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第二十六章 梅雨の季節
第五百十六話 飛翔
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「マスター、ベリア様。お乗り下さい」
マスタングの指示に従い乗り込んだ2人は、シートベルトを着けてからモニターを確認する。
「飛ぶって、魔法で少し浮遊するのとは違うよな」
「技術的詳細は省きますが、タイヤがジェットエンジンの噴射に変わったと考えて頂ければ」
「四輪ジェットエンジンってなぁ、SF映画の小型宇宙船でもあまり聞かないぞ…運転方法はどうなってる?特に上下移動」
「専用のステアリングに変更します。操作には慣れが必要ですが、マスターなら問題無いかと」
「…不安だ」
モニターに表示されているボタンを押すと、マスタングが地面から1m程浮き上がり飛行モードに切り替わる。
V8エンジンの轟音はそのままに、車体下部から甲高い音が聞こえてくる。
ステアリングが一度スゥっと消滅すると、戦闘機の操縦桿のような物が出現した。
「飛行モード変更完了、上昇しましょう」
「いきなりだな」
「アクセルとブレーキペダルがジェットの出力調整用で、操縦桿で前後上下左右の操作が出来るようにしてみました。難しい場合は後日調整しましょう」
今はこの仕様のまま操作しなければならないようなので、覚悟を決めて操縦桿を握る。
モニターにはジェットエンジンの向きが表示されているので、操縦桿を軽く動かして動作確認を始めた。
「初期位置でアイドリング状態だと、ホバリングみたいになるのか」
操作方法がゴチャついていて頭が追い付いていないが、アクセルを踏み込むとゆっくりと車体が上昇し、木々の上まで到着したらアクセルを離す。
するとその場でホバリング状態になり、ブレーキを踏むとゆっくりと下降し、地面から1mの位置で勝手に停止した。
本当に意味が分からない。
「…取り敢えず、使えるから良しとするか」
理解する事は一旦諦め、イズミは敵の追跡を始める。
上昇してからモニターに敵の位置を表示させると、4人の内の2人が合流して移動をしているようだった。
「相手が拠点に戻るのを待つべきかな」
「変に散らばられても厄介だしな…こんな高い所まで来れるのか!?」
何の気無くアクセルを踏んでいたら、マスタングは地上約50m付近まで上昇していた。
「もっと高い所まで行けると思うが、今は理由も無いから止めておくよ…マスタング、もう一度周囲の索敵を頼む、広域でだ」
「かしこまりました…敵の移動方向に複数の反応を検知、魔物の反応もあります」
「そうか。なら敵の位置はそのまま追跡して、一旦魔物を確認しておくか」
モニターに魔物の位置をポイントしてもらうと、イズミは慣れない操作で移動を始めた。
移動速度は現在メーターでは凡そ30マイル…時速50キロ無い位が出ている。
思ったよりスピードが出るようだが、怖いので控えめにしているけれども。
減速して魔物の反応があるエリアを周回してみるが、目視確認は出来ずにいた。
「…見えないか。ベリア、何か感じるか?」
イズミが聞くとベリアは窓を少し開けて集中し始める。
「少し地面に近づけるか?此処では匂いが薄い」
「分かった」
ゆっくりと高度を落としてゆくと、ベリアとマスタングが同時に反応した。
「マズい!イズミ避けろ!!」
「え?」
反射的にアクセルをベタ踏みしたイズミだったが、青々とした木の葉で隠れた地面から魔物がその身を伸ばして来た所だったのだ。
四輪のジェットエンジンが甲高い音と共に出力を上げ、マスタングは一気に地上100mまで上昇して魔物からの攻撃を避けきった。
「ありゃ何だ!?」
「巨大化したムカデだ…気持ち悪いぃ!」
マスタングは高速で巨大ムカデを中心にして、大きな円軌道を描きながら様子見をする。
ムカデの触覚が木々に隠れる様に消えてゆくと、上空からは平穏な森に戻ったかのように見えた。
「どうする?」
「倒すにしても、こうして隠れられると難しいぞ」
「冒険者ギルドに討伐依頼が出てるのかも分からんし、一旦引くべきか」
「…巨大化した魔物はその土地のパワーバランスを崩し掻き乱すだけ、狩って構わん」
そう言ったのは、アヤの肩に乗っていた妖精だった。
「出来れば、アヤツの死骸は森に住まう者達の餌にしてやって欲しいが」
「そう言う事ならば、やってみますか」
イズミはモニターを操作して武装一覧を開くと、飛行モード状態で使える武装を確認する。
ガトリング、前方発射式ミサイル、後方発射式ミサイル、どれも使用可能なようである。
残念ながら火炎放射器は射程距離の問題で、この距離からでは効果的なダメージは与えられないようだ。
「マスタング、なるべく自然を破壊せずにあのムカデを討伐したい。オススメの装備はあるか?」
「新武装になりますが、候補はあります」
候補として表示された武装は、射出式回転ノコギリだった。
ボンネットにスーパーチャージャーのような追加装備が現れ、相手の大きさによって回転ノコギリのサイズを調整して、猛スピードで射出するらしい。
「風魔法のウィンドカッターを参考にしました、回転ノコギリ自体は超圧縮した魔力を使いますので、攻撃の役目を終えたら自動で消滅します。攻撃対象以外への被害や損害も少なく抑えられるかと」
「マスタング…このボンネットから武装を出す仕組みは、他にも流用が効くのか?」
「当然です、ガトリングやグレネードランチャーも適応可能となります。通常時はスーパーチャージャーの見た目になりまして、その日の気分によって実体化しスーパーチャージャーの性能や音をお楽しみ頂けます」
「運転席からの視界が凄い事になるな」
「スーパーチャージャーの動作音には、魔物や敵への威嚇効果もあります」
思った以上にマスタングが乗り気な提案をして来たので、つい確認をしてしまった。
「マスタング。もしかしてだが、スーパーチャージャーが気になってたりしたのか?」
「他モデルや他車種に装着された実績がありましたので。あっても良いかと」
映画基準で言うならば、荒廃した世界を駆け抜けるゴキゲンな映画に登場する、あのインターセプターが有名だろう。
あれは確かに車種は違うが、大きな括りでは同じメーカーの車である。
「その回転ノコギリってのは、射出したら一直線にしか飛ばないのか?」
「マスター、ここは異世界です。追尾能力もございます」
「完璧だな」
イズミは躊躇いなく実体化ボタンを押すとボンネットに切り欠きが出現し、映画でよく見た金属部品…スーパーチャージャーの様な何か…が姿を現した。
マスタングの指示に従い乗り込んだ2人は、シートベルトを着けてからモニターを確認する。
「飛ぶって、魔法で少し浮遊するのとは違うよな」
「技術的詳細は省きますが、タイヤがジェットエンジンの噴射に変わったと考えて頂ければ」
「四輪ジェットエンジンってなぁ、SF映画の小型宇宙船でもあまり聞かないぞ…運転方法はどうなってる?特に上下移動」
「専用のステアリングに変更します。操作には慣れが必要ですが、マスターなら問題無いかと」
「…不安だ」
モニターに表示されているボタンを押すと、マスタングが地面から1m程浮き上がり飛行モードに切り替わる。
V8エンジンの轟音はそのままに、車体下部から甲高い音が聞こえてくる。
ステアリングが一度スゥっと消滅すると、戦闘機の操縦桿のような物が出現した。
「飛行モード変更完了、上昇しましょう」
「いきなりだな」
「アクセルとブレーキペダルがジェットの出力調整用で、操縦桿で前後上下左右の操作が出来るようにしてみました。難しい場合は後日調整しましょう」
今はこの仕様のまま操作しなければならないようなので、覚悟を決めて操縦桿を握る。
モニターにはジェットエンジンの向きが表示されているので、操縦桿を軽く動かして動作確認を始めた。
「初期位置でアイドリング状態だと、ホバリングみたいになるのか」
操作方法がゴチャついていて頭が追い付いていないが、アクセルを踏み込むとゆっくりと車体が上昇し、木々の上まで到着したらアクセルを離す。
するとその場でホバリング状態になり、ブレーキを踏むとゆっくりと下降し、地面から1mの位置で勝手に停止した。
本当に意味が分からない。
「…取り敢えず、使えるから良しとするか」
理解する事は一旦諦め、イズミは敵の追跡を始める。
上昇してからモニターに敵の位置を表示させると、4人の内の2人が合流して移動をしているようだった。
「相手が拠点に戻るのを待つべきかな」
「変に散らばられても厄介だしな…こんな高い所まで来れるのか!?」
何の気無くアクセルを踏んでいたら、マスタングは地上約50m付近まで上昇していた。
「もっと高い所まで行けると思うが、今は理由も無いから止めておくよ…マスタング、もう一度周囲の索敵を頼む、広域でだ」
「かしこまりました…敵の移動方向に複数の反応を検知、魔物の反応もあります」
「そうか。なら敵の位置はそのまま追跡して、一旦魔物を確認しておくか」
モニターに魔物の位置をポイントしてもらうと、イズミは慣れない操作で移動を始めた。
移動速度は現在メーターでは凡そ30マイル…時速50キロ無い位が出ている。
思ったよりスピードが出るようだが、怖いので控えめにしているけれども。
減速して魔物の反応があるエリアを周回してみるが、目視確認は出来ずにいた。
「…見えないか。ベリア、何か感じるか?」
イズミが聞くとベリアは窓を少し開けて集中し始める。
「少し地面に近づけるか?此処では匂いが薄い」
「分かった」
ゆっくりと高度を落としてゆくと、ベリアとマスタングが同時に反応した。
「マズい!イズミ避けろ!!」
「え?」
反射的にアクセルをベタ踏みしたイズミだったが、青々とした木の葉で隠れた地面から魔物がその身を伸ばして来た所だったのだ。
四輪のジェットエンジンが甲高い音と共に出力を上げ、マスタングは一気に地上100mまで上昇して魔物からの攻撃を避けきった。
「ありゃ何だ!?」
「巨大化したムカデだ…気持ち悪いぃ!」
マスタングは高速で巨大ムカデを中心にして、大きな円軌道を描きながら様子見をする。
ムカデの触覚が木々に隠れる様に消えてゆくと、上空からは平穏な森に戻ったかのように見えた。
「どうする?」
「倒すにしても、こうして隠れられると難しいぞ」
「冒険者ギルドに討伐依頼が出てるのかも分からんし、一旦引くべきか」
「…巨大化した魔物はその土地のパワーバランスを崩し掻き乱すだけ、狩って構わん」
そう言ったのは、アヤの肩に乗っていた妖精だった。
「出来れば、アヤツの死骸は森に住まう者達の餌にしてやって欲しいが」
「そう言う事ならば、やってみますか」
イズミはモニターを操作して武装一覧を開くと、飛行モード状態で使える武装を確認する。
ガトリング、前方発射式ミサイル、後方発射式ミサイル、どれも使用可能なようである。
残念ながら火炎放射器は射程距離の問題で、この距離からでは効果的なダメージは与えられないようだ。
「マスタング、なるべく自然を破壊せずにあのムカデを討伐したい。オススメの装備はあるか?」
「新武装になりますが、候補はあります」
候補として表示された武装は、射出式回転ノコギリだった。
ボンネットにスーパーチャージャーのような追加装備が現れ、相手の大きさによって回転ノコギリのサイズを調整して、猛スピードで射出するらしい。
「風魔法のウィンドカッターを参考にしました、回転ノコギリ自体は超圧縮した魔力を使いますので、攻撃の役目を終えたら自動で消滅します。攻撃対象以外への被害や損害も少なく抑えられるかと」
「マスタング…このボンネットから武装を出す仕組みは、他にも流用が効くのか?」
「当然です、ガトリングやグレネードランチャーも適応可能となります。通常時はスーパーチャージャーの見た目になりまして、その日の気分によって実体化しスーパーチャージャーの性能や音をお楽しみ頂けます」
「運転席からの視界が凄い事になるな」
「スーパーチャージャーの動作音には、魔物や敵への威嚇効果もあります」
思った以上にマスタングが乗り気な提案をして来たので、つい確認をしてしまった。
「マスタング。もしかしてだが、スーパーチャージャーが気になってたりしたのか?」
「他モデルや他車種に装着された実績がありましたので。あっても良いかと」
映画基準で言うならば、荒廃した世界を駆け抜けるゴキゲンな映画に登場する、あのインターセプターが有名だろう。
あれは確かに車種は違うが、大きな括りでは同じメーカーの車である。
「その回転ノコギリってのは、射出したら一直線にしか飛ばないのか?」
「マスター、ここは異世界です。追尾能力もございます」
「完璧だな」
イズミは躊躇いなく実体化ボタンを押すとボンネットに切り欠きが出現し、映画でよく見た金属部品…スーパーチャージャーの様な何か…が姿を現した。
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