転生したら倉庫キャラ♀でした。

もふもふの都開国編

279話 捜索開始

「大将っ！　ライカはね、ウニといくらっ！！」
「へぇいっ！　ウニといくらでぃっ！！」
「わ、私は――胡瓜巻をお願いします」
「胡瓜巻、一丁ぉおっ！」
「ナコ、遠慮せず好きなものを頼んでいいんだよ」
「じゃ、じゃあ、私もいくらが食べたいです」
「もちろん」
「ライカ、大トロも追加でっ！」
「……ライカを見習ってくれていいよ」

　辰寿司を堪能し、店を後にする。
　心身ともに満たされて――紅桜組の屋敷に戻ったところ、入れ違いのように局長が外出をする寸前だった。
　すでに、外は真っ暗――僕は局長に尋ねる。

「どこか行くんですか？」
「むう。風花がな――まだ帰宅せんのだ」
「えっ？」
「クーラ殿、心当たりはないか？」
「二時間ほど前まで一緒にいました。風花さんと別れる直前、巡回するとは言っていましたが――少し帰りが遅すぎますね」
「今、世間では辻斬が騒ぎになっている。隊員たちには一人で行動せぬよう、注意はしているのだがな」
「僕たちも探します」
「ありがたい。巡回ルートは――この通りじゃ」

　局長が地図を広げる。
　東西南北、かなり広範囲に渡って警備しているようだ。
　今は人通りも落ち着いた時刻、少しくらい派手に捜索しても騒ぎにはならないだろう。
　最善の策が――あった。

「ナコ、食後に申しわけないけど――いけるかな？」
「問題ありません」
「僕たちが全てのルートを確認します。念のため、局長さんはこのルート以外の捜索に向かってくれませんか？」
「良案があるとみた。クーラ殿の提案に乗るとしよう」

　局長が二つ返事で頷く。
　即座に信用してくれるのはありがたい。僕たちは庭にでて、エアーをアイテムボックスから取り出す。
　サンサンには似つかわしくない――文明の集合体である。
　和風な景色の中、明らかに異質な物体がそこにはあった。
　局長はその姿を見て豪快に笑いながら、

「がっはっはっ！　主らからはどんなものが飛び出してきてもワシは驚かんぞっ！！　すまぬが、風花を――見つけ出してくれ」
「任せてください」

　サンサンに――白き翼が羽ばたいた。