転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

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エレメント正邪激闘編

397話 お団子頭

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 アユタ、大好きな初彼氏の名前。
 そう聞いたのは――すでにアユタマイファーストラブがアユタと別れた後だった。プライベートの事情はプレイキャラクターには無関係、オンリー・テイルというゲームには残念ながら改名機能がない。

 つまり、アユタマイファーストラブはプレイし続ける限り――決して離れることができなかったのだ。

 アユタマイファーストラブはとにかく恋多き女の子で、別れた直後にも新しい彼氏ができたとよく話していた。
 ある時、何度も強制的に見る元彼の名前に嫌気が差したと言い残し――アユタマイファーストラブはオンリー・テイルを引退した。
 転生後、最初の彼がこんな形で返り咲くとは――呪いのようである。

「アユタマイファーストラブは長い上に鬱陶しいから、今後あたしのことは――略してマイラブちゃんって呼んでね」
「これよ、これ。名前をどう省略するかってので、気に入った候補がでるまで動かないって言い出したのよ」
「うわぁ」
「うわぁ、はないっしょっ?! ソラっちにはわからないだろうね、あたしの乙女心ってやつはさぁっ!」
「引退する前とか、彼氏何人目だったっけ?」
「15人目」
「じゅ、じゅじゅ、15人っ?!」

 ナコが驚きの声を上げる。
 多いか少ないか、どちらかで判断するなら前者かもしれない。
 まあ、ナコの年齢的に付き合った経験はないだろうから――衝撃的だったか。
 アユタマイファーストラブは胸を張りながら、

「ナコっち、別に恋が多いのは悪いことじゃないかんね。歴代彼ピッピには全員思い出あるし。確かに、あたしは惚れやすいタイプかもだけどさ」
「……1人を好きでい続けるのは、おかしいですか?」
「いや、全然おかしいことじゃない。その恋がずっと持続できるってのは、ナコの想いの方向性がそうであるだけだよ」

 愛の形は人それぞれである。

「じゃあ、私はクーラが大好きのままでいます」
「ぶっはっ! うおぉおいっ! ちょい、普通に本人目の前にして言葉にしてるじゃんかっ?! なにこれ、子供の時から自分好みに育てるってやつ?」
「変なこと口にしながら興奮しないでよ。アユタマイファーストラブ」
「マイラブだっつってんだろっ?!」
「そういや、ゴザル――ホムラは?」
「まだお風呂に浸かってるはずよ」

 なるほど、そういうことか。
 ゴザル、マイラブ、どちらも――浴衣姿、完全にオンオフ切り替えのリラックス状態となっている。
 僕はゴザルのお団子を指で突付きながら、

「その可愛い髪型、お風呂上がり仕様だったんだね」
「へぁっ、か、可愛い?」

 ゴザルが赤面する。

「ふっへっへーん、あたしが整えたんだ。まさか、ゴザっちが――こんな美人さんとは思わなかった。カメラ機能で作成してこれとか、もう人生始まりすぎっしょ」
「べ、別に、人生始まってるとか考えたことないわよ」

 その時、ナコがマイラブの裾を引きながら、

「マイラブさん、私も同じ髪型にしてください」
「いいよーん。あとであたしの部屋においでよ」

 こうして、僕たちも次の行き先が決まるのであった。
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