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エレメント正邪激闘編
417話 遠慮はしない
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「暴食、喰らい尽くせ」
触手の先端が口のように蠢く。
それは獰猛な肉食獣か、ダイヤ・タートルの亡骸は――咀嚼音と共に、あっという間に姿を消した。質量は特に関係なく、モンスター1体から入手できるバフは1つのみ、ストック数は3つまでとなっている。
脳内に強化効果、バフの詳細が映し出される。
「……まだ足りないな。なんとか、残り2つも埋めておきたい」
「ナコちゃんは修行にでているって話だったわよね」
「僕にはナコのような成長速度はないからね。今あるものを駆使して少しでも勝率を上げる以外に方法がない」
「ナコちゃんは別格だけれど、その点については同意よ。確かに、あなたには――そういった才能がない」
「あはは。間違いないね」
「だけど、弱さを認める強さがあるわ」
ゴザルは言う。
「周りに助けを求めることを恥じず、真っ直ぐゴールに進み続ける姿、私はソラのそういう素直なところが――大好き」
「ハッキリ言葉にされると照れちゃう」
「ふふ。それで、残り2つも必要なのよね」
「いいの?」
「今さら遠慮してどうするのよ、最後まで付き合ってあげる。リンたちに勝つには――常識外、場を一転するような切り札が必須になるわ」
王都外周側にはまだ複数のネームドが存在する。
戦略的にはダイヤ・タートルのバフで埋め尽くしたかったが――ネームドは一度撃破すると次のポップまで時間を要する。
準備期間は今日一日のみ、待っている余裕は――ない。
「じゃあ、あと"ブルードラゴン""シー・クラーケン"もお願いしていいかな」
「遠慮がなさすぎるわよっ!」
「えぇっ、遠慮するなって言ったじゃんっ!」
「限度があるでしょ、限度がっ?! ブルードラゴン、シー・クラーケン、両方大型モンスターじゃないのよっ!! ゲーム時だったら刀1本で戦っていたら、ただの馬鹿って罵られるレベルよっ? 私を戦闘マシーンかなにかだと思ってないわよね? せめて、ホムか誰か連れて来なさいっ!!」
「やっぱり、一人じゃ無理かな?」
「……今ならできないこともないわ。あなたも少しくらいは手伝いなさいよ」
さすが、ゴザルさん。
そういえば、今さらながら――ドラゴンの話で思い出したことがある。王都上空の決戦時、ゴザルが黒いドラゴンに乗って参戦して来たのだ。
言葉を話すドラゴン、古代龍に他ならない。
「ゴザル、前に――黒いドラゴンに乗って助けに来てくれたよね。あのドラゴン、どうやって従えてたの?」
「"黒炎《こくえん》"のことね。黒炎は――私が転移された時、目の前にいて戦うことになったのよ。なんやかんや仲良くなって、私のために色々と動いてくれたわ。この話はまた今度ゆっくりしてあげる」
あ、あの状況から――そんな事態になっていたのか。
事もなげにゴザルは言うが、僕だったら一瞬にして喰われていただろう。この世界って実は隠れたステータスで"運"とかあったりしないよね? 今の今まで自分は意外と幸運だったことを認識させられる。
だが、不運すらも――斬り伏せていくものがいた。
「ソラ、ボサッとしてないで行くわよ」
なんとも、頼もしい御仁なのである。
触手の先端が口のように蠢く。
それは獰猛な肉食獣か、ダイヤ・タートルの亡骸は――咀嚼音と共に、あっという間に姿を消した。質量は特に関係なく、モンスター1体から入手できるバフは1つのみ、ストック数は3つまでとなっている。
脳内に強化効果、バフの詳細が映し出される。
「……まだ足りないな。なんとか、残り2つも埋めておきたい」
「ナコちゃんは修行にでているって話だったわよね」
「僕にはナコのような成長速度はないからね。今あるものを駆使して少しでも勝率を上げる以外に方法がない」
「ナコちゃんは別格だけれど、その点については同意よ。確かに、あなたには――そういった才能がない」
「あはは。間違いないね」
「だけど、弱さを認める強さがあるわ」
ゴザルは言う。
「周りに助けを求めることを恥じず、真っ直ぐゴールに進み続ける姿、私はソラのそういう素直なところが――大好き」
「ハッキリ言葉にされると照れちゃう」
「ふふ。それで、残り2つも必要なのよね」
「いいの?」
「今さら遠慮してどうするのよ、最後まで付き合ってあげる。リンたちに勝つには――常識外、場を一転するような切り札が必須になるわ」
王都外周側にはまだ複数のネームドが存在する。
戦略的にはダイヤ・タートルのバフで埋め尽くしたかったが――ネームドは一度撃破すると次のポップまで時間を要する。
準備期間は今日一日のみ、待っている余裕は――ない。
「じゃあ、あと"ブルードラゴン""シー・クラーケン"もお願いしていいかな」
「遠慮がなさすぎるわよっ!」
「えぇっ、遠慮するなって言ったじゃんっ!」
「限度があるでしょ、限度がっ?! ブルードラゴン、シー・クラーケン、両方大型モンスターじゃないのよっ!! ゲーム時だったら刀1本で戦っていたら、ただの馬鹿って罵られるレベルよっ? 私を戦闘マシーンかなにかだと思ってないわよね? せめて、ホムか誰か連れて来なさいっ!!」
「やっぱり、一人じゃ無理かな?」
「……今ならできないこともないわ。あなたも少しくらいは手伝いなさいよ」
さすが、ゴザルさん。
そういえば、今さらながら――ドラゴンの話で思い出したことがある。王都上空の決戦時、ゴザルが黒いドラゴンに乗って参戦して来たのだ。
言葉を話すドラゴン、古代龍に他ならない。
「ゴザル、前に――黒いドラゴンに乗って助けに来てくれたよね。あのドラゴン、どうやって従えてたの?」
「"黒炎《こくえん》"のことね。黒炎は――私が転移された時、目の前にいて戦うことになったのよ。なんやかんや仲良くなって、私のために色々と動いてくれたわ。この話はまた今度ゆっくりしてあげる」
あ、あの状況から――そんな事態になっていたのか。
事もなげにゴザルは言うが、僕だったら一瞬にして喰われていただろう。この世界って実は隠れたステータスで"運"とかあったりしないよね? 今の今まで自分は意外と幸運だったことを認識させられる。
だが、不運すらも――斬り伏せていくものがいた。
「ソラ、ボサッとしてないで行くわよ」
なんとも、頼もしい御仁なのである。
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