26 / 67
始まりのバレンタイン
やっとくる木曜日
しおりを挟む
ミルクちゃんのコンビニを後にした俺たちは、再びゴンドラのところに戻り、再び民衆に崇められ、再び調子に乗ってしまい、再びお姫様に足を踏まれして、城へと戻ってきた。
ボクは今……とても足が痛いです。
「ぐおぉぉ……。馬鹿力め。怪力姫め!」
「ふん、本気でやってたら足の骨は砕けてるわ。うんと手加減してあげてるのよ。感謝なさい。そして、バカばかりやってることを反省して!」
「反省はするとも。命に関わるからな! そうやって俺のことばかりを責めるがキミこそ、もーーすこし、ミルクちゃんのように、女の子らしくできないのかい? 人前であれはどうなの? みんな引いてたよ?」
「──はぁ!? あたしのどこが女の子らしくないって言うの! む……身体的なことを言ってるんだとしたら、ぶっころすわよ!」
そういうところが、女の子らしくないって言ってんだよ……。
幼馴染大明神様はすぐ手が出る。お姫様はすぐ足が出る。これが女の子らしいかい?
しかし、もっとおしとやかにはできないのかい? とは、本人たちには言えません。手が出るし、足も出るからね。
「落ち着きたまえ。糖分が足りていないんじゃないかい。もう、おやつの時間だろう。おやつ食べて落ち着いて」
「──誰のせいだと思ってんのよ!」
「まあまあ、こないだコンビニで買ったチョコを食べて」
そういえばチョコで思い出したが、トリュフチョコの存在をすっかり忘れていた。ケーキにばかり意識が向いていて、同じ冷蔵庫に入っていたのに持ってこなかった。
まぁ、保存期間は問題ない。次来るときにでも持ってこよう。
「もういいわ。お疲れ様。あたしの用も済んだし、もう帰っていいわよ」
「……」
「あーあ、最後までバカに関わって疲れたわ。本当にチョコ食べよう」
用が済んだら、はいさよならと……。
社交辞令だとしても『私、これからお茶しますの。ご一緒にいかが?』とか、『い、一緒におやつ食べていってもいいんだからね!』とか言えないのかね。
まあ、どちらもお姫様のイメージとは違うんで却下で。
「小僧。悪魔にも出来ることと、出来ないことがある。今回はなんとかなったが次はない。同じことを次したら、貴様にツケを払って貰うことになる。来れない時は事前に知らせろ」
お姫様と入れ違いに、クローゼットのところで時間とやらを調整していたセバスが現れた。
いきなり脅してくるあたりが流石だと思う。この悪魔め!
「……どうやって? 緊急の連絡先があるわけでもないのに、どうやって? あとツケとは?」
だが、セバスも無理なことを言うもんだ。
クローゼットしか行き来する方法がない俺に、どうしろというのか。
「時間のツケは時間だろう。寿命に換算すると1秒で60年ほどだ。24時間なら──」
「──ストーップ! それ以上はいけない。2秒で俺の人生が終わるのは分かった! もういい……」
こわぁ……。時間は買えないのは知ってるけど、払いが寿命って! この件をこれ以上は考えない!
──以後、約束は守る! これでいいんだ!
「連絡方法はこれだ。番号を書いておいた。必要な時だけかけてこい。必要な時だけだぞ」
「……」
数字の書いた紙を渡され、そこには11桁の数字が書かれている。0から始まるやつだ。
固定電話ではない。これは、携帯の番号だね!
んーーっ、俺はもう悪魔については何も言わない。きっとなんでもありなんでしょう。
チョコレートも頼んだら、用意してくれるんじゃないかと思ったりもするのですが、後が怖いのでやめました。
◇◇◇
丸一日、異世界で過ごしてしまった……。
帰って、寝て、起きて、学校とか。やだなー、行きたくないなー。
本日、世界間にきっかり1日のズレが発生した。なので、この期にセバスはいろいろやってたらしい。
いろいろが何かは怖いので聞かなかった。どう考えても怖すぎるでしょう。
普通の人はね、世界とか時間とかに関わってはいけないんだよ?
それにより異世界に行ける人間(つまり俺だけ!)だけ、1日が1日多くなったり、1日が100日になったりできるらしい。戻った時、完全に浦島太郎現象になるからやらないけどね!
夏休みを2倍3倍にすることはできるが、その場合、俺だけは現実から切り離されているわけだから、異世界の時間の中で過ごした分だけ、歳とるというわけだ。
夏休み明けクラスメイトが1人だけおっさんになってたらどうよ? グレたとか、夏休みデビューしたとかとはわけが違うよ? 完全に同じ人でもきっと別人扱いされるよ?
時間とは誰にも同じく流れているようで違うらしい。光が地球に届くまでの、時間と空間の話的な話だと思え。難しくて俺も分からなかった!
だけど、人はそれぞれ寿命も違うのだから、違うと言われれば違うのだろう。産まれる時も、死ぬ時も一緒ってのはない。
同じ時間の中にあっても、同じ時間を過ごしていても、それでも違うのだと悪魔は言った。
寝てから起きるまで、時間の意識はあるか? 夜に寝て朝に起きるから、そう思うだけじゃないか?
その空白に世界がどうしていても、人間には何も感じられない。その空白に時間が何をしていても、人間にはどうすることもできない。だってさ。
まとめると『よく分かりません!』だ。けど、それでいいんじゃね? 分かったところで意味があるとは思えない。はなから気にしてもしょうがない。
今大事なのは、俺は明日も早起きしなければいけないということだ。また、学校に行く前にスーパーによらなきゃならん。
ルイのメールをちゃんと見て、間違えないように材料を買わないとまた走ることになる。明日は何を作るんだろうか……。
この日は夢を見た。女の子からバレンタインにチョコを貰う夢を。
たぶんあれは小学生の時だ。相手はルイじゃなかった。それに……。
ボクは今……とても足が痛いです。
「ぐおぉぉ……。馬鹿力め。怪力姫め!」
「ふん、本気でやってたら足の骨は砕けてるわ。うんと手加減してあげてるのよ。感謝なさい。そして、バカばかりやってることを反省して!」
「反省はするとも。命に関わるからな! そうやって俺のことばかりを責めるがキミこそ、もーーすこし、ミルクちゃんのように、女の子らしくできないのかい? 人前であれはどうなの? みんな引いてたよ?」
「──はぁ!? あたしのどこが女の子らしくないって言うの! む……身体的なことを言ってるんだとしたら、ぶっころすわよ!」
そういうところが、女の子らしくないって言ってんだよ……。
幼馴染大明神様はすぐ手が出る。お姫様はすぐ足が出る。これが女の子らしいかい?
しかし、もっとおしとやかにはできないのかい? とは、本人たちには言えません。手が出るし、足も出るからね。
「落ち着きたまえ。糖分が足りていないんじゃないかい。もう、おやつの時間だろう。おやつ食べて落ち着いて」
「──誰のせいだと思ってんのよ!」
「まあまあ、こないだコンビニで買ったチョコを食べて」
そういえばチョコで思い出したが、トリュフチョコの存在をすっかり忘れていた。ケーキにばかり意識が向いていて、同じ冷蔵庫に入っていたのに持ってこなかった。
まぁ、保存期間は問題ない。次来るときにでも持ってこよう。
「もういいわ。お疲れ様。あたしの用も済んだし、もう帰っていいわよ」
「……」
「あーあ、最後までバカに関わって疲れたわ。本当にチョコ食べよう」
用が済んだら、はいさよならと……。
社交辞令だとしても『私、これからお茶しますの。ご一緒にいかが?』とか、『い、一緒におやつ食べていってもいいんだからね!』とか言えないのかね。
まあ、どちらもお姫様のイメージとは違うんで却下で。
「小僧。悪魔にも出来ることと、出来ないことがある。今回はなんとかなったが次はない。同じことを次したら、貴様にツケを払って貰うことになる。来れない時は事前に知らせろ」
お姫様と入れ違いに、クローゼットのところで時間とやらを調整していたセバスが現れた。
いきなり脅してくるあたりが流石だと思う。この悪魔め!
「……どうやって? 緊急の連絡先があるわけでもないのに、どうやって? あとツケとは?」
だが、セバスも無理なことを言うもんだ。
クローゼットしか行き来する方法がない俺に、どうしろというのか。
「時間のツケは時間だろう。寿命に換算すると1秒で60年ほどだ。24時間なら──」
「──ストーップ! それ以上はいけない。2秒で俺の人生が終わるのは分かった! もういい……」
こわぁ……。時間は買えないのは知ってるけど、払いが寿命って! この件をこれ以上は考えない!
──以後、約束は守る! これでいいんだ!
「連絡方法はこれだ。番号を書いておいた。必要な時だけかけてこい。必要な時だけだぞ」
「……」
数字の書いた紙を渡され、そこには11桁の数字が書かれている。0から始まるやつだ。
固定電話ではない。これは、携帯の番号だね!
んーーっ、俺はもう悪魔については何も言わない。きっとなんでもありなんでしょう。
チョコレートも頼んだら、用意してくれるんじゃないかと思ったりもするのですが、後が怖いのでやめました。
◇◇◇
丸一日、異世界で過ごしてしまった……。
帰って、寝て、起きて、学校とか。やだなー、行きたくないなー。
本日、世界間にきっかり1日のズレが発生した。なので、この期にセバスはいろいろやってたらしい。
いろいろが何かは怖いので聞かなかった。どう考えても怖すぎるでしょう。
普通の人はね、世界とか時間とかに関わってはいけないんだよ?
それにより異世界に行ける人間(つまり俺だけ!)だけ、1日が1日多くなったり、1日が100日になったりできるらしい。戻った時、完全に浦島太郎現象になるからやらないけどね!
夏休みを2倍3倍にすることはできるが、その場合、俺だけは現実から切り離されているわけだから、異世界の時間の中で過ごした分だけ、歳とるというわけだ。
夏休み明けクラスメイトが1人だけおっさんになってたらどうよ? グレたとか、夏休みデビューしたとかとはわけが違うよ? 完全に同じ人でもきっと別人扱いされるよ?
時間とは誰にも同じく流れているようで違うらしい。光が地球に届くまでの、時間と空間の話的な話だと思え。難しくて俺も分からなかった!
だけど、人はそれぞれ寿命も違うのだから、違うと言われれば違うのだろう。産まれる時も、死ぬ時も一緒ってのはない。
同じ時間の中にあっても、同じ時間を過ごしていても、それでも違うのだと悪魔は言った。
寝てから起きるまで、時間の意識はあるか? 夜に寝て朝に起きるから、そう思うだけじゃないか?
その空白に世界がどうしていても、人間には何も感じられない。その空白に時間が何をしていても、人間にはどうすることもできない。だってさ。
まとめると『よく分かりません!』だ。けど、それでいいんじゃね? 分かったところで意味があるとは思えない。はなから気にしてもしょうがない。
今大事なのは、俺は明日も早起きしなければいけないということだ。また、学校に行く前にスーパーによらなきゃならん。
ルイのメールをちゃんと見て、間違えないように材料を買わないとまた走ることになる。明日は何を作るんだろうか……。
この日は夢を見た。女の子からバレンタインにチョコを貰う夢を。
たぶんあれは小学生の時だ。相手はルイじゃなかった。それに……。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる