267 / 426
もふもふの都開国編
266話 判断基準
しおりを挟む
決めた順番通り、通気口の中に入り込む。
ライカはさすが忍者と言わんばかり、狭さなどなんのその――すいすいと、軽快に前に進んで行く。
ライカの装備は、ジョブに因んだ藤色の忍び装束である。
まさに、動きやすさ重視といった見た目はくノ一か――健康的な太腿が眩しいばかりに露出している。
通気口は人一人が通れるほどのサイズ、僕の視界は全てライカで埋め尽くされている状態だった。
ライカが動くたび、モフっとした可愛らしい尻尾が小刻みに揺れる。
なんとなく、その付け根に視線が向いてしまい――見ちゃいけない危険ゾーン、下着なのかどうかわからない秘部、どうしても僕の視界に入り込んでくる。
一方通行――目を逸らせる状況でもない。
性的な感情が湧くことはないが、ゲーム大好き人間の僕にとっては――なんとなくライカの装備が気になってしまう。
そう、自身の判断が――重要となる大事な箇所なのだ。
「ライカ、この見えてるのって――パンティ?」
「うぇっ? ゎ、痛ぁああっ!」
何気なく放った僕の一言に、ライカが驚いて天井に頭をぶつける。
ライカが振り向き、真っ赤な顔で「あぅあぅ」と声を漏らす。こんなに取り乱した様子のライカは――初めてだった。
「く、クーにぃ、今なんて言ったの?」
「パンティだよ」
「クーラ?」
「違うんだ、ナコ」
背後から――激しい圧が飛んでくる。
ゲーム時から下着に見える装備は――多々存在した。現実となった今は本人の判断が基準となるだろう。
ライカはまだ、そこら辺の認識が曖昧になっている可能性もある。早めに意識させることは大事なのではなかろうか。
今、見たのが――僕でよかったと安堵する。
無防備なライカの姿、他の変態なお兄さん、おじさんたちだったら――発狂するくらい喜んでもおかしくはない。未然に防いだという事実、いつまでもゲーム感覚でチラ見せするわけにはいかないのだ。
ライカは振り向くことなく前に進みながら、
「ぱ、パンティ――下着といえば下着になるのかなぁ。ゲーム時は気にしたことなかったけど、現実的に考えたらそんな感じだよねぇ」
「黒一色っていうのは、忍者のイメージカラーにマッチしてるよね」
「クーラ?」
「違うんだ、ナコ」
「……クーにぃ、色まで言わないでぇ。ライカ、恥ずかしいよぅ」
ライカがポツリと呟く。
どうやら、意識してくれたようだ。その代償として――ナコの計り知れない圧に背中を押されながら、僕は通気口を足早気味に進んで行くのであった。
ライカはさすが忍者と言わんばかり、狭さなどなんのその――すいすいと、軽快に前に進んで行く。
ライカの装備は、ジョブに因んだ藤色の忍び装束である。
まさに、動きやすさ重視といった見た目はくノ一か――健康的な太腿が眩しいばかりに露出している。
通気口は人一人が通れるほどのサイズ、僕の視界は全てライカで埋め尽くされている状態だった。
ライカが動くたび、モフっとした可愛らしい尻尾が小刻みに揺れる。
なんとなく、その付け根に視線が向いてしまい――見ちゃいけない危険ゾーン、下着なのかどうかわからない秘部、どうしても僕の視界に入り込んでくる。
一方通行――目を逸らせる状況でもない。
性的な感情が湧くことはないが、ゲーム大好き人間の僕にとっては――なんとなくライカの装備が気になってしまう。
そう、自身の判断が――重要となる大事な箇所なのだ。
「ライカ、この見えてるのって――パンティ?」
「うぇっ? ゎ、痛ぁああっ!」
何気なく放った僕の一言に、ライカが驚いて天井に頭をぶつける。
ライカが振り向き、真っ赤な顔で「あぅあぅ」と声を漏らす。こんなに取り乱した様子のライカは――初めてだった。
「く、クーにぃ、今なんて言ったの?」
「パンティだよ」
「クーラ?」
「違うんだ、ナコ」
背後から――激しい圧が飛んでくる。
ゲーム時から下着に見える装備は――多々存在した。現実となった今は本人の判断が基準となるだろう。
ライカはまだ、そこら辺の認識が曖昧になっている可能性もある。早めに意識させることは大事なのではなかろうか。
今、見たのが――僕でよかったと安堵する。
無防備なライカの姿、他の変態なお兄さん、おじさんたちだったら――発狂するくらい喜んでもおかしくはない。未然に防いだという事実、いつまでもゲーム感覚でチラ見せするわけにはいかないのだ。
ライカは振り向くことなく前に進みながら、
「ぱ、パンティ――下着といえば下着になるのかなぁ。ゲーム時は気にしたことなかったけど、現実的に考えたらそんな感じだよねぇ」
「黒一色っていうのは、忍者のイメージカラーにマッチしてるよね」
「クーラ?」
「違うんだ、ナコ」
「……クーにぃ、色まで言わないでぇ。ライカ、恥ずかしいよぅ」
ライカがポツリと呟く。
どうやら、意識してくれたようだ。その代償として――ナコの計り知れない圧に背中を押されながら、僕は通気口を足早気味に進んで行くのであった。
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる