転生したら倉庫キャラ♀でした。

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エレメント正邪激闘編

408話　パンツ一枚

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　本戦まで残り２日。
　各々、自由に過ごすことを僕から提案する。個性の際立つメンバー、心身共に万全の状態で本番を迎えるには――最善の選択だろう。

　僕はお馴染みの面子、ナコとゴザルと行動を共にする。
　こういう時、意外とホムラは乗ってこない。自分の時間を第一として、私はパスの一点張りである。

　だが、ふとした時には――構って構ってと迫って来る。
　メリハリ加減、気まぐれな性格、構って時に勢いが集中するので――ナコがうんざりするのも今なら少しわかる。
　僕たちは安らぎの満天、とある場所を目指していた。

「あ、マイラブさんが言ってたの――ここじゃないですか？」

　案内板、ナコが指し示す。
　大勢の人が入れそうな一区画、マイラブ曰く――本戦に進むギルドがよく集まっているとのこと、情報収集も兼ねて訪れてみるのはどうかと話していたのだ。
　本戦までは戦闘禁止、破れば失格、余程のことがない限り安全は約束されている。

「マイにしては、珍しく良案だったわね」
「僕もそう思っていたよ」

　僕はゴザルに同意する。

「私はまだお会いしたばかりで、わからないことだらけなのですが――マイラブさんはどんな方なんですか？」

「「自分に忠実」」

　ゴザルと声が重なる。
　ゲーム時は、あそこにいるプレイヤーイケメンすぎ、キャラクターセンス抜群、カメラ認識だったらヤバくない？　と、顔に関することばかり話していた記憶がある。

　生粋の――面食いである。

　この世界に転生した今、ファンタジー的な容姿の人は多い。
　ある意味、マイラブにとっては楽園と言っても過言ではないだろう。
　ナコも共感できる箇所はあるのか、

「確かに、オンリー・テイルって顔の濃い人が多いですよね」
「まあ、ファンタジーの世界だからね。外国人を見ているような、そんな感覚はあるかもしれない」

　少なからず、その要素は――僕たちにもある。
　ゴザルは髪と瞳の色が違うし、ナコも猫耳に尻尾、僕にいたっては根本的に性別自体が違う。
　最早、ファンタジー以外の何者でもない。
　案内板通りに進み、僕たちは目的地にたどり着く。すでに、結構な人がいるのか――騒がしい気配がする。
　ゆっくり扉を開くと、マイラブの姿が視界に入った。

「ぎゃっはほわーっ！　ユウタ様の筋肉素敵すぎぃぃひいいいっ！」
「はっはっはっ！　いくらでも触りたまえっ！　殴ってみても構わないっ！　私のマッスルは多少のことでは微動だにしないっ！」
「あぐぐわぁあっ！　ギュッとハグっと、力強く抱き締められたい――抱かれたいっ！」
「はっはっはっ！　落ち着きたまえっ！」

　僕はそっと――扉を閉じる。
　な、なんだ今の光景？　なにかのイベントか？　マイラブがパンツ一枚のマッチョに飛び付くシーンが目に入った。
　扉の前で固まる僕、ナコとゴザルが首を傾げながら、

「クーラ？」
「？？？　ソラ、入らないの？」
「……いや、なんか、うん」
「急に怖気付いてどうしたのよ？　開けるわよ」

　バァンと、ゴザルが勢いよく扉を開く。

「はっはっはっ！　私のマッスルユリカゴの乗り心地は――どうだいっ？！」
「マジ、ヤババっ！　ハッピーすぎて逝っちゃうふぅーっ！！」
「……」

　広がる光景に、ゴザルが立ち尽くす。
　マイラブがうっとりとした表情にて、パンツ一枚マッチョの腕に包まれて――揺らされていた。

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