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始まりのバレンタイン
いわゆる異世界
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「────! ──!」
誰かの声が聞こえる。デジャヴ。
何か、さっきも同じことを思った気がする。
「──────! ──きろ!」
遠くではなく、近くで声がする。これもさっき思ったな……。
眠いわけではないのだが変な感じなんだ。
意識はあるんだろうが身体に力が入らない。指一本動かないし、目も開けられないのだ。
ということは……これがアレか。れいのやつだ。
これが頭だけが起きてるってやつに違いない。なるほど。なるほど。嘘くせーと思ってたが、これは本当に動けな、
「──起きろ! いつまで寝ている!」
「はっ──、夢落ちじゃなかった!?」
急にハッキリした声と共に、頬に結構な衝撃を受けて一気に目が覚めた。
意識がはっきりしたし、頬が痛い……。
「いってーな、誰だか知らないけど何すん……」
意識が覚醒してみると、自分は何やら椅子に座ってるようだとわかる。
やけにゴツゴツとしていて、指が触れるとヒヤリとした冷たさが残る、そんな椅子だった。
次に叩かれたところをさすろうとして、腕を上げようとするが動かない。足も同じくガチャガチャいうが、まったく動かない。
なんだが、いやーな予感がするね。
「……だ」
恐る恐る自分の手元に視線を持っていくと、金属の錠のようなもので拘束されていた。足元も同じなのだろう。こちらも同様に動かせないからね……──ってこれ、あかんやつだ!?
絶対に拷問とかに使う椅子だろ。間違いない!
「お前、さっきの悪魔! 何が少し話を聞くだけだ。騙しやがったな!」
「黙れ。王の御前だ。死にたくなければ大人しくしろ!」
ガチャガチャと音を立てて力の限り暴れながら、右腕の上に乗っている、俺の頬を叩いてくれた悪魔を怒鳴りつけてみる。
「王だって。そう言ったのか? 王って悪魔の王? つーか、このご時世に王? それに死にたくなければとも……」
しかし、悪魔の口から発せられた言葉の意味がわからず、頭の中が一瞬空白になった。なんと言われたのかをちゃんと理解するのに時間がかかる。
「セバス。其方、何と言って彼を連れてきたのだ?」
前方からそう声が聞こえたと同時に、身体中から警報が上がる。何気ない台詞に対して命の危機だと身体は訴えてくる。
身体の奥深くに響く威厳のある声。それに身体が「早く逃げろ!」と叫んでいる。
寒いわけでもないのに身体がガタガタと震えてしまうし、震えを自分の意思では止められない。
「怯えるなと言っても無理だろう。なので拘束させてもらった。少し話を聞きたいのだ」
怯えるなというのはちょっと難しい。
前を向き、声の主を見ることも無理だ。
お話なんて到底出来そうにない。
──絶対に声なんて出ない!
「無論、同意を得て連れてきました。話を聞きたいとも伝えました」
聞いたよ? それは確かに聞いた。ちょっと話を聞くだけだってね。
間違いなく、こんなことになるとは聞いてないけどな! なんだよこれー、状況が状況だったら漏れるよー。
自転車を押していて両手がふさがっていてよかった。でなければ、俺はあったかい飲み物を飲んでいたはずだから。
──なんてやってる場合じゃねーんだよ!
ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタ……ブルブル……帰りたい……。
「王、よろしいですか。あの様子では話を聞くどころではないかと。少しお時間をいただけますか」
俺がガタガタブルブルしているとそう発言した、やけにいい声の男が立ち上がる気配がした。
きっと姿もイケメンだろうと想像できる。死ねばいいのに。
「……わかった。任せる」
しかし威厳のある声の人から勝手に、いい声の男に俺は委ねられたらしく、俺の近くにいい声の男が近づいてくる。
そしてついに、下を向いたままの俺の視界に、いい声の男のものと思われる下半身が見えた。
「では、お任せを」
近づいてきたいい声の男は、そう言うとパチンと指を鳴らす。
すると足元の景色が変わる。豪華な絨毯の床から、緑の草原のようなところへと変化していく。
それと同時に空気もガラッと変わり、えげつない威圧感も消えてなくなる。
ようやく生きた心地がした俺は、荒く息を吐き出してはまた吸い込みを繰り返し、前を見る余裕も生まれてきた。
「はぁ……はぁ……」
いい声の男の足元から顔を上げると、そこには予想を全く裏切らない容姿の男がいた。スゴく整った顔にそこそこある身長。
なんていうか神官? みたいな服を着ているのが唯一気になるが、まさしくイメージ通りのイケメンだ。死ねばいいのに。
「少し落ち着きましたね。これを噛んでください。そしてゆっくりと息をしてください」
優しく笑っているイケメンに、謎の葉っぱを口元に差し出される。
現在委ねられているし、そもそも動けないので、俺はイケメンに言われるままにするしかない。口に無理矢理に突っ込まれるよりはいい。
「マズっ……。葉っぱ味」
「一口で結構です。呼吸も、もう大丈夫そうですね」
「えー、さっきの人はいったい? というか人?」
「あの方は王ですよ。この世界の」
今のイケメンの言い方だと、まるで日本じゃないみたいな言い方に聞こえる。
だって「この世界」なんて普通は言わなくね?
「……ここは日本でしょう?」
「違いますよ。ここはアナタの世界とは違うところです。そこに暮らす私たちもね」
コイツは頭がおかしいのかとイケメンを見ていて気づいたのだが、目の前のイケメンには頭から左右に角のようなものがある。
それ以外は普通の人間と変わらなく見えるけど、それは人間にはないであろうモノだ。
「申し訳ない。ニクス殿」
「いえいえ。セバス殿こそ毎度ご苦労様です」
セバスと呼ばれた小さいおじいさん(仮)は、イケメンの男をそう呼んだ。
おじいさんはセバス。イケメンは二クスというらしい。
「主人より賜った役目ゆえ当然です。そろそろ良いのでは? 王は気が短い」
「ですね。機嫌を損ねては、また姫に小言をいただかなければなりません」
待て待て、俺抜きで話がまとまってしまうぞ。
この流れだとさっきのところに逆戻り。何も変わらず振り出しに戻るだけだ。
「──待ってくれ! 俺はどうなるんだ!」
「どうにもなりませんよ。私たちはアナタから話を聞きたいだけなのです。私たちがアナタに危害を加えたりはしません。絶対にです」
「……なら、コレは?」
ガチャガチャと手足の拘束をわざと引っ張り音を鳴らす。
俺の置かれている現状をこれ以上わかりやすく、簡単に説明できる方法はないと思われる。
「これが、話を聞きたいという相手に、することなのかな。ニクス君どうなの? なんか言ってごらん?」
「前に一度、アナタのように王に威圧された方が部屋から飛び出していってしまい、そこをちょうど通りかかった姫に激突。双方怪我はなかったのですが、その時にちょっといろいろありまして。今後も続けるなら、逃げ出さないように拘束せよと言われてしまいまして。申し訳ないのですが、しばらく我慢を……」
「そりゃあな……。いきなりこんな目に遭って、逃げ出すなという方が無理ってもんだ。人間をなんだと思っているのか。今の俺の気持ちは、今すぐにでも、ここから、に・げ・た・い。だ!」
拘束の理由に全く納得ができないので、ガチャガチャ抗議を再開します。
「あの時は参りましたな。あれほど姫に怒られるとは思いませんでした」
「姫も多感な年頃ですから仕方ないでしょう」
しかし、俺の抗議をスルーして普通に会話し始める、小さなおじいさん(仮)と、姿も声も無駄にイケメン。
……もうめんどくさくなってきたので、以後はセバスと二クスと表記する。
「おい、本当に話をするだけなんだな?」
「はい」
俺はどうもこのニクスという男を信用できない。だって、いい人すぎないか? 初対面なのに。イケメンなのにだ。
イケメンで性格も良い? そんなわけないよな? そんなことは有り得ない。
「何度もそう言っているだろう。第一、オマエにそれ以上の価値は今のところ無い」
セバスに言われたことに何も言い返せないな。確かに何の価値も無いだろう。なら、本当に安全は保障されているのではないだろうか?
こいつらが言ってることは全部本当で、イケメンなのにいい人なのか? 小根が腐ってるのは俺だと言うのか?
「納得されたようですね。此度の来客は何らや面白い方のようです。名乗りが遅れましたが、ニクスと申します。財務を預かる者です」
「……白夜 零斗です」
「ハクヤレイトさん。ですね。皆さん、彼は白夜さんと仰るそうです!」
二クスは急に声を上げるが、一面が緑の草原には俺たち以外には誰もいない。
こいつはどこに向けて喋ったのか? やっぱりあたまおかしいのか?
「やっぱりイケメンでいい人なわけがないんだ……」
いよいよヤベェなと考え始めたら、パチンともう一度音がした。
すると景色がまた変わる。緑の草原から、豪華な絨毯のところに景色が戻っていく。
さっきの場所に戻ってきた。いや……元から移動なんてしてなかったのか? それなら声を上げたのも理解できる。
「では、私はこれで。もう大丈夫ですよ」
イケメンはそう言い残して去っていく。
二クスは本当に、ただのいい奴だったのだろうか。そんなことがあるのだろうか。
「ニクス殿に疑いを持ったなら、それもオマエの改めるべきところだ。決めつけてかかるのはやめたほうがいい」
なん、だと。これも俺がダメな理由なのか? 疑ってかかるのは悪くはないはず。だよね?
これもセバスの言った、度合いの問題か……。
「白夜殿。話を始めてもよいかな?」
さっきと同じ威圧感のある声が聞こえる。だが、先ほどまでと違い震えはない。これが葉っぱ効果だろうか?
これなら喋るくらい何とでもなる。もう余裕! で、とっとと終わらせて家に帰ろう!
そう決めて意を決して顔を上げる。すると、自分の置かれている状況が理解できた。
正面に玉座。これは最初に聞いた。
右側は、ニクス始め人間ぽい人たち。左側は、初めて見る明らかに人間でない人たち。
左右合わせて20人ほどが、俺を真剣な表情で見ている。その大半(ニクス以外)に共通点がある。
全員の顔が恐い。マジでヤバい……。
顔面傷だらけの人とか、始めっからその顔だとしたら終わってる人とか、盗賊とか山賊とか海賊とかにいそうな顔の人とかがいっぱいいる。
強面とかのレベルじゃない。
ここはアレだ。きっと組的なところだよ。
前言は撤回する……。ガクブルだ。
「小僧、返事をせんか! 王の話は聞こえていよう!」
逃げ出したという奴の気持ちがさらによく分かる。目が覚めて、突然こんな奴らに囲まれてたら逃げるわ!
俺は本当に無事に帰れるのでしょうか……。
誰かの声が聞こえる。デジャヴ。
何か、さっきも同じことを思った気がする。
「──────! ──きろ!」
遠くではなく、近くで声がする。これもさっき思ったな……。
眠いわけではないのだが変な感じなんだ。
意識はあるんだろうが身体に力が入らない。指一本動かないし、目も開けられないのだ。
ということは……これがアレか。れいのやつだ。
これが頭だけが起きてるってやつに違いない。なるほど。なるほど。嘘くせーと思ってたが、これは本当に動けな、
「──起きろ! いつまで寝ている!」
「はっ──、夢落ちじゃなかった!?」
急にハッキリした声と共に、頬に結構な衝撃を受けて一気に目が覚めた。
意識がはっきりしたし、頬が痛い……。
「いってーな、誰だか知らないけど何すん……」
意識が覚醒してみると、自分は何やら椅子に座ってるようだとわかる。
やけにゴツゴツとしていて、指が触れるとヒヤリとした冷たさが残る、そんな椅子だった。
次に叩かれたところをさすろうとして、腕を上げようとするが動かない。足も同じくガチャガチャいうが、まったく動かない。
なんだが、いやーな予感がするね。
「……だ」
恐る恐る自分の手元に視線を持っていくと、金属の錠のようなもので拘束されていた。足元も同じなのだろう。こちらも同様に動かせないからね……──ってこれ、あかんやつだ!?
絶対に拷問とかに使う椅子だろ。間違いない!
「お前、さっきの悪魔! 何が少し話を聞くだけだ。騙しやがったな!」
「黙れ。王の御前だ。死にたくなければ大人しくしろ!」
ガチャガチャと音を立てて力の限り暴れながら、右腕の上に乗っている、俺の頬を叩いてくれた悪魔を怒鳴りつけてみる。
「王だって。そう言ったのか? 王って悪魔の王? つーか、このご時世に王? それに死にたくなければとも……」
しかし、悪魔の口から発せられた言葉の意味がわからず、頭の中が一瞬空白になった。なんと言われたのかをちゃんと理解するのに時間がかかる。
「セバス。其方、何と言って彼を連れてきたのだ?」
前方からそう声が聞こえたと同時に、身体中から警報が上がる。何気ない台詞に対して命の危機だと身体は訴えてくる。
身体の奥深くに響く威厳のある声。それに身体が「早く逃げろ!」と叫んでいる。
寒いわけでもないのに身体がガタガタと震えてしまうし、震えを自分の意思では止められない。
「怯えるなと言っても無理だろう。なので拘束させてもらった。少し話を聞きたいのだ」
怯えるなというのはちょっと難しい。
前を向き、声の主を見ることも無理だ。
お話なんて到底出来そうにない。
──絶対に声なんて出ない!
「無論、同意を得て連れてきました。話を聞きたいとも伝えました」
聞いたよ? それは確かに聞いた。ちょっと話を聞くだけだってね。
間違いなく、こんなことになるとは聞いてないけどな! なんだよこれー、状況が状況だったら漏れるよー。
自転車を押していて両手がふさがっていてよかった。でなければ、俺はあったかい飲み物を飲んでいたはずだから。
──なんてやってる場合じゃねーんだよ!
ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタ……ブルブル……帰りたい……。
「王、よろしいですか。あの様子では話を聞くどころではないかと。少しお時間をいただけますか」
俺がガタガタブルブルしているとそう発言した、やけにいい声の男が立ち上がる気配がした。
きっと姿もイケメンだろうと想像できる。死ねばいいのに。
「……わかった。任せる」
しかし威厳のある声の人から勝手に、いい声の男に俺は委ねられたらしく、俺の近くにいい声の男が近づいてくる。
そしてついに、下を向いたままの俺の視界に、いい声の男のものと思われる下半身が見えた。
「では、お任せを」
近づいてきたいい声の男は、そう言うとパチンと指を鳴らす。
すると足元の景色が変わる。豪華な絨毯の床から、緑の草原のようなところへと変化していく。
それと同時に空気もガラッと変わり、えげつない威圧感も消えてなくなる。
ようやく生きた心地がした俺は、荒く息を吐き出してはまた吸い込みを繰り返し、前を見る余裕も生まれてきた。
「はぁ……はぁ……」
いい声の男の足元から顔を上げると、そこには予想を全く裏切らない容姿の男がいた。スゴく整った顔にそこそこある身長。
なんていうか神官? みたいな服を着ているのが唯一気になるが、まさしくイメージ通りのイケメンだ。死ねばいいのに。
「少し落ち着きましたね。これを噛んでください。そしてゆっくりと息をしてください」
優しく笑っているイケメンに、謎の葉っぱを口元に差し出される。
現在委ねられているし、そもそも動けないので、俺はイケメンに言われるままにするしかない。口に無理矢理に突っ込まれるよりはいい。
「マズっ……。葉っぱ味」
「一口で結構です。呼吸も、もう大丈夫そうですね」
「えー、さっきの人はいったい? というか人?」
「あの方は王ですよ。この世界の」
今のイケメンの言い方だと、まるで日本じゃないみたいな言い方に聞こえる。
だって「この世界」なんて普通は言わなくね?
「……ここは日本でしょう?」
「違いますよ。ここはアナタの世界とは違うところです。そこに暮らす私たちもね」
コイツは頭がおかしいのかとイケメンを見ていて気づいたのだが、目の前のイケメンには頭から左右に角のようなものがある。
それ以外は普通の人間と変わらなく見えるけど、それは人間にはないであろうモノだ。
「申し訳ない。ニクス殿」
「いえいえ。セバス殿こそ毎度ご苦労様です」
セバスと呼ばれた小さいおじいさん(仮)は、イケメンの男をそう呼んだ。
おじいさんはセバス。イケメンは二クスというらしい。
「主人より賜った役目ゆえ当然です。そろそろ良いのでは? 王は気が短い」
「ですね。機嫌を損ねては、また姫に小言をいただかなければなりません」
待て待て、俺抜きで話がまとまってしまうぞ。
この流れだとさっきのところに逆戻り。何も変わらず振り出しに戻るだけだ。
「──待ってくれ! 俺はどうなるんだ!」
「どうにもなりませんよ。私たちはアナタから話を聞きたいだけなのです。私たちがアナタに危害を加えたりはしません。絶対にです」
「……なら、コレは?」
ガチャガチャと手足の拘束をわざと引っ張り音を鳴らす。
俺の置かれている現状をこれ以上わかりやすく、簡単に説明できる方法はないと思われる。
「これが、話を聞きたいという相手に、することなのかな。ニクス君どうなの? なんか言ってごらん?」
「前に一度、アナタのように王に威圧された方が部屋から飛び出していってしまい、そこをちょうど通りかかった姫に激突。双方怪我はなかったのですが、その時にちょっといろいろありまして。今後も続けるなら、逃げ出さないように拘束せよと言われてしまいまして。申し訳ないのですが、しばらく我慢を……」
「そりゃあな……。いきなりこんな目に遭って、逃げ出すなという方が無理ってもんだ。人間をなんだと思っているのか。今の俺の気持ちは、今すぐにでも、ここから、に・げ・た・い。だ!」
拘束の理由に全く納得ができないので、ガチャガチャ抗議を再開します。
「あの時は参りましたな。あれほど姫に怒られるとは思いませんでした」
「姫も多感な年頃ですから仕方ないでしょう」
しかし、俺の抗議をスルーして普通に会話し始める、小さなおじいさん(仮)と、姿も声も無駄にイケメン。
……もうめんどくさくなってきたので、以後はセバスと二クスと表記する。
「おい、本当に話をするだけなんだな?」
「はい」
俺はどうもこのニクスという男を信用できない。だって、いい人すぎないか? 初対面なのに。イケメンなのにだ。
イケメンで性格も良い? そんなわけないよな? そんなことは有り得ない。
「何度もそう言っているだろう。第一、オマエにそれ以上の価値は今のところ無い」
セバスに言われたことに何も言い返せないな。確かに何の価値も無いだろう。なら、本当に安全は保障されているのではないだろうか?
こいつらが言ってることは全部本当で、イケメンなのにいい人なのか? 小根が腐ってるのは俺だと言うのか?
「納得されたようですね。此度の来客は何らや面白い方のようです。名乗りが遅れましたが、ニクスと申します。財務を預かる者です」
「……白夜 零斗です」
「ハクヤレイトさん。ですね。皆さん、彼は白夜さんと仰るそうです!」
二クスは急に声を上げるが、一面が緑の草原には俺たち以外には誰もいない。
こいつはどこに向けて喋ったのか? やっぱりあたまおかしいのか?
「やっぱりイケメンでいい人なわけがないんだ……」
いよいよヤベェなと考え始めたら、パチンともう一度音がした。
すると景色がまた変わる。緑の草原から、豪華な絨毯のところに景色が戻っていく。
さっきの場所に戻ってきた。いや……元から移動なんてしてなかったのか? それなら声を上げたのも理解できる。
「では、私はこれで。もう大丈夫ですよ」
イケメンはそう言い残して去っていく。
二クスは本当に、ただのいい奴だったのだろうか。そんなことがあるのだろうか。
「ニクス殿に疑いを持ったなら、それもオマエの改めるべきところだ。決めつけてかかるのはやめたほうがいい」
なん、だと。これも俺がダメな理由なのか? 疑ってかかるのは悪くはないはず。だよね?
これもセバスの言った、度合いの問題か……。
「白夜殿。話を始めてもよいかな?」
さっきと同じ威圧感のある声が聞こえる。だが、先ほどまでと違い震えはない。これが葉っぱ効果だろうか?
これなら喋るくらい何とでもなる。もう余裕! で、とっとと終わらせて家に帰ろう!
そう決めて意を決して顔を上げる。すると、自分の置かれている状況が理解できた。
正面に玉座。これは最初に聞いた。
右側は、ニクス始め人間ぽい人たち。左側は、初めて見る明らかに人間でない人たち。
左右合わせて20人ほどが、俺を真剣な表情で見ている。その大半(ニクス以外)に共通点がある。
全員の顔が恐い。マジでヤバい……。
顔面傷だらけの人とか、始めっからその顔だとしたら終わってる人とか、盗賊とか山賊とか海賊とかにいそうな顔の人とかがいっぱいいる。
強面とかのレベルじゃない。
ここはアレだ。きっと組的なところだよ。
前言は撤回する……。ガクブルだ。
「小僧、返事をせんか! 王の話は聞こえていよう!」
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俺は本当に無事に帰れるのでしょうか……。
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