妖精王の旅路

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妖精王は集落を発見する

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 加護を与え終わったので、ロルフの上に乗って森を進んでいく。
 獣魔の森は暗くて寒くて殺気立っていたけれど、この森は木漏れ日が差し込んできて暖かく、生き物ものんびりとくらしているようだ。
 ちゅんちゅんと小鳥が鳴いていて、茂みには兎の親子がこちらを見ている。
 猪が木々の隙間を走り、鹿が草を食べている。
 平和な森っぽいな。
 沢山の生き物の気配に心が躍る。
 
 何日かこの森で過ごしていると、森にも馴染んできた。
 時々人間っぽい生き物もいるんだけど、集落でもあるのかな?
 それとも町が近い?
 わくわくしながら進んでいく。
 遠目には木の上に立てられた家が見えている。
 木の上の町なのだろうか?

「とまれ!」

 遠くを見ていたら、そばの木の上に人がいたことに気がつかなかった。
 見上げると僕たちを囲むように、弓矢を向けてきているエルフたちの姿が。
 ここはエルフの住まう森だったのか。

「待て! この方は妖精様だ! 武器を向けるな!」

 僕の後ろあたりにいた女性が、顔色を変えて皆に言う。
 すると皆、慌てたように弓矢をしまって、木の上から飛び降りて地面に着地した。

「やあ。元気?」

 僕も挨拶しながらロルフの上から降りる。
 その際、肩に乗るベンジャミンを落とさないように、羽根を使ってゆっくりと地面に降りた。

「妖精様、武器を向けてしまって、大変申し訳ありません」

 さっき僕を妖精と呼んだ女性が、僕の前に跪いて謝ってくる。
 ほかのエルフも、僕たちを囲むように跪いた。
 エルフは人間と妖精の中間のような生き物で、妖精を信仰の対象にしている事が多い。
 このエルフたちも そうなのだろう。

「別にいいよ。武器を持つのは、身を守るためには大切なことだし」

「なんと寛容なお心。感謝いたします」

「それよりあそこに見える木の上の家って、君たちの家?」

「は、はい。そうですが……何かご気分を悪くさせてしまうことなのでしょうか?」

「え? 気分は最高に良いよ。ただ凄いなって」

「お褒めに預かり光栄でございます」

「見学とかしちゃだめ?」

「もちろん良いですよ! 皆、妖精様を我らの集落までご案内するぞ!」

 優しいエルフに先導されながら、僕たちはエルフの集落にやってきた。
 木の上からツタを編んだロープが垂れ下がり、そこを器用に上っているようだ。
 木と木を繋ぐ橋を走っていくエルフの子供もいて、落ちないかちょっと心配になる。
 木の下では料理をしているのか、火の暖かさが感じられた。

「もしよければなのですが、私たちの長にお会いくださいませんか?」

 エルフの女性が僕に言う。

「いいよ。あ、もしかして木の上に行くの?」

「はい。本当は長をこちらに招きたいのですが、最近は体が弱ってきておりまして、迂闊に出歩けないのです」

「大変だね。……あ、ロルフは木の上には連れて行けないや」

 ロルフがロープや橋に乗ったら、一瞬で壊れてしまうよ。
 しゅんと落ち込むロルフの首を撫でて慰める。

「ちょっとだけだから待っていて。エルフの皆を食べちゃダメだよ」

「わっふ」

 ロルフは集落の木の下で、お利口にお座りした。
 いい子だね。
 わしゃわしゃ撫で回してからロルフをおいて、エルフの女性についていく。
 そして木を上るためのツタのロープのところへやってきた。
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