連れ去られた先で頼まれたから異世界をプロデュースすることにしました。あっ、別に異世界転生とかしないです。普通に家に帰ります。 ② 

KZ

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天使のホワイトデー

写真撮影 ②

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※パターン1。

 実は俺としては、これを最後に撮りたかったんだが、セクハラが止まないので最初に持ってきた。

 初めに、このバージョンの配置を説明するとだ。
 お雛様とお内裏様は2人の姫に。大臣枠には王様とミカエルのおっさん。
 ここまでは代わりの人がいないから確定だ。

 あとは、お姫様と王様の親子バージョン。
 天使とミカエルのおっさんの親子バージョンによって、並びが変わる。

 ちなみにパターン1の残りの人たちは、ジャンケン大会で決定した。結果としては、女子率が低いのが問題だったな。
 ハゲ天使とゴリゴリのおっさんのオンパレード。
 格好に異世界らしさがなかったら全員却下だが、他の人がいないから仕方ない。

 そんな撮影までの模様を少しだけお伝えする。

「目線はカメラ。あと全員、作り笑いでいいから笑え! 嫌だと言うヤツには、姫たちにより物理的に笑顔にしてもらうことになる。嫌なら最初からやれ。俺からは以上だ。先生、細かいところの修正をお願いします」

「まかせろ。まず、──二段目のおまえ! おまえだよ! 服がよれている。すぐに直せ。隣のやつも襟が曲がっている。直せ。すぐにやれや! お雛様なめてんのか!」

「先生を怒らせるな。先生に逆らって命の保証はできないぞ? 言われた通りにやり、いい写真を残す。できなければ日が暮れるよ?」

「よし、見栄えば良くなった。ちっ──、そこ! 持った剣を下ろすな! おまえたちは人形だ。動くな!」

 と、先生こと一愛いちかちゃん指導監修のもと撮影は進む。
 こまかーく指示は出され、従わない者には容赦なく交代が言い渡される。辛い仕事だ……。



※パターン2。お姫様と王様親子の場合。

 まず、ミカの位置に王様を配置。
 二段目の三人官女にはミルクちゃんを配置。
 大臣の枠にはイケメンと悪魔執事を配置。
 三人官女の残りの女子は、お姫様がメイドさんから指名。残りの野朗たちは、ジャンケン大会で決定されたメンツ。

 あぁ、アンチたちと大工衆は、お姫様を遠目から見てるだけで満足らしいので含まれない。
 彼らはちゃんとした信者であったのだ。

「いいよー、この異世界感。普段はクソの役にも立たない武装も役に立ってるよー」

 おっさんたちに兵士諸君の、普段はまるで無駄な武装が、これでもかと異世界感を出している。
 ガチャガチャうるさかったり、いくさいくさしていたりとウザかったんだが、初めて役に立っている。
 異世界らしさは実に写真映えする。

「たしかに。着物ではなく鎧というのが斬新だ。流石はれーとだ。だけどこれ……兜で誰が誰かわからなくない?」

「……」

 一愛が、完全装備によってもたらされた異世界感のデメリットに気がついた。
 そうなのだ。せっかくの鎧兜を活かしたら、そうなってしまったのだ。
 だから野朗たちに気づかれぬように、無言でやり過ごすしかないのだ。

「ルシアちゃんと顔の怖いおじさん。イケメンの人とおじいちゃん。ミルクちゃんとメイド女子たち以外の人は、誰でも一緒だよね? これ」

「シーーッ、余計なこと言わないで! ジャンケン大会で決めんの大変なんだからな。写真をいざ見る時まで、黙っておいて! たとえ誰だか分からなくても、名誉なことなんだよ。だからいいんだよ!」

「れーと。言ってる。全部、言ってしまっているよ」

 このように2回目からは、先生のお叱りもほとんどなく撮影は進む。慣れてきた。というか、一愛がマジなのが全体に伝わっている。



※パターン3。ミカエラちゃんミカエルさん親子と天使組の場合。

 ミカとミカエルのおっさん以外の天使たちの内訳は、ハゲ、ヒゲ、デブ、ガリガリの4種類しかいないので絵面がかなりヤバイ。
 天使側の女子の数もミカだけだから華もない。
 正直にいうともうこれはお雛様ではないが、これをフォローのしようもない。

「レート、アタシもこれはマズイと思うの。ルシアの方に完璧に負けてしまうわ。だから、ミルクも一緒に写って。一愛も頼めないかしら? 3人で並びましょう!」

 一度並べてみた絵面に絶句していたら、お雛様が台から飛び降りてきた。
 自分の今日の格好をよく分かっていないのか、危うく飛び降りてきたミカに、『シャッターチャンス!』と暴走しそうになった。あぶなかった……。

「それ、お雛様はどうすんだよ?」

「パパとナナシにやってもらって、アタシは一愛たちと1段下にいくわ!」

 流石にミカもお姫様の方の撮影を見ていて、自分たちの方がヤバいと思ったらしい。
 ミカの提案は本人たちがいいなら止める理由はないが、それはそれでどうかと思う。
 メインが野朗って、もう本当にお雛様じゃないじゃん。

「三人官女は揃うが、上が野郎2人になるけどいいの?」

「しょうがないじゃない。あんなのしか来てないんだから」

「「──確かに!!」」

 一愛と2人、ミカの言葉にものすごく納得してしまったので、ミカの案を採用して撮りました!
 で、撮影をやってみて思ったことが1つある。

 野朗に対して圧倒的に女子が足りないと思う。
 こんなことなら、城下から可愛い子を見繕っておくんだった。それを接待こみで雇えば……なんか如何わしいな。
 そんなつもりはなくても制裁を受けそうだから、考えるのをやめよう。


 ※


 そして、ここまでで今日の目標は達成された。
 あとは楽しい楽しい、宴があるだけだ……くっくっくっ……。

「──アーッハッハッハ!」

 もう、加減はいらん! 天使共。思い知るがいい、この俺の怒りを!
 余計な手間をかけてくれたあげく、我らが姫を侮辱し、俺の財布すら軽くしてくれた。
 この損失は何がなんでも埋めてもらわなくてはならない。

「ぷ、プロデューサーさんがおかしいです」

「ミルクちゃん。あれはおかしいのではなく、珍しくマジなんだよ。誰が何をやらかしたのかな?」

「どういうことですか?」

「さあ? しかし、面白そうだから一愛いちかは参加するよ」

 さて、お姫様たちはどこかなー。
 いや……女子は多い方がいいな。

「キミたち。報酬は約束しよう。少し手を貸してくれないか? このプロデューサーに」

「──いいだろう。その企みを聞かせなさい!」

「流石だ、我が妹よ。こっちきて。ミルクちゃんも」

 この女子たちにも協力してもらって天使たちを、陥……接待しよう!
 ほら、お客様だから。もてなさないとだから。我が家の教えだから!
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