転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

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火の都サラマン激突編

228話 また会う日まで

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 ドラゴンに戻った白雪の背に乗り――空中戦艦を脱出する。

「絶対炎凍球っ!」

 白雪が後始末とばかりに、紫色の球を放った。
 極寒、空中戦艦は一気に氷漬けに――白雪は追撃とばかりに頭から突っ込んだ。空中戦艦は粉々に、白い霧となってウィンウィンの街に降り注ぐ。
 街に広がっていた炎が――消え去っていく。
 その白い霧はサラマンの兵士すらも凍り付かせ、白雪はあっという間に――ウィンウィンの街を救ってしまった。

 街の皆が白雪を見上げている。
 その表情はまるで、神様を見ているかのような眼差しだった。涙を流しながら祈るものや、拝むように平伏すもの――感謝を伝えているのがわかる。
 白雪はその想いに応じるよう、空中を何度も旋回しながら、

「せめてもの手向け、妾が力添えするのはこれが最後だ。貴様たちを降ろしたらモーエン大陸に帰るとしよう」
「師匠、ありがとう」
「にはは、妾も艦内ではよいものを見せてもらった。クーラ、貴様は本当に世界を動かす運命を背負っているかもしれないな」
「大袈裟すぎるよ」
「大袈裟かどうかは――いずれわかることだ。貴様が歩んで来た道のりは、決して裏切ることはない」
「……そうだな、この光景を見たら俺も賛同する。さながら、ドラゴンの背に乗った英雄と言っても過言ではないだろう」

 いつの間にか、王様が目を覚ましていた。

「羊の王様が起きたぁっ!」
「ライカ、少し静かにしといて」
「はぁい」
「はっはっは。羊の王様でも構わない、俺の物真似は上手かっただろう? まずは助けてくれてありがとう」

 王様は特に気にした素振りもなく笑う。
 なんとも気さくで優しい雰囲気、ゲーム時三国の王様の中では一番話のわかる人格者であったが――リアルになっても変わっていないことに安心する。
 僕は王様に頭を下げ、事の顛末を話す。

「悪い言い方かもしれませんが――偶然です。囚えられていることも知らず、ついでみたいな助け方でごめんなさい」
「何故、謝る必要がある? 偶然であろうがなかろうが、俺が助かったという事実は揺るがない。すまないが、ガラスティナ王宮に向かうことはできるかい? 皆に俺は無事だということを知らせたい」

 ガラスティナ王宮に向かう。
 王様の想像を絶する姿と帰還の仕方に、王宮の騎士団も驚きを隠せないでいたが――命が無事だったことを知り、皆が涙を流していた。
 この反応だけでも――素晴らしい王様なのだということがわかる。

「さて、妾は帰るぞ」
「師匠、全ての問題が片付いたら――すぐに会いに行くよ」
「ふっ、手土産くらい持って来いよ」
「ドラゴンさん、本当にありがとうございます」

 僕とナコは白雪の爪先にそっと触れる。
 別れ際の握手をするよう、どこかで繋がりたいと思ったのだ。白雪は僕たちの気持ちに気付いたのだろう、急に顔を近付けて――舌で舐め回した。
 ナコが突然の出来事にフリーズしている。
 なんとも豪快なスキンシップ、どっきりびっくり大成功と――内心、ほくそ笑んでいるのがわかった。

「クーラ、ライカ、ナコ、また会える日を楽しみにしているぞ」

 白雪が大きく翼を羽ばたかせ――飛び立つ。

「白雪、またね――って、薄情だなぁ、もう行っちゃったっ!」
「あはは。師匠らしいよ、あっさりしているね」

 どんどんと、白雪の姿が遠ざかって行く。
 その後姿が見えなくなる直前、白雪の咆哮が空に響き渡るのであった。
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