは違う。
ゲーム時のボスだけあって、スキルを宿すオリジナルの魔槍所持者だ。
そのスキルは"閃の一槍"――攻撃時の貫通力を一度だけ10倍に跳ね上げる。
ただでさえ、火力の強いジョブだ。
発動時の一撃をくらえば――身体は木っ端微塵に吹き飛ぶだろう。
まさに、一撃必殺と言っても過言ではない。
「……白龍の騎士の時とは状況が違いすぎるな」
「白龍の騎士?」
僕の言葉にヒオウが反応する。
「あの出来損ないと私を一緒にしないでほしいわ。そういえば、倒したのは――あなたたちのパーティーだったかしら?」
「そうだ。僕たちが殺した」
「あら、残酷なことするのね――罪もない人間だったのに」
ヒオウはケラケラと笑いながら、
「知っていた? あの白龍の騎士は改造人間の第一号、名前は『マリアス』、馬鹿な男だったわ――自ら志願したのだから」
「自ら、志願した?」
「家族には手を出すなという条件でね。それはもうありとあらゆる人体実験を繰り返したわ。私もその場にいたの――あぁあ、思い出しても楽しかった。マリアスは苦痛のあまり延々と叫び続けていたわね」
「……家族は、どうしたんだ?」
「ただの口約束、守るも守らないも私次第なのよ。残った母子も実験に使ったけれど、個体が弱すぎて全然駄目だった。価値もないから適当な場所に捨てて来たわ。モンスターに食われて死んでるんじゃないかしら」
「……っ」
「怒っちゃった? だ、け、ど、あなたも殺したわよね? マリアスというなんの罪もない人間を殺したわよねっ?!」
揺さぶられるな、重々理解しているだろう。
僕が今殺した兵士たちだって家族がいるに違いない。
それでも、敵同士になったのならばかける情など――持ってはいけないのだ。
同じ地に、同じ条件で――命を懸けて立っている。
自分の信念を貫け、ファーポッシ村で心に誓ったはずだ。悪と判断したものは――問答無用で殺す。
前を向け、この世界から――目を背けるな。
「答えなんかないよ。ただ、君の話は――不愉快だ」
「面白くない反応ね。激高して襲って来るかと思ったのに――意外と冷静じゃないの。本当に面白くないわ」
ヒオウは言いながら、閃いたように手を叩き、
「それなら、この話だったらどうかしら? あなたの大事なナコちゃんという子がいたわよね? 囚えるまで散々手こずらせてくれたわ。単身で攻め込んで来る命知らずに私の部下が何人殺られたかわからない」
「なにが言いたいんだ?」
「くふふふ、あはははははぁっ! クソ汚らしいミミモケ族っ! 私が楽しい楽しい人体実験中でーすっ!!」
ヒオウが歪んだ笑顔で叫び出す。
「あの子、闇属性持ちでしょう? 光の魔石を無理やり体内に埋め込む実験をしているのよ。あぁ、どうなるのかしら? 闇と光、相反する属性を入れるなんて普通だったら身体が壊れてしまうわ。それが、なんと、耐えているのよっ?! これを続けるとどんな反応が起きてしまうのかしらっ!?」
こいつは今ここで――確実に殺す。
武者のような属性付与などは持ち合わせておらず、純粋な力のみによる物理ダメージに特化されたジョブである。
魔槍騎士はその名の通り、スキルに"魔槍"というものが存在している。高レベルになると習得、魔槍は自身の魔力を槍に形成することが可能となっていた。
このスキルが非常に強力――且つ厄介なのだ。
ゲーム時は魔力を小数点単位で細部に振り分けることができ、数値に応じて自分だけの魔槍ができあがる。
その振り分けによっては極稀にスキルを宿す魔槍が完成し、攻略掲示板では話題の一つともなっていた。
ヒオウも例に漏れず、魔槍を持っている。
以前、大陸龍で戦った白龍の騎士は魔槍というスキルが未修得のレベル、固定の武器であったが――ヒオウは違う。
ゲーム時のボスだけあって、スキルを宿すオリジナルの魔槍所持者だ。
そのスキルは"閃の一槍"――攻撃時の貫通力を一度だけ10倍に跳ね上げる。
ただでさえ、火力の強いジョブだ。
発動時の一撃をくらえば――身体は木っ端微塵に吹き飛ぶだろう。
まさに、一撃必殺と言っても過言ではない。
「……白龍の騎士の時とは状況が違いすぎるな」
「白龍の騎士?」
僕の言葉にヒオウが反応する。
「あの出来損ないと私を一緒にしないでほしいわ。そういえば、倒したのは――あなたたちのパーティーだったかしら?」
「そうだ。僕たちが殺した」
「あら、残酷なことするのね――罪もない人間だったのに」
ヒオウはケラケラと笑いながら、
「知っていた? あの白龍の騎士は改造人間の第一号、名前は『マリアス』、馬鹿な男だったわ――自ら志願したのだから」
「自ら、志願した?」
「家族には手を出すなという条件でね。それはもうありとあらゆる人体実験を繰り返したわ。私もその場にいたの――あぁあ、思い出しても楽しかった。マリアスは苦痛のあまり延々と叫び続けていたわね」
「……家族は、どうしたんだ?」
「ただの口約束、守るも守らないも私次第なのよ。残った母子も実験に使ったけれど、個体が弱すぎて全然駄目だった。価値もないから適当な場所に捨てて来たわ。モンスターに食われて死んでるんじゃないかしら」
「……っ」
「怒っちゃった? だ、け、ど、あなたも殺したわよね? マリアスというなんの罪もない人間を殺したわよねっ?!」
揺さぶられるな、重々理解しているだろう。
僕が今殺した兵士たちだって家族がいるに違いない。
それでも、敵同士になったのならばかける情など――持ってはいけないのだ。
同じ地に、同じ条件で――命を懸けて立っている。
自分の信念を貫け、ファーポッシ村で心に誓ったはずだ。悪と判断したものは――問答無用で殺す。
前を向け、この世界から――目を背けるな。
「答えなんかないよ。ただ、君の話は――不愉快だ」
「面白くない反応ね。激高して襲って来るかと思ったのに――意外と冷静じゃないの。本当に面白くないわ」
ヒオウは言いながら、閃いたように手を叩き、
「それなら、この話だったらどうかしら? あなたの大事なナコちゃんという子がいたわよね? 囚えるまで散々手こずらせてくれたわ。単身で攻め込んで来る命知らずに私の部下が何人殺られたかわからない」
「なにが言いたいんだ?」
「くふふふ、あはははははぁっ! クソ汚らしいミミモケ族っ! 私が楽しい楽しい人体実験中でーすっ!!」
ヒオウが歪んだ笑顔で叫び出す。
「あの子、闇属性持ちでしょう? 光の魔石を無理やり体内に埋め込む実験をしているのよ。あぁ、どうなるのかしら? 闇と光、相反する属性を入れるなんて普通だったら身体が壊れてしまうわ。それが、なんと、耐えているのよっ?! これを続けるとどんな反応が起きてしまうのかしらっ!?」
こいつは今ここで――確実に殺す。
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