転生したら倉庫キャラ♀でした。

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エレメント正邪激闘編

418話　強さの意味

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　ついに、本戦が始まる日となった。
　本戦は３日間となっており、初日はＡブロック・Ｂブロック、共に１回戦の勝者を決める戦いとなる。
　２日目は準決勝、最終日は優勝者が決定される。
　この本戦は王都だけでなく、四国からも人が集まる大イベント、僕ももふもふの王として醜態を晒すわけにはいかない。
　観衆に包まれた正方形の舞台、間もなく僕たちは――あそこに降り立つ。

「ナコがまだ来ていないね」
「はっ、問題ねえだろ。あの黒猫が約束を破るはずはねえ、気長に待ってりゃ俺たちの番までには帰って来るだろうぜ」

　後藤さんが言う。
　その言葉通り、僕もなに一つ――心配はしていなかった。
　ナコは必ず来る、決意を形にしてやって来るだろう。

「触術師クーラ。戦略、戦う順番は決まっているのか？」
「僕が先鋒で行こうと考えているよ」

　敵側の情報を吐き出させる。
　このメンバーの中で一番弱い僕が、後続に有利に繋げるため――最善の手であると考えていた。
　僕の案に対して、フレイムが笑い飛ばす。

「馬鹿者、我らを率いる立場のリーダーが先陣を切ってどうする？　お前が初戦からボロクソに負けた時、後続の士気が下がることも考えておけ」

　さすが、軍の頂点にいただけある。
　効率重視という僕の悪い癖が前面にでてしまった。この点についてはフレイムの意見は筋が通っている。
　理論、数値だけで収まる世界では――ないのだ。

「ごめん。僕の考えが安易過ぎたよ」
「理解したのならば――よい。どちらにせよ、先鋒は我が誰にも渡さぬがな」

　フレイムは堂々と言い放つ。

「勝利すればまた強者が眼前に立つ、我にとっては歓喜と呼ぶに相応しい場、今の自身がどれほどの強さにいたったか――楽しみで仕方がない」
「やっぱり、そこに行き着くんだね」
「当然、我がギルドに加入したのは――双方に得があったからだ。お前にもメリットしかないであろう」

　確かに、現状はその一言に尽きる。
　だが、この男を強くすることは――オンリー・テイルという世界に置いて、少なからずなにかしらの影響は与えるだろう。
　未来的な意味では、再び災厄が訪れる可能性もある。

「くっくっく。味方であるうちは――安心しておくがよい。裏切りなどという幼稚な真似は決してせぬ」

　僕の心を読み取ったのか、フレイムは静かにそう呟く。

「じゃあ、先鋒は任せたよ」
「全員我の手で皆殺し、と言いたいところではあるが――おそらく、それは不可能だと先に宣言しておこう」

　珍しく弱気な発言――いや、冷静に戦力差を分析しているのか。

「ひと目で理解した。やつらは――強い。我が相見えた強者の中でも最高峰、武者ゴザルと同じ気配を感じるからな」
「その境地に行き着かせたのは――俺だろうぜ。ギルド壊滅前、リンたちにあそこまでの強さはなかったからなぁ」
「復讐心か。その強さの意味、我は嫌いではないぞ」
「はっ、俺を殺すために、大層努力したんだろうよ」

　寂しい――瞳だった。

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