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もふもふの都開国編
316話 雪山の鍋パーティー
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皆で鍋をつつき合う。
それぞれ、取る具材によって性格がでるのがまた面白い。ライカはひたすら肉の嵐、ホムラは野菜中心、ポンズはアルコール度数の高そうな瓶のお酒を片手に――ちびちびと楽しそうにやっている。
ん? 酒――お酒?
「ポンズって成人してたの?」
「……失礼。ずっと我慢してたんだけど、どうしても飲みたくなった。うちはとっくに成人している。むしろ、この中では誰よりも年上かもしれない」
「勝手に僕の妹と同年代くらいだと思っていたよ」
「……若く見られるのは嬉しい」
ポンズがグビッとご機嫌そうに、お猪口のお酒を飲み干す。
この飲み方のスタイル、お酒の瓶のフォルム、もしかしてもしかしなくても――僕は一つの答えにたどり着く。
「ま、まさか、日本酒?」
「……みたいなもの。味には自信がある」
「一体、どこで手に入れたの?」
「……入手経路は生産者の希望から秘密になっている」
ポンズがお猪口を追加で取り出す。
「……どうぞ」
「僕も飲んでいいの?」
「……幸せのお裾分け。お鍋を作ってくれたお礼ともいえる」
「ありがとう」
念願の夢、叶う時がきた。
以前、ナコと共に輝きの洞穴オーラ・ストーンを攻略しに行った際――緑蟹を乱獲して蟹鍋を開催したことがある。
その時、日本酒が飲めたらと――どれだけ思ったことか。
「うわぁ。辛口で美味しいっ!」
「……ふふん」
無表情ながら、ポンズがドヤったのがわかる。
「……生産者曰く隠し味にカザンダーの毒液を一滴、それがこのピリッとした味わいを醸し出してると言っていた」
「えぇ。数滴飲んだら死ぬってやつだよね」
「……大丈夫、お酒も飲み過ぎたら身体にはよくない。毒という概念は人によって様々な捉え方がある。軽く嗜む程度ならストレス解消、全体的には自身のモチベーションを向上させてくれる」
確かに、この深みは極上である。
毒を一滴、その一手間でここまで激変するのならば喜んで受け入れよう。ナコと違ってライカはお酒に興味はないのか――ひたすら肉に一直線である。
ああ、お酒が美味しすぎて食べる手がとまらない。
「じろー」
熱い視線を感じる。
真横、ホムラが羨ましそうな顔付きで僕たちの晩酌を見つめていた。ホムラの酒癖の悪さは勉強済み、現在命令を聞く立場にある僕だが――お酒の所有者はポンズ、一杯いかがという決定権は僕にはない。
このまま、気付かなかったことにしよう。
「……ホムラさんも飲む?」
「えー、いいのっ?」
ガタガタっ。
突然立ち上がり真顔になった僕に、ライカとポンズが不思議そうな顔をするが――あの場にいなかった二人に僕の感情が伝わるわけがない。とめろ、とめなきゃいけない、動こうと思った瞬間、身体の自由が効かないことに気が付く。
「……ぐっ、がぁっ」
土龍である。
僕が制止することを先読みし、先手を取ってきたのだ。隣には悪魔のように笑うホムラがいた。
ポンズがお猪口を追加する。
「……お酒は皆で飲む方が楽しい」
「いただきまーすっ!」
鍋の場に――戦慄が走る。
それぞれ、取る具材によって性格がでるのがまた面白い。ライカはひたすら肉の嵐、ホムラは野菜中心、ポンズはアルコール度数の高そうな瓶のお酒を片手に――ちびちびと楽しそうにやっている。
ん? 酒――お酒?
「ポンズって成人してたの?」
「……失礼。ずっと我慢してたんだけど、どうしても飲みたくなった。うちはとっくに成人している。むしろ、この中では誰よりも年上かもしれない」
「勝手に僕の妹と同年代くらいだと思っていたよ」
「……若く見られるのは嬉しい」
ポンズがグビッとご機嫌そうに、お猪口のお酒を飲み干す。
この飲み方のスタイル、お酒の瓶のフォルム、もしかしてもしかしなくても――僕は一つの答えにたどり着く。
「ま、まさか、日本酒?」
「……みたいなもの。味には自信がある」
「一体、どこで手に入れたの?」
「……入手経路は生産者の希望から秘密になっている」
ポンズがお猪口を追加で取り出す。
「……どうぞ」
「僕も飲んでいいの?」
「……幸せのお裾分け。お鍋を作ってくれたお礼ともいえる」
「ありがとう」
念願の夢、叶う時がきた。
以前、ナコと共に輝きの洞穴オーラ・ストーンを攻略しに行った際――緑蟹を乱獲して蟹鍋を開催したことがある。
その時、日本酒が飲めたらと――どれだけ思ったことか。
「うわぁ。辛口で美味しいっ!」
「……ふふん」
無表情ながら、ポンズがドヤったのがわかる。
「……生産者曰く隠し味にカザンダーの毒液を一滴、それがこのピリッとした味わいを醸し出してると言っていた」
「えぇ。数滴飲んだら死ぬってやつだよね」
「……大丈夫、お酒も飲み過ぎたら身体にはよくない。毒という概念は人によって様々な捉え方がある。軽く嗜む程度ならストレス解消、全体的には自身のモチベーションを向上させてくれる」
確かに、この深みは極上である。
毒を一滴、その一手間でここまで激変するのならば喜んで受け入れよう。ナコと違ってライカはお酒に興味はないのか――ひたすら肉に一直線である。
ああ、お酒が美味しすぎて食べる手がとまらない。
「じろー」
熱い視線を感じる。
真横、ホムラが羨ましそうな顔付きで僕たちの晩酌を見つめていた。ホムラの酒癖の悪さは勉強済み、現在命令を聞く立場にある僕だが――お酒の所有者はポンズ、一杯いかがという決定権は僕にはない。
このまま、気付かなかったことにしよう。
「……ホムラさんも飲む?」
「えー、いいのっ?」
ガタガタっ。
突然立ち上がり真顔になった僕に、ライカとポンズが不思議そうな顔をするが――あの場にいなかった二人に僕の感情が伝わるわけがない。とめろ、とめなきゃいけない、動こうと思った瞬間、身体の自由が効かないことに気が付く。
「……ぐっ、がぁっ」
土龍である。
僕が制止することを先読みし、先手を取ってきたのだ。隣には悪魔のように笑うホムラがいた。
ポンズがお猪口を追加する。
「……お酒は皆で飲む方が楽しい」
「いただきまーすっ!」
鍋の場に――戦慄が走る。
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