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もふもふの都開国編
302話 天凪璃々×2
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ゴザルが咳払いを一つ、胸に手を当てながら、
「主よ、私はこの広い世界であなたに出会えたこと心から嬉しく思います」
「ふわぁあ。ヤバいネ、マジかヨ!」
「必ず、主だけは守ってみせます。この命に変えても――必ず」
「それ、第7話の名シーンのやつヨっ! 主人公が絶対絶命のピンチに陥った時、命懸けで助けにいくやつじゃないカっ!!」
マイマイが興奮気味に叫び出す。
これは、オンリー・テイル第3期のヒロイン『五十鈴』の声である。僕も聞いたのは二度目だが――やはり、何度聞いても素晴らしい。
目を閉じると、第7話が鮮明に浮かび上がる。
「ちょっと待って。ソラ、マイマイさん、なんで泣いてるの?」
「「もう死んでもいい」」
僕とマイマイの声が重なる。
「あのシーン、マイマイは一万回は見たヨ」
「僕も百万回は見た」
「何度も何度も立ち上がって、ボスに立ち向かって行く勇敢な姿に――マイマイは生産職を極めようって心に誓ったネ」
「いや、五十鈴のジョブ理解してる? そこは普通武者じゃないの」
「ふふ。二人共、本当にアニメの大ファンなのね。私の声を聞いてここまで喜んでくれると――私も嬉しいわ」
ゴザルがクスッと笑う。
普段は素のゴザルと接しているせいか、天凪璃々だという事実が――完全に脳内から消え去っていた。
改めて、こういった機会があると有名人なんだなと再認識させられる。
ゴザルはあまり、自身のことを話そうとしない。
以前、二人で一夜を共にした時――ハッキリと、もとの世界に未練はないと口にしていた。僕はゴザルの言葉を受け止めて、今日まで尋ねたりすることはなかった。
そして、その気持ちはこれからも変わらない。
ゴザルが話そう、話したいと思うタイミングまで――待つつもりだ。
「マイマイ、サインが欲しいネっ!」
「もうこの世界での私は――天凪璃々と言っていいか曖昧だけれど、それでもよかったらサインするわよ」
慣れた手付きでゴザルが色紙にサインする。
天凪璃々――『天』の文字を大きく、残りの『凪璃々』を囲うような可愛らしい書き方である。
マイマイは色紙を頭上高く掲げながら、
「マイマイの家宝にする、これ子孫に受け継がせていくヨ」
「……大袈裟すぎるわよ」
「お侍さん、そんなに有名な方だったんですね。私、オンリー・テイルのアニメは見ていませんでしたが――天凪璃々はテレビで見た記憶があります。似ているなとは思っていましたが、まさか本人とは結び付きませんでした」
「……め、メディアに出ていた時は愛らしさが売りだったの。今と雰囲気が違いすぎてガッカリしたわよね」
恐る恐る、ゴザルがナコの方を見やる。
「ガッカリなんてしません、するわけありません」
「……ナコちゃん」
「お侍さんは――お侍さんですから」
ナコは柔和な笑顔でそう答えるのであった。
「主よ、私はこの広い世界であなたに出会えたこと心から嬉しく思います」
「ふわぁあ。ヤバいネ、マジかヨ!」
「必ず、主だけは守ってみせます。この命に変えても――必ず」
「それ、第7話の名シーンのやつヨっ! 主人公が絶対絶命のピンチに陥った時、命懸けで助けにいくやつじゃないカっ!!」
マイマイが興奮気味に叫び出す。
これは、オンリー・テイル第3期のヒロイン『五十鈴』の声である。僕も聞いたのは二度目だが――やはり、何度聞いても素晴らしい。
目を閉じると、第7話が鮮明に浮かび上がる。
「ちょっと待って。ソラ、マイマイさん、なんで泣いてるの?」
「「もう死んでもいい」」
僕とマイマイの声が重なる。
「あのシーン、マイマイは一万回は見たヨ」
「僕も百万回は見た」
「何度も何度も立ち上がって、ボスに立ち向かって行く勇敢な姿に――マイマイは生産職を極めようって心に誓ったネ」
「いや、五十鈴のジョブ理解してる? そこは普通武者じゃないの」
「ふふ。二人共、本当にアニメの大ファンなのね。私の声を聞いてここまで喜んでくれると――私も嬉しいわ」
ゴザルがクスッと笑う。
普段は素のゴザルと接しているせいか、天凪璃々だという事実が――完全に脳内から消え去っていた。
改めて、こういった機会があると有名人なんだなと再認識させられる。
ゴザルはあまり、自身のことを話そうとしない。
以前、二人で一夜を共にした時――ハッキリと、もとの世界に未練はないと口にしていた。僕はゴザルの言葉を受け止めて、今日まで尋ねたりすることはなかった。
そして、その気持ちはこれからも変わらない。
ゴザルが話そう、話したいと思うタイミングまで――待つつもりだ。
「マイマイ、サインが欲しいネっ!」
「もうこの世界での私は――天凪璃々と言っていいか曖昧だけれど、それでもよかったらサインするわよ」
慣れた手付きでゴザルが色紙にサインする。
天凪璃々――『天』の文字を大きく、残りの『凪璃々』を囲うような可愛らしい書き方である。
マイマイは色紙を頭上高く掲げながら、
「マイマイの家宝にする、これ子孫に受け継がせていくヨ」
「……大袈裟すぎるわよ」
「お侍さん、そんなに有名な方だったんですね。私、オンリー・テイルのアニメは見ていませんでしたが――天凪璃々はテレビで見た記憶があります。似ているなとは思っていましたが、まさか本人とは結び付きませんでした」
「……め、メディアに出ていた時は愛らしさが売りだったの。今と雰囲気が違いすぎてガッカリしたわよね」
恐る恐る、ゴザルがナコの方を見やる。
「ガッカリなんてしません、するわけありません」
「……ナコちゃん」
「お侍さんは――お侍さんですから」
ナコは柔和な笑顔でそう答えるのであった。
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