342 / 426
もふもふの都開国編
341話 絆の都もふもふ
しおりを挟む
「はい、設置完了したヨ」
ついに、国が――建った。
自身で提案しといてなんだが、実際にその瞬間を間近で見ると――まさか、本当に実現可能だったことに驚く。
建造物が、一瞬にして――視界を埋め尽くした。
オンリー・テイル5本指に入る生産職プレイヤー、マイマイのデザインセンスは素人目にも飛び抜けており、僕の希望を寸分の狂いなく実現してくれていた。
早速、僕たちは中の散策を始める。
「ファンタジーな国、ソラたんらしくて好きヨ」
「また難しい注文したのね」
ゴザルが笑う。
「基本的には三国をベースにしてもらってるよ。そこに少し、居心地のよかったサンサンの和を織り交ぜてもらったんだ」
「マイマイも最初はアベコベにならないか不安だったけど、結局はこの世界の種族自体がファンタジーだから馴染むよネ。まあ、違和感がないよう細かい調整をして希望を叶えることはマイマイの腕の見せどころヨ」
全てを――詰め込んでもらった。
僕が今日までこの世界で生きてきた証、これからここをスタート地点に――自身の理想を目指していくのだ。
今はたくさんの建造物の中、人っ子一人いない状況は不思議な光景に思える。
そう、国は――僕たちだけでは成り立たない。
「それで、誰か住みたい人の目星は付いているのかしら?」
「その点については――王都含む各国から移民希望者がいないかどうか、王様たちに頼んで声明をだしてもらってるよ。大陸龍の経路に追加されるように話も付いてる。この国でできる仕事、名産品についても構想はあるんだ」
「いつの間に? 王様とお酒飲んで騒いでいるだけじゃなかったのね」
「……僕ってどんな印象なの」
「ソラちゃん、急にできる雰囲気発揮させないでよ」
ホムラが心底嫌そうに言う。
「ホムラ、なにを言っているんだ。構想があるだけで――それを実現させるために、皆の力を借りる以外に方法はない」
「ふふん。そっかそっか、私がなんでも手伝うからね」
嬉しそうに、ホムラが僕に寄り添う。
以前からは考えられない行動、ゴザルがポカンと口を開けて数秒固まった後――僕たちを慌てて引き剥がす。
「ま、待ちなさいよ。ペルファリア大山脈から帰って来てから――ソラたちの距離感おかしくない? 上手く言葉にできないけれど、近いというよりなんていうのかしら」
「私も思いました。ホムラお姉ちゃんの目が怪しいです」
ホムラはフンッと鼻を鳴らしながら、
「ゴザルちゃん、ナコちゃん、うかうかしてると――私が横から攫っちゃうかもしれないよ? 弱々ソラちゃんにはさぁ、しっかりした子が付いていないとだからね」
――「「はっ?」」
ナコとゴザルの言葉が重なる。
「おららぁーいっ! 痴話喧嘩は後ほどにするネ、今から行くところがマイマイが一番手間をかけたところヨ」
中心に、大きな屋敷が建っていた。
陽の国サンサンの紅桜組を意識した造り、街の治安を守りつつ――民と一番触れ合える場所と考えたからだ。
始まりの第一歩、屋敷内にて初のミーティングを開始する。
「今、僕がこの場に立っているのは――皆がいたから、いてくれたからだ。その想いを冠にしてみたいと思う」
そう、仲間がいたから――ここまで来れた。
「絆の都もふもふ、開国するよ」
ついに、国が――建った。
自身で提案しといてなんだが、実際にその瞬間を間近で見ると――まさか、本当に実現可能だったことに驚く。
建造物が、一瞬にして――視界を埋め尽くした。
オンリー・テイル5本指に入る生産職プレイヤー、マイマイのデザインセンスは素人目にも飛び抜けており、僕の希望を寸分の狂いなく実現してくれていた。
早速、僕たちは中の散策を始める。
「ファンタジーな国、ソラたんらしくて好きヨ」
「また難しい注文したのね」
ゴザルが笑う。
「基本的には三国をベースにしてもらってるよ。そこに少し、居心地のよかったサンサンの和を織り交ぜてもらったんだ」
「マイマイも最初はアベコベにならないか不安だったけど、結局はこの世界の種族自体がファンタジーだから馴染むよネ。まあ、違和感がないよう細かい調整をして希望を叶えることはマイマイの腕の見せどころヨ」
全てを――詰め込んでもらった。
僕が今日までこの世界で生きてきた証、これからここをスタート地点に――自身の理想を目指していくのだ。
今はたくさんの建造物の中、人っ子一人いない状況は不思議な光景に思える。
そう、国は――僕たちだけでは成り立たない。
「それで、誰か住みたい人の目星は付いているのかしら?」
「その点については――王都含む各国から移民希望者がいないかどうか、王様たちに頼んで声明をだしてもらってるよ。大陸龍の経路に追加されるように話も付いてる。この国でできる仕事、名産品についても構想はあるんだ」
「いつの間に? 王様とお酒飲んで騒いでいるだけじゃなかったのね」
「……僕ってどんな印象なの」
「ソラちゃん、急にできる雰囲気発揮させないでよ」
ホムラが心底嫌そうに言う。
「ホムラ、なにを言っているんだ。構想があるだけで――それを実現させるために、皆の力を借りる以外に方法はない」
「ふふん。そっかそっか、私がなんでも手伝うからね」
嬉しそうに、ホムラが僕に寄り添う。
以前からは考えられない行動、ゴザルがポカンと口を開けて数秒固まった後――僕たちを慌てて引き剥がす。
「ま、待ちなさいよ。ペルファリア大山脈から帰って来てから――ソラたちの距離感おかしくない? 上手く言葉にできないけれど、近いというよりなんていうのかしら」
「私も思いました。ホムラお姉ちゃんの目が怪しいです」
ホムラはフンッと鼻を鳴らしながら、
「ゴザルちゃん、ナコちゃん、うかうかしてると――私が横から攫っちゃうかもしれないよ? 弱々ソラちゃんにはさぁ、しっかりした子が付いていないとだからね」
――「「はっ?」」
ナコとゴザルの言葉が重なる。
「おららぁーいっ! 痴話喧嘩は後ほどにするネ、今から行くところがマイマイが一番手間をかけたところヨ」
中心に、大きな屋敷が建っていた。
陽の国サンサンの紅桜組を意識した造り、街の治安を守りつつ――民と一番触れ合える場所と考えたからだ。
始まりの第一歩、屋敷内にて初のミーティングを開始する。
「今、僕がこの場に立っているのは――皆がいたから、いてくれたからだ。その想いを冠にしてみたいと思う」
そう、仲間がいたから――ここまで来れた。
「絆の都もふもふ、開国するよ」
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる