転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

文字の大きさ
230 / 426
火の都サラマン激突編

229話 最新情報

しおりを挟む
 ウィンディア・ウィンドの襲撃から一週間が過ぎた。
 街は少しずつではあるが落ち着きを取り戻し、復興に向けて皆が一丸となって動き回っている。
 僕たちのホームを建ててくれた、キローヒさん率いる生産ギルドのもと、驚くほどのスピードで修復が進んでいた。

 この期間中、僕はあるプレイヤーから重大な情報を得る。
 その情報によると、アクアニアス、ストーンヴァイスは――謎のプレイヤーに守られており、均衡状態にあるという話だった。
 僕たちと同様、フレイムドルフに抗っているものがいる。
 オンリー・テイルという広い世界――手の届かない範囲はたくさんある。それは、素直に心強いことだった。

「アクアニアスは剣聖と呼ばれるもの、ストーンヴァイスは銀髪眼帯の男と犬耳のミミモケ族が奮闘しているって話だ」
「……剣聖、銀髪眼帯」

 聞き覚えも、見覚えもあるぅっ!
 いや、プレイヤーならば似たような装備、自称している称号も多い。
 一概に断定するわけにはいかないだろう。
 今、僕たちは次の戦いに向けて――準備を整えていた。

「ソラ。お前なら、リーダーの考えに気付いていると思ったぜ」
「ニャニャンの反応から――そんな気はしていたよ。だけど、実際に被害のあった地を見ると心が居た堪れない」

 ウィンウィンの裏道、人気のない酒場に僕たちはいた。
 互いにお酒のロックを注文、立ち呑み形式のカウンター、偶然居合わせたお客同士のように――僕たちは静かに話し続ける。
 僕の真横には、黒い外套を覆い――巨大な鎌を背負う男がいた。

 大鎌を扱うジョブ――漆黒者である。
 暗殺者のような風貌、対象の魔力やステータスを吸収する魔法を得意としたバリバリの攻撃職だ。
 一撃重視の超火力を持つことから――別名『死神』とも呼ばれていた。
 カランと、漆黒者は氷を泳がせながら、

「俺だってわかっている。でもな、あいつらだって――苦渋の決断だった。あのギルドはやばいなんてレベルを超えている。放置しておくと、今回の比じゃないくらいの被害がでるぜ。それこそ、世界は呆気なく滅びの道に進むだろうな」
「この戦乱状態の中、君はどう動くんだ?」
「俺はまだまだ情報集めに奔走するつもりだ。狂いに狂った凶悪な思想――リボル率いる"Freedom"のメンバーはいたるところにいるからな。ここで俺と会ったことは大切な仲間であっても秘密にしといてほしい。どこから俺の存在が漏れるかわからない」

 漆黒者はお酒を一気に飲み干し勘定を済ませる。

「中身はともあれ、美女と飲んだ気分がして楽しかったぜ。お前にはまた大変なことを任せてしまうが――許してくれ」
「お互い様だよ」
「またな。この一件が片付いたら、絶対に皆で――念願のオフ会をやろう」

 僕は漆黒者の背中を見送る。
 少し時間を置いてから、僕もお酒を飲み干し――酒場を後にした。
 この後、ウィンウィンのとある場所でナコと合流する約束をしている。


 僕は海岸沿いの街中、レイナさんの話していた場所に――到着した。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

処理中です...