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もふもふの都開国編
280話 辻斬
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「"夜姿"」
ライカが指で丸を形作り――地上を見渡す。
これは忍者のスキル、暗闇が蔓延る時間のみ――自身の身体能力を変化させる効果を持っていた。
夜目が利くようになり、気配を抑えることができる。
ゲーム時は命中率低下デバフの消去、モンスターからのヘイトを下げるなど、意外に使用機会は多かった。
なんとも忍者らしい隠密スキルであり、現実となった今も活躍する場面は多そうである。
「んんー、あぁっ! うわぁああっ!!」
ライカが不意に声を荒げる。
その叫びに――緊張が走った。まさか、風花さんはすでに何者かの手によって殺されていたのか?
ライカの見つめる先に視線を移すが――僕にはなにも見えない。
「ライカ、なにが起きてるんだっ?!」
「あそこの物陰、チュッチュしまくってるカップルがいるよっ! うわ、うわわ、な、なんかすっごいエッチなところ触ってるぅうううっ!! 待って待ってぇ、お外だよ? そんなことしちゃっていいのっ!?」
「嘘、マジでっ?! 詳しく頼むっ!」
「わぁあ、着物脱がしてるぅっ!」
「それからっ?!」
「……クーラ?」
「ライカ、真面目にやってくれっ! 今は一刻を争う事態なんだっ!! 風花さんになにかあってからじゃ遅いんだぞっ?!」
「あ、見つけたぁっ!」
ライカが指差す方向に降り立つ。
どうやら、巡回ルート側で正解だったようだ。風花さんは刀を手に、誰かと対峙している。その周囲には――隊員たちが血まみれで倒れていた。
風花さんも全身傷だらけ、ひと目で満身創痍の状態だとわかる。
「……クーラ殿、ライカ殿、ナコ殿までっ?!」
「おっと、加勢かぁ。ぞろぞろと集まって来よったなぁ」
和姿の――飄々とした態度の男だった。
手には刀が一本、武器の形状からジョブが武者だとわかる。
僕たちの登場に特に驚くこともなく、辻斬であろう人物は冷静に言い放った。
「ところで、あんた、今――クーラって呼ばれたか?」
「ああ。僕のことだ」
「こりゃまたラッキー、ワイが一番乗りやないかぁ。変な島に降りてもーて、気晴らしにNPC狩ってたけど――丁度よかったわ」
その軽い雰囲気は――どこかの誰かと被る。
「今乗ってたのって、地下で手に入れたものとちゃうの? ワイも似たような乗り物持ってるわ」
「"Freedom"の残党か」
「大正解。クーラ、あんたに――会いたい思とったで」
男が刀を構える。
ゴザルとは全く異なる、刀を前方に突き出した戦闘態勢――異様な空気が周囲を満たしていく。
男は不敵に笑いながら、
「ワイの名はアラシ。自己紹介も済ませたところで、早速やけど――楽しく可笑しく行かせてもらうで」
「皆、構えるんだっ!」
恐るべき速度だった。
僕が警戒するよう叫んだ瞬間、すでに刀の切っ先は――ライカの中心を貫いていた。
ライカが指で丸を形作り――地上を見渡す。
これは忍者のスキル、暗闇が蔓延る時間のみ――自身の身体能力を変化させる効果を持っていた。
夜目が利くようになり、気配を抑えることができる。
ゲーム時は命中率低下デバフの消去、モンスターからのヘイトを下げるなど、意外に使用機会は多かった。
なんとも忍者らしい隠密スキルであり、現実となった今も活躍する場面は多そうである。
「んんー、あぁっ! うわぁああっ!!」
ライカが不意に声を荒げる。
その叫びに――緊張が走った。まさか、風花さんはすでに何者かの手によって殺されていたのか?
ライカの見つめる先に視線を移すが――僕にはなにも見えない。
「ライカ、なにが起きてるんだっ?!」
「あそこの物陰、チュッチュしまくってるカップルがいるよっ! うわ、うわわ、な、なんかすっごいエッチなところ触ってるぅうううっ!! 待って待ってぇ、お外だよ? そんなことしちゃっていいのっ!?」
「嘘、マジでっ?! 詳しく頼むっ!」
「わぁあ、着物脱がしてるぅっ!」
「それからっ?!」
「……クーラ?」
「ライカ、真面目にやってくれっ! 今は一刻を争う事態なんだっ!! 風花さんになにかあってからじゃ遅いんだぞっ?!」
「あ、見つけたぁっ!」
ライカが指差す方向に降り立つ。
どうやら、巡回ルート側で正解だったようだ。風花さんは刀を手に、誰かと対峙している。その周囲には――隊員たちが血まみれで倒れていた。
風花さんも全身傷だらけ、ひと目で満身創痍の状態だとわかる。
「……クーラ殿、ライカ殿、ナコ殿までっ?!」
「おっと、加勢かぁ。ぞろぞろと集まって来よったなぁ」
和姿の――飄々とした態度の男だった。
手には刀が一本、武器の形状からジョブが武者だとわかる。
僕たちの登場に特に驚くこともなく、辻斬であろう人物は冷静に言い放った。
「ところで、あんた、今――クーラって呼ばれたか?」
「ああ。僕のことだ」
「こりゃまたラッキー、ワイが一番乗りやないかぁ。変な島に降りてもーて、気晴らしにNPC狩ってたけど――丁度よかったわ」
その軽い雰囲気は――どこかの誰かと被る。
「今乗ってたのって、地下で手に入れたものとちゃうの? ワイも似たような乗り物持ってるわ」
「"Freedom"の残党か」
「大正解。クーラ、あんたに――会いたい思とったで」
男が刀を構える。
ゴザルとは全く異なる、刀を前方に突き出した戦闘態勢――異様な空気が周囲を満たしていく。
男は不敵に笑いながら、
「ワイの名はアラシ。自己紹介も済ませたところで、早速やけど――楽しく可笑しく行かせてもらうで」
「皆、構えるんだっ!」
恐るべき速度だった。
僕が警戒するよう叫んだ瞬間、すでに刀の切っ先は――ライカの中心を貫いていた。
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