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第二十七章 サンダーブレード作戦
第五百二十七話 賃貸物件
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ベリアのSランク昇格の式典と宴が無事に終わり数日、ヒュミトールの空模様は一面の灰色である。
「…雨の匂いが近付いてきてる、明日は降りそうだな」
「梅雨入りか。今日の内に買い物を済ませておくのが良さそうだ」
「だな…で、何でイズミはヒュミトールの外れに向かってるんだ?」
助手席に座るベリアが窓を閉めながらイズミに確認をする。
「そりゃ、梅雨明けまでの仮住まい候補の内見に」
「グラテミアさんの屋敷じゃ駄目なのか?」
「男神様向けの酒飲みの場所探しと、俺の趣味も兼ねてるんだ」
マスタングは2階建てに見える建物の近くで減速し、隙間風の入って来そうな馬車置き場の隣に停車した。
「貴方がイズミ様で?」
「そうです、梅雨明けまで一軒家を借りたいと話をさせて頂いたのですが」
マスタングから降りたイズミに声を掛けた男は、商人ギルドの賃貸物件担当者である。
女神様向けの会食を無事に終えたイズミは、早速次のイベントである男神様向けの酒飲み計画を組み始めたのだ。
最初はグラテミアの屋敷にて開催しようかと考えたが、この世界に殆ど姿を現さない男神様が屋敷に現れたらパニックになりかねないと考え、グラテミアさん達に相談をした上で賃貸探しをする事になったのである。
商人ギルドに取り次いでくれたのはエレノアであり、数軒の賃貸の資料を確認して返事をすると、早速内見をする運びとなった。
「この物件は大通りからも距離があり比較的人気も無いので、条件にあった『他者との関わりの少ない立地で、物損が発生しても追加支払いが少ない物件』には該当するかと」
周囲を見渡しても大通りや裏路地の様な賑わいは無く、周囲の建物にも住人は居なさそうである。
「此処は再開発の為に一度更地にする予定となってまして、住民達は別の住まいに移動をして貰ったのです。なので物損があっても弁償等は不要になります」
「再開発の目的は?」
「建物の老朽化もありますが、通りが狭く馬車や農具の移動に不便だと多くの声がありましたので」
「成る程」
建物内に入ると一階部分は広いが家具類は1つも無く、右奥に二階への階段があるだけだった。
天井を確認すると当然ながら照明器具は無い。
「当物件は元々独り身の男爵様や金満な方向けのコテージと作られまして、作り自体は良いのですがヒュミトールの都市化と時のの波には抗えず…昔は好立地だったのですがね」
「段階的に大都市化をした結果、遂にお役御免と言ったところですか」
「そうなります」
二階も確認するが、此方も伽藍堂と表現して問題無い。
完全なる空き家である。
「家具等が必要でしたら、別途費用がかかりますが貸出サービスもありますので是非ご活用下さいませ。此方の物件でしたら、明日から梅雨明け迄のご契約で…金貨3枚は如何でしょうか?」
商人ギルドの男は少しだけ価格提示に間を置いて交渉に入る。
10日につき金貨1枚の計算なのかもしれないが、キッチリ1ヶ月後に梅雨明けするかも分からないのでザックリ計算だろう。
取り壊し予定地の最後の有効活用と考えれば金貨3枚の収入も悪くは無い、そんな考えがイズミの頭を過ぎった。。
「そうですか、なら金貨5枚渡しておきます。賃貸契約に纏わる諸経費込みと言う事で」
金貨5枚を男に差し出すと、男は笑顔で受け取り鞄から羊皮紙を取り出して広げる。
「ありがとうございます。賃貸の契約者はエレノア様でよろしかったですか?」
「それでお願いします、どうやら私には賃貸契約を結ぶ為の身分証明が難しいようで」
「伺っております。冒険者ギルドでも確認が取れなかったとか」
「そうなんですよ…お手数をおかけしますね」
契約処理を進めてもらう事にしたイズミは、男とは明日改めて賃貸契約書を受け取るスケジュールで話を終える。
「ここに決めたよ」
「別に良いけどさ、アタイも一緒で良いのか?」
「それでも良いし、グラテミアさんの所で魔法の特訓もあるから屋敷で休めるように話は済んでる」
「自由に動けるようにはしてくれたんだ」
「梅雨に入ってもベリアは忙しいだろ?冒険者ギルドからの特訓依頼もあるし、雨の日の移動は憂鬱だろ」
「まぁな」
帰る途中で酒屋に寄ると、宴の後でも在庫はシッカリと確保されているようだった。
「いらっしゃいませ!」
「また何本か購入したいのですが」
「新商品の入荷は少ないですが、ご覧になりますか?」
店員の案内で新商品の並べられている棚の一角へ向かうと、他の瓶とは違う形状の酒が目に入った。
飲み口がデカい水筒のような瓶で、中には果実が浸かっている。
「此方は貴族の女性向けに考案されたお酒でして、梅と砂糖を1級や特級のドワーフ酒で漬け込んだお酒となります」
「ほう、どのような経緯で考案されたのか気になりますね」
「考案された地では梅の生産が盛んなのですが、新たな活用方法を模索している最中にダメ元で試作した案の1つと聞いてます。まだ少数生産で砂糖もふんだんに使ってますので、お値段が張るのが痛い所ですが」
どう聞いても梅酒である。
特産品を使った新たな商品として、梅酒は大きく羽ばたくポテンシャルはある。
そのまま飲んでも良し、水割りは勿論お湯割りで飲んでも良しである。
「在庫は何本です?」
「8本です。価格は1本につき金貨10枚で、次の入荷予定は未定です」
「10枚ですか…では3本下さい。他にも何本か」
イズミは会食で消費した分を補填するようにドワーフ酒を選び、ベリアは果物を活用したドワーフ酒を数本購入する。
屋敷に戻ったイズミはマスタングに魔力を補給し、屋敷の中庭で転移魔法の特訓をするベリア達を横目に部屋に戻る。
「…雨の匂いが近付いてきてる、明日は降りそうだな」
「梅雨入りか。今日の内に買い物を済ませておくのが良さそうだ」
「だな…で、何でイズミはヒュミトールの外れに向かってるんだ?」
助手席に座るベリアが窓を閉めながらイズミに確認をする。
「そりゃ、梅雨明けまでの仮住まい候補の内見に」
「グラテミアさんの屋敷じゃ駄目なのか?」
「男神様向けの酒飲みの場所探しと、俺の趣味も兼ねてるんだ」
マスタングは2階建てに見える建物の近くで減速し、隙間風の入って来そうな馬車置き場の隣に停車した。
「貴方がイズミ様で?」
「そうです、梅雨明けまで一軒家を借りたいと話をさせて頂いたのですが」
マスタングから降りたイズミに声を掛けた男は、商人ギルドの賃貸物件担当者である。
女神様向けの会食を無事に終えたイズミは、早速次のイベントである男神様向けの酒飲み計画を組み始めたのだ。
最初はグラテミアの屋敷にて開催しようかと考えたが、この世界に殆ど姿を現さない男神様が屋敷に現れたらパニックになりかねないと考え、グラテミアさん達に相談をした上で賃貸探しをする事になったのである。
商人ギルドに取り次いでくれたのはエレノアであり、数軒の賃貸の資料を確認して返事をすると、早速内見をする運びとなった。
「この物件は大通りからも距離があり比較的人気も無いので、条件にあった『他者との関わりの少ない立地で、物損が発生しても追加支払いが少ない物件』には該当するかと」
周囲を見渡しても大通りや裏路地の様な賑わいは無く、周囲の建物にも住人は居なさそうである。
「此処は再開発の為に一度更地にする予定となってまして、住民達は別の住まいに移動をして貰ったのです。なので物損があっても弁償等は不要になります」
「再開発の目的は?」
「建物の老朽化もありますが、通りが狭く馬車や農具の移動に不便だと多くの声がありましたので」
「成る程」
建物内に入ると一階部分は広いが家具類は1つも無く、右奥に二階への階段があるだけだった。
天井を確認すると当然ながら照明器具は無い。
「当物件は元々独り身の男爵様や金満な方向けのコテージと作られまして、作り自体は良いのですがヒュミトールの都市化と時のの波には抗えず…昔は好立地だったのですがね」
「段階的に大都市化をした結果、遂にお役御免と言ったところですか」
「そうなります」
二階も確認するが、此方も伽藍堂と表現して問題無い。
完全なる空き家である。
「家具等が必要でしたら、別途費用がかかりますが貸出サービスもありますので是非ご活用下さいませ。此方の物件でしたら、明日から梅雨明け迄のご契約で…金貨3枚は如何でしょうか?」
商人ギルドの男は少しだけ価格提示に間を置いて交渉に入る。
10日につき金貨1枚の計算なのかもしれないが、キッチリ1ヶ月後に梅雨明けするかも分からないのでザックリ計算だろう。
取り壊し予定地の最後の有効活用と考えれば金貨3枚の収入も悪くは無い、そんな考えがイズミの頭を過ぎった。。
「そうですか、なら金貨5枚渡しておきます。賃貸契約に纏わる諸経費込みと言う事で」
金貨5枚を男に差し出すと、男は笑顔で受け取り鞄から羊皮紙を取り出して広げる。
「ありがとうございます。賃貸の契約者はエレノア様でよろしかったですか?」
「それでお願いします、どうやら私には賃貸契約を結ぶ為の身分証明が難しいようで」
「伺っております。冒険者ギルドでも確認が取れなかったとか」
「そうなんですよ…お手数をおかけしますね」
契約処理を進めてもらう事にしたイズミは、男とは明日改めて賃貸契約書を受け取るスケジュールで話を終える。
「ここに決めたよ」
「別に良いけどさ、アタイも一緒で良いのか?」
「それでも良いし、グラテミアさんの所で魔法の特訓もあるから屋敷で休めるように話は済んでる」
「自由に動けるようにはしてくれたんだ」
「梅雨に入ってもベリアは忙しいだろ?冒険者ギルドからの特訓依頼もあるし、雨の日の移動は憂鬱だろ」
「まぁな」
帰る途中で酒屋に寄ると、宴の後でも在庫はシッカリと確保されているようだった。
「いらっしゃいませ!」
「また何本か購入したいのですが」
「新商品の入荷は少ないですが、ご覧になりますか?」
店員の案内で新商品の並べられている棚の一角へ向かうと、他の瓶とは違う形状の酒が目に入った。
飲み口がデカい水筒のような瓶で、中には果実が浸かっている。
「此方は貴族の女性向けに考案されたお酒でして、梅と砂糖を1級や特級のドワーフ酒で漬け込んだお酒となります」
「ほう、どのような経緯で考案されたのか気になりますね」
「考案された地では梅の生産が盛んなのですが、新たな活用方法を模索している最中にダメ元で試作した案の1つと聞いてます。まだ少数生産で砂糖もふんだんに使ってますので、お値段が張るのが痛い所ですが」
どう聞いても梅酒である。
特産品を使った新たな商品として、梅酒は大きく羽ばたくポテンシャルはある。
そのまま飲んでも良し、水割りは勿論お湯割りで飲んでも良しである。
「在庫は何本です?」
「8本です。価格は1本につき金貨10枚で、次の入荷予定は未定です」
「10枚ですか…では3本下さい。他にも何本か」
イズミは会食で消費した分を補填するようにドワーフ酒を選び、ベリアは果物を活用したドワーフ酒を数本購入する。
屋敷に戻ったイズミはマスタングに魔力を補給し、屋敷の中庭で転移魔法の特訓をするベリア達を横目に部屋に戻る。
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