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天使のホワイトデー 後編
プロデューサーのターン! にはまだならない。
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♢3♢
昨日はひどい目にあった……。
あの後もミカはアミカちゃんモードをやめず、彼女が満足するまで話に付き合わされた。
自室で女の子(超可愛い)と、2人きりだとか考えたらヤバかったな。所詮はミカだけど。
──いや、2人きりだったぁぁぁぁ?!
そんなことに今になって気がつくなんて、俺は何てもったいないことを! あれはミカだと思うので必死すぎた。
もっと、違う話をするとかした方が良かった! いや、結局はミカなんだけど。
『ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ──』
意識は覚醒していたが、起きるにしても早いので、二度寝しようとそのまま布団に横になっていたんだが、何故か携帯のアラームが鳴ってる。
しかし、今日は土曜。学校は休みだ。
「くそ、起きないとアラーム止めらんないんだよ。いい加減に延長コードが必要か。足とか引っかかりそうだから嫌だったんだけど、いちいち充電器まで遠い」
俺の部屋には入り口付近と窓側にコンセントがあるのだが、ベッド付近にはない。そして、携帯の充電器はドアのところのコンセントに挿してある。
これによりアラームを切るためには、起きなくてはいけないという必要性ができる。けど、何もない日にまでアラームに起こされてはたまらない。
「しかし、毎日同じ時間に鳴るようにセットしていたのか? 俺はそんな人か?」
放っておいて一時的に止まっても、またすぐに鳴り出すので、仕方なく布団から出てアラームを切るべく携帯を掴む。すると、スマホの画面には9時からバイトと、アラームの上に本日の予定が表示されている。
「そっかー、バイトだったか。予定からすっかり抜け落ちていたよ。今日は朝からプロデューサーとして出勤しようと思っていたからだな。しかし、アラームをセットした。昨日ではないから一昨日くらいの俺。ありがとう。 ──とかやってるうちに8時過ぎてる! 遅刻したら元ヤンにシメられてしまう。ヤベェ、何も用意してない。とにかく急げ!」
スマホに財布をベッドに放り投げ、寝間着のままというわけにはいかないから、タンスから適当に服を出し着替える。
次に急ぎ1階まで降りて、洗面所に行こうとすると、妹が向こうから歩いてくる。
「おはよう。土曜なのに制服着て学校か? すでに合格したとはいえ大変だな。流石は受験生。頑張れよ!」
昨夜のことは解決しているし、一愛とこうして朝会うのも珍しい。
俺の起床が遅いのが主な理由だが、気にしないでほしい。
「おはようございます。私は塾の時間があるので失礼します。では、行ってきます」
「いってらっしゃい……──ってどうした!?」
「…………」
俺の呼びかけには答えずスタスタと歩いていく妹。
その、『どうした!?』と言ってしまうほどの違和感を残したまま妹は玄関から出ていく。
「き、昨日の事は許されたはずでは……」
※
過去最高の速度で支度をして、ギリギリ8時の電車に乗ることに成功した。
これを逃していた場合は、元ヤンから粛清されていたと思うとぶるっとします。
「一愛ちゃん? 朝から何を怒っているのかな?」
そして同じ電車に妹も乗っている。というのも、一愛の塾と俺のバイト先は同じ駅前にあるからだ。
だが、妹の隣には座らない……座れない。
なので正面に座っているのだが、妹はスマホから顔を上げもしない。
「一愛ちゃん。聞こえてるよね」
今日は土曜の朝ということもあり、電車には学生も大して乗っておらず、周りには数えるくらいしか人はいない。
遊びに行くにしても中途半端な時間だしな。あと、田舎だからな。
「……何も。あと、話しかけてこないでください」
絶対に何かあるよね。ずっと、こんな反応だからね。
これは1人では無理だ。助けを借りよう。
(ルイ、頼む! 何を怒っているのか聞いて)
「何で私が……」
ここは、ばったり駅で会った幼馴染様に助けを借りるしかない。俺たち3人が一緒の電車での移動時間は10分ちょい。
この間で俺1人では、一愛からドライな反応の理由を聞き出すことなど不可能だ。
(どうせまた何かやったんだろ。今度は何をやったんだ?)
(『また』ってなんだよ。何もしてねーよ! 昨日はあの後は会ってもないわ。今朝、家からああなんだよ)
(本当か?)
(本当だってー、信じてよー)
何もしていない……よね?
ひな祭りをすっぽかしたのはぬいぐるみで許されて、言われたようにルイを送って、お喋りしてからミカを送って。特に何もない、と思う。
(わかったよ。お前がいるとあれだから、隣の車両にでも行ってろ)
(えー、気になるよー)
(いいから行け! ちんたらしてると駅に着くぞ。私は乗り換えなんだから、時間もないんだ。早く行け)
(はい。よろしくお願いします)
幼馴染の通うお菓子学校こと製菓学校は、電車を乗り換えていかなくてはいけない。
その乗り換えまでの時間は迫っているから、言われたとおりにします。
※
その後、もやもやしたままでバイトを終えた。
一愛と話したはずのルイは俺のところにはこずに、乗り換えのホームに行くし。
一愛は何もなかったように改札を出ていくし。ホームに1人取り残されるし。俺も時間が迫っているのは同じだし。
「はぁ……お疲れ様でした。帰ります」
現在16時。午前中3時間。昼休憩1時間。午後3時間の労働を終え、これから帰るところです。
「零斗。今日はどうかしたのか? いつにも増してヤル気が感じられなかった。一発殴っていいか?」
「はぁ……」
元ヤン店長がナチュラルに殴ると言ってくるが、いつものような対応ができない。ため息しかでない。
「重症だな。女に振られたか? いや、そんな気配すらないよな。悪い……」
なんか勝手に言って勝手に納得されている。
失礼な元ヤンだとは思うが、今日は何もする気にならない。帰ろう。
「店長だって男なんていないくせに」
だが、ボソッと口から言葉が出てしまう。
それも、20代前半彼氏無し元ヤン店長には、言ってはいけない類の言葉がだ。
「今なんて言った。ブッ殺すぞ、テメェ!」
ほらね。自分で言ったわけだけどほらね。
こういうところを治さないとダメだと思う。怖いし。
「そんなんだから男が寄ってこないんですよ。ヤンキー気質を抜かないとダメだと思います。じゃあ、また明日」
「何、この流れで帰ろうとしてんだ!」
「流れも何も、俺はもう時間なんで帰ります。電車の時間もあるんで」
「16時の早い方の電車にはもう間に合わないだろう。つまり、あと30分くらいは余裕があるわけだ。店ん中じゃあ、あれだ。ちょっと裏に来い」
──いけない! このままバックルームに連れていかれたらシメられる。何故、元ヤンが俺の電車の時間に詳しいのかというとな。元ヤンは昔うちの近所に住んで、痛たたたたたっ──
「──いたたっ、暴力反対! 耳を引っ張らないで!」
「うるせぇ! 人が気にしてることを……。女には聞いちゃいけないことがあるって習わなかったか? いっぺん教育してやる」
いよいよアカンとなった時、入り口が開くガラガラという音がした。
この店は自動ドアではなく、押したりするドアでもなく、横にスライドさせるドアなんだ。
「店長、お客さん。お客さんですよ! バイトをイジめているところなんて見られたら、社長に怒られますよ」
「ちっ──、いらっしゃいませ。あん?」
俺に言われ、納得いかなそうに手を離した元ヤンは、『なんで?』というような表情をしている。
誰がこようと同じような塩対応の元ヤンにしては珍しい。
「一愛?!」
何者が訪ねてきたのかと振り返った先にいたのは、こちらも朝から塩対応の妹だった。
「おーおー、零斗の妹か? 見ないうちにデカくなったなぁ」
親戚のおばさんみたいなことを言っている元ヤン。
まあ、近所のヤンキーではあったけども。それなら顔くらいは分かるか。
「こんにちは。ソレはもう持って帰っていいですか?」
「いいぞ。汚れててもいいなら持っていけ」
「ありがとうございます。ほら、帰るぞ」
ついには物扱いすか……。そうですか。
しかし、どうして店に?
一愛は嫌いなはずなんだ。ヤンキーとかバイクとか。
ああ、これまで説明がなかったが、ここはバイク屋だ。俺はそこでバイトしています。
昨日はひどい目にあった……。
あの後もミカはアミカちゃんモードをやめず、彼女が満足するまで話に付き合わされた。
自室で女の子(超可愛い)と、2人きりだとか考えたらヤバかったな。所詮はミカだけど。
──いや、2人きりだったぁぁぁぁ?!
そんなことに今になって気がつくなんて、俺は何てもったいないことを! あれはミカだと思うので必死すぎた。
もっと、違う話をするとかした方が良かった! いや、結局はミカなんだけど。
『ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ──』
意識は覚醒していたが、起きるにしても早いので、二度寝しようとそのまま布団に横になっていたんだが、何故か携帯のアラームが鳴ってる。
しかし、今日は土曜。学校は休みだ。
「くそ、起きないとアラーム止めらんないんだよ。いい加減に延長コードが必要か。足とか引っかかりそうだから嫌だったんだけど、いちいち充電器まで遠い」
俺の部屋には入り口付近と窓側にコンセントがあるのだが、ベッド付近にはない。そして、携帯の充電器はドアのところのコンセントに挿してある。
これによりアラームを切るためには、起きなくてはいけないという必要性ができる。けど、何もない日にまでアラームに起こされてはたまらない。
「しかし、毎日同じ時間に鳴るようにセットしていたのか? 俺はそんな人か?」
放っておいて一時的に止まっても、またすぐに鳴り出すので、仕方なく布団から出てアラームを切るべく携帯を掴む。すると、スマホの画面には9時からバイトと、アラームの上に本日の予定が表示されている。
「そっかー、バイトだったか。予定からすっかり抜け落ちていたよ。今日は朝からプロデューサーとして出勤しようと思っていたからだな。しかし、アラームをセットした。昨日ではないから一昨日くらいの俺。ありがとう。 ──とかやってるうちに8時過ぎてる! 遅刻したら元ヤンにシメられてしまう。ヤベェ、何も用意してない。とにかく急げ!」
スマホに財布をベッドに放り投げ、寝間着のままというわけにはいかないから、タンスから適当に服を出し着替える。
次に急ぎ1階まで降りて、洗面所に行こうとすると、妹が向こうから歩いてくる。
「おはよう。土曜なのに制服着て学校か? すでに合格したとはいえ大変だな。流石は受験生。頑張れよ!」
昨夜のことは解決しているし、一愛とこうして朝会うのも珍しい。
俺の起床が遅いのが主な理由だが、気にしないでほしい。
「おはようございます。私は塾の時間があるので失礼します。では、行ってきます」
「いってらっしゃい……──ってどうした!?」
「…………」
俺の呼びかけには答えずスタスタと歩いていく妹。
その、『どうした!?』と言ってしまうほどの違和感を残したまま妹は玄関から出ていく。
「き、昨日の事は許されたはずでは……」
※
過去最高の速度で支度をして、ギリギリ8時の電車に乗ることに成功した。
これを逃していた場合は、元ヤンから粛清されていたと思うとぶるっとします。
「一愛ちゃん? 朝から何を怒っているのかな?」
そして同じ電車に妹も乗っている。というのも、一愛の塾と俺のバイト先は同じ駅前にあるからだ。
だが、妹の隣には座らない……座れない。
なので正面に座っているのだが、妹はスマホから顔を上げもしない。
「一愛ちゃん。聞こえてるよね」
今日は土曜の朝ということもあり、電車には学生も大して乗っておらず、周りには数えるくらいしか人はいない。
遊びに行くにしても中途半端な時間だしな。あと、田舎だからな。
「……何も。あと、話しかけてこないでください」
絶対に何かあるよね。ずっと、こんな反応だからね。
これは1人では無理だ。助けを借りよう。
(ルイ、頼む! 何を怒っているのか聞いて)
「何で私が……」
ここは、ばったり駅で会った幼馴染様に助けを借りるしかない。俺たち3人が一緒の電車での移動時間は10分ちょい。
この間で俺1人では、一愛からドライな反応の理由を聞き出すことなど不可能だ。
(どうせまた何かやったんだろ。今度は何をやったんだ?)
(『また』ってなんだよ。何もしてねーよ! 昨日はあの後は会ってもないわ。今朝、家からああなんだよ)
(本当か?)
(本当だってー、信じてよー)
何もしていない……よね?
ひな祭りをすっぽかしたのはぬいぐるみで許されて、言われたようにルイを送って、お喋りしてからミカを送って。特に何もない、と思う。
(わかったよ。お前がいるとあれだから、隣の車両にでも行ってろ)
(えー、気になるよー)
(いいから行け! ちんたらしてると駅に着くぞ。私は乗り換えなんだから、時間もないんだ。早く行け)
(はい。よろしくお願いします)
幼馴染の通うお菓子学校こと製菓学校は、電車を乗り換えていかなくてはいけない。
その乗り換えまでの時間は迫っているから、言われたとおりにします。
※
その後、もやもやしたままでバイトを終えた。
一愛と話したはずのルイは俺のところにはこずに、乗り換えのホームに行くし。
一愛は何もなかったように改札を出ていくし。ホームに1人取り残されるし。俺も時間が迫っているのは同じだし。
「はぁ……お疲れ様でした。帰ります」
現在16時。午前中3時間。昼休憩1時間。午後3時間の労働を終え、これから帰るところです。
「零斗。今日はどうかしたのか? いつにも増してヤル気が感じられなかった。一発殴っていいか?」
「はぁ……」
元ヤン店長がナチュラルに殴ると言ってくるが、いつものような対応ができない。ため息しかでない。
「重症だな。女に振られたか? いや、そんな気配すらないよな。悪い……」
なんか勝手に言って勝手に納得されている。
失礼な元ヤンだとは思うが、今日は何もする気にならない。帰ろう。
「店長だって男なんていないくせに」
だが、ボソッと口から言葉が出てしまう。
それも、20代前半彼氏無し元ヤン店長には、言ってはいけない類の言葉がだ。
「今なんて言った。ブッ殺すぞ、テメェ!」
ほらね。自分で言ったわけだけどほらね。
こういうところを治さないとダメだと思う。怖いし。
「そんなんだから男が寄ってこないんですよ。ヤンキー気質を抜かないとダメだと思います。じゃあ、また明日」
「何、この流れで帰ろうとしてんだ!」
「流れも何も、俺はもう時間なんで帰ります。電車の時間もあるんで」
「16時の早い方の電車にはもう間に合わないだろう。つまり、あと30分くらいは余裕があるわけだ。店ん中じゃあ、あれだ。ちょっと裏に来い」
──いけない! このままバックルームに連れていかれたらシメられる。何故、元ヤンが俺の電車の時間に詳しいのかというとな。元ヤンは昔うちの近所に住んで、痛たたたたたっ──
「──いたたっ、暴力反対! 耳を引っ張らないで!」
「うるせぇ! 人が気にしてることを……。女には聞いちゃいけないことがあるって習わなかったか? いっぺん教育してやる」
いよいよアカンとなった時、入り口が開くガラガラという音がした。
この店は自動ドアではなく、押したりするドアでもなく、横にスライドさせるドアなんだ。
「店長、お客さん。お客さんですよ! バイトをイジめているところなんて見られたら、社長に怒られますよ」
「ちっ──、いらっしゃいませ。あん?」
俺に言われ、納得いかなそうに手を離した元ヤンは、『なんで?』というような表情をしている。
誰がこようと同じような塩対応の元ヤンにしては珍しい。
「一愛?!」
何者が訪ねてきたのかと振り返った先にいたのは、こちらも朝から塩対応の妹だった。
「おーおー、零斗の妹か? 見ないうちにデカくなったなぁ」
親戚のおばさんみたいなことを言っている元ヤン。
まあ、近所のヤンキーではあったけども。それなら顔くらいは分かるか。
「こんにちは。ソレはもう持って帰っていいですか?」
「いいぞ。汚れててもいいなら持っていけ」
「ありがとうございます。ほら、帰るぞ」
ついには物扱いすか……。そうですか。
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