21 / 38
好きを探す ⑤
しおりを挟む
ドーナツ屋での思い出しては悶絶する愚行の翌日。夏休み前の通常授業の最後の日。
黒川さんと正式に付き合うことになって最初の朝は、その付き合うことになった彼女によってさっそく振り回された……。
僕はいつも通りに起床して、いつも通りに学校にいくつもりでいたのだが、黒川さんから連絡があって「一緒に学校いこう」と言われたのだ。
LINEではなく通話なのにも驚いたし、家族の目の前で驚いたもんだから家族に不審がられるし、急にいつもより早い電車に乗るのも大変だった。
「司、最近どうかしたの? たまに意味なく早い電車で学校に行くわよね」
「そうなのか? 部活の朝練……ではないか。なんだ?」
この瞬間まで気づきもしなかったことだが、彼女ができたと親に言う必要はあるのか。
あった場合にどういうふうに伝えるべきなのか。
どんなタイミングで言うものなのか。
避けては通れないのか、通れるのか。
まったく予期していなかったことに気づいた僕は、この場を「学校でやることがあるんだ」と誤魔化したのが原因なのか、親に彼女ができたと言うタイミングを未だに見つけられないでいる……。
「いってきます。部活あるし少し遅くなるから!」
訝しむ両親から逃げるように僕は支度を整えて家を飛び出し、通勤通学で混雑するいつもの時間の電車ではなく早い方の電車に乗り、僕より遠くから通学してきている黒川さんと駅前で合流した。
「おはようございます。黒川さん朝早いんだね」
「おはようございます。このあとになると始業ギリギリになるんだよ」
黒川さんは毎日この時間なら僕なんかより早く学校に着いているだろうし。
毎日このあとのバスに乗る僕とは、こうして待ち合わせをしない限りは遭遇する機会もなかったのだと知った。
「──そうだ。彼女ができたというのを親に話すべきなのかな? 普通はどうするものなんだろう」
待ち合わせした場所からバスターミナルに向かい、バスを待つ間に気づいた疑問について聞いてみた。
僕の一存で決めてもいいのかも不明だし、黒川さんはどうするのかも不明だし、普通はどうなのかも不明だし。
「どうって、彼女ができたことが言えないようなことなら言わなくていいし。言わなきゃいけないと思うなら言う。判断は一条に任せるよ。もし必要なら彼女として協力はするにゃん♪」
「……協力って?」
「ご両親に電話でご挨拶でもいいし、自宅訪問でもいいし。あっ、ラブラブさをアピールするために写メ撮って送る?」
最後のを聞いたら前二つにも嫌な予感を感じるしかなく(間違いではない)、黒川さんは頼りにはなるが頼れないと僕は思った(間違いではない)。
そして自分に親がいるということは、向こうにも親がいるんだと当たり前のことに気づき。
自分は言わないにしても(言うつもりではある)、彼女の方はそうはいかないのではないかとバスに乗りながら思った。
「黒川さんの親は何してる人?」
「うーん、よく知らないや。家で仕事のことは話さないし。サラリーマンとサラウーマン?」
「そっか。なら、家族構成は?」
「パパとママだけだよ。一人っ子だし。一条は?」
「うちは歳が離れてるけど弟がいる」
黒川さんの家族構成とご両親の仕事など、付き合う以上は必要だろう情報の不足感は否めず。
知り合ったばかりの彼女との会話の必要性を痛感し、僕は次からもこの時間で登校しようと決めた。
互いを知るうえでコミュニケーションはやはり必須で、彼女ともなればその必須の度合いも跳ね上がり。
会話する時間などいくらあっても足りないのだから、時間を捻出するなら登下校は絶好のポイントであり。
コミュニケーションに問題なく使えるこの登下校の時間を有効に使おうと僕は考えたのだ。
しかし、こんなふうに二人の時間が増えることのプラスの面にばかり僕の目は向いていたんだ……。
「あーし、兄弟って羨ましいかも。共働きだし、帰ったら一人とか普通だから余計にかも」
「僕も弟が生まれるまではそうだったからわかるよ。そうか、黒川さんは一人娘なのか」
「あっ、こないだ家族で撮った写メあるよ。これがパパとママ」
黒川さんが一人娘だと聞いて、やはりお付き合いしているとすぐにでも報告しないといけないのではないかと思い。
黒川さんに見せられたパパとママ(主にパパ)によって、僕はその報告というのはかなり難しいものになるのではないかと感じた。だって、
「お、お父さんって外国の人?」
「アメリカ人だよ。お母さんが日本人」
「いかつい。マフィアみたいだ……。って、黒川さんってハーフなの!?」
マフィアと見た目から判断したくなるパパ。
そのパパと一緒に映る黒川さんは溺愛されているのがわかり、そんな一人娘と交際している男をどう思うのかと考えたら気が気でなく。
父親が外国の人だということは黒川さんの見た目は彼女の生まれ持ったものが大きく、別に髪の毛も染めているとかではないんだと知った。
まったく知らなかったことに続けて驚いていると、「なんだと思ったの」と言われてその通りだった……。
「──これはギャルっていうの。ファッションなの! 知らない、のか。どれだけ女の子に興味ないんだよ……」
「これから勉強していきます……。でもなんでギャル?なの。余計に目立つだけなんじゃない?」
「なめられないようにだよ。小さいってだけでもからかわれるのに、金髪で普通にしてたんじゃからかわれるの! 変えられないところは変えられないんだから、変えれるところを変えたりできることをしたんだよ」
黒川さんの言ったことは僕には理解できないことではあった。
だけど、身近に同じようなことを言っていた人がいれば黒川さんも同じなんだろうとは理解できた。
友人Cが同じようなことを言い、同じようなことをして、同じような位置にいるからだろう。
今となっては友人Cはあれが彼であり、金髪でもギャルでもない黒川さんは想像できないからこれが彼女なんだと僕は納得した。
「黒川さんに似合ってるしいいと思うよ」
「そ、そう。ありがと……」
こんなことを話しているうちに学校の下にあるバス停に到着し、毎日同じバスに乗っているはずが時間がやけに短く感じた。
以降、たまに一人で乗るバスの時間が長く感じるようになったから、錯覚にしても長いより短い方がいいし。
黒川さんと一緒なら長く感じた方がいいのにと矛盾してしまっていたりする。
「一条、おはようさん」
「部長、おはようございます。同じバスだったんですか?」
「毎日同じバスや。なぁ」
バスを降りた僕たちに後ろから声をかけてきたのは部長で。
部長は何故だかにやにやしており、話しかけた僕にではなく黒川さんに同意を求めた。
「……部長は黒川さんと知り合い?」
「毎日同じバスに乗るだけの間柄や。それを言うなら一条たちはなんなん? ずいぶんと楽しそうだったな」
「それは……」
親に言う判断は任せると言われたが、先輩や学校ではどうするのかを聞いておらず。
僕は黒川さんの方の様子を伺ったが、黒川さんはすごく嫌そうな顔をしていて、「そういえば昨日も部室に行こうとしたら止められたな……」と思い出した。
「実は彼女と昨日から付き合っています」
「へー、なんや彼女か! それはめでたいな」
「ありがとうございます?。いたっ!?」
僕は部長には言うという判断をし、彼女だと黒川さんを紹介したら背中を思いっきり叩かれ、「先にいってるから」と言い残して黒川さんは一人で学校にと向かっていってしまった……。
黒川さんと正式に付き合うことになって最初の朝は、その付き合うことになった彼女によってさっそく振り回された……。
僕はいつも通りに起床して、いつも通りに学校にいくつもりでいたのだが、黒川さんから連絡があって「一緒に学校いこう」と言われたのだ。
LINEではなく通話なのにも驚いたし、家族の目の前で驚いたもんだから家族に不審がられるし、急にいつもより早い電車に乗るのも大変だった。
「司、最近どうかしたの? たまに意味なく早い電車で学校に行くわよね」
「そうなのか? 部活の朝練……ではないか。なんだ?」
この瞬間まで気づきもしなかったことだが、彼女ができたと親に言う必要はあるのか。
あった場合にどういうふうに伝えるべきなのか。
どんなタイミングで言うものなのか。
避けては通れないのか、通れるのか。
まったく予期していなかったことに気づいた僕は、この場を「学校でやることがあるんだ」と誤魔化したのが原因なのか、親に彼女ができたと言うタイミングを未だに見つけられないでいる……。
「いってきます。部活あるし少し遅くなるから!」
訝しむ両親から逃げるように僕は支度を整えて家を飛び出し、通勤通学で混雑するいつもの時間の電車ではなく早い方の電車に乗り、僕より遠くから通学してきている黒川さんと駅前で合流した。
「おはようございます。黒川さん朝早いんだね」
「おはようございます。このあとになると始業ギリギリになるんだよ」
黒川さんは毎日この時間なら僕なんかより早く学校に着いているだろうし。
毎日このあとのバスに乗る僕とは、こうして待ち合わせをしない限りは遭遇する機会もなかったのだと知った。
「──そうだ。彼女ができたというのを親に話すべきなのかな? 普通はどうするものなんだろう」
待ち合わせした場所からバスターミナルに向かい、バスを待つ間に気づいた疑問について聞いてみた。
僕の一存で決めてもいいのかも不明だし、黒川さんはどうするのかも不明だし、普通はどうなのかも不明だし。
「どうって、彼女ができたことが言えないようなことなら言わなくていいし。言わなきゃいけないと思うなら言う。判断は一条に任せるよ。もし必要なら彼女として協力はするにゃん♪」
「……協力って?」
「ご両親に電話でご挨拶でもいいし、自宅訪問でもいいし。あっ、ラブラブさをアピールするために写メ撮って送る?」
最後のを聞いたら前二つにも嫌な予感を感じるしかなく(間違いではない)、黒川さんは頼りにはなるが頼れないと僕は思った(間違いではない)。
そして自分に親がいるということは、向こうにも親がいるんだと当たり前のことに気づき。
自分は言わないにしても(言うつもりではある)、彼女の方はそうはいかないのではないかとバスに乗りながら思った。
「黒川さんの親は何してる人?」
「うーん、よく知らないや。家で仕事のことは話さないし。サラリーマンとサラウーマン?」
「そっか。なら、家族構成は?」
「パパとママだけだよ。一人っ子だし。一条は?」
「うちは歳が離れてるけど弟がいる」
黒川さんの家族構成とご両親の仕事など、付き合う以上は必要だろう情報の不足感は否めず。
知り合ったばかりの彼女との会話の必要性を痛感し、僕は次からもこの時間で登校しようと決めた。
互いを知るうえでコミュニケーションはやはり必須で、彼女ともなればその必須の度合いも跳ね上がり。
会話する時間などいくらあっても足りないのだから、時間を捻出するなら登下校は絶好のポイントであり。
コミュニケーションに問題なく使えるこの登下校の時間を有効に使おうと僕は考えたのだ。
しかし、こんなふうに二人の時間が増えることのプラスの面にばかり僕の目は向いていたんだ……。
「あーし、兄弟って羨ましいかも。共働きだし、帰ったら一人とか普通だから余計にかも」
「僕も弟が生まれるまではそうだったからわかるよ。そうか、黒川さんは一人娘なのか」
「あっ、こないだ家族で撮った写メあるよ。これがパパとママ」
黒川さんが一人娘だと聞いて、やはりお付き合いしているとすぐにでも報告しないといけないのではないかと思い。
黒川さんに見せられたパパとママ(主にパパ)によって、僕はその報告というのはかなり難しいものになるのではないかと感じた。だって、
「お、お父さんって外国の人?」
「アメリカ人だよ。お母さんが日本人」
「いかつい。マフィアみたいだ……。って、黒川さんってハーフなの!?」
マフィアと見た目から判断したくなるパパ。
そのパパと一緒に映る黒川さんは溺愛されているのがわかり、そんな一人娘と交際している男をどう思うのかと考えたら気が気でなく。
父親が外国の人だということは黒川さんの見た目は彼女の生まれ持ったものが大きく、別に髪の毛も染めているとかではないんだと知った。
まったく知らなかったことに続けて驚いていると、「なんだと思ったの」と言われてその通りだった……。
「──これはギャルっていうの。ファッションなの! 知らない、のか。どれだけ女の子に興味ないんだよ……」
「これから勉強していきます……。でもなんでギャル?なの。余計に目立つだけなんじゃない?」
「なめられないようにだよ。小さいってだけでもからかわれるのに、金髪で普通にしてたんじゃからかわれるの! 変えられないところは変えられないんだから、変えれるところを変えたりできることをしたんだよ」
黒川さんの言ったことは僕には理解できないことではあった。
だけど、身近に同じようなことを言っていた人がいれば黒川さんも同じなんだろうとは理解できた。
友人Cが同じようなことを言い、同じようなことをして、同じような位置にいるからだろう。
今となっては友人Cはあれが彼であり、金髪でもギャルでもない黒川さんは想像できないからこれが彼女なんだと僕は納得した。
「黒川さんに似合ってるしいいと思うよ」
「そ、そう。ありがと……」
こんなことを話しているうちに学校の下にあるバス停に到着し、毎日同じバスに乗っているはずが時間がやけに短く感じた。
以降、たまに一人で乗るバスの時間が長く感じるようになったから、錯覚にしても長いより短い方がいいし。
黒川さんと一緒なら長く感じた方がいいのにと矛盾してしまっていたりする。
「一条、おはようさん」
「部長、おはようございます。同じバスだったんですか?」
「毎日同じバスや。なぁ」
バスを降りた僕たちに後ろから声をかけてきたのは部長で。
部長は何故だかにやにやしており、話しかけた僕にではなく黒川さんに同意を求めた。
「……部長は黒川さんと知り合い?」
「毎日同じバスに乗るだけの間柄や。それを言うなら一条たちはなんなん? ずいぶんと楽しそうだったな」
「それは……」
親に言う判断は任せると言われたが、先輩や学校ではどうするのかを聞いておらず。
僕は黒川さんの方の様子を伺ったが、黒川さんはすごく嫌そうな顔をしていて、「そういえば昨日も部室に行こうとしたら止められたな……」と思い出した。
「実は彼女と昨日から付き合っています」
「へー、なんや彼女か! それはめでたいな」
「ありがとうございます?。いたっ!?」
僕は部長には言うという判断をし、彼女だと黒川さんを紹介したら背中を思いっきり叩かれ、「先にいってるから」と言い残して黒川さんは一人で学校にと向かっていってしまった……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる
九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。
※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる